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第二章
第十三話
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もうどのぐらい進んだだろう、と思った頃に引き戸の自動扉にぶつかった。扉の前で立ち止まる。扉の表面も真っ白でなにも書かれていない。入ってきてからここまでサインもマークも文字も一切なかった。なに一つ情報がない。扉の前に立っていると小さく電子音が鳴り、コンプレッサが圧縮空気を吐き出すような音がして扉が開いた。開いた扉の向こうには高さ一メートルぐらいの円筒型のロボットが立っていた。ぼくは思わずアリアの手を強く握った。
「オマチシテオリマシタ。コチラヘドウゾ」
ロボットは大昔のSF映画のロボットみたいな声でそう言うと180度向きを変えて滑り出した。扉の中はひらけた空間になっていて、薄暗くて壁は見えないけれどかなり広い場所だということは空気の感じでわかった。
「マモナクシュッパツイタシマス。スグニゴジョウセンクダサイ」
ロボットはぼくらを導いて走りながら言った。
「乗船? 船に乗るの?」
「まさか。ここほっかいどうのど真ん中だよ。海なんかないよ」
ロボットは暗がりを進み、ぼくらは少し早歩きでその背中を追った。闇の中に光の粒がたくさん瞬いているのが見えてきた。星空に向かって飛んでいるみたいだった。
「きれいだね。なんだろう」
近づくにつれて次第に姿が見えてくる。ドラッグレースの車みたいなものが地面から斜めに突き出ているのが見えた。ここが桟橋だとすれば船があるべき場所にあるのはその地面から突き立った建造物だ。近づいていくと様々な形のロボットがその周りで動き回っているのが見えた。
「あれはもしかしてロケット?」
ぼくは自分で口にしている言葉を自分で信じられなかった。
「ロケットだとしたらそれに乗ることは乗船って言う?」
アリアが聞く。
「宇宙船なら船だからね。でも宇宙船に乗ったことはないしな。あれ宇宙船?」
アリアもぼくもそんな質問に答えられるはずがないことはわかっていたけれど、お互いになにか聞かずにはいられなかった。
「ここは無人でこんな規模のものを維持してるのかな?」
「見たところロボットたちもそんなに高度なタイプじゃなさそうよね。これで人がいなくてあれを飛ばすの? あたしたちそれに乗るの?」
「わからないけど、それ以外ない感じだよ」
二人の不安をよそに、案内してくれているロボットは軽快にそのロケットらしきものへ近づいていく。近づいてみるとぼくらがいる場所から下にも空間があって、ロケットはそこに立っていた。見えていた部分は10メートルぐらいだったけれど、さらに10メートルぐらいの長さが下に隠れていた。下の部分には翼のようなものが四枚出ていて、そこまで含めるとロケットと飛行機の中間ぐらいの形に見えた。丸みを帯びた流線形で、表面は黒っぽく鈍い光沢を放っている。翼の生えたウナギといった趣だった。
ウナギの前へ続く通路に入る手前でロボットが停止した。
「ゴジョウセンノマエニ、トイレヲオスマセクダサイ。トイレハゼンポウニゴザイマス」
ぼくはアリアと顔を見合わせた。
「ヨロシケレバ、ウワギハオアズカリイタシマス」
ぼくらはお互いの姿を見た。ぼくのコートもアリアのジャンパーも、土ぼこりにまみれてぼろぼろに汚れていた。
「だいぶひどいことになってるね」
笑い合いながら上着を脱いでロボットに渡した。アリアのパーカーが暗がりの中に彩を放った。
ぼくとアリアはロボットに教えられたトイレへ向かった。トイレもロボットがメンテナンスをしているからか、手入れが行き届いていてきれいだった。トイレというのは明らかに人のための設備で、ロボットには必要ないはずだ。トイレがあるということはここはやはり人が使うことを想定された場所なのだ。手入れが行き届きすぎていていつから使われていないのか想像することもできなかった。
用を済ませて戻ってくるとガイドのロボットは律儀に待っていた。二人がそろうと再び動き始めた。通路は桟橋のようになっていてウナギを囲うように張り巡らされている。ウナギの後頭部あたりにハッチが開いていて、ぼくらはそこへ案内された。
