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王都編
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深い夜の闇を越え、鳥がさえずる朝を迎えても、レオナは静かな眠りについていた。
高く昇る太陽を浴びてキラキラと銀色に光る髪に指を通し、ほんのり赤らむほおに手のひらを当てる。ただ眠っているだけなのに、もう目覚めないのではないかという恐怖から逃れられず、セリオスは一睡もできていなかった。
「司祭様のお話によりますと、お疲れを癒すために飲まれたセージの薬用酒がよく効いているのではないかと」
ベッド脇に座り、レオナの手を握りしめるセリオスへ、紅茶のセットを運んできたリネアが声をかける。
「本当か? 母上にかけた魔法のせいではないのか」
「むしろ、魔法による消耗は驚くほどに少なく、無学でこれほどに魔力を自在に操るのは、さすが、ステラサンクタだと感心されています」
朝になっても起きないレオナを心配し、セリオスは司祭を呼びつけたが、ただ眠っているだけ、とのたまうから、怒りに任せて部屋から追い出していた。どうやら、リネアは司祭に詳しい話を聞きに行っていたようだ。
「しかし……」
セリオスは納得できないまま、リネアの差し出す紅茶をじろりとにらむ。
「どうぞ、召し上がってください。奥様がお目覚めになったときに、そのような落ちくぼんだ目で怖い顔をされていては心配なされるのでは?」
「生意気ばかり言うな」
吐き捨てつつ、セリオスは素直に紅茶を口に運んだ。その様子に、リネアはホッと息をつき、さらに口を開く。
「アリティア様がお目覚めになったようです」
「……様子は?」
「まだ詳しくは……。今、司祭様がご様子を注意深く観察されているようです。じきに、知らせが入りますでしょう」
「そうか」
セリオスはそうつぶやくと、ふたたび、レオナの小さな手を両手で包み込むように握りしめた。そのとき、ピクリと指先が動いた気がして、セリオスはあわててレオナのほおに触れた。愛らしい桃色の唇が、呼吸をするように薄く開く。
ああ、はやく口づけをしてしまいたい。セリオスはうちから湧き上がる衝動をかろうじて抑え込み、ゆっくりとまぶたをあげるレオナを見守った。
後ろで、リネアが安堵の息をつく。彼女は、出ていけ、と言われる前に、静かに部屋を出ていった。
「……セリオス……様、どうされたのですか?」
顔をのぞき込むセリオスを、レオナはふしぎそうに何度もまばたきをして見つめる。憎らしいほどに愛らしく、セリオスはあきれて息をつく。
「どうもこうもない。おまえは丸一日眠っていたのだ」
「そんなにもですか?」
「薬用酒が効いたらしいが……。いや、そんなことはこの際、どうでもいい。苦しくはないか? 痛むところがあれば、すぐに司祭を呼ぼう。そうだ。腹が減ってはないか? リネアのことだ。すぐに食べやすいものを運んでくるだろう」
一気にまくし立てると、レオナはぽかんとし、口もとに手をあててくすりと笑う。
「何がおかしい。俺はおまえを心配して……」
「心配しすぎです。私はもう大丈夫なのですよ」
「大丈夫かどうかはおまえが決めるものではない。蘇生魔法を使っておいて、平然と過ごせるものではないことぐらい知っている」
つい、不機嫌になってしまう。そんなセリオスを見たレオナはそっとほほえんだあと、ほんの少し深刻そうにまぶたを伏せる。
「私は昔、鷹に襲われた子猫を生き返らせたことがあるのです。あのときは翌日に熱を出しましたが、今は使いすぎない方法がわかっているので大丈夫なのです」
「なぜ、わかると言えるのだ」
「それは、訓練を重ねたからです。実は……、あのときの子猫なのですが、一年後に庭で死んでいるのを見つけました」
セリオスは息を飲む。しかし、レオナはまぶたを伏せたまま、ゆっくりと話し続ける。
「私の魔力が未熟だったから、長く生きられなかったのだと悩みました。それから私は、枯れたお花や池に浮く魚に魔法をかけてみるようになりました」
「なぜ、そんなことを」
「蘇生魔法は使ってはいけないと言われていたので、瀕死のものに回復魔法をかけるなら大丈夫だろうと考えたのです」
「いくら、幼かったとはいえ、そのようなことを繰り返せばどうなるか考えなかったのか」
