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彼女は氷のように冷たい
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「えっ……」
凪は息を飲む。身体が固まるとはこういうことを言うのだろう。のどの辺りを覗き込む芽依を凝視したまま微動だにしない。
「なんだ何もないじゃない。のどに手を当てるの、クセなの?」
「あ……、いや」
唐突なことに凪は驚いているようだ。
「紅茶がちょっと熱かったみたい。ヤケドしてないならいいけれど」
凪の代わりにそう言って助け舟を出す。
「ヤケド? 大丈夫、凪?」
「え、凪……」
「凪でしょ? あなた。そんなに驚かないで」
「あ、そうじゃなくて」
凪はちらちらと私を見る。
助けてくれ、とでも言いたいのだろうか。どうやら芽依に気圧されているようだ。
けれど、私はそっとティーカップを口に運び、かたわらに用意しておいた心理学の本を開いた。
芽依は私でも止められない。彼女は誰とでも友達になりたいタイプだ。
「私のこと知ってるわよね? 飛流芽依よ。みんなには『メイ』って呼ばれてるの。そう呼んで」
「あ……、いや」
私を『ナミ』と呼んでいいのだと言った時と同様、凪はうろたえる。しかし、芽依はひかない。
「那波のことはなんて呼んでるの?」
「えっ……、ひりゅ…、飛流さんかな」
「じゃあ、私のことはメイって呼んで。飛流さんが二人じゃ、私たちがわかりにくいわ」
あくまでも区別して欲しいと訴える芽依に対し、凪はやたらと意固地に頷かない。何に抵抗を覚えているのだろう。
「恥ずかしくなんてないのよ。クラスメイトの男子もみんな、メイって呼んでくれてるんだから」
芽依がそう言うから、私は初めて、凪が恥ずかしがっているのだと気付いた。
「木梨くん、芽依の言うことは本当よ。それにもう一人の飛流さんなんて呼ばれるよりは、芽依も私もすんなり受け入れられるわ」
何も恥ずかしいことなんてないだろうと言うと、凪は根負けしたのか、しばらく沈黙した後、こうべを垂れた。
「じゃあ決まり! 私は芽依で、那波は飛流さん。いい?」
「あ、まあ。飛流さんたちが困るなら……」
私たちがわかりにくい、と言った芽依の発言を汲み取ったのだろう。
凪は渋々といったようにうなずいた。
「早速、凪に質問。凪は好きな子いるの?」
「え、……いないよ」
唐突すぎる質問に戸惑いつつも、凪は私たち姉妹の質問には誠実に答えてくれるようだ。
質問の意図を理解することを諦めていると思えなくもないが。
私も芽依も、どちらかというと、疑問に思ったことは深く考えもせずに尋ねる方だ。
「いないんだぁ。いいこと聞いた!」
「え、いいこと?」
「バスケ部の女の子たち、凪のこと結構気にしてるの。バスケ部に入らないかって誘おうとしてたみたいよ。それが心理学研究部に入ったもんだから大騒ぎ。実は那波目当てなんじゃないかって」
「そ、そんな不純な動機じゃないよ」
またもや凪は私をちら見する。
私はその視線の意味もわからなくて、首を傾げるだけだ。
「わかってるって。私は喜んでるの。だって凪のおかげで心理学研究部が廃部にならなくて済むんだから」
「ひりゅ、あ……、め、芽依は飛流さん想いなんだ」
「もちろん。那波をよろしくね、凪」
芽依が手を差し伸べる。それを言いたくて、彼女はここへ来たのだろう。凪はおそるおそる手を伸ばして、強引に手を掴む芽依と握手をした。
凪の視線は芽依のものと絡み合う。
「ありがとう」とにっこり微笑む彼女から目が離せないようだ。
なぜだか、芽依の周りにいる男子生徒はみんな、今の凪と同じようにジッと彼女を見つめるのだ。まばたきするのも惜しむように。
