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すれ違う祈り
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遠くから部活動に励む学生たちの声が聞こえてくる中、職員室の前を通って図書室へ向かう。
足音が廊下に響く。土曜日の校舎はひと気が少なく新鮮だ。
「おっ、木梨! どうした?」
突如廊下に響く野太い声が俺を呼び止める。心理学研究部顧問の安藤先生だ。今日も水泳部の練習があるのだろう。半袖短パン姿に、メガホンを持っている。
「珍しいなぁ、土曜日に学校に来るなんて」
「もうすぐ期末試験があるので、図書室で勉強しようかと思ったんです。土曜日でも利用はできるんですよね?」
「心理学研究部のメンバーは勉強熱心だなー。この学園は市立図書館よりよっぽど蔵書数が多いからな。知りたいことはだいたい見つかるだろう」
「あ、調べ物とかじゃなくて、静かな環境があればいいと思っただけで」
「なんだ、そうか。飛流那波は毎週来て、山ほどの本を読みあさってるぞ」
「飛流さんが? じゃあ、今日も来てるんですか?」
安藤先生は腕時計を確認する。
「まだいるだろう。いつも昼前に帰るようだから」
「そうですか。少し探してみます」
毎日のように那波には会うが、何度でも会いたいと思ってしまう。
告白の返事をもらうことは出来ないままなのに、心浮き立つ自分が滑稽だ。
しかし、那波に会えるだけで十分じゃないかとも思うのだ。
安藤先生に頭を下げて立ち去ろうとすると、先生が「なあ」と低い声を発する。明朗快活な先生にしては神妙な声だ。
「最近の那波、おかしくないか? 大丈夫か?」
「え、どういう?」
一瞬で那波の身に起きていることがめまぐるしく頭の中を駆け巡っていく。
心当たりがありすぎて、何を答えたらいいのかと戸惑う。
「この間な、廃部になった弓道部を復活させて欲しいと理事長に掛け合ったらしい。もともと前の理事長が急逝されて廃部になったものだし、後任の指導者さえ見つかれば難しい話じゃないが、那波がそんなこと言うなんて意外に思ってな」
「飛流さんが? 俺は全然……」
「何も聞いてないか? 確か木梨、前の学校で弓道部だっただろう? それがらみかとも思ったんだが。ここだけの話、弓道部が復活して木梨が移籍となれば、心理学研究部のあり方も考えないといけないな」
「新しい部員を募集するんですか?」
「あ、いや、まだ具体的には何も決まってないんだ。那波の様子に変わりないならそれでいい。呼び止めて悪かったな」
安藤先生はそう言って立ち去った。
俺は不安になってすぐさま図書室へ向かう。
那波が俺になんでも相談するわけではないとわかってはいるが、部に関してのことぐらい話してくれてもいいんじゃないかという思いがある。
図書室のドアを開けると、受付にいる図書委員らしき学生が、俺に気づいて右奥の方へ無意識に視線をずらす。
きっとそこに那波がいるのだろう。
俺はいつも彼女を探しているように周りからは思われているようだ。
俺は脇目も振らずに中へと進んだ。案の定、窓から離れた日の当たらない席で、山積みの本に囲まれた那波の背中が見える。
迷わず那波の隣に座ると、彼女は不思議そうにこちらを見上げ、首をゆるりと傾けた。
「あら、木梨くん、どうしたの?」
「飛流さんこそ。俺は期末試験の勉強しに来たんだ」
「そうなの、大変ね」
「なんか他人事だよね。飛流さんは試験勉強じゃないんだ?」
山積みの本の表紙を見ても、なんの本だかわからないような洋書まである。
「試験勉強なら毎日してるわ。今は調べ物をしているの」