「ドウゾ、ゴジョウセンクダサイ。ジュンビガデキシダイシュッパツイタシマス」
そう言い残すとロボットはどこかへ去って行った。ぼくとアリアは顔を見合わせてからハッチを見上げた。ハッチはぼくらが立っている場所から少し上ったところにあって、そこへ行くための足場が用意されていた。ぼくはもう一度アリアの顔を見てから足場に上った。開いているハッチから覗き込むと、そこには椅子が思ったのとは違う向きについていた。椅子は三つ並んでウナギの背中側を向いていた。アリアも上がってきて一緒に覗き込む。
「こういう向きなの?」
「そうみたい」
覗き込んでいるとハッチの内側から女性の声がした。
「ようこそおこしくださいました。お待ちしておりました。このシャトルは三人席が四つ、全部で十二名を同時に、安全に運ぶことができます。お座りになったら座面に深く腰かけ、背もたれにしっかりと背中をつけてそのままお待ちください。シートベルトはお客様の体に合わせて自動的に調整されます」
ぼくは思い切ってハッチの中へ踏み込んだ。踏み込んだところが斜めになっていてバランスを取りにくかったけれど、観覧車よりは乗りやすかった。ぼくは奥の席に座り、後から乗り込んだアリアに手を差し出した。アリアはぼくの手を取って真ん中の席に座る。二人が座って姿勢を整えるとハッチが閉まり始めた。少し遅れてベルトが締まる。肩、胸、腰、腿、脛をそれぞれ固定するようなベルトで、椅子に括りつけられたような感じがした。
「このままなの? 宇宙服とかヘルメットとかいらないのかな」
「ほんとだ。ぼくら普通の服のままだけどこれでいいのかな」
「たしかにこの椅子は宇宙服着て座る大きさではないような気がするけど。ね、この服装のまま宇宙まで飛んでいくとしたらどんな科学が必要? あのハッチでいける?」
アリアが今まさに閉まりつつあるハッチを見ながら聞いた。
「どうだろう。ぼくの常識で言えば無理そうな気がする。でもぼくの常識はとっくに通用しなくなってるような気もする」
ぼくが答えるとアリアはぼくの方を向いて笑った。ハッチと本体の隙間がどんどん狭くなり、アリアの笑顔が闇に塗られていく。やがて複雑な機械音がしてハッチが完全に閉じ、室内は真っ暗になった。
ぼくが「なにも見えないね」と言うとアリアは「うん」と答えた。機械音や電子音がいくつも聞こえてくる。
「今アナウンスが、これはシャトルだって言ってたよね。シャトルなんだ。このシャトルがシオンのゲイトなんだよ、きっと」
ぼくは暗がりに向かって言った。
「どういう意味?」
暗がりからアリアが聞き返す。
「シャトルっていうのはだいたい往復するものを指す言葉なんだ。つまりこのロケットは行きっぱなしじゃなくて行き来するわけ。こんなもので行き来する場所ってどこだと思う?」
「え? もしかして、軌道ステーション?」
「うん。それ以外ないと思う」
「うそ、軌道ステーションってほんとうにあるの?」
「正直ぼくも半信半疑だったよ。そんなものあるのかよ、って。見上げればたしかに残月みたいに見えてはいたけどね」
ポン、とひときわ大きな電子音が室内で鳴った。
「お待たせいたしました。当機はまもなく出発いたします。当機は離陸後およそ十四時間ほど飛行して軌道を周回中のオービタルステーションとドッキングします。それまで快適な旅をお楽しみください」
アナウンスが終わるとふわりと目の前の壁がなくなった、ように見えた。室内が全部モニターのようになっていて外の景色が映し出されている。
「すごい」
二人はほとんど同時にそう言って顔を合わせた。モニタが点灯したことでお互いの顔も見えるようになった。
「オービタルステーションって言ったね。今のアナウンス」
アリアが言った。
「うん。やっぱり軌道ステーションに行くんだ」
シャトルを囲うようにあった通路が離れていく。ぼくらはウナギの背中を向いて坐っていて、翼のついているほうが足元側に見えている。
「このまま飛んだらものすごく怖いかもね」
アリアはそんなことを言いながら楽しそうに笑った。
