クラフト生活をしながら同級生にコスプレさせて異世界をスローライフします

春風

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第10話〜密かなる接近〜

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第10話~密かなる接近~




朝—
彩音はいつもより早く目覚めた。昨日決めた作戦を実行するためだ。

(笑顔……笑顔で接するんだ……)
(焦らずゆっくり……)

深呼吸をしてキッチンに向かう。海斗は既に起きていた。

「おはよう白石さん」
「おはよう黒瀬くん!」

努めて明るく挨拶する。昨日までのぎこちなさは多少改善されていた。

「今日は早いな」
「うん!早起きしたらスッキリしたよ!」
「そうか。それは良かった」

微笑む海斗。その表情に彩音の胸が高鳴る。

(ああ……やっぱりしゅきすぎる……)
(でも今は我慢……)

必死に自制する。朝食の準備をしながら少しずつ距離を縮める機会を探す。

---

昼過ぎ—
村の工房で作業中も彩音の意識は常に海斗に向いていた。

(あ……またあの娘と話してる……)
(嫉妬しちゃダメ……でも気になる……)

複雑な気持ちを抑えながら作業に集中する。しかし集中力を欠いているせいかミスが続いた。

「大丈夫?」
「はい!問題ありません!」

心配そうな女性たちに答える。内心では焦りが募る。

(どうしよう……)
(気を使われてる……)

自己嫌悪に陥る彩音。そんな彼女を見かねたのか一人の女性が声をかける。

「ねえ白石さん」
「はい?」
「恋愛のこと?」

唐突な質問に顔が引きつる。

「違います!そんなことありません!」
「ふーん……」
「本当です!信じてください!」

必死に否定する。しかし女性たちの反応は冷ややかだった。

「まあいいけど……」
「あまり無理しないでね」
「はい……ありがとうございます……」

気まずい空気が流れる。その中で一つの決意が固まる。

(やっぱり隠し通すのは無理かも……)
(でも伝える勇気もない……)

八方塞がりの状況に苛立ちを感じる彩音。しかし彼女は諦めなかった。

---

夕方—
帰宅した彩音は疲れた表情を隠せない。そこに海斗が声をかける。

「疲れてるみたいだな」
「ううん!大丈夫!」
「嘘つくな。顔色悪いぞ」
「本当に大丈夫だから!」

強がる彩音。しかし海斗は納得しない。

「無理するな。休息が必要だろ」
「黒瀬くん……」
「何かあったのか?」

真剣な眼差しで問いかける海斗。その優しさに胸が詰まる。

(しゅき……)
(でも言えない……)

内心で葛藤する彩音。しかし少しずつ本音を漏らし始める。

「実は……」
「うん?」
「少し悩みがあって……」
「俺で良ければ聞くぞ」
「ありがと……でも大したことじゃないから……」

嘘をつくのが苦しい。しかしこの恋心だけは隠し通さなければならないと思っていた。

---

夜—
寝室に戻った彩音は再び悶々とする。

(やっぱり黒瀬くんは優しいな……)
(でもその優しさが辛い……)

矛盾した感情に悩まされる。そして一つの閃きを得る。

(少しずつアピールしてみよう)
(直接伝えるんじゃなくて……)
(態度で示す感じで……)

慎重に計画を立てる彩音。翌日からの実践に向けて準備を始めた。

---

翌朝—
彩音はいつもより念入りに身支度を整えた。鏡の前で何度も確認する。

(服……大丈夫かな?)
(髪型も自然にして……)
(不自然じゃない程度に……)

控えめながらも精一杯のお洒落。そして海斗の反応を窺う作戦だ。

キッチンに向かうと既に海斗がいた。

「おはよう黒瀬くん!」
「おはよう白石さん」
「どうしたの?今日は早起きだね!」
「うん。少し作業があったから」

何気ない会話。しかし彩音の様子に海斗が気づく。

「なんか雰囲気変わったな」
「え?そうかな?」
「うん。いつもより……なんというか……」
「なんというか?」
「可愛いと思う」

不意打ちの一言に顔が赤くなる。

「え!?今なんて!?」
「いや……気にするな」
「気になるよ!もう一度言って!」
「……忘れてくれ」

照れる海斗。その様子を見て彩音は確信する。

(脈アリかも……?)
(少なくとも悪い印象じゃないよね?)

期待に胸を膨らませる。しかしその喜びも束の間だった。

「ところで今日は何か用事あるか?」
「え?特にないけど……」
「じゃあ一緒に買い物に行かないか?」
「え!?デート!?」
「買い物だよ」


「うん!行く!」
「そんなに嬉しいか?」
「もちろんだよ!」

無邪気に答える彩音。しかしその裏では心臓が破裂しそうなほど高鳴っていた。

(デートだ!デート確定だ!)
(チャンス到来!)

内心で歓喜する。そして同時に不安も感じる。

(変なこと言っちゃわないかな……)
(緊張しすぎて失敗したらどうしよう……)

様々な思いが交錯する中で彼女は決意する。

(頑張ろう!)
(今日は絶対に成功させる!)