「毎日か……、テスト前に慌てるなんてないんだろうな。今日は何の調べ物?」
感心しながら、那波の手元にあるノートを覗いてみると、彼女は隠すどころか見せてくれた。そこに書かれているのは鳥居の絵と、いくつかのメモ書きだ。
「あの日を再現できないかと考えているの」
「再現?」
「ええ、十年前のあの日と同じ条件をそろえることが出来れば、輝の目を治せるんじゃないかと思ったの」
「それで、当時の気象状況や太陽の傾きまで調べてるんだ?」
「そうよ。十年前のあの日は祖母の誕生日だったの。昼食を終えて、祖父母とお庭で遊んで、それから三時のおやつまで三十分あるから、祖母が絵本を読んでくれると屋敷の中へ戻ったの。そこで両親が喧嘩しているのを見たわ……」
「それじゃあ、時刻が十年前のおばあさんの誕生日の、午後二時三十分頃っていうのははっきりしてるんだ? おばあさんの誕生日は……、七月三十日?」
ノートのメモ書きを見て言うと、那波は無言でうなずく。
「今月末か……。夏休みに入ってるね。八月一日は花火大会があるよね」
「その頃には何もかも元通りになってるといいわ。私ね、花火大会って行ったことないの。またあなたとわたがしが食べたいわ」
「え……、あ、そうだね。一緒に行けるんだ……。なんか嬉しいな」
ほんのり胸が熱くなる。
那波はもしかしたら俺との関係に前向きなのかもしれないなんて誤解したくなる。
「私も嬉しいって気持ち、知りたいわ」
「大丈夫だよ。飛流さんの中にはもうその感情はあるんだ。ただ感じ方を知らないだけだよ。俺はそう思うよ」
那波に足りないものなんてない。そう伝えたい。
「木梨くんは……、いい人ね。もし再現が失敗しても、また別の道があるような気がしてくるわ」
「道はいくらでもあるよ。一本道しかない人生なんてないんだから」
「……いろんな可能性を考えてみるわ」
「俺も手伝うよ。そのぐらいしか出来ないから」
「木梨くん、ありがとう。その前に期末試験の勉強なら私も手伝うわ。今日は何の勉強を?」
「あ、いいかな。なんか心強いな」
鞄から早速、勉強道具を取り出す俺を見て、那波は少しだけ口元に笑みを浮かべた。
「いいのよ。私もそのぐらいしかあなたに出来ることはないわ」
「そんなことないよ。ああ、そうだ。安藤先生から聞いたよ、弓道部復活の話。飛流さんがそんなこと言い出したの、もしかして俺のため、かな?」
なんてうぬぼれだろう、と言いながら思ったが、那波は拍子抜けするぐらい平然とうなずく。
「ええ、そうよ。木梨くんは弓道を続けた方がいいと思ったの。芽依も一緒に父にお願いしてくれたから実現するかもしれないわ。その時は木梨くんに入部してもらいたいって思ってるの」
「飛流さんの気持ちは嬉しいけど、俺はこのまま心理学研究部にいたいかな」
「心理学研究部は廃部にするわ」
「え、どうして?」
「存続意義がないからよ。父もそれなら納得するかもしれないわ」
那波は大事なことをいつも勝手に決めてしまうようだ。
「交換条件? 心理学研究部を廃部にする代わりに、弓道部を復活させるって?」
「そういうわけではないの。心配しなくていいのよ。私はただ、木梨くんの弓道が素晴らしいって思ったから、何かできたらと思っただけなの」
「俺なんか別に」
「卑下することないわ。木梨くんにはいつでも会えるもの。部はなくなってもかまわないわ」
「え、……いつでも会える?」
「私はそう思ってるわ」
「あ、そうか。そうなんだ……、そっか」
いつでも会えるならいいのかなと頷いてしまうが、まるで心理学研究部に入部したのは那波目当てだったと不純な気持ちを認めたような気もする。
しかし、那波は一向に気にする様子もなく、目を細めて俺を眺めると、「また弓道が出来るといいわね」と言って、教科書に視線を落とした。
