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満月は、吉兆か凶兆か
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「仲の良いご姉妹だったのですよね。惣一郎さんが千隼さんのことはあまり知らないとおっしゃっていたので、いとこなのにと、ふしぎに思っていました」
「俺たちは異母兄弟です。ですから、惣一郎さんが俺をどう思っていたかは知りません」
「え、異母兄弟……? でも、そうですよね。葉月さまは惣一郎さんをお産みになったあと亡くなられて……確か、千隼さんは惣一郎さんの二つ年下」
葉月が亡くなった後に生まれた千隼さんが、葉月の子であるはずはない。
少々、混乱しつつも、つじつま合わせするように、私たちは話を続けた。
「そうです。惣一郎さんの世話のため、母が西園寺家に出入りするうち、武彦が見そめたのです。ふたりは一時、恋仲でした。しかし、母は姉の葉月さんを差し置いて、西園寺家に嫁ぐのを拒んだのです」
自身の母の恋愛話は気まずいのだろう。苦々しげに、彼はそう話す。
「抜け駆けするようなお気持ちになられたのでしょうか。愛し合っていたのなら……と、思ってしまいます」
「綿貫家もそれなりの名家ですから、西園寺家の後妻におさまるとなれば、何かと醜聞を立てられるのは、必至。それは不本意だったでしょう。……ああ、綿貫家は母の生家です。綿貫の祖父母は、ふたりのただならぬ仲に気づいて、二葉にお見合いを勧めたのですよ」
「そのお見合い相手というのが、桐生のおじさま?」
桐生家も、歴史ある立派なお家柄。お見合い相手には申し分ない方だっただろう。
「はい。桐生清輝との結婚が決まった後、母は武彦との子を身籠もっていることに気づいたのです」
「それじゃあ、やっぱり、千隼さんは……」
「状況から考えて、西園寺武彦の子の可能性は高いですね。もっとも、DNA鑑定は済んでいます。可能性どころか、間違いなく、俺は武彦の子ですよ」
言葉じりに失笑が含んだように感じる。
「大丈夫ですか? 千隼さん」
怒りともあきれとも言えない、投げやりな表情をする千隼さんを案じてしまう。彼が深く傷ついているような気がしたのだ。しかし、彼はゆるりと首を振る。
「心配いりませんよ。昨日今日知った話ではありませんから。それに、桐生清輝は事実を知りながら、俺を実の息子として認知し、大切に育ててくれました。官僚にまでなれたのは、父、桐生のおかげです。それより、つゆりさんの方こそ、大丈夫ですか? いくら、西園寺家のためとはいえ、西園寺さんの提案は無謀すぎる」
たくさんの悩みを抱える彼のはずなのに、私を気づかってくれる優しさに恐縮してしまう。
「いえ……、大丈夫です。私は西園寺家に嫁ぐために生まれたようなものです。与えられた使命をまっとうしたいと考えています」
率直な思いを口にする。後戻りする気は毛頭なかった。
「俺との子を望むと?」
いぶかしむように、彼は問う。
「どのようなことになろうとも、西園寺家に尽くすと覚悟はしてまいりました。千隼さんがご協力くださるのでしたら、受け入れる覚悟はあります」
「覚悟ですか?」
身体を重ねることに覚悟がいるなら、やめた方がいい。そう言いたげに、彼は眉をひそめた。
そこで、ようやく気づく。彼も同じ条件に立たされていることに。
「俺たちは異母兄弟です。ですから、惣一郎さんが俺をどう思っていたかは知りません」
「え、異母兄弟……? でも、そうですよね。葉月さまは惣一郎さんをお産みになったあと亡くなられて……確か、千隼さんは惣一郎さんの二つ年下」
葉月が亡くなった後に生まれた千隼さんが、葉月の子であるはずはない。
少々、混乱しつつも、つじつま合わせするように、私たちは話を続けた。
「そうです。惣一郎さんの世話のため、母が西園寺家に出入りするうち、武彦が見そめたのです。ふたりは一時、恋仲でした。しかし、母は姉の葉月さんを差し置いて、西園寺家に嫁ぐのを拒んだのです」
自身の母の恋愛話は気まずいのだろう。苦々しげに、彼はそう話す。
「抜け駆けするようなお気持ちになられたのでしょうか。愛し合っていたのなら……と、思ってしまいます」
「綿貫家もそれなりの名家ですから、西園寺家の後妻におさまるとなれば、何かと醜聞を立てられるのは、必至。それは不本意だったでしょう。……ああ、綿貫家は母の生家です。綿貫の祖父母は、ふたりのただならぬ仲に気づいて、二葉にお見合いを勧めたのですよ」
「そのお見合い相手というのが、桐生のおじさま?」
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「はい。桐生清輝との結婚が決まった後、母は武彦との子を身籠もっていることに気づいたのです」
「それじゃあ、やっぱり、千隼さんは……」
「状況から考えて、西園寺武彦の子の可能性は高いですね。もっとも、DNA鑑定は済んでいます。可能性どころか、間違いなく、俺は武彦の子ですよ」
言葉じりに失笑が含んだように感じる。
「大丈夫ですか? 千隼さん」
怒りともあきれとも言えない、投げやりな表情をする千隼さんを案じてしまう。彼が深く傷ついているような気がしたのだ。しかし、彼はゆるりと首を振る。
「心配いりませんよ。昨日今日知った話ではありませんから。それに、桐生清輝は事実を知りながら、俺を実の息子として認知し、大切に育ててくれました。官僚にまでなれたのは、父、桐生のおかげです。それより、つゆりさんの方こそ、大丈夫ですか? いくら、西園寺家のためとはいえ、西園寺さんの提案は無謀すぎる」
たくさんの悩みを抱える彼のはずなのに、私を気づかってくれる優しさに恐縮してしまう。
「いえ……、大丈夫です。私は西園寺家に嫁ぐために生まれたようなものです。与えられた使命をまっとうしたいと考えています」
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「俺との子を望むと?」
いぶかしむように、彼は問う。
「どのようなことになろうとも、西園寺家に尽くすと覚悟はしてまいりました。千隼さんがご協力くださるのでしたら、受け入れる覚悟はあります」
「覚悟ですか?」
身体を重ねることに覚悟がいるなら、やめた方がいい。そう言いたげに、彼は眉をひそめた。
そこで、ようやく気づく。彼も同じ条件に立たされていることに。
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