「ですから、魔力がなくなったときは驚きました。魔石が力を失ったから魔力を使えなくなったとは思わなかったのです」
セリオスは盛大なため息をつくが、レオナは真面目な顔つきで続ける。
「私が救った命たちですが、そのどれもが長くは生きながらえませんでした。そのときに思ったのです。蘇生魔法とは、きっかけを作るだけなのだと」
「きっかけだと?」
レオナはしっかりとうなずく。
「アリティア王妃殿下の今後の生死を決めるのは、ご自身の力にかかっているのだと思います。王妃殿下は、なぜ生き返らせたのかと、苦しみから解放させなかった私を責めるかもしれません。それでも、私はあのままセリオス様とお別れさせてはいけないと思いました。私が救いたかったのは、王妃殿下の命と、セリオス様の心なのです」
「あの判断が良かったとは、今でもどうしても思えない。おまえの気持ちはありがたく受け取っているが、もう二度と蘇生魔法を使ってはならない」
たとえ、レオナが卓越した魔力の持ち主であろうとも、才能あふれる魔法使いであろうとも、この世にたったひとりの妻であることに変わりはない。
「おまえの命は一日たりとも無駄ではない。少しの命なら分けられる。そんなことを簡単に言ってはならない。俺は一秒でも長く、おまえと一緒にすごしていたいのだ」
「なぜ、そんなに想ってくださるのですか?」
レオナは本当にわからないらしい。ふしぎそうにまばたきをしてこちらを見ている。そんな憎らしい姿すら愛おしいなんて、何を言ってもわからないのではないかと不安になるほど、彼女は純粋だった。
「おまえは子猫を生き返らせたと言ったが、あのとき、俺は応接間からそれを見ていたのだ」
レオナは丸い目をさらに丸くした。
「あの日はちょうど、ロデリックに招かれて、公爵邸を訪ねていた」
「全然知りませんでした。ご挨拶せず、失礼な真似をするなんて……」
「それは俺が断ったのだ。ロデリックはおまえを引き取ったときから、将来は王太子妃にと考えていたようだ。何度か、おまえに会ってほしいと言われていたが、あの日は初めて幼いおまえに会いに行った日だった」
庭先でリスや蝶と戯れるレオナの愛らしさはまばゆいほどだった。あの日は姿が見られたらそれでいいと思っていたが、レオナが倒れた子猫を生き返らせ、血相を変えて飛び出していったロデリックに叱られ、静かに泣く姿を目にしたとき、王太子妃になれるのかと考えたものだった。
「たしかに、お父さまは結婚するならセリオス様と……とおっしゃっていましたけれど」
「おまえは今と変わらず、清らかだった。妻にするには幼すぎたが、その後もたびたび、公爵邸を訪れていたのだ。おまえが15になった日、ロデリックから正式に妻にと望まれたが、あのあと、エイダ王妃が亡くなり……あとはおまえの知る通りだ」
「では、セシェ島で出会ったときはすでに」
「ああ。俺は久しぶりに見たおまえのあまりの美しさに驚いた。妻にする日が来たと確信し、すぐに求婚した」
結局、王太子妃になる器があるのかどうか、見定められないまま妻にしたが、一切の後悔はない。
「美しい……って、あのときの私はドレスも何もかもぼろぼろで……」
レオナは恥ずかしそうに両手で顔を覆ってしまう。そういった仕草一つ一つもかわいらしいのだと、なぜわからないのか。
「内面から出る美しさは隠せるものでもないし、外面で取りつくろうものでもない。おまえはどんなときでも清らかで美しい。そんな娘をほかに知らない。俺の心を動かしたのは、この世でおまえだけなのだ」
「本当……ですか?」
「嘘だと断じるのは、俺に失礼ではないか?」
セリオスはくすりと笑うと、素直になりきれないレオナのほおを両手で包み込む。
「おまえを愛おしいと思う心をおまえが守ってくれたのだから、俺の心が壊れる日が来ることはない。今の心は一生続く」
「私を一生、愛してくれるのですか?」
「そういうことは聞かずともよい」
レオナを引き寄せ、そっと口づける。彼女もまた、幸せそうにほほえんで唇を受け止めてくれる。これほどの幸福はないだろう。
レオナの唇をほしいままにしていると、ドアがノックされる。リネアなら、気をきかして入ってこないだろう。不機嫌な声が出る。
「誰だ?」
「ルドアースです。団長、よろしいでしょうか」
「用件を言え」
「アリティア王妃殿下がお呼びです」
「俺を?」
セリオスは驚いた。母は自身の息子の存在さえ覚えていなかったはずだ。