遠くから部活動に励む学生たちの声が聞こえてくる中、職員室の前を通って図書室へ向かう。
足音が廊下に響く。土曜日の校舎はひと気が少なく新鮮だ。
「おっ、木梨! どうした?」
突如廊下に響く野太い声が俺を呼び止める。心理学研究部顧問の安藤先生だ。今日も水泳部の練習があるのだろう。半袖短パン姿に、メガホンを持っている。
「珍しいなぁ、土曜日に学校に来るなんて」
「もうすぐ期末試験があるので、図書室で勉強しようかと思ったんです。土曜日でも利用はできるんですよね?」
「心理学研究部のメンバーは勉強熱心だなー。この学園は市立図書館よりよっぽど蔵書数が多いからな。知りたいことはだいたい見つかるだろう」
「あ、調べ物とかじゃなくて、静かな環境があればいいと思っただけで」
「なんだ、そうか。飛流那波は毎週来て、山ほどの本を読みあさってるぞ」
「飛流さんが? じゃあ、今日も来てるんですか?」
安藤先生は腕時計を確認する。
「まだいるだろう。いつも昼前に帰るようだから」
「そうですか。少し探してみます」
毎日のように那波には会うが、何度でも会いたいと思ってしまう。
告白の返事をもらうことは出来ないままなのに、心浮き立つ自分が滑稽だ。
しかし、那波に会えるだけで十分じゃないかとも思うのだ。
安藤先生に頭を下げて立ち去ろうとすると、先生が「なあ」と低い声を発する。明朗快活な先生にしては神妙な声だ。
「最近の那波、おかしくないか? 大丈夫か?」
「え、どういう?」
一瞬で那波の身に起きていることがめまぐるしく頭の中を駆け巡っていく。
心当たりがありすぎて、何を答えたらいいのかと戸惑う。
「この間な、廃部になった弓道部を復活させて欲しいと理事長に掛け合ったらしい。もともと前の理事長が急逝されて廃部になったものだし、後任の指導者さえ見つかれば難しい話じゃないが、那波がそんなこと言うなんて意外に思ってな」
「飛流さんが? 俺は全然……」
「何も聞いてないか? 確か木梨、前の学校で弓道部だっただろう? それがらみかとも思ったんだが。ここだけの話、弓道部が復活して木梨が移籍となれば、心理学研究部のあり方も考えないといけないな」
「新しい部員を募集するんですか?」
「あ、いや、まだ具体的には何も決まってないんだ。那波の様子に変わりないならそれでいい。呼び止めて悪かったな」
安藤先生はそう言って立ち去った。
俺は不安になってすぐさま図書室へ向かう。
那波が俺になんでも相談するわけではないとわかってはいるが、部に関してのことぐらい話してくれてもいいんじゃないかという思いがある。
図書室のドアを開けると、受付にいる図書委員らしき学生が、俺に気づいて右奥の方へ無意識に視線をずらす。
きっとそこに那波がいるのだろう。
俺はいつも彼女を探しているように周りからは思われているようだ。
俺は脇目も振らずに中へと進んだ。案の定、窓から離れた日の当たらない席で、山積みの本に囲まれた那波の背中が見える。
迷わず那波の隣に座ると、彼女は不思議そうにこちらを見上げ、首をゆるりと傾けた。
「あら、木梨くん、どうしたの?」
「飛流さんこそ。俺は期末試験の勉強しに来たんだ」
「そうなの、大変ね」
「なんか他人事だよね。飛流さんは試験勉強じゃないんだ?」
山積みの本の表紙を見ても、なんの本だかわからないような洋書まである。
「試験勉強なら毎日してるわ。今は調べ物をしているの」
「毎日か……、テスト前に慌てるなんてないんだろうな。今日は何の調べ物?」
感心しながら、那波の手元にあるノートを覗いてみると、彼女は隠すどころか見せてくれた。そこに書かれているのは鳥居の絵と、いくつかのメモ書きだ。
