菩提樹の猫

無一物

文字の大きさ
301 / 663
1章 君に剣を捧ぐ

7 完璧すぎる理想のはとこ

しおりを挟む

◆◆◆◆◆


 秋に父を亡くし沈んでいたバーラの心は、シモンの屋敷で暮らすようになってから、徐々に浮上してきた。
 まるでバーラを自分の孫や娘のように接してくれるシモンとヨハナの存在は大きい。
 二人にはとても感謝している。

「正月といっても毎年こんなもんだな」

 四人で過ごす元旦の朝に、シモンは苦笑いする。
 正月休みに入ったが、竜騎士団に所属するシモンの息子や孫たちは通常通り駐屯地を基点に国境の警備に当たっている。
 年越しに合わせて帰って来たのは、近くにあるテプレ・ヤロの駐屯地の連隊長を務めるシモンの長男……ヨハナの夫だけだ。

「ふふ、そうですよね。父と二人の時も一緒に新年を迎えることなんて殆どありませんでした」
 
 バーラも思わずつられて笑う。
 騎士の家の正月なんてこんなものだ。
 バーラが父と一緒に暮らしていた時も、正月でさえゆっくり一緒に過ごせたことはなかった。
 ここでは、一緒に過ごせる人たちがいるだけましだ。


 そんな中、一人だけシモンの孫が正月休みに合わせて帰って来た。


「バルトロメイ……!?」
 
 シモンの長男が突然帰って来た甥に、驚きの声を上げる。
 
「騎士団を辞めて暫く顔を見せないと思ってたら……どこをほっつき歩いてたんだ」
 
 シモンも驚きを隠せない様子だ。

 名前を聞いて、ベドジェシュカの息子なのだとバーラは咄嗟に判断することができたが、その姿を見て衝撃を受けた。

(ああ……眩しすぎ……)
 
 まるで理想をそのまま具現化したかのような姿に、バーラは言葉を失って打ち震える。

 テサク家の男たちは、高身長ではないが鷲鼻でガッチリとした身体付きをしている。
 だがベドジェシカの息子バルトロメイは、背も高く、そして恐ろしく美男だった。
 野生的で鋭い目つきなのだがどこか甘さが漂っており、とっつきにくさがない。
 どのパーツをとっても完璧すぎて、バーラは見ているだけでも胸が熱くなり過呼吸になってしまいそうだ。

(——これは……もしかして……一目惚れ……?)


「そう言えば、バーラはバルと会うのは初めてだったわよね」
 
 ヨハナが、固まったままのバーラを覗き込んでくすりと笑うと、バルトロメイを手招きする。
 
「この子はあなたのにあたるバーラよ。お父様がお亡くなりになって、今はここで一緒に暮らしているの」

「初めまして、バーラです」
 
 挨拶のために席を立ってお辞儀をする。

「初めましてバーラ。俺はバルトロメイ。お父上のことはお気の毒に……」

「いえ、父のことはもう大丈夫です」
 
「そっか。ここの暮らしはどう?」
 
 キラキラと光り輝く美男が眩しくて、しどろもどろに答える。
 バルトロメイはそんなバーラの手をとり手の甲にキスをすると、にっこりと優しく微笑んだ。
 鋭い目つきが和らぎ、人懐っこい大型犬みたいだ。

(ああっ……)
 
 その笑顔の破壊力に、バーラは昇天しかける。

「み、皆さんから優しくしていただいてます。あの、私……ベドジェシュカおばさまのお部屋をお借りしてるのですが……」
 
 もしかしたら、勝手に母親の部屋を使っていることをよく思わないかもしれないので、バーラは先に自分から告げた。

「ああ、俺に気を使う必要なんてないよ。使いたいものはどんどん使ってやって。母さんも喜ぶと思うよ」
 
「ありがとうございます」
 
「はとこどうしなんだし、敬語なんて使わないでよ」
 
 どうやら気さくな青年のようだ。
 バーラは胸を撫で下す。

「ほら、こっちに座りなさいよ。お昼は食べたの?」
 
 ヨハナは甥っ子をバーラの向かいの着かせる。
 
「いや、まだだよ」

「ちょうどよかった。今から昼食にしましょう」

「おい、バル——」
 
「——あなた、お説教は後にして。さあ料理を運びましょう」

 なにか言いたげな夫を牽制すると、ヨハナは立ち上がりバーラを連れて厨房へと向かって行った。
 ここ数か月で学んだことといえば、家長はシモンだが、陰でこの屋敷を支配しているのは長男の嫁のヨハナだった。
 男たちはこの屋敷の中では彼女の手のひらの上で転がされており、そしてそれに喜びを感じている。
 

 朝から頑張った甲斐があって、昼食の準備は万端だ。

 ここテサク家の正月料理は、毎年決まっている。
 ドロステアでは定番の鯉料理だ。

 朝一番で、風呂桶を占領して悠々自適に泳いでいた鯉を、ヨハナと一緒に網ですくい、びちびちと暴れる大魚を二人で掴んで厨房まで運んだ。
 今年はバーラがいるからと、奮発して大きな鯉を買ったらしい。

