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那波と輝を繋ぐ悲憤
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輝と共に教室を出ると、集まっていた学生たちが、天敵から逃れる魚のように波をうって左右に分かれた。
まっすぐに開かれた道を輝と並んで歩く。
見世物になるのは慣れている。彼もまた同様のようだ。周囲から多くの視線を浴びながらも、平然と歩んでいる。
「次はどこへ行く? 俺のクラスでも見に行くか?」
「もう十分よ。部室へ戻るわ」
「もう?」
輝は苦笑いする。せっかく連れ出したのに、と言わないばかりだ。
すると突如目の前へ、人だかりの中から一人の男子学生が飛び出してきた。
彼は私を見るとぎょっとしたが、すぐに輝に駆け寄る。
「輝っ、探したぜ」
彼はどうやら輝の友人のようだ。
「なんか用か?」
「用か? じゃないぜ。おまえ、部活引退したら心理学研究部に入るとかって言い出したらしいじゃないかよ」
「悪いか?」
「おかしいだろ。卒業する気あんのかって職員室じゃ、その話題で持ちきりだってよ」
「なるほど。確かにそれも悪くないな。もう一年ぐらいいてやってもいいな」
「冗談はいいんだよ」
友人は呆れた様子だ。
「で、何の用だよ」
「あ、それでさ、安藤が輝と話がしたいから呼んでこいってさ」
「安藤?」
「安藤先生だよ。あの人、心理学研究部の一応顧問だろ?」
彼は私を気にするように、ちらちらと視線を向けてきては、輝にそう話す。
「水泳部の安藤? 顧問とは知らなかったな。今は無理だって言ってこいよ」
「言えるわけないだろ。なんでもいいから、職員室に行けよ? 俺は伝言したからな」
「仕方ないな」
面倒そうにうなずいた輝は、すぐに私に謝る。
「そういうことだ。悪いな、今日はここまでだ」
「そう、私ももう行くわ」
「素っ気ないな。また会いに行くよ、だいたい部室だろ?」
「そうね。話ならいつでも聞くわ」
そう答えると、輝は満足したのか、「じゃあな」とそっと微笑んで、友人と共に立ち去った。
一人になるとすぐ、私は凪の姿を探した。
だいぶ学生たちは散り散りになっていたが、喫茶店の受付に彼の姿はない。
その代わりと言ってはなんだが、受付の側に弥生と優香がいる。
私はすぐに彼女たちに近づいた。私を怖がらない唯一の女子生徒と言ってもいい彼女らは、安堵の笑顔を見せる。
「樋野先輩、大丈夫だった?」
弥生が心配げに尋ねる。
「ええ、少し興味深い話をしただけよ。木梨くんはどこに行ったのかしら」
すぐに凪の話題に切り替える私を意外そうに見た二人は、お互いに目を合わせて小さくうなずく。そして、優香が言う。
「凪くんは別館の方に行ったみたい。すごい人だったから、少し外の空気吸ってくるって。待ってたらすぐに戻ってくるんじゃないかな」
「そう、行ってみるわ。顔が見れたらそれでいいの」
素直な思いを口にすると、また二人はなんとも言えない表情で顔を見合わせるが、何も言わない。
「今日は呼びに来てくれてありがとう。おかげで美味しいチーズケーキが頂けたわ」
頭を下げると、ますます二人は戸惑いをあらわにしたが、「私たちは何にもしてないよ。また部室に遊びに行かせてね」と、すぐに優香が優しく微笑む。
輝も優香も弥生も、みんなこんな風に優しく笑いかけてくれるのだ。
こういう関係に胸が温かくなるのは、私が嬉しがっている証拠だ。
この感情に今まで気づかなかった。そして気づくきっかけをくれたのは、やはり凪以外にいない気がする。
私はすぐにかかとをひるがえし、別館へと向かって歩き出した。
凪に会いたい。
会って何を話そうという予定もないけれど、彼にただ会いたいと思っている。
この気持ちの正体はわからないけれど、あと約二年間の高校生活がこのまま続けばいい。
それが、いつかきっといいことがあるよ、と言った祖父の言葉の答えなのだと思えた。
別館に近づくにつれ、だんだんひと気がなくなっていく。
使われていない教室の前をいくつか通り過ぎた時、男子生徒の声が聞こえて足を止めた。
「どうせあれだろ? 本命は飛流芽依さ」
芽依?
