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ずっと君に恋してる
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その人の話をするとき、花野井先輩はいつも悲しそうだ。
思いを告げても振り向かない彼を好きだという彼女は、それに気づいていないのだろうか。
苦しい恋なんてやめてしまえばいいのに。本当に苦しい恋ならば。
しゃれた看板のぶら下がる、黒塗りの扉を開ける。
「いらっしゃいませ」
落ち着いた渋い声に迎えられ、薄暗い店内を進み、ソファー席へ座る。
「昨日と同じものを」
「かしこまりました」
年の頃は50代だろうか。白髪混じりのマスターは、すぐにカクテルを作り始める。
しばらくすると、店内に客が現れた。
背の高い、ひどく整った顔をした若い男だ。
マスターは「いらっしゃい」と、気安く男に声をかける。
「おすすめで」
男はそう言うと、俺の後ろのカウンターに腰かけた。
「お待たせしました。ブランデーホーセズネックでございます」
マスターが、らせんに剥かれたレモンの沈むカクテルを運んでくる。
昨日も飲んだ。
その前の日も。
マスターの記憶に残るように、いつも同じカクテルを注文した。
マスターの作るカクテルはとても美味しい。だけど、飲むのは今日で最後になるだろう。
「ありがとう。やっと会えた」
そう言うと、マスターは目を細めて一礼し、立ち去る。
ソファーにもたれ、グラスを傾けると同時に、後ろから低い男の声が聞こえてくる。
「やっぱりダメだったよ」
「意外と、臆病ですね」
「意外とは余分だよ。臆病だったことは、知ってるでしょう」
「言われてみれば、そうかもしれません」
マスターと男が同時に、静かに笑う。
「何度もダメだって言ったんだけどね。それなのに、好きだって言ってくれるんだよ。おかしいよね」
「理屈じゃないのでしょう」
「そうだね。わかるよ」
「高輪さんも、同じ気持ちなのでしょう」
男は少し沈黙する。そして、小さな息を吐き出す。
「どうだろうね」
俺は振り返る。
憂えた男の横顔は、何度見ても綺麗に整っている。男でさえ惚れてしまいそうなほどのイケメンだ。
憎らしいまでに美しい男の背中に、声をかけずにはいられなかった。
「そうやって、ずっとはぐらかして来たんですか」
その人の話をするとき、花野井先輩はいつも悲しそうだ。
思いを告げても振り向かない彼を好きだという彼女は、それに気づいていないのだろうか。
苦しい恋なんてやめてしまえばいいのに。本当に苦しい恋ならば。
しゃれた看板のぶら下がる、黒塗りの扉を開ける。
「いらっしゃいませ」
落ち着いた渋い声に迎えられ、薄暗い店内を進み、ソファー席へ座る。
「昨日と同じものを」
「かしこまりました」
年の頃は50代だろうか。白髪混じりのマスターは、すぐにカクテルを作り始める。
しばらくすると、店内に客が現れた。
背の高い、ひどく整った顔をした若い男だ。
マスターは「いらっしゃい」と、気安く男に声をかける。
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男はそう言うと、俺の後ろのカウンターに腰かけた。
「お待たせしました。ブランデーホーセズネックでございます」
マスターが、らせんに剥かれたレモンの沈むカクテルを運んでくる。
昨日も飲んだ。
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マスターの記憶に残るように、いつも同じカクテルを注文した。
マスターの作るカクテルはとても美味しい。だけど、飲むのは今日で最後になるだろう。
「ありがとう。やっと会えた」
そう言うと、マスターは目を細めて一礼し、立ち去る。
ソファーにもたれ、グラスを傾けると同時に、後ろから低い男の声が聞こえてくる。
「やっぱりダメだったよ」
「意外と、臆病ですね」
「意外とは余分だよ。臆病だったことは、知ってるでしょう」
「言われてみれば、そうかもしれません」
マスターと男が同時に、静かに笑う。
「何度もダメだって言ったんだけどね。それなのに、好きだって言ってくれるんだよ。おかしいよね」
「理屈じゃないのでしょう」
「そうだね。わかるよ」
「高輪さんも、同じ気持ちなのでしょう」
男は少し沈黙する。そして、小さな息を吐き出す。
「どうだろうね」
俺は振り返る。
憂えた男の横顔は、何度見ても綺麗に整っている。男でさえ惚れてしまいそうなほどのイケメンだ。
憎らしいまでに美しい男の背中に、声をかけずにはいられなかった。
「そうやって、ずっとはぐらかして来たんですか」
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