「今年はバーラがいてくれて助かるわ。夫は子供の頃、なにも知らずに浴槽で泳いでいた鯉に名前を付けて可愛がっていたの。でもその鯉がお正月にお皿の上に乗ってでてきて、それがトラウマになって生きた鯉が触れないんだって。鯉料理は食べるくせに。竜騎士団連隊長殿もとんだ名折れね」

 ヨハナが大きな鱗を頬に貼り付け、へらへら笑って夫の愚痴をこぼす。

「ふっ……」
 
 ヨハナがまな板へ乗せ押さえつける鯉に、バーラはアイスピックで止めを刺しながら、あの厳めしい風貌の男にそんな子供時代があったのかと思わす鼻で笑った。
 急所を刺され鯉がビチビチと痙攣し、バーラの顔に血が飛び散る。
 エプロンは血だらけで、正月早々厨房はまるで殺人現場のようだったが、二人の女は互いの顔を見合って笑っていた。
 

 厨房に着くと二人がかりで、鯉が丸ごと入るオーバルの鍋にパプリカとビールを入れて煮込んだ鯉の姿煮をカートに乗せる。
 朝から頑張って作った二人の力作だ。

「あの人が、ベドジェシュカおばさんの?」
 
 ここに来るまで、気になって仕方なかったことをヨハナにぶつけた。
 
「そうよ。いい男過ぎて吃驚したでしょ?」
 
「…………」
 
 図星を指されて、バーナは再び顔を赤くした。
 くすくすとヨハナは笑う。

「前にも話した通り、バルの父親はメストにあるリーパ護衛団の団長さんなんだけどね、あの子は父親似なのよ。私も会ったことがあるけど、もう涎が出そうなほどいい男だったわ。ジェシーは上手いことあんな男捕まえて、よくやったもんだわ。私も久しぶりに甥っ子を見たけど、ますます似てきたわ~~」

 ヨハナはバーラに夫との馴れ初め以外の恋の話もしてくれる、気さくな女だ。
 男勝りのベドジェシュカが一人で遠乗りに出かけた先で、出逢った旅人と恋に落ちた話は、以前ヨハナから聞いていた。

「父親の血なのか、剣の腕も相当で、竜騎士団でも将来を約束されていたのにね……ある日突然騎士団を辞めちゃったのよ。お義父さんは嘆いていたけど、まあ色々と理由があるみたいだし仕方ないわね」
 
 そう言って、ヨハナは苦笑いした。
 テサク家は代々竜騎士団の中でも重役を輩出している家柄で、バルトロメイもそのまま騎士を続けていたら伯父や祖父のように駐屯地一つを任せられるような存在になっていたかもしれない。
 付け合わせや酒類もカートの下段に乗せて、二人は再び食堂へと戻った。

 料理とテーブルに並べると、家長のシモンが、それぞれの皿に鯉を取り分け、長男がグラスにワインを注ぐ。

「懐かしいな、鯉なんて食べるの何年ぶりだろ」
 
 バルトロメイはばくばくとヨハナとバーラの作った料理を平らげていく。
 バーラはその食べっぷりに、頬を染めて見とれていた。


 そこまではよかったのだが、食事が終わり、バルトロメイが実の父親が団長を務めるリーパ護衛団で働いていることを告げる。
 するとシモンは別人のように怒りだし、バルトロメイも黙ってはおらず大喧嘩へと発展した。
 そして久しぶりに顔を見せたというのに、泊まることもせずにバルトロメイはメストへと引き返してしまった。


 夕食が終わり、厨房で片づけものをしていると、ぼそりと隣で食器を洗うヨハナが漏らす。
 
「以前聞いた話なんだけどね、バルが生まれて団長さんが何度も面会を申し出ても、お義父さんが反対して面会を許さなかったの。だからなのかどうかはわからないけど、団長さんは養子をとって育てているみたいよ」
 
「なんでそんなことわかったの?」

「実はね、お義父さんと団長さんの父親は、大むかし騎士団の同期だったらしいの。それであちらの父親から手紙で知らされたみたいよ。『倅には養子がいるから後継ぎの心配はない』って。それでお義父さんも安心してたみたいなのに……あの子ったらなんで父親の所で働いているのかしら……」

 ヨハナは困った顔をしながら話を続ける。

「それならもういっそのこと、あの子が護衛団を継いだらいいのに……どこぞの貴族の護衛をするよりも、リーパ護衛団の団長ならぜんぜんありだわ。お義父さんもブツブツ言ってるけど、それなら納得すると思うの。……もしかして……あの子……そのつもりなのかしら……?」

「でも養子がいるんでしょ?」
 
 今更、実子が現れても、面倒なことになるだけではないだろうか?

