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消えた夢の軌跡
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「じゃあ、これが俺の預かってたろまん亭のスペアキーと、半年分の光熱費。弦さんのエサ代とかは陽三さんから先にもらってるから大丈夫だと思う。足りないなら、つづみさんが黙ってないだろうし。あとはー……」
陽仁さんはろまん亭の中を見回して、言い忘れがないか確認する仕草をする。
「また気づいたことがあれば、聞きますね」
カウンターの上に置かれた白い封筒とスペアキーを確認して、エプロンのポケットにしまう。ろまん亭の引き継ぎに、喫茶店まで陽仁さんに来てもらっていた。
「本当に毎週末来るの?」
改めて、彼は念を押すように尋ねてくる。
「はい。いつまでも陽仁さんたちに迷惑はかけられないし、……予定もないし」
肩をすくめて笑うと、彼は「迷惑なんてないけど」って複雑そうに首をふる。予定がないなんて自虐的な言葉にどう反応したものか、困ってしまったのだろう。
「美術館、遊びに行きますね」
「俺もこっちにまた来るよ。つづみさんのごはん作らないといけないしね。つづみさんち、台所ずっと使ってないだろうし、大丈夫かなぁ」
「つづみさんのお世話してるんですか?」
「お世話してたのは永朔さんだけどね。つづみさん、仕事してると食事忘れて倒れるから」
「えっ! 仕事してるんですか? 誰にも教えてないって言ってたけど」
趣味で書道をやってるだけじゃないんだろうか。それに、倒れるって……。
「お弟子さんはいないよ。なりたいって人はいるだろうけど」
「教えてあげたらいいのに」
「興味ないんだと思うよ」
「無収入で大丈夫なんですか?」
こだわりがあるのはいいけど、さすがに心配になる。
「無収入? え……、あ、知らないんだ」
陽仁さんは目をまん丸にする。
「えっ、私、何か変なこと言ってますか?」
「竹村鼓って検索してみるといいよ。まあまあ有名な書道家だから。彼の掛け軸、かなりの値がつくんだよ」
「え、えぇっ! つづみさんって、有名な書道家さんなんですかっ?」
かああって、一気に顔が赤くなる。
つづみさんの書はすごく上手だから自信もってほしいなんて励ましたのは、先週のことだ。
恥ずかしい。知らないって罪だ。
プロになんてことを言ってしまったんだろう。
赤くなったり青くなったりする私がおかしかったのか、陽仁さんはくすりと笑う。
「全然気取ってないからわからないよね。書道に没頭してるときの集中力はほんとにすごいんだよ」
「あ、それで陽仁さんがお食事の準備してるんですね。じゃあ、これから私が作りましょうか? お父さんのレシピ、作ってみたいし」
古びた秘伝のレシピノートをかかげて見せると、陽仁さんはふんわりと微笑む。
「俺も一緒していいかな。レシピ見てわからないところがあれば、教えられるから」
「もちろんです。うまく作れなくても笑わないでくださいね」
陽仁さんは毎日つづみさんに食事を作ってるんだから、私より絶対上手だろう。オムライスだって美味しかった。ふたりが舌鼓を打つ料理を作るのは至難の業にも思えてくる。
「笑わないよ。アドバイスはするかもしれないけど」
「じゃあ早速、今からお昼作りますね。特製サンドイッチにチャレンジしてみようと思って、材料は買ってきたんです」
「用意がいいね。俺も手伝うよ」
そう言うと、陽仁さんは腕まくりをして、キッチンへと入ってきた。
「特製サンドイッチは毎日作ってたよ」
「ハムとレタスとたまごって、オーソドックスな中身ですよね」
特製とはいうけれど、特別な材料なんて入ってない。
「素材にこだわってたからね。シンプルだけど美味しいって評判だったよ」
「じゃあ、同じ味の再現は難しいかな」
ここへ来る途中、スーパーに寄って購入した材料をマイバッグから取り出して、ため息まじりにつぶやく。
「今度、養鶏場に連れていってあげるよ。お世話になってた農家さんにも」
「本当ですか?」
思いがけない提案に驚いて彼を見上げる。同時に、私の顔をのぞき込むように身をかがめた彼と目が合って、どきりと胸ははねた。
陽仁さんのまつげは長くて、澄んだ目をしてる。素朴な青年のようでいて、垢抜けてかっこいい人だと思う。
