フリー朗読台本

私の想いを受け取ってください。

※こちらは、ご依頼作品となります。
ですので、他者がこれを朗読するのを禁じ、閲覧のみとさせていただきます。

そこにはいつも誰かがいて。
言葉を交わせるこの時を、大事にしたいと思うほど。
誰かを遠くに感じてしまう。
自分はひとりぼっちなんだって、誰も教えてはくれないから。
自分でそう思うことしかできなくて。
心が苦しいと叫んでも、私には、この孤独をどかすことなんてできなかった。

誰かの心にいたくても、私は誰かの誰かじゃない。
だから、私が今更医者になったところで、誰も求めてはくれないだろう。
それが分かっているから、私は医者になることを諦めて、普通の人でいようとした。
「私を見て」とは言わないから。
私のこの想いだけは、どうか受け取って欲しいと願いながら。
この声に、想いと言葉を溶かしていた。
たとえそれが、どんなに拙い言葉でも。
誰かの心に届くなら、私はきっと「想いを伝えてよかった」と、心から笑えるはずだから。

想いがここにあるのなら。
私は、これを忘れてしまう前に、誰かの心に届けたい。
もう、想いで泣くのは嫌だから。