手が離れた瞬間、凪は現実に引き戻されるようにハッとし、手でぎゅっと拳を握って私に視線を向ける。
「じゃあ那波、またね。今度はバスケ部の子たち連れて遊びにくるね」
「ええ」とうなずくかうなずかないかのうちに、芽依は部室を出ていく。忙しい子だ。
私はまだこちらを見ている凪に首を傾げた後、また心理学の本に目を落とした。
「飛流さんが読んでるのは何の本?」
凪が問う。
「人の感情の種類について書かれた本よ」
「感情か……、あんまり生かされてなさそうだけど」
「そんなことはないわ。最近ね、誰かが楽しそうだ、とか、嬉しそうだって表情、少しはわかるようになったの」
そう言うと、凪はほんの少し沈黙する。
「……ちょっと理解できないけど、役には立ってるんだ?」
「ええ。だからわかるの。木梨くんは芽依が好きね」
「な、なんでそういう話になるんだよ」
「違った? あんまり芽依を見つめてるから、てっきり。まだまだ勉強不足ね、私」
クラスメイトの男子のほとんどは芽依を好きだ。彼らと同じ表情で、凪は彼女を見つめていたのに、どうやら違ったらしい。
「双子なのに、全然違うんだなって見てただけだよ」
「そうね、違うわね。何もかも」
髪の色も、瞳の色も、顔立ちも、性格も何もかも、私たちは違う。
「芽依の目、綺麗よね」
「あ……、まあ、そうかな」
「祖母と母と同じ、シナモン色なの。優しくて柔らかい色よね。それに合わせたような髪も生まれつきの色よ。明るい彼女にはお似合いじゃない?」
「飛流さんの黒髪も綺麗だよ」
凪は素直に言う。優しい人なのだろう、彼は。
「私と芽依、どっちが綺麗?」
「え、……それは」
「そうやって、学生たちは私たちを比べるの。もうなれてしまって今は何も思わないけど、みんな芽依だというわ」
「比べる次元が高度すぎる気もするけど」
凪はあたまをくしゃくしゃとかき乱す。
「最初の頃は、変な気持ちになったの」
「それはそうだろうと思うよ。勝手に比較されて、劣ってるなんて、誰だって言われたくないと思う」
「この気持ちはなんだろうって、自分なりに調べたの」
胸に手を当てる。この胸は学ぶ喜びを知っている。
「へえー、……勉強熱心っていうか、なんていうか。飛流さんは興味が尽きないんだ、きっと。で、答えは?」
「答えは見つかったわ」
「どんな?」
「これよ」
手にしていた心理学の本を凪に見せる。
感情モデルを図式化したものが掲載されるページを押さえる。そのうちの一つの文字に指を添える。
joyと書かれたその文字に、凪の視線も落ちる。
「喜びよ」
すぐさま凪は眉を寄せて私を見上げる。
「芽依が褒められると、私は嬉しいの」
「……そうなんだ」
「嬉しいなんて感情、私の中にあったのねって驚いたわ」
「誰もがある感情だと思うよ。飛流さんは考えすぎだ」
私は本を閉じて、そっとつぶやく。
「木梨くんは? 私と芽依、どっちの顔が好き?」
私は自分を試した。それを尋ねても仕方のないことなのに、試したいと思った。
凪は私から目を離さない。芽依の顔と重ね合わせているのだろうか。
「飛流さんが傷つかないって知ったから言うけど……」
「正直な気持ちが知りたいわ」
「やっぱり……」
「ええ」
「やっぱり、芽依の方が可愛いかな」
凪の頬はかすかに赤らむ。
私は胸を押さえた。ちくり。そんな小さな痛みが胸に生まれた。
「なぜ……?」
その問いは、今までに覚えたことのない感情だったから漏れた言葉だった。それなのに、恥ずかしげにうつむく凪は、自分に問われたものと勘違いしたのか、頭をかいて言う。
「芽依は笑うからさ。だから可愛いって思うんだと思う。でも飛流さんだって……」
凪は私に視線を戻した。そして、顔を強張らせ、口をつぐんだ。
私は今、どんな顔をしているだろう。頬に添えた指で顔を探る。何も伝わらない。私の顔はそういうものだ。
「ありがとう、木梨くん」