「あの日を再現できないかと考えているの」
「再現?」
「ええ、十年前のあの日と同じ条件をそろえることが出来れば、輝の目を治せるんじゃないかと思ったの」
「それで、当時の気象状況や太陽の傾きまで調べてるんだ?」
「そうよ。十年前のあの日は祖母の誕生日だったの。昼食を終えて、祖父母とお庭で遊んで、それから三時のおやつまで三十分あるから、祖母が絵本を読んでくれると屋敷の中へ戻ったの。そこで両親が喧嘩しているのを見たわ……」
「それじゃあ、時刻が十年前のおばあさんの誕生日の、午後二時三十分頃っていうのははっきりしてるんだ? おばあさんの誕生日は……、七月三十日?」
ノートのメモ書きを見て言うと、那波は無言でうなずく。
「今月末か……。夏休みに入ってるね。八月一日は花火大会があるよね」
「その頃には何もかも元通りになってるといいわ。私ね、花火大会って行ったことないの。またあなたとわたがしが食べたいわ」
「え……、あ、そうだね。一緒に行けるんだ……。なんか嬉しいな」
ほんのり胸が熱くなる。
那波はもしかしたら俺との関係に前向きなのかもしれないなんて誤解したくなる。
「私も嬉しいって気持ち、知りたいわ」
「大丈夫だよ。飛流さんの中にはもうその感情はあるんだ。ただ感じ方を知らないだけだよ。俺はそう思うよ」
那波に足りないものなんてない。そう伝えたい。
「木梨くんは……、いい人ね。もし再現が失敗しても、また別の道があるような気がしてくるわ」
「道はいくらでもあるよ。一本道しかない人生なんてないんだから」
「……いろんな可能性を考えてみるわ」
「俺も手伝うよ。そのぐらいしか出来ないから」
「木梨くん、ありがとう。その前に期末試験の勉強なら私も手伝うわ。今日は何の勉強を?」
「あ、いいかな。なんか心強いな」
鞄から早速、勉強道具を取り出す俺を見て、那波は少しだけ口元に笑みを浮かべた。
「いいのよ。私もそのぐらいしかあなたに出来ることはないわ」
「そんなことないよ。ああ、そうだ。安藤先生から聞いたよ、弓道部復活の話。飛流さんがそんなこと言い出したの、もしかして俺のため、かな?」
なんてうぬぼれだろう、と言いながら思ったが、那波は拍子抜けするぐらい平然とうなずく。
「ええ、そうよ。木梨くんは弓道を続けた方がいいと思ったの。芽依も一緒に父にお願いしてくれたから実現するかもしれないわ。その時は木梨くんに入部してもらいたいって思ってるの」
「飛流さんの気持ちは嬉しいけど、俺はこのまま心理学研究部にいたいかな」
「心理学研究部は廃部にするわ」
「え、どうして?」
「存続意義がないからよ。父もそれなら納得するかもしれないわ」
那波は大事なことをいつも勝手に決めてしまうようだ。
「交換条件? 心理学研究部を廃部にする代わりに、弓道部を復活させるって?」
「そういうわけではないの。心配しなくていいのよ。私はただ、木梨くんの弓道が素晴らしいって思ったから、何かできたらと思っただけなの」
「俺なんか別に」
「卑下することないわ。木梨くんにはいつでも会えるもの。部はなくなってもかまわないわ」
「え、……いつでも会える?」
「私はそう思ってるわ」
「あ、そうか。そうなんだ……、そっか」
いつでも会えるならいいのかなと頷いてしまうが、まるで心理学研究部に入部したのは那波目当てだったと不純な気持ちを認めたような気もする。
しかし、那波は一向に気にする様子もなく、目を細めて俺を眺めると、「また弓道が出来るといいわね」と言って、教科書に視線を落とした。
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