クラフト生活をしながら同級生にコスプレさせて異世界をスローライフします

春風

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第59話 ~マフユの選択~

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第59話 ~マフユの選択~




白狼族の男の登場に、空気が凍りついた。森から現れた彼は明らかにマフユと同族だった。

「姫様」

その呼びかけにマフユが目を見開く。彼女の白い毛並みが逆立ち、警戒の姿勢を取った。

「何故ここにいる……」

マフユの声が震えている。普段の冷静さが消え、動揺が露わになっていた。

「探しておりました。里に戻っていただかなければなりません」

男の言葉にマフユが唇を噛む。明らかに動揺している—普段の彼女からは想像もつかないほど。

「どうしたんだマフユ?」
「彼は一体何者なんだ?」

俺の問いかけにマフユが振り返る。その瞳には困惑と恐怖が宿っていた。

「黙れ!」

男の怒号が響き渡る。その声には威圧感があり、思わず身を竦ませるほどだった。

「姫様に対する無礼は許さん!」

男の殺気立った様子に息を呑む。マフユが庇うように前に出た。

「落ち着け……」

彼女の言葉に男が深呼吸する。しかし殺気は収まらない。

「黒瀬海斗……貴様のせいで里は混乱している」

唐突な非難に眉をひそめる。全く身に覚えがない。

「どういう意味だ?」

俺の問いかけに男が嘲笑う。

「貴様が姫様を唆したからだ!」

その言葉にマフユが激昂した。

「違う!私は自分の意思で—」

しかし男の視線がマフユに注がれると彼女は言葉を飲み込んだ。明らかに怯えている—そんな彼女は初めて見た。

「姫様……お分かりのはずでしょう?」

男の声音が変わる。懇願するような口調になった。

「何者かに襲撃されたと偽って逃げ出した……それが何を意味するか」

その言葉にマフユの表情が曇る。嘘が暴かれた—そんな顔だった。

「嘘……?」

彩音が震える声で呟く。マフユが追放されたというのは嘘だったのか?

「そうだ!」

男が大声で肯定する。

「姫様は道中何者かに襲われたわけでも追放された訳でもない!我らを欺いて逃げ出したのだ!」

その告白に周囲が騒然となる。村人たちも集まってきていた。

「マフユ……本当なのか?」

俺の問いかけにマフユが俯く。尻尾が力なく垂れ下がっていた。

「……事実だ」

その小さな声に胸が締め付けられる。いつもの強気な彼女はどこにもいなかった。

「では選んでいただきましょう」

男が勝ち誇ったように言う。

「白狼族の里へ帰るか」


「あるいは……」

男の視線が冷たく光る。

「匿った人間どもを排除するか」

その残酷な選択肢に場が凍りついた。マフユの顔から血の気が引いていく。

「何故そんな二択しかない!」

思わず叫ぶと男が鼻で笑った。

「貴様らの存在は重大な問題なのだ」

男の言葉に彩音が前に出る。

「どういう意味よ!」

しかし男は取り合わない。

「白狼族の掟は絶対だ。姫様には選んでもらわねばならない」

その言葉にマフユが頭を抱える。彼女の小さな唸り声が聞こえた。

「マフユ……」

彩音が心配そうに彼女を見つめる。普段はクールなマフユがこんなにも苦しんでいるなんて—。

「時間がない」

男が冷酷に告げる。

「一刻も早く決断していただこう」

その言葉にマフユが顔を上げる。彼女の瞳には涙が浮かんでいた。

「そんな……」

弱々しい声に胸が痛む。一体彼女はどうすればいいんだ?

「里へ帰れば貴様らの命は保証しよう」

男の言葉に嫌悪感を覚える。まるでマフユの心情など考慮していないようだった。

「しかし拒否すれば……」

男の視線が俺たちに注がれる。

「全員排除する」

その殺気に思わず後退る。本気だ—この男は本当にやるつもりだ。

「マフユ……」

彩音の声が震えている。彼女も理解しているのだろう—これがどれほど重大な決断かを。

「貴様らに選択権はない」

男が冷たく言い放つ。

「姫様の意志次第だ」

その言葉にマフユが両手を握りしめる。彼女の白い毛並みが微かに震えていた。

「マフユ……」

声をかけると彼女がゆっくりと顔を上げる。その瞳には決意の色が宿っていた。

「私は……」

彼女の小さな声に耳を澄ます。どんな答えが出るのか—場の全員が固唾を飲んで見守っていた。

「私は……」

マフユの尻尾がピクリと動く。彼女の爪が地面を引っ掻く音が響いた。

「私は……」

その言葉の続きを待ちながら思う—果たして彼女はどちらを選ぶのだろう?そしてその選択はどんな結果を招くのだろうか?
この静寂の中で、俺たちの運命が決まろうとしていた。
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