「いつでもいいよ」
「あ、明日なら行けるかも」
パッと彼から目を離す。意識したって思われたかもしれなくて、余計に恥ずかしくなる。
「明日も朝から来る?」
「今日はここに泊まろうと思ってて」
「そうなの? 泊まる用意はあるの?」
陽仁さんが驚くようにまばたきしたとき、ろまん亭のドアが開いて、つづみさんが顔をのぞかせた。手にはリードをつないでいる。弦さんの散歩の帰りだろう。
「あ、いた。そこに停まってるピンクの軽、望ちゃんの車?」
「はいっ、そうです。邪魔でした?」
ろまん亭の駐車場じゃなくて、庭先の方に停めてしまった。
「あー、そうじゃなくて。後ろにたくさん荷物積んであるから、何かなって思ってさ」
「泊まろうと思って持ってきたんです」
後部座席には、掃除道具やら着替えやら、手当たり次第つめ込んできた。
「それで、布団もあるんだ。家のカギある? 荷物ぐらい運ぶよ」
「いいんですか?」
「お安い御用」
カウンターの上にあるバッグからキーホルダーを取り出して、手を伸ばすつづみさんに渡す。
父の家とはいえ、男の人を部屋にあげるなんて気を許しすぎてるかもしれないとは思ったけど、なぜだか、つづみさんや陽仁さんの好意には甘えてしまう。というか、彼らのペースには乗せられてしまう。
「窓開けて、掃除機もかけておくよ」
つづみさんは軽くそう言って、すぐに喫茶店を出ていった。
「自分のことはほったらかしなのに、人のためにはやたらと動くんだよね」
陽仁さんは苦笑しながらそう言って、ボウルにたまごを割り入れる。
「いい人ですね。お隣がつづみさんでよかったです」
「そうだね。つづみさんが戻る前にサンドイッチ作っちゃおうか。たまごの焼き加減に注意すれば、あとは簡単だよ」
その焼き加減が一番難しいんじゃないかと思いながら、菜箸を握って彼からボウルを受け取る。
たまごを混ぜるだけなのに緊張しちゃう。彼氏にも料理なんて振る舞ったことなかったのに。
その間に、彼はレタスを水につけて、フライパンをコンロに乗せた。私がたまごをとき終えると、パンの裁断機の使い方を教えてくれ、手際のいい彼の指示に従うと材料はあっという間にそろった。
軽やかな動きを見せる陽仁さんとサンドイッチを作るのは楽しかった。料理はあまり好きな方ではなかったけど、好きになれるかもしれない。
「陽仁さん、明日、養鶏場に連れていってください」
「うん、いいよ。俺の車で行こう。家出る前に連絡したいから、あとで電話番号教えてくれる?」
特製サンドイッチとホットコーヒーをテーブルに並べ終えると、陽仁さんと連絡先を交換した。
彼のスマホの待ち受け画面は空の画像だった。なんでも、オランダを旅行したときに撮影したものらしい。彼のお父さんは画家だから、小さな頃からよく海外に出かけているみたい。
私も青空の画像を待ち受けにしてたから、趣味が合うね、なんて話をした。自宅の庭で撮影したものだから、陽仁さんのものとは全然違うんだと言ったら、「空はつながってるんだよ」と彼はさとすように言った。私の自信のなさを優しく包み込んでくれたみたいだった。
そうしていると、つづみさんがひとりでろまん亭へ戻ってきた。
「うまそうなサンドイッチだな。いつもより本格的じゃないか?」
「陽仁さんに指南してもらったんです。弦さんは?」
早速サンドイッチに心躍らせるつづみさんにそう尋ねる。
「永朔さんちの中、ずっと見てる。エサはやったから大丈夫だろう」
父が帰ってきたと思ったかもしれない。弦さんを引き取るかどうしようか祖父母に相談してるけど、弦さんはずっとここにいたいかもしれない。
「毎週末くるので、週末は私が弦さんのお世話しますね」
「なんで?」
サンドイッチを食べながら、つづみさんはふしぎそうにする。
「つづみさんに任せてばっかりもいられないし」
「気にするな。弦さんの世話がしたいなら、俺と散歩でもするか?」
「つづみさんと?」
そんなに弦さんのお世話がしたいのだろうか。つづみさんの負担を減らしたいつもりなのに、かえって増えてるみたい。
「弦さんも望ちゃんには興味津々だからな、喜ぶだろ。明日の朝、散歩行く前に声かけるよ」
「わかりました。よろしくお願いします」
頭を下げると、律儀だねー、とつづみさんはサンドイッチをほおばりながら笑う。隣の席では柔らかな笑みを浮かべてコーヒーを飲む陽仁さんがいて、穏やかな時間はゆっくりと過ぎていった。
