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王都編
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厚い扉の向こうから、かすかに声が聞こえる。何を話しているのかまでは当然わからない。しかし、セリオスの王位継承権の復活、バルターの処罰など、この国の未来を決める重要な会議が行われているだけあって、張り詰めた空気が伝わってくるようだった。
枢密院会議には、さまざまな立場のものが集められている。フロスト宰相をはじめ、レオナの養父であるベネット公爵、エゼル大司祭にドレン元帥。議題の中心人物である王子セリオスと次期国王候補のルカ。さらには、ルカの後見人であるアメリア。そして、亡き国王陛下の正妻であるアリティア王妃。錚々たる面々が、次期国王を決定する会議に参加しているのだ。
レオナは不安な面持ちで、会議室の扉の前に立ち尽くしていた。静かに息を吐く。ただ待つことしかできない自分がもどかしい。セリオスの妻といえども、いまだ正式には認められておらず、枢密院会議への参加も許されていない。
「レオナ妃殿下も気になりますか?」
突然後ろから声をかけられて、振り返ったレオナは驚いた。ダリウス・アストン侯爵が、にこやかな笑顔で立っている。
「どうしてこちらに?」
「陛下の遺言を不服とする王妃が、セリオス王子を国王にと望んでいる……。そんなうわさを耳にしたものですから、心配で来てみたのですよ」
「そのようなうわさがあるのですか?」
去年、招かれたパーティーで、レオナを言葉巧みに誘い出し、バルターのもとへ向かわせたのは、ほかならぬダリウスだった。あのときは世間知らずだったが、今は違う。ダリウスが何を言おうともその言葉には裏がある、とレオナは警戒心を強める。今日も何か企みがあって近づいてきたのだろう。
「誰もが次期国王が誰になるのかと、躍起になって調べていますよ」
まるで、調べているのは自分だけではないと言わないばかりだ。遺言通り、ルカが国王になるのは困るから調べているのだろうか。ダリウスの目的がわからなくてレオナが押し黙っていると、会議室の扉が開く。
最初に出てきたのは、格式の高い軍服で大きな体躯を包む男だった。胸もとには、たくさんの勲章をつけている。彼がドレン元帥だろう。
ドレンはこちらに気づくと、強さとしなやかさを備えた威厳のある足取りで歩み寄ってくる。
「レオナ妃殿下でございますね。私はドレン・フォード。元帥を務めております」
「元帥、お会いできて光栄です」
当たり障りのない挨拶を交わしていると、ダリウスが口を挟む。
「ドレンは妃殿下に会うのは初めてで? ではなおさら、ルカ国王を望むのは当然でしたか」
「そのようなうわさは謹んでほしいね、ダリウス」
セリオスの話では、ドレンは侯爵位を持つ元帥だとか。ダリウスとは旧知の仲だろうか。ふたりはやけに親しげに話す。
「うわさではないと思いますがね」
「そういうダリウスは妃殿下と何を話していたのかね?」
「いや、何。妃殿下とは何かとご縁がありましてね。セリオス王子殿下が国王に立つ日を心待ちにする仲なのですよ」
レオナは一瞬、眉をひそめかけたが、かろうじて笑顔を保つ。ダリウスは調子がいい。そもそも、彼の根回しがきっかけでセシェ島で過ごすことになったのだ。ご縁があるなどという軽々しいものではない。しかし、ドレンはそれを知ってか知らぬか、表情を変えずに言う。
「ダリウスはバルター王子殿下を推していたではないか」
「何を言う。そういうドレンも、新国王にはバルター殿下がふさわしいと豪語していたではありませんか」
ダリウスは焦りを隠したが、苦笑いまでは隠せなかったようだ。気まずげに唇を歪める。
「私は国を繁栄へ導く王を望んでいる。状況に応じて、対応を柔軟に変えるは当然。枢密院の一員になりたくて、妃殿下にすり寄る言動は感心しない」
「そうなのですか?」
レオナは驚いて尋ねた。ダリウスは枢密院の一員になりたかったのか。だから、バルターに媚びを売るため、レオナを彼のもとへ向かわせた。だとすれば、彼の言動は腑に落ちる。
「妃殿下、勘違いしないでいただきたい。ドレンの言いがかりですよ。私はセリオス殿下並びにレオナ妃殿下に忠誠を誓っております。他のもののよからぬうわさなど、一切信じませぬよう」
