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永遠の誓いは摩天楼で
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「陸斗さん、私の服、知らないです?」
寝室から顔を出して、リビングでゆったりとソファーに座る陸斗さんに声をかける。
彼は先に起きて、モーニングコーヒーを楽しんでいたみたい。
「服? あー、あの汗でびしょびしょになったシャツか。コンシェルジュに頼んでクリーニング出したよ」
「はっ? クリーニング?」
「夕方には届くよ」
しれっと彼は答える。
「そ、そうじゃなくて。クリーニングに出すほどのものじゃ……って、私の着る服、もしかして、ないです?」
「それはもちろん、用意したよ。用意したのは、じいさんだけどね」
「善田さんが?」
なぜ?
私が陸斗さんの部屋に泊まったこと、バレてる?
頭の中は真っ白だけど、ほおは真っ赤だろう。
「なかなかセンスのいいドレスだよ。ガウン着てるんだろう? いつまでもそこにいないで、こっちへおいで」
両手を広げる陸斗さんに戸惑いながらも、彼に触れたくてたまらなくて、駆け寄り、そのまま抱きしめてもらう。ホッとする。彼の腕の中は温かい。
彼はしばらく私を抱きしめていた。髪をゆるりとなでて、こめかみやほおにキスをして。いつにも増して、優しい。
「ドレス、見てみる?」
私をソファーに座らせた彼は、ハンガーにかけられたドレスを運んでくる。
「わあ、かわいい」
袖なしドレスは、ピンクゴールド。可愛すぎない、スッキリとしたデザイン。
ドレスを受け取ると、陸斗さんが言う。
「お腹空いただろう? レストランにでも行こうか」
「ドレス着ていくの?」
「もちろん。展望台のレストランに行こうか。昼間でも、なかなか眺めがいいんだ」
「展望台って、そこの?」
窓の外を指差すと、陸斗さんはうなずく。
愛莉ちゃんから、展望台レストランのお料理がすごく美味しいって聞いてたから、興味はあったけれど。
「夢みたい」
「何が?」
「だって、陸斗さんにできないことないみたい」
「沙月の願いは、だいたい叶えられるとは思うよ」
優しくほほえむ彼を、笑顔で見つめる。
それは、嘘。
私が陸斗さんとずっと一緒にいたいって願ったって、絶対叶わない。それは、私が一番よく知ってる。
って、思いながら。
「陸斗さん、私の服、知らないです?」
寝室から顔を出して、リビングでゆったりとソファーに座る陸斗さんに声をかける。
彼は先に起きて、モーニングコーヒーを楽しんでいたみたい。
「服? あー、あの汗でびしょびしょになったシャツか。コンシェルジュに頼んでクリーニング出したよ」
「はっ? クリーニング?」
「夕方には届くよ」
しれっと彼は答える。
「そ、そうじゃなくて。クリーニングに出すほどのものじゃ……って、私の着る服、もしかして、ないです?」
「それはもちろん、用意したよ。用意したのは、じいさんだけどね」
「善田さんが?」
なぜ?
私が陸斗さんの部屋に泊まったこと、バレてる?
頭の中は真っ白だけど、ほおは真っ赤だろう。
「なかなかセンスのいいドレスだよ。ガウン着てるんだろう? いつまでもそこにいないで、こっちへおいで」
両手を広げる陸斗さんに戸惑いながらも、彼に触れたくてたまらなくて、駆け寄り、そのまま抱きしめてもらう。ホッとする。彼の腕の中は温かい。
彼はしばらく私を抱きしめていた。髪をゆるりとなでて、こめかみやほおにキスをして。いつにも増して、優しい。
「ドレス、見てみる?」
私をソファーに座らせた彼は、ハンガーにかけられたドレスを運んでくる。
「わあ、かわいい」
袖なしドレスは、ピンクゴールド。可愛すぎない、スッキリとしたデザイン。
ドレスを受け取ると、陸斗さんが言う。
「お腹空いただろう? レストランにでも行こうか」
「ドレス着ていくの?」
「もちろん。展望台のレストランに行こうか。昼間でも、なかなか眺めがいいんだ」
「展望台って、そこの?」
窓の外を指差すと、陸斗さんはうなずく。
愛莉ちゃんから、展望台レストランのお料理がすごく美味しいって聞いてたから、興味はあったけれど。
「夢みたい」
「何が?」
「だって、陸斗さんにできないことないみたい」
「沙月の願いは、だいたい叶えられるとは思うよ」
優しくほほえむ彼を、笑顔で見つめる。
それは、嘘。
私が陸斗さんとずっと一緒にいたいって願ったって、絶対叶わない。それは、私が一番よく知ってる。
って、思いながら。
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