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冗談で?
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俺の腕の中で泣きながら、茉莉は眠りについた。
濡れるまつげ、赤くなった鼻先、震える唇。眠りについていてもなお涙が流れ続けるのは、無意識に男のことを考えているからか。
乱れた髪からゴムをはずし、指で梳いてやる。さらさらと指の間を抜けていく黒髪は思いのほか柔らかい。
色白な肌も小さな顔も、ハッとするほど目を惹くわけではないのに清潔感があって綺麗だ。
男が茉莉を手放さない理由もわかる気がする。ならばなぜ、結婚しないのだろうとも思う。
結婚するなら賢い女性を選ぶべきだ。少し抜けたところもある女性なら、一緒にいて息苦しくもないだろう。
茉莉はそのどちらも兼ね備えた女性だ。
プロポーズを断るということは、恋人としても終わるということだ。
茉莉の男はそんな簡単なことにも気づかないような男なのだろうか。
結婚は確約しないのに、何食わぬ顔で恋人として付き合っていこうなどと言える男に固執する茉莉もまたどうかしている。
茉莉が魅力的であるのと同様、それほどに魅力のある男か___
「ああ……」
息をついて、天井をあおぐ。
俺はいったい何をやっているんだ。
茉莉を抱き上げる。しっかりと俺の服をつかむ彼女の小さな手に胸が熱くなるのを感じながら、ベッドルームのドアをひじで開く。
乱れたベッドの上に勢いよく投げ捨てたパジャマが散らかる。
ちょっと笑って、茉莉をベッドに寝かせ、パジャマをドレッサーの椅子に引っかける。
「気を許しすぎだ」
ぽつりとつぶやいて、人差し指で茉莉の唇に触れてみる。いまだすすり泣きを続ける唇は柔らかい。
「帰るか……」
そうつぶやいて立ち上がろうとしたとき、茉莉の手が俺の袖をつかむ。
「君の彼氏じゃないんだけどな」
あきれながら、右腕を茉莉に預けたままベッドにもたれるようにして座る。
そのまままぶたを落としたら、茉莉の呼吸音がやけに強調されて聞こえてくる。
次第に落ち着いていく呼吸に合わせて、俺をつかんでいた茉莉の手が離れていく。
ふたたびまぶたをあげた時には、茉莉は穏やかな寝顔を見せていた。
彼女のひたいに手を置き、そのまま髪をゆるりとなでる。
「少し君は頑張りすぎだ」
ブランケットを肩までかけてやり、茉莉から離れる。
リビングに戻ると、ローテーブルの上でスマホが音を立てていた。
ソファーに腰を下ろしながら、ディスプレイに表示された『夏也』という文字をしばらく眺める。
「意外と、しつこいらしい」
長く鳴り続けるスマホに苦笑しつつ、もう冷めてしまったコーヒーを口に運んだ。
俺の腕の中で泣きながら、茉莉は眠りについた。
濡れるまつげ、赤くなった鼻先、震える唇。眠りについていてもなお涙が流れ続けるのは、無意識に男のことを考えているからか。
乱れた髪からゴムをはずし、指で梳いてやる。さらさらと指の間を抜けていく黒髪は思いのほか柔らかい。
色白な肌も小さな顔も、ハッとするほど目を惹くわけではないのに清潔感があって綺麗だ。
男が茉莉を手放さない理由もわかる気がする。ならばなぜ、結婚しないのだろうとも思う。
結婚するなら賢い女性を選ぶべきだ。少し抜けたところもある女性なら、一緒にいて息苦しくもないだろう。
茉莉はそのどちらも兼ね備えた女性だ。
プロポーズを断るということは、恋人としても終わるということだ。
茉莉の男はそんな簡単なことにも気づかないような男なのだろうか。
結婚は確約しないのに、何食わぬ顔で恋人として付き合っていこうなどと言える男に固執する茉莉もまたどうかしている。
茉莉が魅力的であるのと同様、それほどに魅力のある男か___
「ああ……」
息をついて、天井をあおぐ。
俺はいったい何をやっているんだ。
茉莉を抱き上げる。しっかりと俺の服をつかむ彼女の小さな手に胸が熱くなるのを感じながら、ベッドルームのドアをひじで開く。
乱れたベッドの上に勢いよく投げ捨てたパジャマが散らかる。
ちょっと笑って、茉莉をベッドに寝かせ、パジャマをドレッサーの椅子に引っかける。
「気を許しすぎだ」
ぽつりとつぶやいて、人差し指で茉莉の唇に触れてみる。いまだすすり泣きを続ける唇は柔らかい。
「帰るか……」
そうつぶやいて立ち上がろうとしたとき、茉莉の手が俺の袖をつかむ。
「君の彼氏じゃないんだけどな」
あきれながら、右腕を茉莉に預けたままベッドにもたれるようにして座る。
そのまままぶたを落としたら、茉莉の呼吸音がやけに強調されて聞こえてくる。
次第に落ち着いていく呼吸に合わせて、俺をつかんでいた茉莉の手が離れていく。
ふたたびまぶたをあげた時には、茉莉は穏やかな寝顔を見せていた。
彼女のひたいに手を置き、そのまま髪をゆるりとなでる。
「少し君は頑張りすぎだ」
ブランケットを肩までかけてやり、茉莉から離れる。
リビングに戻ると、ローテーブルの上でスマホが音を立てていた。
ソファーに腰を下ろしながら、ディスプレイに表示された『夏也』という文字をしばらく眺める。
「意外と、しつこいらしい」
長く鳴り続けるスマホに苦笑しつつ、もう冷めてしまったコーヒーを口に運んだ。
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