レオナはあきれたが、ドレンとダリウスの内心は理解した。これ以上、ふたりと長話をしても仕方ないだろう。妃殿下としての生活が始まれば、このような会話に巻き込まれるのは日常茶飯事になるのだから慣れなければいけない、と思っていると、廊下に姿を現したセリオスを見つける。
「レオナ、待たせた」
セリオスもこちらに気づいて、すぐに歩み寄ってくる。ドレンとダリウスは素早くあたまをさげると、無言で立ち去った。その姿を見送りながら、セリオスが尋ねてくる。
「何を話していた?」
「大したことは何も」
そう言うと、彼は不満げな顔をしたが、人目を気にしてか、押し黙って歩き出す。
自室へ戻ると、リネアが紅茶を用意して待っていた。ソファーへ腰かけ、疲れた身体を癒すように肩をもむセリオスに、レオナは身を乗り出して尋ねる。
「会議はどうなったのですか?」
興味津々な様子をセリオスはくすりと笑うと、レオナをひざの上に抱き寄せる。
「なかなかに面白い展開であった。バルターは俺と同じく、二年の氷嶺監獄行きだ。俺の時のように世話をする者はいない。つらい生活になるが、頭を冷やすにはじゅうぶんだろう」
セリオスは愉快げに言うが、内心は複雑なのだろう。小さな息をついたあと、気持ちを切り替えるような笑みを見せる。
「それにしても、ルカがよく頑張った」
「ルカ様が何を?」
「枢密院のやつらを前に、国王になる意志はないと言い切った。自身はストークス家にまつわる宿命を受け入れ、伯爵家の繁栄に尽力したいと。それが必ず、エルアルム国の力になるからだと」
「そのようなことを堂々と……」
ほとほと感心してしまう。淡々と……けれど、情熱を持って主張する姿が目に浮かぶようだ。
「アメリアにそう言えと言われたのだとしても、立派であった。近い将来、グレイシアの領主にしておくには惜しい男になるに間違いないが、ルカは争いを好まぬのだろう。王家の面倒ごとは俺がすべて引き受けるとしよう」
「では、セリオス様が王になられるのですか?」
「不服か?」
「いいえ」
レオナはすぐさま、きっぱりと否定する。
「セリオス様ほど、この国の王にふさわしい方はおりません。私は至らないところばかりですが、精一杯お支えいたします」
「なるほど。覚悟だけは立派らしい。せめて、俺に黙ってあちらこちらへ出かけるのはやめてほしいが」
「私がいつ……」
と言いかけて、口をつぐむ。思い当たることばかりで、気恥ずかしく思いながらセリオスを見上げると、つぐんだ唇についばむようなキスをされる。
「もう一つ、朗報がある」
セリオスは紅茶をひと口飲むと、静かに切り出す。
「何かあったのですか?」
「レイヴンから、ノクシスを出たと連絡が来た」
さらりと言うが、レオナはひどく驚き、声をあげた。
「本当ですかっ?」
「今度はモンリス山を越えるなどという無謀なことはしない。着くのはひと月後になるだろうとのことだ」
「本当に本当なのですね」
興奮気味に言うと、セリオスは鼻をぴくりとさせる。
「やけにはしゃぐではないか。おまえは俺よりもレイヴンになつきすぎている」
「そんなことはありません。レイヴンは魔法について教えてくれる先生で、お世話になったのですから当たり前です」
セリオスは鼻白むが、「ああ」と何やら思い出したように言う。
「そのことだが、エゼル大司祭に話を通しておいた。明日から神官たちが一から魔法の使い方を教えてくれるだろう。妃殿下をこの国一番の魔法使いにする気かとあきれられたが、レオナにはよい経験になるだろう」
「明日からですか?」
「戴冠式に結婚式と、しばらく準備で忙しく、レオナをあまりかまってやれないだろう。しかし、それさえ済めば、今度はおまえが魔法どころではなくなるだろう。学べるうちに学んでおくといい」
「魔法どころではないというのは、何かあるのですか?」
レオナが首をかしげると、セリオスがそっとささやくように言う。
「結婚が公になった途端に後継者を望む声は必ずあがるだろう。ステラサンクタは繊細だ。おまえは何も負担に思うことなく、ただただ穏やかに過ごす時間を作ってほしい」
楽園ユーラスで過ごすように、ダムハート宮殿で過ごしてほしい。それはセリオスの願いなのだ。
「では、私からもお願いがあります。私が憩いの場になるように、どんなにお忙しくても、必ずここへ帰ってきてくださいね」
「何をかわいいことを。誓おう。必ず、レオナのいる夜を過ごすと」
【完】
厚い扉の向こうから、かすかに声が聞こえる。何を話しているのかまでは当然わからない。しかし、セリオスの王位継承権の復活、バルターの処罰など、この国の未来を決める重要な会議が行われているだけあって、張り詰めた空気が伝わってくるようだった。
枢密院会議には、さまざまな立場のものが集められている。フロスト宰相をはじめ、レオナの養父であるベネット公爵、エゼル大司祭にドレン元帥。議題の中心人物である王子セリオスと次期国王候補のルカ。さらには、ルカの後見人であるアメリア。そして、亡き国王陛下の正妻であるアリティア王妃。錚々たる面々が、次期国王を決定する会議に参加しているのだ。
レオナは不安な面持ちで、会議室の扉の前に立ち尽くしていた。静かに息を吐く。ただ待つことしかできない自分がもどかしい。セリオスの妻といえども、いまだ正式には認められておらず、枢密院会議への参加も許されていない。
「レオナ妃殿下も気になりますか?」
突然後ろから声をかけられて、振り返ったレオナは驚いた。ダリウス・アストン侯爵が、にこやかな笑顔で立っている。
「どうしてこちらに?」
「陛下の遺言を不服とする王妃が、セリオス王子を国王にと望んでいる……。そんなうわさを耳にしたものですから、心配で来てみたのですよ」
「そのようなうわさがあるのですか?」
去年、招かれたパーティーで、レオナを言葉巧みに誘い出し、バルターのもとへ向かわせたのは、ほかならぬダリウスだった。あのときは世間知らずだったが、今は違う。ダリウスが何を言おうともその言葉には裏がある、とレオナは警戒心を強める。今日も何か企みがあって近づいてきたのだろう。
「誰もが次期国王が誰になるのかと、躍起になって調べていますよ」
まるで、調べているのは自分だけではないと言わないばかりだ。遺言通り、ルカが国王になるのは困るから調べているのだろうか。ダリウスの目的がわからなくてレオナが押し黙っていると、会議室の扉が開く。
最初に出てきたのは、格式の高い軍服で大きな体躯を包む男だった。胸もとには、たくさんの勲章をつけている。彼がドレン元帥だろう。
ドレンはこちらに気づくと、強さとしなやかさを備えた威厳のある足取りで歩み寄ってくる。
「レオナ妃殿下でございますね。私はドレン・フォード。元帥を務めております」
「元帥、お会いできて光栄です」
当たり障りのない挨拶を交わしていると、ダリウスが口を挟む。
「ドレンは妃殿下に会うのは初めてで? ではなおさら、ルカ国王を望むのは当然でしたか」
「そのようなうわさは謹んでほしいね、ダリウス」
セリオスの話では、ドレンは侯爵位を持つ元帥だとか。ダリウスとは旧知の仲だろうか。ふたりはやけに親しげに話す。
「うわさではないと思いますがね」
「そういうダリウスは妃殿下と何を話していたのかね?」
「いや、何。妃殿下とは何かとご縁がありましてね。セリオス王子殿下が国王に立つ日を心待ちにする仲なのですよ」
レオナは一瞬、眉をひそめかけたが、かろうじて笑顔を保つ。ダリウスは調子がいい。そもそも、彼の根回しがきっかけでセシェ島で過ごすことになったのだ。ご縁があるなどという軽々しいものではない。しかし、ドレンはそれを知ってか知らぬか、表情を変えずに言う。
「ダリウスはバルター王子殿下を推していたではないか」
「何を言う。そういうドレンも、新国王にはバルター殿下がふさわしいと豪語していたではありませんか」
ダリウスは焦りを隠したが、苦笑いまでは隠せなかったようだ。気まずげに唇を歪める。
「私は国を繁栄へ導く王を望んでいる。状況に応じて、対応を柔軟に変えるは当然。枢密院の一員になりたくて、妃殿下にすり寄る言動は感心しない」
「そうなのですか?」
レオナは驚いて尋ねた。ダリウスは枢密院の一員になりたかったのか。だから、バルターに媚びを売るため、レオナを彼のもとへ向かわせた。だとすれば、彼の言動は腑に落ちる。
「妃殿下、勘違いしないでいただきたい。ドレンの言いがかりですよ。私はセリオス殿下並びにレオナ妃殿下に忠誠を誓っております。他のもののよからぬうわさなど、一切信じませぬよう」
レオナはあきれたが、ドレンとダリウスの内心は理解した。これ以上、ふたりと長話をしても仕方ないだろう。妃殿下としての生活が始まれば、このような会話に巻き込まれるのは日常茶飯事になるのだから慣れなければいけない、と思っていると、廊下に姿を現したセリオスを見つける。
「レオナ、待たせた」
セリオスもこちらに気づいて、すぐに歩み寄ってくる。ドレンとダリウスは素早くあたまをさげると、無言で立ち去った。その姿を見送りながら、セリオスが尋ねてくる。
「何を話していた?」
「大したことは何も」
そう言うと、彼は不満げな顔をしたが、人目を気にしてか、押し黙って歩き出す。
自室へ戻ると、リネアが紅茶を用意して待っていた。ソファーへ腰かけ、疲れた身体を癒すように肩をもむセリオスに、レオナは身を乗り出して尋ねる。
「会議はどうなったのですか?」
興味津々な様子をセリオスはくすりと笑うと、レオナをひざの上に抱き寄せる。
「なかなかに面白い展開であった。バルターは俺と同じく、二年の氷嶺監獄行きだ。俺の時のように世話をする者はいない。つらい生活になるが、頭を冷やすにはじゅうぶんだろう」
セリオスは愉快げに言うが、内心は複雑なのだろう。小さな息をついたあと、気持ちを切り替えるような笑みを見せる。
「それにしても、ルカがよく頑張った」
「ルカ様が何を?」
「枢密院のやつらを前に、国王になる意志はないと言い切った。自身はストークス家にまつわる宿命を受け入れ、伯爵家の繁栄に尽力したいと。それが必ず、エルアルム国の力になるからだと」
「そのようなことを堂々と……」
ほとほと感心してしまう。淡々と……けれど、情熱を持って主張する姿が目に浮かぶようだ。
「アメリアにそう言えと言われたのだとしても、立派であった。近い将来、グレイシアの領主にしておくには惜しい男になるに間違いないが、ルカは争いを好まぬのだろう。王家の面倒ごとは俺がすべて引き受けるとしよう」
「では、セリオス様が王になられるのですか?」
「不服か?」
「いいえ」
レオナはすぐさま、きっぱりと否定する。
「セリオス様ほど、この国の王にふさわしい方はおりません。私は至らないところばかりですが、精一杯お支えいたします」
「なるほど。覚悟だけは立派らしい。せめて、俺に黙ってあちらこちらへ出かけるのはやめてほしいが」
「私がいつ……」
と言いかけて、口をつぐむ。思い当たることばかりで、気恥ずかしく思いながらセリオスを見上げると、つぐんだ唇についばむようなキスをされる。
「もう一つ、朗報がある」
セリオスは紅茶をひと口飲むと、静かに切り出す。
「何かあったのですか?」
「レイヴンから、ノクシスを出たと連絡が来た」
さらりと言うが、レオナはひどく驚き、声をあげた。
「本当ですかっ?」
「今度はモンリス山を越えるなどという無謀なことはしない。着くのはひと月後になるだろうとのことだ」
「本当に本当なのですね」
興奮気味に言うと、セリオスは鼻をぴくりとさせる。
「やけにはしゃぐではないか。おまえは俺よりもレイヴンになつきすぎている」
「そんなことはありません。レイヴンは魔法について教えてくれる先生で、お世話になったのですから当たり前です」
セリオスは鼻白むが、「ああ」と何やら思い出したように言う。
「そのことだが、エゼル大司祭に話を通しておいた。明日から神官たちが一から魔法の使い方を教えてくれるだろう。妃殿下をこの国一番の魔法使いにする気かとあきれられたが、レオナにはよい経験になるだろう」
「明日からですか?」
「戴冠式に結婚式と、しばらく準備で忙しく、レオナをあまりかまってやれないだろう。しかし、それさえ済めば、今度はおまえが魔法どころではなくなるだろう。学べるうちに学んでおくといい」
「魔法どころではないというのは、何かあるのですか?」
レオナが首をかしげると、セリオスがそっとささやくように言う。
「結婚が公になった途端に後継者を望む声は必ずあがるだろう。ステラサンクタは繊細だ。おまえは何も負担に思うことなく、ただただ穏やかに過ごす時間を作ってほしい」
楽園ユーラスで過ごすように、ダムハート宮殿で過ごしてほしい。それはセリオスの願いなのだ。
「では、私からもお願いがあります。私が憩いの場になるように、どんなにお忙しくても、必ずここへ帰ってきてくださいね」
「何をかわいいことを。誓おう。必ず、レオナのいる夜を過ごすと」
【完】
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