噂話など普段は気にも留めないが、なぜだか今日の私はいつもと違っていた。思わず教室の中へと目を向ける。
ドアは開かれていて、三人の学生が思い思いに椅子を運んできた体で、黒板の前に集まっているのが見えた。
彼らの顔は見慣れたものだった。クラスメイトだとすぐに気づくが、名前までは思い出せない。それほど私にとっては取るに足らない存在の彼らだ。
「おい、阿部。聞こえるぜ」
「なにびびってんだよ、渡辺。樋野のやつに聞かれたって別にどうってことないぜ」
「違うよ、廊下」
阿部と呼ばれた生徒が、渡辺に促されてこちらを見た。
初めて顔と名前が一致する。
以前、凪をからかっていたという人たちだ。
私に関わったばかりに凪は嫌な思いをしているのだろう。
とすると、もう一人は長谷部という生徒だろう。三人はいつも一緒にいる。
私に気づいて口をつぐむかと思いきや、阿部はにやにやしながら、渡辺と長谷部に視線を戻した。
「それ以外にないだろ? 飛流那波に近づく理由なんて」
わざと私に聞かせている。これは不愉快な話だ、きっと。
そう気付いたが、立ち去る気が起きず、私は立ち止まったままでいた。
「芽依に正攻法で近づいた男は全員撃沈だろ? 思わせぶりな態度取るわりに、恋人はいらない、だもんな」
「阿部もだろ?」
長谷部がからかいを目に浮かべる。ちょっとした冗談のようだったが、阿部は心外そうに目をつり上げた。
「俺はちょっと清純気取りの芽依をからかってやっただけさ。とにかくだ、正攻法で無理なら、芽依の弱点をつくしかない」
「飛流那波に優しくすれば、芽依が心を許すって作戦?」
渡辺が言うと、阿部は満足げに大きくうなずく。
「樋野の魂胆はそれだろ? そうじゃなきゃ、あんな女に誰が近づくかよ」
「それを言うなら、もう一人いるよな」
長谷部は足を組み、にやりとしながら私に視線を向ける。彼の言葉で、阿部もまた下卑た笑みを浮かべた。
「木梨凪もやるよなー。最初はただのバカかと思ったけどよ、ああいう平凡なやつはあのぐらいしないと芽依の気にも留まらないからな。何にも知らないふりしてあの部活に入ったってのは計算高いよな。今じゃ、那波も芽依も手玉にとってんだからな」
「そういやぁ、最近木梨のやつ、芽依とよく一緒にいるよな」
「だろ? 本命はそっちだってことさ」
「木梨みたいなやつが一番怖いってことか」
「そういうことだ」
三人は顔をつきあわせて大声で笑う。
そしていつしか話題は別の学生の噂へと移っていったが、私はしばらくその場に立ち尽くしていた。
凪は芽依が好きだ。
それはわかっていたはずなのに、私はいつしか忘れたふりをしていただろうか。
恋愛感情ではないと告白した彼の言葉を鵜呑みにして。
感情を言葉で表すことは簡単だ。だが、その言葉が真実かどうかを判断するのは難しい。
凪が嘘をついてない確証なんてどこにもない。つまり、信じるかどうか……、それだけだ。
私はふらりと歩き出す。頭の中がまだ整理されていない。
凪は芽依に近づくために私に近づいた。
その言葉に傷つく私がいる。それはなぜだろう。その問いを凪に投げかけたら、彼はどういう答えを出してくれるだろう。
凪の姿を探した。彼に会いたい気持ちはまだあるのに、今は少しだけ消極的だ。臆病になる気持ちを抱えながら、廊下を進む。
そして、渡り廊下にたどり着いた時、私の胸は張り裂けそうなほど激しい音を立てた。
目に飛び込んできたのは、凪が芽依を抱きしめる姿だった。
輝が私に触れたように、凪は芽依に触れている。輝に触れられた時、私は嫌だと思ったのだ。凪じゃないと嫌だと思ったのではなかったか。
その気持ちの正体を目の当たりにした気がした。
私はすぐさま身をひるがえした。あんなに凪に会いたいと思っていた気持ちがしぼんでいく。
私は那波だ。芽依にはなれない。芽依には……。
何度もそう心の中で繰り返し叫びながら、気づくと部室の前にたどり着いていた。
私の居場所は最初からここしかなかった。
いつも一人で過ごし、卒業までずっと一人のままだと思っていた。
