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強欲な甘い過去
デザイナーにならない?
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***
仕事中の佑磨さんと合流したのは、お昼すぎだった。
リージェスホテル東京店に入る、ハルカ・モトミヤのドレスショップで待ち合わせ。彼は先に来ていて、天ヶ瀬さんがホテルの入り口で私を待ってくれていた。
「お仕事中なのに、よかったんですか?」
エマさんとの打ち合わせに佑磨さんがいてくれるのは心強いけれど、わざわざ時間を割いてもらわなくても、と思っていた。
「海堂リゾートとしても、エマさんと打ち合わせがあるからいいんですよ」
「それならいいけど」
「つばささんはお優しいですね。気遣いのできる、お優しいつばささんが私は好きですよ」
「え……」
「誤解されそうですので、佑磨さんの前では言えませんが、そう思っています」
「あ、ありがとうございます」
ぺこりと頭をさげると、天ヶ瀬さんは微笑ましげに私を見つめる。佑磨さんの初々しい妻の成長を見守るような目をするのだ。
「では、参りましょうか」
天ヶ瀬さんは表情を引き締めると、私を連れてドレスショップに進み入った。
リージェスホテルに到着したときから感じていたが、ショップに入った途端、ますます強い視線を感じた。
それは、好奇心だろう。佑磨さんの妻はどんな女性か。誰もが興味を持っているのだ。
受付の女の人と目が合い、思わずうつむいてしまいそうになるが、背筋を伸ばして堂々と会釈した。
柔らかな笑みを心掛ければ、空気が和らぐ。海堂佑磨の妻である私を受け入れてくれた証拠に思えた。
上々です。とでも言いたげに、天ヶ瀬さんは笑むと、佑磨さんの待つ会議室へ案内してくれる。
「ああ、つばさ。ちょうどよかった」
会議室へ入ると、佑磨さんが立ち上がる。
「お仕事の打ち合わせは終わられたんですか?」
「ちょうど今ね。紹介しよう。彼女が本宮エマさん。こちらは、妻のつばさ」
彼の紹介で、金髪の女の人が会釈する。
本宮遥香はハリウッド俳優と事実婚したと聞いていたけれど、エマさんは美しい金髪を父親から譲り受けたのだろう。薄い茶色の瞳や、きめの細かい白い肌も、うっとりとしてしまうほど、きれいだった。
「佑磨に、エマさんなんて紹介されると変な感じ。はじめまして、つばさ。私のことは、エマって呼んで」
握手を求められて手を差し出すと、軽くハグされる。甘い香水が彼女の愛らしさを際立たせているが、すごく気さくな人だ。
「佑磨、すごくかわいい人ね。写真で見るより、小柄でキュート。佑磨にお似合い」
「あたりまえだ」
「かわいいだけじゃないものね、佑磨が選んだ人は才能あふれる方」
「どういう意味だ?」
「あら、知らないの? つばさ、デザイナーになるといいと思うわ」
佑磨さんは眉をひそめて、ビジネスバッグからファイルを取り出すエマさんを見る。
「座って。和希は……、まあ、お任せするわ」
エマさんは天ヶ瀬さんとも呼び捨てにし合う仲みたい。そして、彼がいすを勧められても座らない人だと知ってる。
私は佑磨さんと並んで腰かけ、エマさんの差し出すファイルに目を落とす。
「あ……っ」
驚いて、息を飲む。
それは、私が思うがままに書いた、アクセサリーのデザイン画だった。
仕事中の佑磨さんと合流したのは、お昼すぎだった。
リージェスホテル東京店に入る、ハルカ・モトミヤのドレスショップで待ち合わせ。彼は先に来ていて、天ヶ瀬さんがホテルの入り口で私を待ってくれていた。
「お仕事中なのに、よかったんですか?」
エマさんとの打ち合わせに佑磨さんがいてくれるのは心強いけれど、わざわざ時間を割いてもらわなくても、と思っていた。
「海堂リゾートとしても、エマさんと打ち合わせがあるからいいんですよ」
「それならいいけど」
「つばささんはお優しいですね。気遣いのできる、お優しいつばささんが私は好きですよ」
「え……」
「誤解されそうですので、佑磨さんの前では言えませんが、そう思っています」
「あ、ありがとうございます」
ぺこりと頭をさげると、天ヶ瀬さんは微笑ましげに私を見つめる。佑磨さんの初々しい妻の成長を見守るような目をするのだ。
「では、参りましょうか」
天ヶ瀬さんは表情を引き締めると、私を連れてドレスショップに進み入った。
リージェスホテルに到着したときから感じていたが、ショップに入った途端、ますます強い視線を感じた。
それは、好奇心だろう。佑磨さんの妻はどんな女性か。誰もが興味を持っているのだ。
受付の女の人と目が合い、思わずうつむいてしまいそうになるが、背筋を伸ばして堂々と会釈した。
柔らかな笑みを心掛ければ、空気が和らぐ。海堂佑磨の妻である私を受け入れてくれた証拠に思えた。
上々です。とでも言いたげに、天ヶ瀬さんは笑むと、佑磨さんの待つ会議室へ案内してくれる。
「ああ、つばさ。ちょうどよかった」
会議室へ入ると、佑磨さんが立ち上がる。
「お仕事の打ち合わせは終わられたんですか?」
「ちょうど今ね。紹介しよう。彼女が本宮エマさん。こちらは、妻のつばさ」
彼の紹介で、金髪の女の人が会釈する。
本宮遥香はハリウッド俳優と事実婚したと聞いていたけれど、エマさんは美しい金髪を父親から譲り受けたのだろう。薄い茶色の瞳や、きめの細かい白い肌も、うっとりとしてしまうほど、きれいだった。
「佑磨に、エマさんなんて紹介されると変な感じ。はじめまして、つばさ。私のことは、エマって呼んで」
握手を求められて手を差し出すと、軽くハグされる。甘い香水が彼女の愛らしさを際立たせているが、すごく気さくな人だ。
「佑磨、すごくかわいい人ね。写真で見るより、小柄でキュート。佑磨にお似合い」
「あたりまえだ」
「かわいいだけじゃないものね、佑磨が選んだ人は才能あふれる方」
「どういう意味だ?」
「あら、知らないの? つばさ、デザイナーになるといいと思うわ」
佑磨さんは眉をひそめて、ビジネスバッグからファイルを取り出すエマさんを見る。
「座って。和希は……、まあ、お任せするわ」
エマさんは天ヶ瀬さんとも呼び捨てにし合う仲みたい。そして、彼がいすを勧められても座らない人だと知ってる。
私は佑磨さんと並んで腰かけ、エマさんの差し出すファイルに目を落とす。
「あ……っ」
驚いて、息を飲む。
それは、私が思うがままに書いた、アクセサリーのデザイン画だった。
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