「はい。我が息子セリオスはどこにいると、ひどくご立腹でございます」
ルドアースがほんの少し苦笑いしたような気がしたのは、気のせいではないだろう。
深い夜の闇を越え、鳥がさえずる朝を迎えても、レオナは静かな眠りについていた。
高く昇る太陽を浴びてキラキラと銀色に光る髪に指を通し、ほんのり赤らむほおに手のひらを当てる。ただ眠っているだけなのに、もう目覚めないのではないかという恐怖から逃れられず、セリオスは一睡もできていなかった。
「司祭様のお話によりますと、お疲れを癒すために飲まれたセージの薬用酒がよく効いているのではないかと」
ベッド脇に座り、レオナの手を握りしめるセリオスへ、紅茶のセットを運んできたリネアが声をかける。
「本当か? 母上にかけた魔法のせいではないのか」
「むしろ、魔法による消耗は驚くほどに少なく、無学でこれほどに魔力を自在に操るのは、さすが、ステラサンクタだと感心されています」
朝になっても起きないレオナを心配し、セリオスは司祭を呼びつけたが、ただ眠っているだけ、とのたまうから、怒りに任せて部屋から追い出していた。どうやら、リネアは司祭に詳しい話を聞きに行っていたようだ。
「しかし……」
セリオスは納得できないまま、リネアの差し出す紅茶をじろりとにらむ。
「どうぞ、召し上がってください。奥様がお目覚めになったときに、そのような落ちくぼんだ目で怖い顔をされていては心配なされるのでは?」
「生意気ばかり言うな」
吐き捨てつつ、セリオスは素直に紅茶を口に運んだ。その様子に、リネアはホッと息をつき、さらに口を開く。
「アリティア様がお目覚めになったようです」
「……様子は?」
「まだ詳しくは……。今、司祭様がご様子を注意深く観察されているようです。じきに、知らせが入りますでしょう」
「そうか」
セリオスはそうつぶやくと、ふたたび、レオナの小さな手を両手で包み込むように握りしめた。そのとき、ピクリと指先が動いた気がして、セリオスはあわててレオナのほおに触れた。愛らしい桃色の唇が、呼吸をするように薄く開く。
ああ、はやく口づけをしてしまいたい。セリオスはうちから湧き上がる衝動をかろうじて抑え込み、ゆっくりとまぶたをあげるレオナを見守った。
後ろで、リネアが安堵の息をつく。彼女は、出ていけ、と言われる前に、静かに部屋を出ていった。
「……セリオス……様、どうされたのですか?」
顔をのぞき込むセリオスを、レオナはふしぎそうに何度もまばたきをして見つめる。憎らしいほどに愛らしく、セリオスはあきれて息をつく。
「どうもこうもない。おまえは丸一日眠っていたのだ」
「そんなにもですか?」
「薬用酒が効いたらしいが……。いや、そんなことはこの際、どうでもいい。苦しくはないか? 痛むところがあれば、すぐに司祭を呼ぼう。そうだ。腹が減ってはないか? リネアのことだ。すぐに食べやすいものを運んでくるだろう」
一気にまくし立てると、レオナはぽかんとし、口もとに手をあててくすりと笑う。
「何がおかしい。俺はおまえを心配して……」
「心配しすぎです。私はもう大丈夫なのですよ」
「大丈夫かどうかはおまえが決めるものではない。蘇生魔法を使っておいて、平然と過ごせるものではないことぐらい知っている」
つい、不機嫌になってしまう。そんなセリオスを見たレオナはそっとほほえんだあと、ほんの少し深刻そうにまぶたを伏せる。
「私は昔、鷹に襲われた子猫を生き返らせたことがあるのです。あのときは翌日に熱を出しましたが、今は使いすぎない方法がわかっているので大丈夫なのです」
「なぜ、わかると言えるのだ」
「それは、訓練を重ねたからです。実は……、あのときの子猫なのですが、一年後に庭で死んでいるのを見つけました」
セリオスは息を飲む。しかし、レオナはまぶたを伏せたまま、ゆっくりと話し続ける。
「私の魔力が未熟だったから、長く生きられなかったのだと悩みました。それから私は、枯れたお花や池に浮く魚に魔法をかけてみるようになりました」
「なぜ、そんなことを」
「蘇生魔法は使ってはいけないと言われていたので、瀕死のものに回復魔法をかけるなら大丈夫だろうと考えたのです」
「いくら、幼かったとはいえ、そのようなことを繰り返せばどうなるか考えなかったのか」
「ですから、魔力がなくなったときは驚きました。魔石が力を失ったから魔力を使えなくなったとは思わなかったのです」
