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見せられないカラダと刻印
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「ごめんなさい。ほんのちょっとした出来心というのか……」
上目遣いでサンを見れば、無表情にジッと見つめられて、「ごめんなさいっ」ともう一度深く頭を下げる。
「ベリル様がお気づきになられたから良かったものの……。マリンがいないと気づいた時は本当に心配しましたよ」
ようやくサンは表情をゆるめて息をつく。
「ベリル王子にそんな能力があるなんて思わなかったわ」
「知っていたら王宮を抜け出そうだなんて思わなかったわけではないでしょう? マリン、あなたはご自分の立場を考えなければ」
あきれるサンはクローゼットから取り出したドレスを腕にかける。
「そうは言うけど、サン……」
「ベリル様も昨夜は久しぶりにぐっすりお休みになられたそう。今夜もマリンが必要だとおっしゃられてますよ」
「ひ、必要って……」
「ベリル様がご心配なさるようなことをしてはいけませんよ」
そう言って、サンは椅子の背にドレスを引っかけ、真凛のワンピースに手をかける。
夜着として着用する髪結のワンピースは、上半身だけ前身が開くようになっている。
着替えやすくしてあるのかと思っていたが、ベリルにたやすく脱がされたことから察するに、それを目的にしているのだろう。
「心配って……、セオ王子に会っただけよ」
サンに手伝ってもらいながらドレスに着替える。胸にあるあざを見ても表情を歪めたりしない彼女には素肌を見せることができる。
鏡で全身を眺める。装飾のない質素なドレスだが、身体のラインが綺麗に現れる。身が引き締まるような気がするから不思議だ。
「朝の散策は日課にされているようですね。毎日のように横笛の音が聞こえますよ」
「ここから笛の音が?」
パッと表情が華やぐ。またセオに会えるかもしれない。
「まあ、ずいぶんとセオ様を気に入られたご様子」
「セオ王子もベリル王子みたいに優しかったわ。王宮を抜け出そうとしたから、ベリル王子とうまくいってないなんて誤解して、俺の髪結にならないかって言ってくれたの」
「セオ様の髪結にと?」
サンは怪訝そうにする。
「そうよ。おかしい?」
「王子自らそれを望むのは、この国では求愛を意味しているんですよ」
「えっ! 求愛? ……でもほら、ベリル王子も私を髪結にと言ってくれたでしょ?」
「ベリル様はマリンの事情をご存知の上で便宜上決断されたのです。何もご存知ないセオ様がそのようなことを言われたのでは心配です」
ひどく思い悩むような眼差しをサンがするから、真凛はわざとあっけらかんと答える。
「大丈夫よ、サン。セオ王子はそんなつもりで言ったわけじゃないと思うし、いざとなれば真実を話せばいいわ」
「しかしマリン……」
「私だって無用な心配はかけさせたくないけど、弟なんだもの。これきり会えなくなるのはさみしいわ」
それでも納得できない様子のサンの表情は曇っていたが、真凛は「大丈夫よ」とにっこり笑った。
「ごめんなさい。ほんのちょっとした出来心というのか……」
上目遣いでサンを見れば、無表情にジッと見つめられて、「ごめんなさいっ」ともう一度深く頭を下げる。
「ベリル様がお気づきになられたから良かったものの……。マリンがいないと気づいた時は本当に心配しましたよ」
ようやくサンは表情をゆるめて息をつく。
「ベリル王子にそんな能力があるなんて思わなかったわ」
「知っていたら王宮を抜け出そうだなんて思わなかったわけではないでしょう? マリン、あなたはご自分の立場を考えなければ」
あきれるサンはクローゼットから取り出したドレスを腕にかける。
「そうは言うけど、サン……」
「ベリル様も昨夜は久しぶりにぐっすりお休みになられたそう。今夜もマリンが必要だとおっしゃられてますよ」
「ひ、必要って……」
「ベリル様がご心配なさるようなことをしてはいけませんよ」
そう言って、サンは椅子の背にドレスを引っかけ、真凛のワンピースに手をかける。
夜着として着用する髪結のワンピースは、上半身だけ前身が開くようになっている。
着替えやすくしてあるのかと思っていたが、ベリルにたやすく脱がされたことから察するに、それを目的にしているのだろう。
「心配って……、セオ王子に会っただけよ」
サンに手伝ってもらいながらドレスに着替える。胸にあるあざを見ても表情を歪めたりしない彼女には素肌を見せることができる。
鏡で全身を眺める。装飾のない質素なドレスだが、身体のラインが綺麗に現れる。身が引き締まるような気がするから不思議だ。
「朝の散策は日課にされているようですね。毎日のように横笛の音が聞こえますよ」
「ここから笛の音が?」
パッと表情が華やぐ。またセオに会えるかもしれない。
「まあ、ずいぶんとセオ様を気に入られたご様子」
「セオ王子もベリル王子みたいに優しかったわ。王宮を抜け出そうとしたから、ベリル王子とうまくいってないなんて誤解して、俺の髪結にならないかって言ってくれたの」
「セオ様の髪結にと?」
サンは怪訝そうにする。
「そうよ。おかしい?」
「王子自らそれを望むのは、この国では求愛を意味しているんですよ」
「えっ! 求愛? ……でもほら、ベリル王子も私を髪結にと言ってくれたでしょ?」
「ベリル様はマリンの事情をご存知の上で便宜上決断されたのです。何もご存知ないセオ様がそのようなことを言われたのでは心配です」
ひどく思い悩むような眼差しをサンがするから、真凛はわざとあっけらかんと答える。
「大丈夫よ、サン。セオ王子はそんなつもりで言ったわけじゃないと思うし、いざとなれば真実を話せばいいわ」
「しかしマリン……」
「私だって無用な心配はかけさせたくないけど、弟なんだもの。これきり会えなくなるのはさみしいわ」
それでも納得できない様子のサンの表情は曇っていたが、真凛は「大丈夫よ」とにっこり笑った。
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