「じゃあ、これが俺の預かってたろまん亭のスペアキーと、半年分の光熱費。弦さんのエサ代とかは陽三さんから先にもらってるから大丈夫だと思う。足りないなら、つづみさんが黙ってないだろうし。あとはー……」
陽仁さんはろまん亭の中を見回して、言い忘れがないか確認する仕草をする。
「また気づいたことがあれば、聞きますね」
カウンターの上に置かれた白い封筒とスペアキーを確認して、エプロンのポケットにしまう。ろまん亭の引き継ぎに、喫茶店まで陽仁さんに来てもらっていた。
「本当に毎週末来るの?」
改めて、彼は念を押すように尋ねてくる。
「はい。いつまでも陽仁さんたちに迷惑はかけられないし、……予定もないし」
肩をすくめて笑うと、彼は「迷惑なんてないけど」って複雑そうに首をふる。予定がないなんて自虐的な言葉にどう反応したものか、困ってしまったのだろう。
「美術館、遊びに行きますね」
「俺もこっちにまた来るよ。つづみさんのごはん作らないといけないしね。つづみさんち、台所ずっと使ってないだろうし、大丈夫かなぁ」
「つづみさんのお世話してるんですか?」
「お世話してたのは永朔さんだけどね。つづみさん、仕事してると食事忘れて倒れるから」
「えっ! 仕事してるんですか? 誰にも教えてないって言ってたけど」
趣味で書道をやってるだけじゃないんだろうか。それに、倒れるって……。
「お弟子さんはいないよ。なりたいって人はいるだろうけど」
「教えてあげたらいいのに」
「興味ないんだと思うよ」
「無収入で大丈夫なんですか?」
こだわりがあるのはいいけど、さすがに心配になる。
「無収入? え……、あ、知らないんだ」
陽仁さんは目をまん丸にする。
「えっ、私、何か変なこと言ってますか?」
「竹村鼓って検索してみるといいよ。まあまあ有名な書道家だから。彼の掛け軸、かなりの値がつくんだよ」
「え、えぇっ! つづみさんって、有名な書道家さんなんですかっ?」
かああって、一気に顔が赤くなる。
つづみさんの書はすごく上手だから自信もってほしいなんて励ましたのは、先週のことだ。
恥ずかしい。知らないって罪だ。
プロになんてことを言ってしまったんだろう。
赤くなったり青くなったりする私がおかしかったのか、陽仁さんはくすりと笑う。
「全然気取ってないからわからないよね。書道に没頭してるときの集中力はほんとにすごいんだよ」
「あ、それで陽仁さんがお食事の準備してるんですね。じゃあ、これから私が作りましょうか? お父さんのレシピ、作ってみたいし」
古びた秘伝のレシピノートをかかげて見せると、陽仁さんはふんわりと微笑む。
「俺も一緒していいかな。レシピ見てわからないところがあれば、教えられるから」
「もちろんです。うまく作れなくても笑わないでくださいね」
陽仁さんは毎日つづみさんに食事を作ってるんだから、私より絶対上手だろう。オムライスだって美味しかった。ふたりが舌鼓を打つ料理を作るのは至難の業にも思えてくる。
「笑わないよ。アドバイスはするかもしれないけど」
「じゃあ早速、今からお昼作りますね。特製サンドイッチにチャレンジしてみようと思って、材料は買ってきたんです」
「用意がいいね。俺も手伝うよ」
そう言うと、陽仁さんは腕まくりをして、キッチンへと入ってきた。
「特製サンドイッチは毎日作ってたよ」
「ハムとレタスとたまごって、オーソドックスな中身ですよね」
特製とはいうけれど、特別な材料なんて入ってない。
「素材にこだわってたからね。シンプルだけど美味しいって評判だったよ」
「じゃあ、同じ味の再現は難しいかな」
ここへ来る途中、スーパーに寄って購入した材料をマイバッグから取り出して、ため息まじりにつぶやく。
「今度、養鶏場に連れていってあげるよ。お世話になってた農家さんにも」
「本当ですか?」
思いがけない提案に驚いて彼を見上げる。同時に、私の顔をのぞき込むように身をかがめた彼と目が合って、どきりと胸ははねた。
陽仁さんのまつげは長くて、澄んだ目をしてる。素朴な青年のようでいて、垢抜けてかっこいい人だと思う。
「いつでもいいよ」
「あ、明日なら行けるかも」
パッと彼から目を離す。意識したって思われたかもしれなくて、余計に恥ずかしくなる。
「明日も朝から来る?」
