5 / 13
第一章 EIの世界 2019年
第一章 EIの世界 その4
しおりを挟む
少し昔、銀行マンや商社マン達が苦いコーヒーを飲みながら夜遅くまで働いていたものだが、EIが仕事の大部分を担うようになって彼らも夕方退社できるようになったらしい。自由時間を得た高給取り達は各々の消費に走り経済に貢献してくれる。数年前に比べて街が活気に満ちているのは気のせいではないだろう。
夕日が東京のオフィス街を淡く黄昏色に染め,仕事帰りの客で駅近くの喫茶店が混み始めた頃、本社上の自宅に帰る前、私は時々この店、トリスタンに来る。白熱電球がオレンジ色に照らす喫茶店内は、オーナーの趣味か古めかしいイギリスのバーの様な雰囲気の内装だ。店に入った瞬間時間の流れが変わったような感覚にとらわれる。
「いつものよろしく」
初老のマスターにそう言って私は店全体が見渡せる奥まった席に腰掛けた。ここがお気に入りなのだ。帰宅ラッシュの少し前に退社する(私の特権だ)から大体好きなところにすわることができる。働く時間をコントロールできることはいいことだ。All things are under my control。人生の主導権は自分の手にあるべきなのだ。
カラン、とドアのベルが揺れた。
入口を見ると、古い友人が出来るOLといった風貌で入店してくるのが見えた。
佐々木花、高校時代バレー部で苦楽を共にした友人だ。今でも月に一度くらい会うことがある。立場もなく、気楽に付き合える数少ない親友。いつの時代も彼女のような存在は大切にしなければならないと思う。世の中がインターネットで繋がって便利になっても、人と人との繋りは大切だ。
花はたしか大手商社でバリバリ働いていた気がする。彼女が夕時までに仕事を終えられることが自分の開発したEIのおかげだと思うと少し嬉しい。
「やあ」私は右手を上げた。
「そういえば、さ。彼とはどうなの?もうずいぶんになるでしょ?」
二時間近く雑談に花を咲かせた後のことだった。話の切れ目が見えた時、花は急にそう聞いてきた。
「彼?」
「Aのことだよ。あんたたちは大学生からずっと一緒に居るじゃない?もう10年くらい?あたしはずっと付き合ってるもんだと思っていたけど、違うの?」
「うーん、付き合ってはいないよ。キスもセックスもしてない。私が一方的に憧れているだけって感じかな。片思いというほど強い恋愛意識は無いからそこら辺の距離感はよく分からないんだよね」
「なにそれ!中学生じゃないんだから。お互い好意を持っているのは確かなんでしょ?もういい歳なんだから今後の身の振り方も考えた方が良いんじゃない?お節介なんだけどね」
「分かってるよ。多分。ただ今は、今のままの関係が心地よくて、仕事を含めて日々が充実してるから変化させたくないだけなの」
「なの、じゃないわよ!まったく・・・。仕事もできる、顔も悪くない、何より長い時間を苦も無く共に過ごせる存在って、結構貴重なのよ?あんたはそんな相手がいる幸せを分かっていないし・・・、傍から見てるあたしの身にもなってよ」
「そう言われてもな~。花はどうなのさ?ここ数年は会うたびに付き合っている男が変わっていて長続きしていないみたいだけど」
「余計なお世話!後、話を逸らさない。あたしみたいなどこにでも居るキャリアウーマンの恋愛事情なんてどうでも良いのよ。世界中を股にかけて活躍する企業の、そのトップ二人の男女の恋愛事情の方が重要だし、気になるのよ。あたしがね」花はふんっ、と鼻を鳴らして一息ついた。
ちょうどそのタイミングで頼んでいたホットコーヒーとモンブランが運ばれてくる。話の区切り目にはちょうど良い。花がなにか言う前にモンブランを口に運び、その後に芳醇な香りをさせているコーヒーを口に運んだ。
親友のお節介には困ったものだと思いながらも、そうやって心配してくれる心優しい花に心のなかで感謝しておく。私は良い友人を持った。花も、AもBもCも、そしてヒカリも。彼ら、彼女らのような素晴らしい人間に比べて私はあまりにも凡庸で、我ながら情けなくなるが、それを差し引いてなお余りあるほどに私は他人との巡り合わせに恵まれている。
コーヒーを半分ほど飲んでテーブルにカップを置く。椅子の背もたれに体重をかけ、天井を見上げると格子柄の模様のライトが吊り下がっていた。ぼんやりとした視線を送りながら、花の言ったことについて思考を巡らせる。