セリオスは盛大なため息をつくが、レオナは真面目な顔つきで続ける。
「私が救った命たちですが、そのどれもが長くは生きながらえませんでした。そのときに思ったのです。蘇生魔法とは、きっかけを作るだけなのだと」
「きっかけだと?」
レオナはしっかりとうなずく。
「アリティア王妃殿下の今後の生死を決めるのは、ご自身の力にかかっているのだと思います。王妃殿下は、なぜ生き返らせたのかと、苦しみから解放させなかった私を責めるかもしれません。それでも、私はあのままセリオス様とお別れさせてはいけないと思いました。私が救いたかったのは、王妃殿下の命と、セリオス様の心なのです」
「あの判断が良かったとは、今でもどうしても思えない。おまえの気持ちはありがたく受け取っているが、もう二度と蘇生魔法を使ってはならない」
たとえ、レオナが卓越した魔力の持ち主であろうとも、才能あふれる魔法使いであろうとも、この世にたったひとりの妻であることに変わりはない。
「おまえの命は一日たりとも無駄ではない。少しの命なら分けられる。そんなことを簡単に言ってはならない。俺は一秒でも長く、おまえと一緒にすごしていたいのだ」
「なぜ、そんなに想ってくださるのですか?」
レオナは本当にわからないらしい。ふしぎそうにまばたきをしてこちらを見ている。そんな憎らしい姿すら愛おしいなんて、何を言ってもわからないのではないかと不安になるほど、彼女は純粋だった。
「おまえは子猫を生き返らせたと言ったが、あのとき、俺は応接間からそれを見ていたのだ」
レオナは丸い目をさらに丸くした。
「あの日はちょうど、ロデリックに招かれて、公爵邸を訪ねていた」
「全然知りませんでした。ご挨拶せず、失礼な真似をするなんて……」
「それは俺が断ったのだ。ロデリックはおまえを引き取ったときから、将来は王太子妃にと考えていたようだ。何度か、おまえに会ってほしいと言われていたが、あの日は初めて幼いおまえに会いに行った日だった」
庭先でリスや蝶と戯れるレオナの愛らしさはまばゆいほどだった。あの日は姿が見られたらそれでいいと思っていたが、レオナが倒れた子猫を生き返らせ、血相を変えて飛び出していったロデリックに叱られ、静かに泣く姿を目にしたとき、王太子妃になれるのかと考えたものだった。
「たしかに、お父さまは結婚するならセリオス様と……とおっしゃっていましたけれど」
「おまえは今と変わらず、清らかだった。妻にするには幼すぎたが、その後もたびたび、公爵邸を訪れていたのだ。おまえが15になった日、ロデリックから正式に妻にと望まれたが、あのあと、エイダ王妃が亡くなり……あとはおまえの知る通りだ」
「では、セシェ島で出会ったときはすでに」
「ああ。俺は久しぶりに見たおまえのあまりの美しさに驚いた。妻にする日が来たと確信し、すぐに求婚した」
結局、王太子妃になる器があるのかどうか、見定められないまま妻にしたが、一切の後悔はない。
「美しい……って、あのときの私はドレスも何もかもぼろぼろで……」
レオナは恥ずかしそうに両手で顔を覆ってしまう。そういった仕草一つ一つもかわいらしいのだと、なぜわからないのか。
「内面から出る美しさは隠せるものでもないし、外面で取りつくろうものでもない。おまえはどんなときでも清らかで美しい。そんな娘をほかに知らない。俺の心を動かしたのは、この世でおまえだけなのだ」
「本当……ですか?」
「嘘だと断じるのは、俺に失礼ではないか?」
セリオスはくすりと笑うと、素直になりきれないレオナのほおを両手で包み込む。
「おまえを愛おしいと思う心をおまえが守ってくれたのだから、俺の心が壊れる日が来ることはない。今の心は一生続く」
「私を一生、愛してくれるのですか?」
「そういうことは聞かずともよい」
レオナを引き寄せ、そっと口づける。彼女もまた、幸せそうにほほえんで唇を受け止めてくれる。これほどの幸福はないだろう。
レオナの唇をほしいままにしていると、ドアがノックされる。リネアなら、気をきかして入ってこないだろう。不機嫌な声が出る。
「誰だ?」
「ルドアースです。団長、よろしいでしょうか」
「用件を言え」
「アリティア王妃殿下がお呼びです」
「俺を?」
セリオスは驚いた。母は自身の息子の存在さえ覚えていなかったはずだ。
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