冥婚の花嫁は義弟に愛を注がれる

水城ひさぎ

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寄り添う心に新たな出会い

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 部屋の中央に、布団が二式敷かれている。俺がいつ来てもいいように、毎日敷いてくれている。

 つゆりは布団の中で丸くなって眠っていた。

 枕元の灯りに照らされる表情は、どことなく疲れていて、悲しげだ。一人でいると、惣一郎を失った悲しみと向き合ってしまうのかもしれない。

 ひざを折り、彼女の頭をそっとなでる。すると、意外にも、パッと目を開く。

「あ……、起こしてしまったね」

 あやまると、つゆりは上体を起こし、首を振った。

「お待ちしてるつもりでしたのに、眠ってしまって……」
「待っていてくれるのはうれしいが、待たなくていいんだよ。それより、何かありましたか?」

 問うと、彼女はわずかに唇を震わせた。やはり、何かあったのだ。

「話してください。一人で悩むのは良くない」
「悩むわけではなくて……」

 つゆりはつぶやくように言って、俺の方へひざを進めてくる。さみしいのだと思って、すぐさま抱きしめる。すると、彼女は俺の胸にしがみついて、顔をうずめてきた。

「惣一郎さんが……、帰ってきたんです。西園寺さまに呼ばれて、それで……。惣一郎さんがお骨になって……」

 たどたどしく、つゆりは断片的な記憶を語る。

 震える彼女を抱きしめる腕に力が入る。

「もう、言わなくていいです。西園寺家に帰ってきたのですね。それはいいことですよ。あのまま、病院の暗い部屋に閉じ込められている方が不幸なのです」
「わかっていたのに、ひどく驚いてしまって……」
「順序が間違っているから、そうなるのですよ。いろいろと呪いたくなります」

 怒りすら湧く。

 惣一郎の死や、武彦の提案で幸せになれたものなど一人もいない。

「呪うだなんていけないです。西園寺さまも苦しんでおられます」
「そうでしょう。そうでなければ、こんな愚策、思いつかないでしょう。もう、やめますか? こんな形で子を作るなんて、最初から無理だったんですよ」

 怒りに任せて言い放つと、絶望感に満ちたつゆりがすがりついてくる。

「やめません。……私の希望まで奪わないでください」

 思いもよらない言葉に、溜飲が下がる。

「希望になりますか? 惣一郎さんではなく、俺との子が」

 愛していない男の子どもを育てられるのか。その心配は徒労だと、すぐに否定する。つゆりなら、立派に育ててくれるだろう。

「はい。……抱いてください。千隼さんがお疲れでないなら」

 ほんのり、ほおが染まる。なんて、愛おしいのだろう。つゆりに求められる夜を拒むはずがない。

「疲れてなどいませんよ。つゆりを抱かない夜は考えられない」

 ネクタイをゆるめ、素早くつゆりの唇を奪う。惣一郎がちらつく脳裏を、俺でいっぱいにするように、丁寧に口づけていく。

 パジャマのボタンをはずし、胸もとを開く。闇の中に、わずかな灯りを受けた真っ白な肌が浮かび上がる。そのふくらみに手のひらをあて、優しく触れていく。

「千隼さん……」

 恥ずかしそうに俺の名を呼ぶつゆりはもう、俺の腕の中で溺れるいつもの彼女だ。

「美しいです。どうしてこんなにも、美しいのか……」

 パジャマをすべて脱がし、ふくらみの頂きに口づける。身をのけぞらせる彼女の腰を引き寄せて、ベルトをはずす。

 ふたたび、唇を奪い、幾重にも重ねながら、自身を彼女にうずめる。性急すぎたかと思ったが、俺に何度も抱かれた身体はすぐに受け入れた。

 甘い息を吐くつゆりの首筋にキスをして、なめらかな背中に指を這わせる。そのまま手を下にさげていき、腰をつかむ。

「千隼さ……んっ」
「もっと揺らして」

 俺の肩に手を置き、腰を浮かせたつゆりは従順だった。

 俺しか知らず、俺の言いつけを守り、俺と喜びを分かち合う。あと何度、つゆりを抱けるだろう。

 子ができたら、つゆりは惣一郎と結婚する。

 本当に、死者と結婚する気か。しかし、つゆりが冥婚を望み、それが幸せだと信じるなら、俺はやはり拒めないのだ。

 それほど、つゆりを愛している。

 何が起きても後悔しないように、今夜もまた隅々まで堪能し、彼女の望みを叶えるべく、愛を注ぎ込む。
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