凪が来たことでそれは変化したけれど、それでもやはり私が一人で生きていくことに変わりはない。
私には今でもここしかない。だから私はここへ帰るのだ。
輝と共に教室を出ると、集まっていた学生たちが、天敵から逃れる魚のように波をうって左右に分かれた。
まっすぐに開かれた道を輝と並んで歩く。
見世物になるのは慣れている。彼もまた同様のようだ。周囲から多くの視線を浴びながらも、平然と歩んでいる。
「次はどこへ行く? 俺のクラスでも見に行くか?」
「もう十分よ。部室へ戻るわ」
「もう?」
輝は苦笑いする。せっかく連れ出したのに、と言わないばかりだ。
すると突如目の前へ、人だかりの中から一人の男子学生が飛び出してきた。
彼は私を見るとぎょっとしたが、すぐに輝に駆け寄る。
「輝っ、探したぜ」
彼はどうやら輝の友人のようだ。
「なんか用か?」
「用か? じゃないぜ。おまえ、部活引退したら心理学研究部に入るとかって言い出したらしいじゃないかよ」
「悪いか?」
「おかしいだろ。卒業する気あんのかって職員室じゃ、その話題で持ちきりだってよ」
「なるほど。確かにそれも悪くないな。もう一年ぐらいいてやってもいいな」
「冗談はいいんだよ」
友人は呆れた様子だ。
「で、何の用だよ」
「あ、それでさ、安藤が輝と話がしたいから呼んでこいってさ」
「安藤?」
「安藤先生だよ。あの人、心理学研究部の一応顧問だろ?」
彼は私を気にするように、ちらちらと視線を向けてきては、輝にそう話す。
「水泳部の安藤? 顧問とは知らなかったな。今は無理だって言ってこいよ」
「言えるわけないだろ。なんでもいいから、職員室に行けよ? 俺は伝言したからな」
「仕方ないな」
面倒そうにうなずいた輝は、すぐに私に謝る。
「そういうことだ。悪いな、今日はここまでだ」
「そう、私ももう行くわ」
「素っ気ないな。また会いに行くよ、だいたい部室だろ?」
「そうね。話ならいつでも聞くわ」
そう答えると、輝は満足したのか、「じゃあな」とそっと微笑んで、友人と共に立ち去った。
一人になるとすぐ、私は凪の姿を探した。
だいぶ学生たちは散り散りになっていたが、喫茶店の受付に彼の姿はない。
その代わりと言ってはなんだが、受付の側に弥生と優香がいる。
私はすぐに彼女たちに近づいた。私を怖がらない唯一の女子生徒と言ってもいい彼女らは、安堵の笑顔を見せる。
「樋野先輩、大丈夫だった?」
弥生が心配げに尋ねる。
「ええ、少し興味深い話をしただけよ。木梨くんはどこに行ったのかしら」
すぐに凪の話題に切り替える私を意外そうに見た二人は、お互いに目を合わせて小さくうなずく。そして、優香が言う。
「凪くんは別館の方に行ったみたい。すごい人だったから、少し外の空気吸ってくるって。待ってたらすぐに戻ってくるんじゃないかな」
「そう、行ってみるわ。顔が見れたらそれでいいの」
素直な思いを口にすると、また二人はなんとも言えない表情で顔を見合わせるが、何も言わない。
「今日は呼びに来てくれてありがとう。おかげで美味しいチーズケーキが頂けたわ」
頭を下げると、ますます二人は戸惑いをあらわにしたが、「私たちは何にもしてないよ。また部室に遊びに行かせてね」と、すぐに優香が優しく微笑む。
輝も優香も弥生も、みんなこんな風に優しく笑いかけてくれるのだ。
こういう関係に胸が温かくなるのは、私が嬉しがっている証拠だ。
この感情に今まで気づかなかった。そして気づくきっかけをくれたのは、やはり凪以外にいない気がする。
私はすぐにかかとをひるがえし、別館へと向かって歩き出した。
凪に会いたい。
会って何を話そうという予定もないけれど、彼にただ会いたいと思っている。
この気持ちの正体はわからないけれど、あと約二年間の高校生活がこのまま続けばいい。
それが、いつかきっといいことがあるよ、と言った祖父の言葉の答えなのだと思えた。
別館に近づくにつれ、だんだんひと気がなくなっていく。
使われていない教室の前をいくつか通り過ぎた時、男子生徒の声が聞こえて足を止めた。
「どうせあれだろ? 本命は飛流芽依さ」
芽依?