通路が取り除かれてシャトルの全体がよく見えるようになった。機械音が次第に大きくなり、全身が轟音に飲み込まれた。足元でシャトルの下の方が光り、一瞬で視界が真っ白になった。猛烈な重力がかかって血が全部足元へ押し寄せたような気がした。アリアのことが心配だったけれどそちらを向く余裕はなく、ぼくはそのまま気を失った。
「オマチシテオリマシタ。コチラヘドウゾ」
ロボットは大昔のSF映画のロボットみたいな声でそう言うと180度向きを変えて滑り出した。扉の中はひらけた空間になっていて、薄暗くて壁は見えないけれどかなり広い場所だということは空気の感じでわかった。
「マモナクシュッパツイタシマス。スグニゴジョウセンクダサイ」
ロボットはぼくらを導いて走りながら言った。
「乗船? 船に乗るの?」
「まさか。ここほっかいどうのど真ん中だよ。海なんかないよ」
ロボットは暗がりを進み、ぼくらは少し早歩きでその背中を追った。闇の中に光の粒がたくさん瞬いているのが見えてきた。星空に向かって飛んでいるみたいだった。
「きれいだね。なんだろう」
近づくにつれて次第に姿が見えてくる。ドラッグレースの車みたいなものが地面から斜めに突き出ているのが見えた。ここが桟橋だとすれば船があるべき場所にあるのはその地面から突き立った建造物だ。近づいていくと様々な形のロボットがその周りで動き回っているのが見えた。
「あれはもしかしてロケット?」
ぼくは自分で口にしている言葉を自分で信じられなかった。
「ロケットだとしたらそれに乗ることは乗船って言う?」
アリアが聞く。
「宇宙船なら船だからね。でも宇宙船に乗ったことはないしな。あれ宇宙船?」
アリアもぼくもそんな質問に答えられるはずがないことはわかっていたけれど、お互いになにか聞かずにはいられなかった。
「ここは無人でこんな規模のものを維持してるのかな?」
「見たところロボットたちもそんなに高度なタイプじゃなさそうよね。これで人がいなくてあれを飛ばすの? あたしたちそれに乗るの?」
「わからないけど、それ以外ない感じだよ」
二人の不安をよそに、案内してくれているロボットは軽快にそのロケットらしきものへ近づいていく。近づいてみるとぼくらがいる場所から下にも空間があって、ロケットはそこに立っていた。見えていた部分は10メートルぐらいだったけれど、さらに10メートルぐらいの長さが下に隠れていた。下の部分には翼のようなものが四枚出ていて、そこまで含めるとロケットと飛行機の中間ぐらいの形に見えた。丸みを帯びた流線形で、表面は黒っぽく鈍い光沢を放っている。翼の生えたウナギといった趣だった。
ウナギの前へ続く通路に入る手前でロボットが停止した。
「ゴジョウセンノマエニ、トイレヲオスマセクダサイ。トイレハゼンポウニゴザイマス」
ぼくはアリアと顔を見合わせた。
「ヨロシケレバ、ウワギハオアズカリイタシマス」
ぼくらはお互いの姿を見た。ぼくのコートもアリアのジャンパーも、土ぼこりにまみれてぼろぼろに汚れていた。
「だいぶひどいことになってるね」
笑い合いながら上着を脱いでロボットに渡した。アリアのパーカーが暗がりの中に彩を放った。
ぼくとアリアはロボットに教えられたトイレへ向かった。トイレもロボットがメンテナンスをしているからか、手入れが行き届いていてきれいだった。トイレというのは明らかに人のための設備で、ロボットには必要ないはずだ。トイレがあるということはここはやはり人が使うことを想定された場所なのだ。手入れが行き届きすぎていていつから使われていないのか想像することもできなかった。
用を済ませて戻ってくるとガイドのロボットは律儀に待っていた。二人がそろうと再び動き始めた。通路は桟橋のようになっていてウナギを囲うように張り巡らされている。ウナギの後頭部あたりにハッチが開いていて、ぼくらはそこへ案内された。
「ドウゾ、ゴジョウセンクダサイ。ジュンビガデキシダイシュッパツイタシマス」
そう言い残すとロボットはどこかへ去って行った。ぼくとアリアは顔を見合わせてからハッチを見上げた。ハッチはぼくらが立っている場所から少し上ったところにあって、そこへ行くための足場が用意されていた。ぼくはもう一度アリアの顔を見てから足場に上った。開いているハッチから覗き込むと、そこには椅子が思ったのとは違う向きについていた。椅子は三つ並んでウナギの背中側を向いていた。アリアも上がってきて一緒に覗き込む。