Aは私のあこがれの存在だった。特段容姿が優れているわけではないが、所謂天才的な頭脳の持ち主だった。彼の思考は私の知る限り誰よりも早く、そして誰よりも深い洞察を含んでいた。 出会ったのは大学の時だった。二回生の時に同じ専攻を取って、彼の存在を知った。彼は大学では余り目立つタイプの人間ではなかったけれど、私には不思議な存在感を持っているように見えた。
ある講義を受けた際にAと私の二人で一つのレポートを作製することになった。内容は【日本の教育制度の概要と問題点、改善案について】だった。今でもよく覚えている。理系の大学でも一般教養の単位を取ることが義務化されており、そんな科目の中の一つだった。
塾講師のアルバイトをしていたこともあって私には得意なトピックだった。論述したいことはいくらでも思いついた。でもペアのAはどうだろう?彼がレポートの作製を一任してくれるなら私の好きなように書き上げてしまおうと思った。逆に彼なりの意見を出してくれるなら、意見をぶつけてディスカッションしてみてもいいと。
結果は後者だった。しかもAはまるで大学教授が如く多角的な視点で見た日本教育についての彼の見解を示してきた。情報量と理論の緻密さは私の考えていたものを遥かに上回るレベルのものだった。レポート堤出の締め切りまでは課題が出されてから二週間もあったが、Aからあふれだす意見を検証し、夢中になってディスカッションしているとあっという間に時間が過ぎてしまい締め切り二日前からは二人がかりで徹夜でレポートを仕上げる羽目になった。ただ眠かったし、忙しかったけれど、彼とのディスカッションは楽しかった。
結果として、最終的に提出したレポート枚数はA4用紙58枚に及んだ。自分で言うのもアレだけれど、内容は非常に高レベルでウィットに富んだ考察が加えられて、枚数は少ないが文系の修士論文のような高密度の物ができた。実際提出先の講師から電話がかかってきて、学会で使いたいという旨の相談を受けたことからその内容についてはお墨付きを貰えたと思っていいものだと思う。
さておき、これが私とAとの最初の出会いだった。その講義の後、Aと会うことは暫くなかったが、私のなかにAという切れ者が居るという事実はいつまでも残り続けた。
それから2年近くが経って研究室配属されるとき、私はAと同じ研究室に入ることになった。実はBとCも同じ研究室だったのだけど、彼らは失礼ながら私の眼中になかったし、Aの話とは関係ないからここでは置いておこう。
それからだいたい七年。ひょんなきっかけから初のEIであるヒカリを生み出し、綿密な計画のもと起業して今に至るまでAと私は常に良いパートナー関係を築いていた。恋愛ではなく、友情に似た関係だ。お互いの性を意識したことは殆どなかった。
花にも言ったけれど、私はAとのそんな心地良い関係に甘んじている。変えなくてもいいのなら、そのままでいいと思っている。Aは私のことをどう思っているだろう?恋愛感情を抱いているだろうか?
まあ、どうでもいいと思う。そんな思考はよくある男女の駆け引きみたいで、私とAには当てはまりそうも無いからだ。Aが恋愛感情を抱いていようといまいと、私とAとの気持ちの位置関係は変わらないだろう。変わるのは物理的な位置関係くらいだ。駆け引きする程リスキーな関係じゃない。
それなら、一度Aに聞いてみても良い。なんだかプロポーズするみたいで恥ずかしいけれど、恥ずかしがるような間柄でもない。きっと彼の返答結果は私の人生を大きく左右することになるけれど、私ももう三十路になる。人生の分岐路は自分で決める歳だ。
思考の海から浮かび上がって、宙に浮いていた視線を下ろしていくと思案するようにこちらを見ていた花と目が合った。
「あっ、お帰り!どう結論出た?」
「うん。私からAに聞いてみるよ」
「わお!あたしが思っていたよりも何ステップも飛ばして結論に行っちゃうのね、あんた!?きっとあんたのことだから、今あたしが何言っても無駄だと思うけどね?物事には順序ってもんがあるでしょうが!親しい中にも礼儀ありって古い言葉があるように、長年苦楽を共にして連れ添った仲であるあんたとAでも、いきなりはダメだと思うの!ねえ、聞いてる!?ことの重大性をわかってる!?」
「あー、聞いてるよ」残りのコーヒーを飲みきった。
「わかってない!?」
「そうかも」
「うー、どうかAさんこんなDを救ってあげてください・・・!これでも彼女は私の親友なんです!」そう言って花はどこか遠くの神に拝むようにあさっての方向に手を合わせた。
