クラフト生活をしながら同級生にコスプレさせて異世界をスローライフします

春風

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第41話 ~彩音の心模様~

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第41話 ~彩音の心模様~




その夜はなかなか寝付けなかった。

ベッドに横たわりながら天井を見つめる。思い浮かぶのは今日の出来事ばかり。アッシュ様との会話、そして海斗との会話……。

「うーん……」

枕に顔を埋めて考える。アッシュ様の求婚を断るか受け入れるか。普通ならすぐ決められるはずなのに、心が揺れ動く理由がある。

「海斗……」

小さな声で彼の名前を呼ぶ。そう、すべての元凶はこの気持ちにある。海斗が好きだからこそ今の状況が複雑なのだ。

「本当はアッシュ様なんて全然興味ないのに……」

本音を漏らしながら苦笑いする。でもあの時
「カッコよかったよね?」
と冗談めかして言った時、海斗はどう思ったのだろう?嫉妬してくれた?それともただの世間話だと思われた?

「絶対後者だよね……」

溜息をつく。海斗は昔から感情を表に出すのが苦手だ。特に恋愛関連は鈍感で有名だった。中学時代にクラスメイトたちがどれだけ彼を意識してアプローチしても気づかないレベルだったらしい。

「もっと積極的にアタックしなきゃダメなのかな?」

独り言を呟きながら考える。でもどうすればいい?告白?それとも態度で示す?どちらもハードルが高い。

「彩音」

突然ドアの向こうから声がした。

「起きてるか?」


「えっ!?」

慌てて跳ね起きる。

「起きてるよ!」


「少し話せないか?」

こんな深夜に海斗が訪ねてくるなんて珍しい。緊張で鼓動が高鳴る。

「もちろん!どうぞ!」

深呼吸して気持ちを落ち着ける。何の用だろう?まさかアッシュ様のこと?それとも……

「突然ごめん」

部屋に入ってきた海斗はいつものクールな表情だ。でも少し疲れているように見える。

「大丈夫だけど……どうしたの?」


「ちょっと確認したいことがあって」

彼が真剣な顔で言う。

「何?」


「アッシュ様のことだ」

予想通りの話題に身構える。どんな質問をされるのだろう?

「アッシュ様の件だけど」

海斗が慎重に言葉を選ぶ。

「本当は困ってるんじゃないかと思って」


「え?」

意外な言葉に驚く。彼は心配してくれていたのか。

「無理に答える必要はないぞ?」

優しい声に胸が締め付けられる。こんな時に限って彼の優しさが刺さる。

「ううん、大丈夫」

精一杯平静を装う。

「ただ……ちょっと混乱してるだけで……」


「当然だよ」

海斗が静かに頷く。

「突然のことで戸惑うのは当たり前だ」


「そうだね……」


「それでどうするつもりだ?」

核心を突く質問に息を呑む。本当は正直に
「断りたい」
と言いたい。でも海斗の前でそれを言うのは違う気がした。

「まだ考えてる」

曖昧に答えるしかない。

「そうか」

彼は納得したように頷いた。

「無理しないで」


「うん」

短い会話を終えて彼が立ち上がる。

「遅くまで悪かった」
「こちらこそ……」

彼が部屋を出ていくのを見送る。扉が閉まった瞬間、思わず枕を投げつけたくなった。

「なんでよ……」

涙が出そうになるのを必死で堪える。

「普通さ……好きって言ってる娘が他の男から求婚されたら不安にならない?」

独り言を続けながら枕を抱きしめる。

「まさか私がアッシュ様に取られる心配なんてしてないってこと?」

最悪な結論に辿り着いてしまう。やっぱり私なんか眼中にないのかな?それとも単純に友達として心配してるだけ?

「もうやだ……」

ベッドに倒れ込む。こんな感情の起伏に翻弄される毎日が嫌だ。

「明日こそはっきりさせよう」

心に決める。もう遠回しなアプローチはやめよう。直接海斗に聞くしかない。

「好きかどうか聞くのは怖いけど……」

でもこのままでは前に進めない気がする。アッシュ様のことも決断しなければならない。海斗への想いも確かめたい。

「よし!」

拳を握りしめる。明日こそ真実を知ろう。たとえ傷つく結果になろうとも。

---
翌朝。

「おはよう」

リビングに行くと海斗が朝食の準備をしていた。

「おはよう」

彼の挨拶がいつもよりぎこちなく感じる。昨夜の会話のせいだろうか?

「朝ごはん作ってるの?」


「ああ」

簡単な返事。会話が続かない。

「マフユは?」


「狩りに行った」


「そう……」

テーブルにつきながらタイミングを計る。今か?でも重すぎない?

「彩音」

不意に海斗が口を開いた。

「アッシュ様の件だけど」

またこの話題か。

「少し進展があった」


「何?」

思わず身を乗り出す。

「彼から返事の期限を延ばす提案があった」


「え?」

意外な展開に戸惑う。

「まだ考える時間が欲しいと伝えたんだ」


「勝手に決めちゃったの?」

責めるつもりはなかったのに少し強い口調になってしまう。

「悪かった。相談すべきだったな」

彼が反省した表情になる。

「でも昨日の様子を見てたら急いで決めることはないと判断した」


「そう……」

複雑な心境になる。確かに急ぐ必要はないけれど勝手に動かれると不安になる。

「それで海斗はどう思ってるの?」

つい聞いてしまった。自分の気持ちを確かめたくて。

「どうって?」


「アッシュ様の求婚について」

彼は少し考えてから答えた。

「彩音が幸せならそれが一番だと思ってる」


「それだけ?」

思わず聞き返す。もっと嫉妬とか心配とか言ってほしかった。

「他に何かあるのか?」

海斗の問いに言葉を失う。本当は

「嫌だ」

とか

「行かないでくれ」

とか言ってほしかったのに。それとも私の願望が強すぎるだけ?

「ううん、何でもない」

誤魔化すしかなかった。

「変な質問してごめんね」

立ち上がって席を離れる。

「彩音?」

海斗の呼びかけに答えず部屋に戻る。これ以上一緒にいると泣き出してしまいそうだった。

「バカ……」

扉を閉めてから小さく呟く。海斗は私の気持ちに気づいていない。きっと私は友達止まりなのだろう。

「でも諦めないから」

涙を拭いながら決意を新たにする。もっと積極的にアタックしよう。もう遠慮はしない。

「まずはアッシュ様との件を解決しないとね」

深呼吸して気持ちを切り替える。恋愛関係は難しいけれど前に進むしかない。

「よし!今日は攻めるぞ!」

鏡に向かって自分に宣言する。これまでの遠慮がちな態度は終わり。これからは自分の気持ちに素直になる。

「海斗……待っててね」

小さな声で呟きながら新たな一日を迎える決意をする。今日こそはっきりさせよう。私の気持ちと彼の気持ちを。

 
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