「こういう向きなの?」
「そうみたい」
覗き込んでいるとハッチの内側から女性の声がした。
「ようこそおこしくださいました。お待ちしておりました。このシャトルは三人席が四つ、全部で十二名を同時に、安全に運ぶことができます。お座りになったら座面に深く腰かけ、背もたれにしっかりと背中をつけてそのままお待ちください。シートベルトはお客様の体に合わせて自動的に調整されます」
ぼくは思い切ってハッチの中へ踏み込んだ。踏み込んだところが斜めになっていてバランスを取りにくかったけれど、観覧車よりは乗りやすかった。ぼくは奥の席に座り、後から乗り込んだアリアに手を差し出した。アリアはぼくの手を取って真ん中の席に座る。二人が座って姿勢を整えるとハッチが閉まり始めた。少し遅れてベルトが締まる。肩、胸、腰、腿、脛をそれぞれ固定するようなベルトで、椅子に括りつけられたような感じがした。
「このままなの? 宇宙服とかヘルメットとかいらないのかな」
「ほんとだ。ぼくら普通の服のままだけどこれでいいのかな」
「たしかにこの椅子は宇宙服着て座る大きさではないような気がするけど。ね、この服装のまま宇宙まで飛んでいくとしたらどんな科学が必要? あのハッチでいける?」
アリアが今まさに閉まりつつあるハッチを見ながら聞いた。
「どうだろう。ぼくの常識で言えば無理そうな気がする。でもぼくの常識はとっくに通用しなくなってるような気もする」
ぼくが答えるとアリアはぼくの方を向いて笑った。ハッチと本体の隙間がどんどん狭くなり、アリアの笑顔が闇に塗られていく。やがて複雑な機械音がしてハッチが完全に閉じ、室内は真っ暗になった。
ぼくが「なにも見えないね」と言うとアリアは「うん」と答えた。機械音や電子音がいくつも聞こえてくる。
「今アナウンスが、これはシャトルだって言ってたよね。シャトルなんだ。このシャトルがシオンのゲイトなんだよ、きっと」
ぼくは暗がりに向かって言った。
「どういう意味?」
暗がりからアリアが聞き返す。
「シャトルっていうのはだいたい往復するものを指す言葉なんだ。つまりこのロケットは行きっぱなしじゃなくて行き来するわけ。こんなもので行き来する場所ってどこだと思う?」
「え? もしかして、軌道ステーション?」
「うん。それ以外ないと思う」
「うそ、軌道ステーションってほんとうにあるの?」
「正直ぼくも半信半疑だったよ。そんなものあるのかよ、って。見上げればたしかに残月みたいに見えてはいたけどね」
ポン、とひときわ大きな電子音が室内で鳴った。
「お待たせいたしました。当機はまもなく出発いたします。当機は離陸後およそ十四時間ほど飛行して軌道を周回中のオービタルステーションとドッキングします。それまで快適な旅をお楽しみください」
アナウンスが終わるとふわりと目の前の壁がなくなった、ように見えた。室内が全部モニターのようになっていて外の景色が映し出されている。
「すごい」
二人はほとんど同時にそう言って顔を合わせた。モニタが点灯したことでお互いの顔も見えるようになった。
「オービタルステーションって言ったね。今のアナウンス」
アリアが言った。
「うん。やっぱり軌道ステーションに行くんだ」
シャトルを囲うようにあった通路が離れていく。ぼくらはウナギの背中を向いて坐っていて、翼のついているほうが足元側に見えている。
「このまま飛んだらものすごく怖いかもね」
アリアはそんなことを言いながら楽しそうに笑った。
通路が取り除かれてシャトルの全体がよく見えるようになった。機械音が次第に大きくなり、全身が轟音に飲み込まれた。足元でシャトルの下の方が光り、一瞬で視界が真っ白になった。猛烈な重力がかかって血が全部足元へ押し寄せたような気がした。アリアのことが心配だったけれどそちらを向く余裕はなく、ぼくはそのまま気を失った。
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