[R18]空き缶太郎のBL短編集 1冊目

空き缶太郎

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僕の褐色むちむち踊り子/過去作続編/人外ショタ×褐色筋肉執事

3

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王都に到着してから2日。

あれから延々と 『ご褒美』は続き、アレンが解放されたのは王に謁見する30分ほど前だった。


「はぁ…はぁ…♡」
「満足出来た?」
「ひゃ、ひゃい…♡」

白濁でぐちゃぐちゃになったベッドの上。
その逞しい胸板を上下させるアレンは力の入らない体に鞭打ち、何とか体を起こす。

(時刻は…あぁ、急いで支度をしなければ…)

快感の余韻をどうにか押し殺し、程なくして執事としての冷静さを取り戻したアレン。
まずは主人であるノワールの身を清めようとシャワールームを一瞥したが……


ーーパチンッ

「えっ…」


ノワールが指を弾いた瞬間、あれだけ汚れていたベッドが、床が、壁が一瞬にして元の綺麗に整えられたそれへと戻る。

さらに散々抱き潰されたはずのアレンの体は綺麗に戻っただけでなく衣類も完全に復元し、まるで『時間が巻き戻った』かのようでアレンは動くことも出来ずに呆然としていた。

「ふぅ…これでバレないでしょ」
「ノワールさま…お手を煩わせてしまい、申し訳ございません」
「んーん。僕も人間としての振る舞いが分かってきたからね。これぐらいの気遣いは当然さ」

パチリと可愛らしくウインクをすると、ノワールは両手を広げてベッドからぴょんっとジャンプしながら立ち上がる。

そしてそのままくるりと振り返り、外見年齢通りの無邪気な笑顔をアレンに向けた。

「それに…今回の謁見はことだからね。僕一人じゃなくて、2人で謁見しないと」
「え…?」

ノワールだけでなく、アレンも共に王に謁見する

過去の王都訪問でもそのようなことはなく、アレンは思わずきょとんとして目を見開いた。

「わ、私のような者が王に謁見などしてよろしいのですか?」
「当然。だって、僕の大事な執事なんだよ?…たとえ相手が王様でも、好き勝手言わせないから」

この国は代々の王族が未知の人外…ノワールの力を借り、様々なと引き換えに多くの国難を乗り越えてきた。
アレン自身も前王がノワールの力を借りた時に差し出された対価であるため、それはよく理解していた。

そして現王…エルウッド8世も例に漏れず、ノワールの力を借りて現在の地位を保っている。

「ですが…私のような異国の者は…」

と、自らの生まれを理由に断ろうとしたアレンだが……


ーーコンコンコン

『ノワール様。そろそろ謁見のお時間となります』

客間のドアをノックする音とともに、王に使える執事長が声をかける。

「はぁい。…ほら、アレン。行くよ」
「あ、の、ノワールさま。お待ちを…!」

それを好機と見たノワールは、即座にアレンの手を握るとドアを開ける。
そして出迎えの執事長ににこりと微笑んだ。

「王様のとこ、アレンも連れて行っていいでしょ?」
「……はい。王より仰せつかっております」

この国では差別の対象である褐色の肌に執事長はほんの一瞬表情を曇らせる。
が、すぐにいつも通りの人当たりのいい笑みを浮かべると踵を返して2人を先導した。

(……執事長とあろう者が人の従者を見て態度を濁すとはね…後で消そう)

そんな冷たい視線を執事長に向けつつ、ノワールはアレンの手を引きながら王の待つ応接間へと向かう。

そんな小さな少年貴族と異国の執事の姿を、城の者たちは時折不思議そうに見つめていた。

『あの子…半年前にも王に謁見してたよね?もしかして…王のご寵愛を受けてるとか…』
『連れは執事1人だけのようだが…親はいないのだろうか?』

そんなヒソヒソ声が聞こえてきたがノワールは何処吹く風。
しかしその一方でアレンは主人であるノワールに対する侮辱とも取れる物言いにふつふつと怒りを溜め込んでいた。

(ノワール様のことを何も知らないくせに、失礼な…)
「アレン?」
「!あ…いえ、申し訳ございません」

軽く咳払いをして眉間に寄ったシワを戻すと改めてノワールと共に廊下を歩く。

そして数分足らずで応接間の扉の前に到着すると、執事長は深くお辞儀をしてからドアをノックした。

ーーコンコンコン

「…失礼致します。ノワール様をお連れ致しました」
『うむ』

応接間から聞こえたのは意外にも歳若い男の声。

執事長がドアを開ければ、そこには豪華なソファに腰掛けた金髪の若い男性…現王・エルウッド8世がいた。

「お久しぶりです。王様」
「うむ。息災か?」
「ええ。…王様のお力添えのお陰で」

そんなことは微塵も思ってなかったが、社交辞令として簡単に挨拶をしてからアレンと共に応接間に入るノワール。

そして執事長が静かにドアを閉めると……その天使のような笑顔は一瞬にして消え失せてしまい、代わりに氷のような冷たい表情へと変わり果てた。


「それで?1人じゃなぁんにも出来ないは、僕みたいなバケモノに今度は何をお望みで?」
「っ…」

決して笑ってはいない冷たい視線に、若き王は一瞬たじろぐも意を決して口を開く。

「そ、そこまで…苦労をかけるつもりは無い。手紙にも書いたが…人を、1人消すだけだ」
「またその系統かぁ…ま、一瞬で終わるから別にいいんだけど…」

依頼内容にガッカリした様子のノワール。
王と向かいのソファに腰掛けると、アレンに手招きをして隣に座らせる。

「相手の名前、あと殺し方のリクエストは?」
「名前はマリアンヌ。王妃に仕えるメイドの女だ。…殺し方は…出来れば、怪しまれぬような方法で」
「はいはい」

詳しい理由も聞かず、ノワールは『パチンッ』と指を弾く。

……すると数秒後、城の何処かから悲鳴のような甲高い声が聞こえてきた。

「っ…!まさか…」
「はい、。…死んだよ、その女」

たった1度。
ノワールが指を軽く弾いただけで1人の命が失われた。

自分が依頼した事とはいえ、目の前で執行されたその未知の力に王は恐怖するように息を飲んだ。

「さ、流石だな…いつもながら、感服する」
「お世辞は要らないよ。…それで、今回の『対価』だけど……」

ようやく本題に入り、ノワールは最初の…天使のような可愛らしい笑顔を見せる。
そして隣に座るアレンの腰を抱き……



「うちの執事用のドスケベ衣装おようふく数着をオーダーメイドで。…それと、そのを用意して欲しいんだ♡」





…………………………………………


人外であるノワールの底知れない感を見せるパートでした。

可哀想な犠牲者
メイドのマリアンヌ
王妃に仕えていたが、スパイ疑惑がかけられていた。
 メイドのお仕事中にで死亡。
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