「……飛流さん、きっと誤解だ」
凪は苦しげに言う。しかし、そのまま言葉を詰まらせ、後悔するように両手で顔を覆って息を吐いた。
凪は息を飲む。身体が固まるとはこういうことを言うのだろう。のどの辺りを覗き込む芽依を凝視したまま微動だにしない。
「なんだ何もないじゃない。のどに手を当てるの、クセなの?」
「あ……、いや」
唐突なことに凪は驚いているようだ。
「紅茶がちょっと熱かったみたい。ヤケドしてないならいいけれど」
凪の代わりにそう言って助け舟を出す。
「ヤケド? 大丈夫、凪?」
「え、凪……」
「凪でしょ? あなた。そんなに驚かないで」
「あ、そうじゃなくて」
凪はちらちらと私を見る。
助けてくれ、とでも言いたいのだろうか。どうやら芽依に気圧されているようだ。
けれど、私はそっとティーカップを口に運び、かたわらに用意しておいた心理学の本を開いた。
芽依は私でも止められない。彼女は誰とでも友達になりたいタイプだ。
「私のこと知ってるわよね? 飛流芽依よ。みんなには『メイ』って呼ばれてるの。そう呼んで」
「あ……、いや」
私を『ナミ』と呼んでいいのだと言った時と同様、凪はうろたえる。しかし、芽依はひかない。
「那波のことはなんて呼んでるの?」
「えっ……、ひりゅ…、飛流さんかな」
「じゃあ、私のことはメイって呼んで。飛流さんが二人じゃ、私たちがわかりにくいわ」
あくまでも区別して欲しいと訴える芽依に対し、凪はやたらと意固地に頷かない。何に抵抗を覚えているのだろう。
「恥ずかしくなんてないのよ。クラスメイトの男子もみんな、メイって呼んでくれてるんだから」
芽依がそう言うから、私は初めて、凪が恥ずかしがっているのだと気付いた。
「木梨くん、芽依の言うことは本当よ。それにもう一人の飛流さんなんて呼ばれるよりは、芽依も私もすんなり受け入れられるわ」
何も恥ずかしいことなんてないだろうと言うと、凪は根負けしたのか、しばらく沈黙した後、こうべを垂れた。
「じゃあ決まり! 私は芽依で、那波は飛流さん。いい?」
「あ、まあ。飛流さんたちが困るなら……」
私たちがわかりにくい、と言った芽依の発言を汲み取ったのだろう。
凪は渋々といったようにうなずいた。
「早速、凪に質問。凪は好きな子いるの?」
「え、……いないよ」
唐突すぎる質問に戸惑いつつも、凪は私たち姉妹の質問には誠実に答えてくれるようだ。
質問の意図を理解することを諦めていると思えなくもないが。
私も芽依も、どちらかというと、疑問に思ったことは深く考えもせずに尋ねる方だ。
「いないんだぁ。いいこと聞いた!」
「え、いいこと?」
「バスケ部の女の子たち、凪のこと結構気にしてるの。バスケ部に入らないかって誘おうとしてたみたいよ。それが心理学研究部に入ったもんだから大騒ぎ。実は那波目当てなんじゃないかって」
「そ、そんな不純な動機じゃないよ」
またもや凪は私をちら見する。
私はその視線の意味もわからなくて、首を傾げるだけだ。
「わかってるって。私は喜んでるの。だって凪のおかげで心理学研究部が廃部にならなくて済むんだから」
「ひりゅ、あ……、め、芽依は飛流さん想いなんだ」
「もちろん。那波をよろしくね、凪」
芽依が手を差し伸べる。それを言いたくて、彼女はここへ来たのだろう。凪はおそるおそる手を伸ばして、強引に手を掴む芽依と握手をした。
凪の視線は芽依のものと絡み合う。
「ありがとう」とにっこり微笑む彼女から目が離せないようだ。
なぜだか、芽依の周りにいる男子生徒はみんな、今の凪と同じようにジッと彼女を見つめるのだ。まばたきするのも惜しむように。
手が離れた瞬間、凪は現実に引き戻されるようにハッとし、手でぎゅっと拳を握って私に視線を向ける。
「じゃあ那波、またね。今度はバスケ部の子たち連れて遊びにくるね」