意気込む彩音。しかし実際には想定外の出来事が待ち受けていた。

---

午後—
町へ向かう途中—

「今日は何買うの?」
「布と糸を少しな」
「わかった!任せて!」
「頼りにしてるよ」

自然な会話。しかしその裏では緊張が続いている彩音。そして思わぬ試練が訪れる。

「ねえ白石さん」
「なに?」
「最近何かあったのか?」
「え?何もないよ!」
「そうか……」

安堵する彩音。しかし次の言葉で凍りつく。

「最近他の男と親しくしてるみたいだな」
「え?」
「村の若い奴らとよく話してるだろ」
「ああ……あれはただの友達で……」
「ふーん……」

意味深な口調。そこから察することができるものがあった。

(もしかして……嫉妬?)
(まさかそんなわけないよね?)

自惚れかもしれないと思いつつも期待が膨らむ。そんな彼女の心情を知ってか知らずか海斗が続ける。

「俺がいない間に恋人ができたりしてな」
「そんなことないよ!」
「本当か?」
「当然だよ!私には黒瀬くんしかいないんだから!」

勢いで口走ってしまう。慌てて口を押さえるが後の祭りだった。

「え?」
「あ……今のは忘れて!」
「……わかった」
「本当にごめんね!変なこと言っちゃって……」
「気にしてないよ」

(言っちゃった……)
(完全にアウトだよ……)

後悔の念に駆られる彩音。しかし意外なことに海斗の反応は穏やかだった。

「でも一つだけ教えてくれ」
「なに?」
「今日の服装……どうしたんだ?」
「え?」
「いつもより可愛いんだけど……」
「これは……その……」
「もしかしてデート服か?」

核心を突かれて言葉を失う。ここで正直に答えるべきか悩む彩音。しかし答えは決まっていた。

「うん……」
「そっか……」
「恥ずかしいけど……」
「そんなことないよ」
「え?」
「すごく似合ってる」

顔を赤らめる彩音。そして気づく。彼女のアピールは功を奏していた。

---

町—
目的の店に到着する。店内は活気に満ちていた。

「色々あるね!」
「そうだな。ゆっくり見て回ろう」
「うん!」

並んで歩く二人。いつもより近い距離に彩音の鼓動が速くなる。

(近い……)
(腕が触れるくらい近い……)

緊張する彼女とは対照的に海斗は平然としている。それが少し寂しいと思った矢先—

「白石さん」
「なに?」
「さっきの話だけど……」
「え?」
「もしかして……俺に見せたくてオシャレしたのか?」
「え!?なんで分かったの!?」
「当たりか」
「うん……実は……」
「やっぱりな」

微笑む海斗。その表情を見て確信する。

(脈アリだ!)
(これは間違いない!)

喜びに震える彩音。しかしその裏には別の不安もあった。

(どうしよう……)
(ついにバレちゃったよ)
(でも嫌がってないみたいだし……)

希望と不安が入り混じる複雑な心境。そして彼女は決意する。

(もう一押ししてみよう)
(告白まではしなくても……)
(気持ちを匂わせるくらいなら……)

「黒瀬くん」
「うん?」
「もし私が……」
「うん」
「他の人と付き合ったらどう思う?」
「え?」
「例えば今日みたいな格好でデートしたりしたら……」
「それは嫌だな」
「え!?」
「冗談だよ」
「もう!からかわないでよ!」
「ごめんごめん」

笑い合う二人。しかしその会話の中で重要なことが明らかになった。

(嫌だって言った……)
(つまりそういうことだよね?)

確信を深める彩音。そして最後の仕上げに出る。

「黒瀬くん」
「なに?」
「私……」
「うん」
「あなたが好きです」
「え?」
「嘘じゃないよ」

呆然とする海斗。しかしすぐに平静を取り戻す。

「ありがとう」
「本気だからね」
「わかってる」
「じゃあ……」
「今は返事できない」

残念そうな表情を浮かべる彩音。しかし海斗の言葉には続きがあった。

「でも考えておく」
「え?」
「気持ちを受け止めるかどうか」
「それって……」
「保留ってことだ」

半ば承諾に近い回答。これだけで十分だった。

「ありがとう!」
「礼を言われるようなことじゃないよ」
「嬉しいの!」
「そうか……」

照れる海斗。そして彩音は気づく。この恋は成就するかもしれないと。
---
帰り道—
夕陽が町を染める中で二人は並んで歩いていた。

「楽しかったね!」
「ああ」
「またデートしようね!」
「デートじゃないけどな」

「えー!デートだよ!」

「まあいいけど」
「やった!約束だよ!」
「わかったよ」

笑い合う二人。その表情には同じ温もりがあった。

(あと一歩だ……)
(もう少しだけ頑張れば……)

希望に胸を膨らませる彩音。しかし同時に気づくことがある。

(でも急いじゃダメ……)
(焦らずゆっくり……)
(そうすればきっと……)

冷静さを取り戻す。そして一つの教訓を得る。

(恋愛って難しいけど楽しいね)
(失敗しても諦めなければ良い結果になる)
(だからこれからも頑張ろう)

新たな決意を胸に歩く彩音。その背中には明るい未来が広がっていた。

 
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