「大袈裟だなぁー」
近くを通りがかったマスターに追加のコーヒーを注文した。彼女との雑談はまだまだ長引きそうである。
夕日が東京のオフィス街を淡く黄昏色に染め,仕事帰りの客で駅近くの喫茶店が混み始めた頃、本社上の自宅に帰る前、私は時々この店、トリスタンに来る。白熱電球がオレンジ色に照らす喫茶店内は、オーナーの趣味か古めかしいイギリスのバーの様な雰囲気の内装だ。店に入った瞬間時間の流れが変わったような感覚にとらわれる。
「いつものよろしく」
初老のマスターにそう言って私は店全体が見渡せる奥まった席に腰掛けた。ここがお気に入りなのだ。帰宅ラッシュの少し前に退社する(私の特権だ)から大体好きなところにすわることができる。働く時間をコントロールできることはいいことだ。All things are under my control。人生の主導権は自分の手にあるべきなのだ。
カラン、とドアのベルが揺れた。
入口を見ると、古い友人が出来るOLといった風貌で入店してくるのが見えた。
佐々木花、高校時代バレー部で苦楽を共にした友人だ。今でも月に一度くらい会うことがある。立場もなく、気楽に付き合える数少ない親友。いつの時代も彼女のような存在は大切にしなければならないと思う。世の中がインターネットで繋がって便利になっても、人と人との繋りは大切だ。
花はたしか大手商社でバリバリ働いていた気がする。彼女が夕時までに仕事を終えられることが自分の開発したEIのおかげだと思うと少し嬉しい。
「やあ」私は右手を上げた。
「そういえば、さ。彼とはどうなの?もうずいぶんになるでしょ?」
二時間近く雑談に花を咲かせた後のことだった。話の切れ目が見えた時、花は急にそう聞いてきた。
「彼?」
「Aのことだよ。あんたたちは大学生からずっと一緒に居るじゃない?もう10年くらい?あたしはずっと付き合ってるもんだと思っていたけど、違うの?」
「うーん、付き合ってはいないよ。キスもセックスもしてない。私が一方的に憧れているだけって感じかな。片思いというほど強い恋愛意識は無いからそこら辺の距離感はよく分からないんだよね」
「なにそれ!中学生じゃないんだから。お互い好意を持っているのは確かなんでしょ?もういい歳なんだから今後の身の振り方も考えた方が良いんじゃない?お節介なんだけどね」
「分かってるよ。多分。ただ今は、今のままの関係が心地よくて、仕事を含めて日々が充実してるから変化させたくないだけなの」
「なの、じゃないわよ!まったく・・・。仕事もできる、顔も悪くない、何より長い時間を苦も無く共に過ごせる存在って、結構貴重なのよ?あんたはそんな相手がいる幸せを分かっていないし・・・、傍から見てるあたしの身にもなってよ」
「そう言われてもな~。花はどうなのさ?ここ数年は会うたびに付き合っている男が変わっていて長続きしていないみたいだけど」
「余計なお世話!後、話を逸らさない。あたしみたいなどこにでも居るキャリアウーマンの恋愛事情なんてどうでも良いのよ。世界中を股にかけて活躍する企業の、そのトップ二人の男女の恋愛事情の方が重要だし、気になるのよ。あたしがね」花はふんっ、と鼻を鳴らして一息ついた。
ちょうどそのタイミングで頼んでいたホットコーヒーとモンブランが運ばれてくる。話の区切り目にはちょうど良い。花がなにか言う前にモンブランを口に運び、その後に芳醇な香りをさせているコーヒーを口に運んだ。
親友のお節介には困ったものだと思いながらも、そうやって心配してくれる心優しい花に心のなかで感謝しておく。私は良い友人を持った。花も、AもBもCも、そしてヒカリも。彼ら、彼女らのような素晴らしい人間に比べて私はあまりにも凡庸で、我ながら情けなくなるが、それを差し引いてなお余りあるほどに私は他人との巡り合わせに恵まれている。
コーヒーを半分ほど飲んでテーブルにカップを置く。椅子の背もたれに体重をかけ、天井を見上げると格子柄の模様のライトが吊り下がっていた。ぼんやりとした視線を送りながら、花の言ったことについて思考を巡らせる。
Aは私のあこがれの存在だった。特段容姿が優れているわけではないが、所謂天才的な頭脳の持ち主だった。彼の思考は私の知る限り誰よりも早く、そして誰よりも深い洞察を含んでいた。 出会ったのは大学の時だった。二回生の時に同じ専攻を取って、彼の存在を知った。彼は大学では余り目立つタイプの人間ではなかったけれど、私には不思議な存在感を持っているように見えた。
