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王都編
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アリティアはベッドで上体を起こし、血色のいい顔に気難しげな表情を浮かべていた。メイドたちは髪をすかしたり、薬を飲ませるなど、甲斐甲斐しく世話をしていたが、セリオスがベッド脇に歩み寄ると、すぐさま身を引いて、部屋を出ていった。
「よくお眠りでしたね、母上」
セリオスが皮肉まじりに言うと、アリティアは物憂げに頭を抱える。
「本当に。長い眠りに落ちていた気分です」
「三年近く眠っていたのです。気のせいではありませんよ」
「三年? 三年と言いましたか?」
アリティアは大きな瞳をさらに大きく見開いて顔をあげると、レオナを見つけてけげんそうにした。
「その娘は?」
セリオスはすぐさまレオナを引き寄せる。
「妻です。あなたが眠っている間に結婚したんですよ」
アリティアは驚いたように息を飲み、レオナをじっと見つめる。その時間は長かった。しばらくのち、口を開く。
「ロデリックの娘ですか」
三年という月日もの間、眠り続けていたとは信じられないが、セリオスとともにいる妻が、明らかに15歳の娘ではないと疑う気持ちが、確信めいて吐き出された。
「お初にお目にかかります、王妃殿下。ロデリック・ベネットの娘、レオナでございます」
レオナがドレスをつまみ、優雅に頭をさげると、アリティアは鋭い目つきのまま、その所作に満足するようにゆっくりうなずく。
少女に回帰したアリティアは、無邪気であり、繊細であったに違いないが、いま、レオナの目の前にいる彼女は、王妃としての風格を持つ一人の女性だった。
「あなたのことはよく存じています。ロデリックはセリオスとの縁談に熱心でしたからね。エイダはいつも、ステラサンクタと結婚するのはバルターだと息巻いていましたよ。本当にエイダはいつもいつも私に張り合おうと……」
小言を言い出したアリティアは、突然、痛みをこらえるように頭の横を押さえて背中を丸める。
「母上、あまり興奮されてはいけませんよ」
セリオスが肩に手を乗せて落ち着かせようとしたとき、部屋の中にノックの音が響き渡る。
「王妃殿下にお目にかかりたいと、アメリア様がお越しになりました」
扉の奥からキビキビとした声が聞こえてくる。それがオリビアのものだと気づいて、すぐにルドアースが扉に歩み寄る。
「アメリアが来るなんて珍しい。通しなさい」
アリティアが言うと、ルドアースが扉を開く。その奥では、緊張気味のアメリアが立っていた。彼女は慎重な足取りで室内へ入ってくる。いつも凛とした彼女でさえ、アリティアの前では一挙手一投足に気を配らないといけないほど、張り詰めた関係性なのかもしれない。
「アリティア様がご回復されたと聞き、どうしてもお元気な姿を拝見したく、突然のご訪問をお許しください」
「なぜ、アメリアが宮殿にいるのですか?」
深々と頭を下げるアメリアに、アリティアは容赦なく疑問を投げかける。
「母上、宮殿では今、新体制を祝うパーティーが開かれているんですよ。ストークス伯爵家が招かれるのは当然です」
セリオスが助け舟を出す。アリティアに気軽に話しかけられるのは、一人息子だけなのだろう。
「新体制ですって? それでは、まさか……」
「父王は亡くなりました」
「あの人が死んだ……?」
「最期は病に倒れましたが、苦しまずに逝ったようです。父王の治世は見事であったと言わざるを得ません。エルアルムの国王としては、素晴らしい方でした」
「……そうでしたか」
アリティアは両手で頭をかかえ、しばらく考え込むようにまぶたを閉じていたが、ふと顔をあげる。
「エイダは死んだのでしたね」
一気に記憶がよみがえったかのごとく、アリティアの目は迷いのない光を放つ。
「三年ほど前に」
「では、私はエイダが死んだあと、ずっと眠っていたのですか。天罰がくだったのかもしれませんね」
アリティアは何かを受け入れるような、小さな息をついた。
「罰が下されたなら、もう悩む必要はありませんよ」
「そうはいきません。エイダが死んだと聞かされたとき、私の中に悪魔が現れたのです。あの悪魔はまだいるのではありませんか?」
「悪魔は誰の心にも潜んでいるものです。今は眠っているのでしょう。悪魔を起こさないよう、これからは心穏やかに過ごしてください」
「心穏やかに……ですか。そうですね。あのときの私は、やはり冷静ではありませんでした。私を苦しめ続けたエイダの死に顔を見たとき、そのあまりにも安らかな顔に腹が立ったのです。なぜあのようなことをしたのか、今でもわかりません。気がついたら、エイダの首を絞めていたのです……」
アリティアは両手を目の前に持ち上げ、細く白い指をじっと見つめる。
「エイダはほほえんでいました。勝ち誇ったように。死してもなお、エイダは陛下の愛を一身に受けていた」
「母上、もう終わったことです」
セリオスはさとすが、アリティアは何かに取り憑かれたように話し続ける。
「首を絞めている私を、バルターが止めに入りました。陛下に虐げられる私を、いつも卑しくニタニタ笑って見ていたあのバルターでさえ、私の行動は常軌を逸していると焦ったのでしょう。もみ合っていると、陛下がやってきて叫びました。『おまえが殺したのかっ!』と。私は愕然としました。覚悟を決めてこの国に嫁いだのに、あの人は私の苦労など何もわかってくれなかった。いいえ……、わかろうともしなかった。そして、言いましたね」
アリティアは深く息を吸い込み、ため息とともに吐き出す。
「おまえがエイダの代わりに死ねばよかったと……」
レオナは目がくらむような感覚に襲われて、セリオスの腕を思わずつかんだ。彼は何も言わず、背中に腕を回して支えてくれるが、足はブルブルと震えていた。話に聞くだけでも耐えられない。もう語る必要はない。そう思うが、流暢に話すアリティアをセリオスは止めなかった。吐き出させることが、アリティアの心を救うと信じているかのように。
「カッとなった私は、壁にあった剣をつかみ、陛下に向かって振り落としました。陛下はサッとよけましたが、腕から血が流れてくるのを見るなり、私を殴りました」
殴られたのは、こめかみだろうか。アリティアは左手でこめかみをおさえると、そのまま頭を抱え込んだ。
「あのとき、セリオスがいてくれなければ、私は陛下に殺されていたかもしれない。セリオスは私をかばい、母を殺さないでくれとあの人に懇願して……。あの人は冷たい目でセリオスをにらみ……ああ……、あのあと、どうなったのか……、どうしても思い出せない……」
「アリティア様、思い出すのはもうおやめください」
アメリアが絞り出すような声を発した。アリティアがハッと顔をあげると、彼女は苦しそうに顔を歪める。
「お父さまは間違っていました。アリティア様が投げかけられた言葉はあまりにもひどいものでした」
アリティアは驚いたようにまばたきをした。
「……あなたはエイダの子でありながら、優しいですね」
「優しくは……ありません。セリオス兄さまがアリティア様をかばったとき、バルター兄さまはセリオス兄さまの甘さを怒っていた。くだらない正義感でお父さまを敵に回す男が、エルアルムの王になれるのかと。だから自身が王になるとまで言った。それなのに私は、お父さまが間違っていると反論すべきだったのに、罰を受けるのが怖くて、自身の正義を貫けなかったのです」
三年前のあの日、セリオスやバルターは覚悟を決めた。しかし、アメリアは決めきれなかった。バルターはそれを逃げだと思っていたのだ。だから、アメリアにあの日の真実を聞きに行けとレオナを誘導した。
レオナは複雑に胸が痛んだ。あの日を蒸し返したのは、レオナだ。今、アメリアに苦しむ顔をさせているのも、アリティアを蘇らせ、過去を語らせてしまったのも、全部自身が招いたことだ。
やめさせなければ。あの日、誰もが傷つき、この三年で終わらせてきたことで、ふたたび傷つく必要はない。
口を開きかけたレオナを、セリオスが腰に回した腕で制した。まるで、レオナを巻き込まないようにするかのようだ。
「アメリア、もうやめろ」
「言わせてください。セリオス兄さまが罪に問われても、私はただ自身の家族を守るのに必死で、何もせずに黙っていたのですから……」
「ストークス家を守るのが、アメリアの正義であったのだ。あのとき、俺たち兄弟はそれぞれの覚悟を決めたのだ。何も間違っていない」
眉をひそめたアリティアが、身を乗り出す。
「何の話をしているの。セリオスが罪に問われたとは、どういうことですか」
アメリアはごくりとつばを飲み込み、セリオスが止めるのも聞かずに低い声を発した。
「お父さまは傷つけられたとして、セリオス兄さまに国王暗殺未遂の罪を着せると、王位継承権を剥奪し、セシェ島に幽閉したのです。お父さまが亡くなり、兄さまは解放されましたが、いまだ、王位継承権は剥奪されたままです。アリティア様、セリオス兄さまを救えるのはあなた様しかおられません。どうか……、どうか、セリオス兄さまを国王にご推挙ください」
アメリアは苦しみに満ちた顔でそう言うと、深く深くあたまを下げた。
アリティアはベッドで上体を起こし、血色のいい顔に気難しげな表情を浮かべていた。メイドたちは髪をすかしたり、薬を飲ませるなど、甲斐甲斐しく世話をしていたが、セリオスがベッド脇に歩み寄ると、すぐさま身を引いて、部屋を出ていった。
「よくお眠りでしたね、母上」
セリオスが皮肉まじりに言うと、アリティアは物憂げに頭を抱える。
「本当に。長い眠りに落ちていた気分です」
「三年近く眠っていたのです。気のせいではありませんよ」
「三年? 三年と言いましたか?」
アリティアは大きな瞳をさらに大きく見開いて顔をあげると、レオナを見つけてけげんそうにした。
「その娘は?」
セリオスはすぐさまレオナを引き寄せる。
「妻です。あなたが眠っている間に結婚したんですよ」
アリティアは驚いたように息を飲み、レオナをじっと見つめる。その時間は長かった。しばらくのち、口を開く。
「ロデリックの娘ですか」
三年という月日もの間、眠り続けていたとは信じられないが、セリオスとともにいる妻が、明らかに15歳の娘ではないと疑う気持ちが、確信めいて吐き出された。
「お初にお目にかかります、王妃殿下。ロデリック・ベネットの娘、レオナでございます」
レオナがドレスをつまみ、優雅に頭をさげると、アリティアは鋭い目つきのまま、その所作に満足するようにゆっくりうなずく。
少女に回帰したアリティアは、無邪気であり、繊細であったに違いないが、いま、レオナの目の前にいる彼女は、王妃としての風格を持つ一人の女性だった。
「あなたのことはよく存じています。ロデリックはセリオスとの縁談に熱心でしたからね。エイダはいつも、ステラサンクタと結婚するのはバルターだと息巻いていましたよ。本当にエイダはいつもいつも私に張り合おうと……」
小言を言い出したアリティアは、突然、痛みをこらえるように頭の横を押さえて背中を丸める。
「母上、あまり興奮されてはいけませんよ」
セリオスが肩に手を乗せて落ち着かせようとしたとき、部屋の中にノックの音が響き渡る。
「王妃殿下にお目にかかりたいと、アメリア様がお越しになりました」
扉の奥からキビキビとした声が聞こえてくる。それがオリビアのものだと気づいて、すぐにルドアースが扉に歩み寄る。
「アメリアが来るなんて珍しい。通しなさい」
アリティアが言うと、ルドアースが扉を開く。その奥では、緊張気味のアメリアが立っていた。彼女は慎重な足取りで室内へ入ってくる。いつも凛とした彼女でさえ、アリティアの前では一挙手一投足に気を配らないといけないほど、張り詰めた関係性なのかもしれない。
「アリティア様がご回復されたと聞き、どうしてもお元気な姿を拝見したく、突然のご訪問をお許しください」
「なぜ、アメリアが宮殿にいるのですか?」
深々と頭を下げるアメリアに、アリティアは容赦なく疑問を投げかける。
「母上、宮殿では今、新体制を祝うパーティーが開かれているんですよ。ストークス伯爵家が招かれるのは当然です」
セリオスが助け舟を出す。アリティアに気軽に話しかけられるのは、一人息子だけなのだろう。
「新体制ですって? それでは、まさか……」
「父王は亡くなりました」
「あの人が死んだ……?」
「最期は病に倒れましたが、苦しまずに逝ったようです。父王の治世は見事であったと言わざるを得ません。エルアルムの国王としては、素晴らしい方でした」
「……そうでしたか」
アリティアは両手で頭をかかえ、しばらく考え込むようにまぶたを閉じていたが、ふと顔をあげる。
「エイダは死んだのでしたね」
一気に記憶がよみがえったかのごとく、アリティアの目は迷いのない光を放つ。
「三年ほど前に」
「では、私はエイダが死んだあと、ずっと眠っていたのですか。天罰がくだったのかもしれませんね」
アリティアは何かを受け入れるような、小さな息をついた。
「罰が下されたなら、もう悩む必要はありませんよ」
「そうはいきません。エイダが死んだと聞かされたとき、私の中に悪魔が現れたのです。あの悪魔はまだいるのではありませんか?」
「悪魔は誰の心にも潜んでいるものです。今は眠っているのでしょう。悪魔を起こさないよう、これからは心穏やかに過ごしてください」
「心穏やかに……ですか。そうですね。あのときの私は、やはり冷静ではありませんでした。私を苦しめ続けたエイダの死に顔を見たとき、そのあまりにも安らかな顔に腹が立ったのです。なぜあのようなことをしたのか、今でもわかりません。気がついたら、エイダの首を絞めていたのです……」
アリティアは両手を目の前に持ち上げ、細く白い指をじっと見つめる。
「エイダはほほえんでいました。勝ち誇ったように。死してもなお、エイダは陛下の愛を一身に受けていた」
「母上、もう終わったことです」
セリオスはさとすが、アリティアは何かに取り憑かれたように話し続ける。
「首を絞めている私を、バルターが止めに入りました。陛下に虐げられる私を、いつも卑しくニタニタ笑って見ていたあのバルターでさえ、私の行動は常軌を逸していると焦ったのでしょう。もみ合っていると、陛下がやってきて叫びました。『おまえが殺したのかっ!』と。私は愕然としました。覚悟を決めてこの国に嫁いだのに、あの人は私の苦労など何もわかってくれなかった。いいえ……、わかろうともしなかった。そして、言いましたね」
アリティアは深く息を吸い込み、ため息とともに吐き出す。
「おまえがエイダの代わりに死ねばよかったと……」
レオナは目がくらむような感覚に襲われて、セリオスの腕を思わずつかんだ。彼は何も言わず、背中に腕を回して支えてくれるが、足はブルブルと震えていた。話に聞くだけでも耐えられない。もう語る必要はない。そう思うが、流暢に話すアリティアをセリオスは止めなかった。吐き出させることが、アリティアの心を救うと信じているかのように。
「カッとなった私は、壁にあった剣をつかみ、陛下に向かって振り落としました。陛下はサッとよけましたが、腕から血が流れてくるのを見るなり、私を殴りました」
殴られたのは、こめかみだろうか。アリティアは左手でこめかみをおさえると、そのまま頭を抱え込んだ。
「あのとき、セリオスがいてくれなければ、私は陛下に殺されていたかもしれない。セリオスは私をかばい、母を殺さないでくれとあの人に懇願して……。あの人は冷たい目でセリオスをにらみ……ああ……、あのあと、どうなったのか……、どうしても思い出せない……」
「アリティア様、思い出すのはもうおやめください」
アメリアが絞り出すような声を発した。アリティアがハッと顔をあげると、彼女は苦しそうに顔を歪める。
「お父さまは間違っていました。アリティア様が投げかけられた言葉はあまりにもひどいものでした」
アリティアは驚いたようにまばたきをした。
「……あなたはエイダの子でありながら、優しいですね」
「優しくは……ありません。セリオス兄さまがアリティア様をかばったとき、バルター兄さまはセリオス兄さまの甘さを怒っていた。くだらない正義感でお父さまを敵に回す男が、エルアルムの王になれるのかと。だから自身が王になるとまで言った。それなのに私は、お父さまが間違っていると反論すべきだったのに、罰を受けるのが怖くて、自身の正義を貫けなかったのです」
三年前のあの日、セリオスやバルターは覚悟を決めた。しかし、アメリアは決めきれなかった。バルターはそれを逃げだと思っていたのだ。だから、アメリアにあの日の真実を聞きに行けとレオナを誘導した。
レオナは複雑に胸が痛んだ。あの日を蒸し返したのは、レオナだ。今、アメリアに苦しむ顔をさせているのも、アリティアを蘇らせ、過去を語らせてしまったのも、全部自身が招いたことだ。
やめさせなければ。あの日、誰もが傷つき、この三年で終わらせてきたことで、ふたたび傷つく必要はない。
口を開きかけたレオナを、セリオスが腰に回した腕で制した。まるで、レオナを巻き込まないようにするかのようだ。
「アメリア、もうやめろ」
「言わせてください。セリオス兄さまが罪に問われても、私はただ自身の家族を守るのに必死で、何もせずに黙っていたのですから……」
「ストークス家を守るのが、アメリアの正義であったのだ。あのとき、俺たち兄弟はそれぞれの覚悟を決めたのだ。何も間違っていない」
眉をひそめたアリティアが、身を乗り出す。
「何の話をしているの。セリオスが罪に問われたとは、どういうことですか」
アメリアはごくりとつばを飲み込み、セリオスが止めるのも聞かずに低い声を発した。
「お父さまは傷つけられたとして、セリオス兄さまに国王暗殺未遂の罪を着せると、王位継承権を剥奪し、セシェ島に幽閉したのです。お父さまが亡くなり、兄さまは解放されましたが、いまだ、王位継承権は剥奪されたままです。アリティア様、セリオス兄さまを救えるのはあなた様しかおられません。どうか……、どうか、セリオス兄さまを国王にご推挙ください」
アメリアは苦しみに満ちた顔でそう言うと、深く深くあたまを下げた。
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