「まあ確かに……バルも戸籍上はテサク家の人間になっているから、あちらと親子とは認められていないしね。よく考えたら、迷惑な話よね……」
 
 頬に付いた泡を拭いながら、ヨハナは溜息を吐く。



 バルトロメイが家を出ていき、数日間シモンは機嫌を損ねていたが、バーラの家の買い手が現れたという知らせを受けると、なにやら真剣な顔で考え込んでいた。
 そしてなにかを思い立つと、バーラを連れてメストへと向かったのだ。

「儂はメストまでしかついて行けんが、心配せんでもよい。腕利きの護衛を付けてやるからな」

 そう言って連れて来られたのが、バルトロメイの父親が団長を務めるリーパ護衛団だ。
 バルトロメイもここで働いているらしいので、どこかにいるかもしれない。

(もしかして……ここで護衛を雇うのかしら?)

 受付を終え、二階の応接間へと通されると、中には二人の男が待っていた。
 背の高い四十半ばの男は、バルトロメイがそのまま年を取ったかのような容貌をしていた。

(この人が……)
 
 ヨハナが言っていたように、本当にそっくりだ。
 年はとっていても、苦み走った魅力的な容貌をしている。

「——久しぶりだな。相変わらずの色男振りだな。まだ女たちを泣かせてるんだろ?」
 
 当然ながら、未婚の娘に手を出したバルナバーシュに、シモンは良い感情を持っていない。
 最後に添えられた言葉は、完全に嫌味だろう。
 ヨハナはベドジェシュカの行動にもかなり問題があったので、バルナバーシュだけの責任ではないと言っていたのだが。

「シモン卿、お久しぶりです」
 
 そんなシモンがいきなり訪ねて来ても、バルナバーシュは表情一つ変えない。

「今日は護衛の依頼に来た。この子の護衛にバルトロメイを指名したい」

(——バルトロメイを護衛に!?)

 突如言い渡された、はとことの一緒の旅に、バーラは舞い上がっていた。
 あの青年の姿を見るまでは——

しおりを挟む
感想 31

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?

krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」 突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。 なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!? 全力すれ違いラブコメファンタジーBL! 支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

期待外れの後妻だったはずですが、なぜか溺愛されています

ぽんちゃん
BL
 病弱な義弟がいじめられている現場を目撃したフラヴィオは、カッとなって手を出していた。  謹慎することになったが、なぜかそれから調子が悪くなり、ベッドの住人に……。  五年ほどで体調が回復したものの、その間にとんでもない噂を流されていた。  剣の腕を磨いていた異母弟ミゲルが、学園の剣術大会で優勝。  加えて筋肉隆々のマッチョになっていたことにより、フラヴィオはさらに屈強な大男だと勘違いされていたのだ。  そしてフラヴィオが殴った相手は、ミゲルが一度も勝てたことのない相手。  次期騎士団長として注目を浴びているため、そんな強者を倒したフラヴィオは、手に負えない野蛮な男だと思われていた。  一方、偽りの噂を耳にした強面公爵の母親。  妻に強さを求める息子にぴったりの相手だと、後妻にならないかと持ちかけていた。  我が子に爵位を継いで欲しいフラヴィオの義母は快諾し、冷遇確定の地へと前妻の子を送り出す。  こうして青春を謳歌することもできず、引きこもりになっていたフラヴィオは、国民から恐れられている戦場の鬼神の後妻として嫁ぐことになるのだが――。  同性婚が当たり前の世界。  女性も登場しますが、恋愛には発展しません。

【完結】言えない言葉

未希かずは(Miki)
BL
 双子の弟・水瀬碧依は、明るい兄・翼と比べられ、自信がない引っ込み思案な大学生。  同じゼミの気さくで眩しい如月大和に密かに恋するが、話しかける勇気はない。  ある日、碧依は兄になりすまし、本屋のバイトで大和に近づく大胆な計画を立てる。  兄の笑顔で大和と心を通わせる碧依だが、嘘の自分に葛藤し……。  すれ違いを経て本当の想いを伝える、切なく甘い青春BLストーリー。 第1回青春BLカップ参加作品です。 1章 「出会い」が長くなってしまったので、前後編に分けました。 2章、3章も長くなってしまって、分けました。碧依の恋心を丁寧に書き直しました。(2025/9/2 18:40)

「オレの番は、いちばん近くて、いちばん遠いアルファだった」

星井 悠里
BL
大好きだった幼なじみのアルファは、皆の憧れだった。 ベータのオレは、王都に誘ってくれたその手を取れなかった。 番にはなれない未来が、ただ怖かった。隣に立ち続ける自信がなかった。 あれから二年。幼馴染の婚約の噂を聞いて胸が痛むことはあるけれど、 平凡だけどちゃんと働いて、それなりに楽しく生きていた。 そんなオレの体に、ふとした異変が起きはじめた。 ――何でいまさら。オメガだった、なんて。 オメガだったら、これからますます頑張ろうとしていた仕事も出来なくなる。 2年前のあの時だったら。あの手を取れたかもしれないのに。 どうして、いまさら。 すれ違った運命に、急展開で振り回される、Ωのお話。 ハピエン確定です。(全10話) 2025年 07月12日 ~2025年 07月21日 なろうさんで完結してます。

処理中です...