クラフト生活をしながら同級生にコスプレさせて異世界をスローライフします

春風

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第24話 - 建築完了と祝福の宴

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第24話 - 建築完了と祝福の宴




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陽が落ち始めた夕刻。最後の壁板を打ち付ける音が止んだ時、俺は思わず息を呑んだ。目の前にあるのは紛れもなく完成した建物だ。

「できた……」

自分でそう呟いた瞬間、隣で彩音が跳び上がった。

「やったー!ついに完成だね!」

金色の髪が夕陽に照らされ、まるで天使の輪のように輝いている。その横でマフユが静かに頷いた。

「見事だ」

彼女の素っ気ない称賛だが、確かに感情が込められているのがわかる。三人で見上げる建物は想像以上に立派なものだった。大きな入口に堂々とした看板。内部からは暖かい灯りが漏れている。

「お疲れ様でした!」

村人たちが次々と駆け寄ってくる。俺たちの周りには自然と輪ができていた。

「ありがとう!素晴らしい仕事をしてくれた!」
「これから毎日通うよ!」
「ここで結婚式を挙げてもいい?」
「もちろん!」

最後の問いに思わず笑みがこぼれる。結婚式か……まだそんな未来を考えたこともなかったが、この場所なら特別な意味を持つだろう。

「海斗!」

彩音が興奮した様子で駆け寄ってくる。

「中を見てみようよ!」
「ああ」

彼女に手を引かれ入り口をくぐる。その瞬間、俺は言葉を失った。

天井には星空をモチーフにした装飾が施され、柔らかな間接照明が幻想的な雰囲気を作り出している。床は温かみのある木目調で、壁には彩音のアイデアによる可愛らしい模様が描かれていた。

「どう?」

彩音が期待に満ちた目で見上げてくる。

「すごいな……」
「でしょ!」

彼女が嬉しそうに跳ねる。その横でマフユが無言で壁を撫でていた。

「触れてみろ」

突然声をかけられ戸惑う。マフユが指し示す壁には繊細な彫刻が施されている。

「これは……」
「私の仕事だ」

照れ隠しのように視線を逸らす彼女。よく見れば、村の伝統模様が丁寧に彫り込まれている。素人が手を出せない精巧な仕事だ。

「凄い技術だな」
「当然だ」

素っ気ない返事だが耳が赤くなっている。マフユなりの照れ隠しだろう。

---

「それでは開店準備に入ります!」

村長の号令で全員が動き出した。酒や食材の搬入が始まり、テーブルや椅子が整然と並べられていく。

「私たちも手伝おう!」
「ああ」

彩音と並んで皿を運ぶ。こんな日常的な作業が妙に楽しい。

「ねえ海斗」
「ん?」
「私ね……」
「どうした?」

彩音が立ち止まり真剣な表情になる。

「このお店が好きになりそう」
「俺もだ」
「本当!?」
「ああ」

彼女の笑顔が眩しい。この場所が特別なのは単に自分が作ったからだけではない。共に汗を流した仲間たちとの絆があるからだ。

---

準備が整い始めた頃、外から歓声が聞こえてきた。

「皆様!ようこそお越しくださいました!」

村長の声が響く。どうやら招待客が到着したようだ。

「行ってみようか」
「うん!」

彩音と外に出ると、広場には見知らぬ人々の姿があった。近くの町から来た商人や旅人らしい。

「おや?あなたが噂の建築士さんですか?」
「ええまあ……」

初老の男性が話しかけてくる。どうやら噂は広まっているようだ。

「素晴らしい建物ですね!特に天井の装飾が素晴らしい」
「ありがとうございます」

褒められて悪い気はしない。隣で彩音が誇らしげに胸を張っている。

「お嬢さんは内装を担当されたとか?」
「はい!頑張りました!」
「素晴らしい才能をお持ちだ」

老人の言葉に彩音が顔を赤らめる。この子も成長したな……そんなことを思いながら見守る。

---

祝賀会が始まると同時に店内は熱気に包まれた。音楽が流れ始め人々が踊り出す。

「海斗!一緒に踊ろう!」
「え?俺が?」
「もちろん!」

彩音に手を引かれホールへ出る。正直ダンスなんて全く経験がない。

「簡単だから大丈夫!」
「そうは言っても……」

渋る俺に彩音が不満そうな顔をする。その時マフユが近づいてきた。

「私に任せろ」

信じられない言葉に耳を疑う。あのマフユが踊りに参加するとは……

「マジで!?」

「少しだけだ」

彼女が渋々といった様子で音楽に合わせ始める。意外なことに動きは滑らかで美しい。白狼族の血を引く彼女には生まれ持った優雅さがあるようだ。

「すごいね……」
「見惚れてる場合じゃないぞ」

彩音に背中を押され慌てて姿勢を正す。二人に挟まれた状態で踊りの輪に入る。最初はぎこちなかったが徐々に慣れてきた。

「楽しいね!」
「ああ」

彩音の笑顔が近くにある。このまま時が止まればいいのに……そんなことを思ってしまう自分がいる。

「黒瀬さん!」

突然呼ばれて振り返ると村の若い女性たちが集まっていた。どうやら俺に踊りを誘いに来たらしい。

「えっと……」
「行ってあげなよ!」

彩音が背中を押す。少し寂しそうな顔をしながらも彼女は笑顔で送り出してくれた。

「ありがとう」

一言告げて女性たちの輪に向かう。そこで奇妙な違和感を覚えた。マフユが妙に険しい顔をしているのだ。

---

数曲踊った後、疲れて壁際に座り込む。酒場の中は笑顔と笑い声で溢れていた。こんなに多くの人と触れ合うのは久しぶりだ。

「海斗」

彩音が隣に座る。彼女の顔にも疲れが見えるが幸せそうだ。

「楽しかったね」
「ああ」
「またやりたいな……」
「もちろんだ」

二人で静かにグラスを傾ける。こうしていると時間がゆっくり流れていくように感じる。

「海斗」
「どうした?」

彼女が急に真剣な表情になる。

「私ね……本当に感謝してる」
「何を?」
「こんな素敵な場所を作ってくれて」
「俺だけじゃないだろ?」

「もちろん!皆のおかげだよ。でも……」

彩音が言葉を探すように視線を泳がせる。

「でも?」


「海斗がいたからできたんだよ」
「大げさだな」


「本当だもん」

彼女の手が俺の手に触れる。その温もりに心臓が高鳴った。

---

深夜。宴も終わりに近づき客たちが帰り支度を始める。店の外では星空が広がっていた。

「明日から営業開始だね」
「ああ」
「私また来てもいい?」
「当たり前だろ」

彩音が嬉しそうに笑う。その時マフユが近づいてきた。

「明日以降も手伝うか?」
「もちろん!」


「そうか……」

マフユが珍しく柔らかい表情を見せる。

「ありがとう」
「何を?」
「色々と」

彼女の言葉には深い感謝の念が込められていた。俺たちの関係も少しずつ変わりつつあるのかもしれない。

---

家路につく道すがら三人で並んで歩く。星空の下でのこの時間は格別だ。

「ねえ海斗」
「ん?」
「いつかここでライブやろうよ!」
「ライブ?」
「うん!たくさんの人が集まって歌ったり踊ったり!」

彩音の目が輝いている。その夢のような計画に笑みがこぼれる。

「いいなそれ」
「でしょ!」


「私は弾き語りでもいいか?」

マフユの意外な提案に二人で驚く。

「マジで!?」
「少しだけなら」

照れ隠しのように視線を逸らす彼女。こうして俺たちの新たな日常が始まろうとしていた。
 
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