噂話など普段は気にも留めないが、なぜだか今日の私はいつもと違っていた。思わず教室の中へと目を向ける。
ドアは開かれていて、三人の学生が思い思いに椅子を運んできた体で、黒板の前に集まっているのが見えた。
彼らの顔は見慣れたものだった。クラスメイトだとすぐに気づくが、名前までは思い出せない。それほど私にとっては取るに足らない存在の彼らだ。
「おい、阿部。聞こえるぜ」
「なにびびってんだよ、渡辺。樋野のやつに聞かれたって別にどうってことないぜ」
「違うよ、廊下」
阿部と呼ばれた生徒が、渡辺に促されてこちらを見た。
初めて顔と名前が一致する。
以前、凪をからかっていたという人たちだ。
私に関わったばかりに凪は嫌な思いをしているのだろう。
とすると、もう一人は長谷部という生徒だろう。三人はいつも一緒にいる。
私に気づいて口をつぐむかと思いきや、阿部はにやにやしながら、渡辺と長谷部に視線を戻した。
「それ以外にないだろ? 飛流那波に近づく理由なんて」
わざと私に聞かせている。これは不愉快な話だ、きっと。
そう気付いたが、立ち去る気が起きず、私は立ち止まったままでいた。
「芽依に正攻法で近づいた男は全員撃沈だろ? 思わせぶりな態度取るわりに、恋人はいらない、だもんな」
「阿部もだろ?」
長谷部がからかいを目に浮かべる。ちょっとした冗談のようだったが、阿部は心外そうに目をつり上げた。
「俺はちょっと清純気取りの芽依をからかってやっただけさ。とにかくだ、正攻法で無理なら、芽依の弱点をつくしかない」
「飛流那波に優しくすれば、芽依が心を許すって作戦?」
渡辺が言うと、阿部は満足げに大きくうなずく。
「樋野の魂胆はそれだろ? そうじゃなきゃ、あんな女に誰が近づくかよ」
「それを言うなら、もう一人いるよな」
長谷部は足を組み、にやりとしながら私に視線を向ける。彼の言葉で、阿部もまた下卑た笑みを浮かべた。
「木梨凪もやるよなー。最初はただのバカかと思ったけどよ、ああいう平凡なやつはあのぐらいしないと芽依の気にも留まらないからな。何にも知らないふりしてあの部活に入ったってのは計算高いよな。今じゃ、那波も芽依も手玉にとってんだからな」
「そういやぁ、最近木梨のやつ、芽依とよく一緒にいるよな」
「だろ? 本命はそっちだってことさ」
「木梨みたいなやつが一番怖いってことか」
「そういうことだ」
三人は顔をつきあわせて大声で笑う。
そしていつしか話題は別の学生の噂へと移っていったが、私はしばらくその場に立ち尽くしていた。
凪は芽依が好きだ。
それはわかっていたはずなのに、私はいつしか忘れたふりをしていただろうか。
恋愛感情ではないと告白した彼の言葉を鵜呑みにして。
感情を言葉で表すことは簡単だ。だが、その言葉が真実かどうかを判断するのは難しい。
凪が嘘をついてない確証なんてどこにもない。つまり、信じるかどうか……、それだけだ。
私はふらりと歩き出す。頭の中がまだ整理されていない。
凪は芽依に近づくために私に近づいた。
その言葉に傷つく私がいる。それはなぜだろう。その問いを凪に投げかけたら、彼はどういう答えを出してくれるだろう。
凪の姿を探した。彼に会いたい気持ちはまだあるのに、今は少しだけ消極的だ。臆病になる気持ちを抱えながら、廊下を進む。
そして、渡り廊下にたどり着いた時、私の胸は張り裂けそうなほど激しい音を立てた。
目に飛び込んできたのは、凪が芽依を抱きしめる姿だった。
輝が私に触れたように、凪は芽依に触れている。輝に触れられた時、私は嫌だと思ったのだ。凪じゃないと嫌だと思ったのではなかったか。
その気持ちの正体を目の当たりにした気がした。
私はすぐさま身をひるがえした。あんなに凪に会いたいと思っていた気持ちがしぼんでいく。
私は那波だ。芽依にはなれない。芽依には……。
何度もそう心の中で繰り返し叫びながら、気づくと部室の前にたどり着いていた。
私の居場所は最初からここしかなかった。
いつも一人で過ごし、卒業までずっと一人のままだと思っていた。
凪が来たことでそれは変化したけれど、それでもやはり私が一人で生きていくことに変わりはない。
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