「今日はここに泊まろうと思ってて」
「そうなの? 泊まる用意はあるの?」
陽仁さんが驚くようにまばたきしたとき、ろまん亭のドアが開いて、つづみさんが顔をのぞかせた。手にはリードをつないでいる。弦さんの散歩の帰りだろう。
「あ、いた。そこに停まってるピンクの軽、望ちゃんの車?」
「はいっ、そうです。邪魔でした?」
ろまん亭の駐車場じゃなくて、庭先の方に停めてしまった。
「あー、そうじゃなくて。後ろにたくさん荷物積んであるから、何かなって思ってさ」
「泊まろうと思って持ってきたんです」
後部座席には、掃除道具やら着替えやら、手当たり次第つめ込んできた。
「それで、布団もあるんだ。家のカギある? 荷物ぐらい運ぶよ」
「いいんですか?」
「お安い御用」
カウンターの上にあるバッグからキーホルダーを取り出して、手を伸ばすつづみさんに渡す。
父の家とはいえ、男の人を部屋にあげるなんて気を許しすぎてるかもしれないとは思ったけど、なぜだか、つづみさんや陽仁さんの好意には甘えてしまう。というか、彼らのペースには乗せられてしまう。
「窓開けて、掃除機もかけておくよ」
つづみさんは軽くそう言って、すぐに喫茶店を出ていった。
「自分のことはほったらかしなのに、人のためにはやたらと動くんだよね」
陽仁さんは苦笑しながらそう言って、ボウルにたまごを割り入れる。
「いい人ですね。お隣がつづみさんでよかったです」
「そうだね。つづみさんが戻る前にサンドイッチ作っちゃおうか。たまごの焼き加減に注意すれば、あとは簡単だよ」
その焼き加減が一番難しいんじゃないかと思いながら、菜箸を握って彼からボウルを受け取る。
たまごを混ぜるだけなのに緊張しちゃう。彼氏にも料理なんて振る舞ったことなかったのに。
その間に、彼はレタスを水につけて、フライパンをコンロに乗せた。私がたまごをとき終えると、パンの裁断機の使い方を教えてくれ、手際のいい彼の指示に従うと材料はあっという間にそろった。
軽やかな動きを見せる陽仁さんとサンドイッチを作るのは楽しかった。料理はあまり好きな方ではなかったけど、好きになれるかもしれない。
「陽仁さん、明日、養鶏場に連れていってください」
「うん、いいよ。俺の車で行こう。家出る前に連絡したいから、あとで電話番号教えてくれる?」
特製サンドイッチとホットコーヒーをテーブルに並べ終えると、陽仁さんと連絡先を交換した。
彼のスマホの待ち受け画面は空の画像だった。なんでも、オランダを旅行したときに撮影したものらしい。彼のお父さんは画家だから、小さな頃からよく海外に出かけているみたい。
私も青空の画像を待ち受けにしてたから、趣味が合うね、なんて話をした。自宅の庭で撮影したものだから、陽仁さんのものとは全然違うんだと言ったら、「空はつながってるんだよ」と彼はさとすように言った。私の自信のなさを優しく包み込んでくれたみたいだった。
そうしていると、つづみさんがひとりでろまん亭へ戻ってきた。
「うまそうなサンドイッチだな。いつもより本格的じゃないか?」
「陽仁さんに指南してもらったんです。弦さんは?」
早速サンドイッチに心躍らせるつづみさんにそう尋ねる。
「永朔さんちの中、ずっと見てる。エサはやったから大丈夫だろう」
父が帰ってきたと思ったかもしれない。弦さんを引き取るかどうしようか祖父母に相談してるけど、弦さんはずっとここにいたいかもしれない。
「毎週末くるので、週末は私が弦さんのお世話しますね」
「なんで?」
サンドイッチを食べながら、つづみさんはふしぎそうにする。
「つづみさんに任せてばっかりもいられないし」
「気にするな。弦さんの世話がしたいなら、俺と散歩でもするか?」
「つづみさんと?」
そんなに弦さんのお世話がしたいのだろうか。つづみさんの負担を減らしたいつもりなのに、かえって増えてるみたい。
「弦さんも望ちゃんには興味津々だからな、喜ぶだろ。明日の朝、散歩行く前に声かけるよ」
「わかりました。よろしくお願いします」
頭を下げると、律儀だねー、とつづみさんはサンドイッチをほおばりながら笑う。隣の席では柔らかな笑みを浮かべてコーヒーを飲む陽仁さんがいて、穏やかな時間はゆっくりと過ぎていった。
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