「ええ」とうなずくかうなずかないかのうちに、芽依は部室を出ていく。忙しい子だ。
私はまだこちらを見ている凪に首を傾げた後、また心理学の本に目を落とした。
「飛流さんが読んでるのは何の本?」
凪が問う。
「人の感情の種類について書かれた本よ」
「感情か……、あんまり生かされてなさそうだけど」
「そんなことはないわ。最近ね、誰かが楽しそうだ、とか、嬉しそうだって表情、少しはわかるようになったの」
そう言うと、凪はほんの少し沈黙する。
「……ちょっと理解できないけど、役には立ってるんだ?」
「ええ。だからわかるの。木梨くんは芽依が好きね」
「な、なんでそういう話になるんだよ」
「違った? あんまり芽依を見つめてるから、てっきり。まだまだ勉強不足ね、私」
クラスメイトの男子のほとんどは芽依を好きだ。彼らと同じ表情で、凪は彼女を見つめていたのに、どうやら違ったらしい。
「双子なのに、全然違うんだなって見てただけだよ」
「そうね、違うわね。何もかも」
髪の色も、瞳の色も、顔立ちも、性格も何もかも、私たちは違う。
「芽依の目、綺麗よね」
「あ……、まあ、そうかな」
「祖母と母と同じ、シナモン色なの。優しくて柔らかい色よね。それに合わせたような髪も生まれつきの色よ。明るい彼女にはお似合いじゃない?」
「飛流さんの黒髪も綺麗だよ」
凪は素直に言う。優しい人なのだろう、彼は。
「私と芽依、どっちが綺麗?」
「え、……それは」
「そうやって、学生たちは私たちを比べるの。もうなれてしまって今は何も思わないけど、みんな芽依だというわ」
「比べる次元が高度すぎる気もするけど」
凪はあたまをくしゃくしゃとかき乱す。
「最初の頃は、変な気持ちになったの」
「それはそうだろうと思うよ。勝手に比較されて、劣ってるなんて、誰だって言われたくないと思う」
「この気持ちはなんだろうって、自分なりに調べたの」
胸に手を当てる。この胸は学ぶ喜びを知っている。
「へえー、……勉強熱心っていうか、なんていうか。飛流さんは興味が尽きないんだ、きっと。で、答えは?」
「答えは見つかったわ」
「どんな?」
「これよ」
手にしていた心理学の本を凪に見せる。
感情モデルを図式化したものが掲載されるページを押さえる。そのうちの一つの文字に指を添える。
joyと書かれたその文字に、凪の視線も落ちる。
「喜びよ」
すぐさま凪は眉を寄せて私を見上げる。
「芽依が褒められると、私は嬉しいの」
「……そうなんだ」
「嬉しいなんて感情、私の中にあったのねって驚いたわ」
「誰もがある感情だと思うよ。飛流さんは考えすぎだ」
私は本を閉じて、そっとつぶやく。
「木梨くんは? 私と芽依、どっちの顔が好き?」
私は自分を試した。それを尋ねても仕方のないことなのに、試したいと思った。
凪は私から目を離さない。芽依の顔と重ね合わせているのだろうか。
「飛流さんが傷つかないって知ったから言うけど……」
「正直な気持ちが知りたいわ」
「やっぱり……」
「ええ」
「やっぱり、芽依の方が可愛いかな」
凪の頬はかすかに赤らむ。
私は胸を押さえた。ちくり。そんな小さな痛みが胸に生まれた。
「なぜ……?」
その問いは、今までに覚えたことのない感情だったから漏れた言葉だった。それなのに、恥ずかしげにうつむく凪は、自分に問われたものと勘違いしたのか、頭をかいて言う。
「芽依は笑うからさ。だから可愛いって思うんだと思う。でも飛流さんだって……」
凪は私に視線を戻した。そして、顔を強張らせ、口をつぐんだ。
私は今、どんな顔をしているだろう。頬に添えた指で顔を探る。何も伝わらない。私の顔はそういうものだ。
「ありがとう、木梨くん」
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