フリー朗読台本

誰かを傷つけるためのもの。

誰にも拾ってもらえずに、ただそこにあり続ける言葉たちを。
すべてかき集めることができたなら、誰かは泣かずに済んだだろうか。
誰かに言葉を使ったことを、後悔したりしないだろうか。
誰かのために使った言葉が、誰かを貶す言葉へと変わっても。
私は、自分を愛することができるだろうか。
そんな醜い言葉を使う自分を、嫌いになったりしないだろうか。
自分を愛するための言葉を、ちゃんと使えているのだろうか。

感情に任せて並べた言葉は、ただのゴミでしかない。
それをわかっていても尚、人は感情に任せた言葉を、人様の前に晒してしまう。
自分がどう見えているかなんて気にせずに。
誰かを傷つけるための言葉を、誰かを否定するための言葉を、平気で使ってしまうんだ。
それほどまでに感情と言うものは厄介で、人の理性をいとも容易く奪ってしまう。
これは、人として生まれた私たちの宿命なのかもしれない。

この世に生を受けたのは、誰かを傷つけるためなのだと。
そう思うことができたなら。
私は今日を、生きやすくなるかもしれない。
だって、誰かを傷つけてしまうのは当たり前のことなのだから。