ある講義を受けた際にAと私の二人で一つのレポートを作製することになった。内容は【日本の教育制度の概要と問題点、改善案について】だった。今でもよく覚えている。理系の大学でも一般教養の単位を取ることが義務化されており、そんな科目の中の一つだった。
塾講師のアルバイトをしていたこともあって私には得意なトピックだった。論述したいことはいくらでも思いついた。でもペアのAはどうだろう?彼がレポートの作製を一任してくれるなら私の好きなように書き上げてしまおうと思った。逆に彼なりの意見を出してくれるなら、意見をぶつけてディスカッションしてみてもいいと。
結果は後者だった。しかもAはまるで大学教授が如く多角的な視点で見た日本教育についての彼の見解を示してきた。情報量と理論の緻密さは私の考えていたものを遥かに上回るレベルのものだった。レポート堤出の締め切りまでは課題が出されてから二週間もあったが、Aからあふれだす意見を検証し、夢中になってディスカッションしているとあっという間に時間が過ぎてしまい締め切り二日前からは二人がかりで徹夜でレポートを仕上げる羽目になった。ただ眠かったし、忙しかったけれど、彼とのディスカッションは楽しかった。
結果として、最終的に提出したレポート枚数はA4用紙58枚に及んだ。自分で言うのもアレだけれど、内容は非常に高レベルでウィットに富んだ考察が加えられて、枚数は少ないが文系の修士論文のような高密度の物ができた。実際提出先の講師から電話がかかってきて、学会で使いたいという旨の相談を受けたことからその内容についてはお墨付きを貰えたと思っていいものだと思う。
さておき、これが私とAとの最初の出会いだった。その講義の後、Aと会うことは暫くなかったが、私のなかにAという切れ者が居るという事実はいつまでも残り続けた。
それから2年近くが経って研究室配属されるとき、私はAと同じ研究室に入ることになった。実はBとCも同じ研究室だったのだけど、彼らは失礼ながら私の眼中になかったし、Aの話とは関係ないからここでは置いておこう。
それからだいたい七年。ひょんなきっかけから初のEIであるヒカリを生み出し、綿密な計画のもと起業して今に至るまでAと私は常に良いパートナー関係を築いていた。恋愛ではなく、友情に似た関係だ。お互いの性を意識したことは殆どなかった。
花にも言ったけれど、私はAとのそんな心地良い関係に甘んじている。変えなくてもいいのなら、そのままでいいと思っている。Aは私のことをどう思っているだろう?恋愛感情を抱いているだろうか?
まあ、どうでもいいと思う。そんな思考はよくある男女の駆け引きみたいで、私とAには当てはまりそうも無いからだ。Aが恋愛感情を抱いていようといまいと、私とAとの気持ちの位置関係は変わらないだろう。変わるのは物理的な位置関係くらいだ。駆け引きする程リスキーな関係じゃない。
それなら、一度Aに聞いてみても良い。なんだかプロポーズするみたいで恥ずかしいけれど、恥ずかしがるような間柄でもない。きっと彼の返答結果は私の人生を大きく左右することになるけれど、私ももう三十路になる。人生の分岐路は自分で決める歳だ。
思考の海から浮かび上がって、宙に浮いていた視線を下ろしていくと思案するようにこちらを見ていた花と目が合った。
「あっ、お帰り!どう結論出た?」
「うん。私からAに聞いてみるよ」
「わお!あたしが思っていたよりも何ステップも飛ばして結論に行っちゃうのね、あんた!?きっとあんたのことだから、今あたしが何言っても無駄だと思うけどね?物事には順序ってもんがあるでしょうが!親しい中にも礼儀ありって古い言葉があるように、長年苦楽を共にして連れ添った仲であるあんたとAでも、いきなりはダメだと思うの!ねえ、聞いてる!?ことの重大性をわかってる!?」
「あー、聞いてるよ」残りのコーヒーを飲みきった。
「わかってない!?」
「そうかも」
「うー、どうかAさんこんなDを救ってあげてください・・・!これでも彼女は私の親友なんです!」そう言って花はどこか遠くの神に拝むようにあさっての方向に手を合わせた。
「大袈裟だなぁー」
近くを通りがかったマスターに追加のコーヒーを注文した。彼女との雑談はまだまだ長引きそうである。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる