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②贈り物 蟲
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月曜の朝、藤本は自分のベットで目覚めた。いつもの朝。濃紺のパジャマもきちんと着ている。
フラッシュバックする強烈な記憶。
「アレは…夢か?」
しかし、藤本の身体は訴える。嫌でも現実を知らせる。身体が軋む。痛む。
どうやって抜け出してきたのだろう。あいつ…坂城の手から…。
はっと藤本は時計に目をやった。会社に行かなくては…どんなことがあろうとも、いつも通りの日常が始まる。それがサラリーマンの悲しいサガ。
思うように動かない身体でなんとかバス、満員電車とやりすごし、藤本は自分の机で息をつき、倒れ込むように机に身体を投げ出した。
同じ会社ではあるが坂城とは顔を合わせなくとも過ごせる。ふたりは同じ部署ではない。ただ、同期で年配が多い社内なだけに、酒の席とかでよく話すそんな関係だった。このところ二つの部署での合同プロジェクトがあり、藤本は坂城のところへ行き来することが多かった。
だが、それも他の人間に頼めば済むことだ。
坂城と会うことがなく平和に3日が経ち木曜の日。
「うっ…」
その日の午後ナゼか藤本の腹が急に痛み出した。
「どうした?藤本?顔色悪いぜ」
藤本の隣で先輩にあたる橘裕司が声をかけた。隣で青い顔をしているのに気づいたのだ。
「だ、だいじょうぶです…」
藤本は言いながらも顔を上げることが出来なかった。
「医務室行った方がいいんじゃないか?」
藤本がまた声を出そうとしたその時、す~っと痛みがひいていった。さっきまでの急激な痛みはなくなり、うっすらと鈍痛が残るのみとなった。
「…あ、もう大丈夫です」
藤本は顔を上げると橘に安心させるように言った。
「そうか?でも一応医務室に行ってこい」
「はい」
藤本は橘に促されて医務室へと向かった。気のせいか腹が少し膨らんだかのようだ。
医務室に行く前に藤本の目に坂城の姿が映った。ぎくりと藤本の身体が強張る。恐怖という名の感情が甦る。藤本の怯えに気づいて坂城は苦笑する。
「どうかしましたか?医務室に何か?」
「…な…んでもない…ただ…腹の調子が悪いだけだ」
「ほう」
坂城はそう言うとゆっくりと藤本の身体を眺めた。藤本はその視線に耐えられずぎゅっと目を瞑った。
クスリと笑って意外な言葉を藤本に投げかけた。
「ああ、それは蟲の子ですよ。まさか1回のことで上手くいくとは思えなかったんですけどね。 もうすぐですね。楽しみです」
「まさか?」
藤本は愕然として、わなわなとその場に崩れ落ちた。
「また週末にウチに来て下さい」
坂城は藤本の腕をとると立ち上がらせながら言った。
「何をっ」
藤本は坂城からばっと離れるとかみつくように叫んだ。藤本の身体が震え出す。嫌でも思い出される。恐怖と…そして…。
そんな藤本の様子を坂城はさらりと受け流すと言い放った。
「蟲達のことを一番よくわかっているのは私だけですよ?」
「誰がお前のところに行くものか!」
「待っていますよ」
坂城は藤本から背を向けた。
誰が…行くかよ…。
だが、藤本は坂城のところへ行くこととなった。痛みに襲われる回数は次第に多くなり…そしてついに恐れていたことが起こった。動き出したのだ。身体の中から…内臓が…揺すられる。吐き気がする。
耐え切れなくて、金曜の夜、坂城の家へとむかう。社内名簿の住所を頼りに坂城の家を探し出した。先週とは違って、今度は自分の意志…。
「どうしたらいい?」
どうしたらこれから解放されるのか。藤本は玄関の扉を開けた坂城に詰め寄った。
「簡単ですよ」
坂城は悪魔のような笑みを浮かべて見おろした。
「産むんですよ」
「……」
絶句。言葉がつなげなかった。何を言われたか藤本には理解できなかった。理解…したくなかった。
「行きましょうか?」
坂城は藤本の腕を取ると部屋の奥へと向かった。藤本は抵抗することもできず、ついて行くことしかできなかった。
連れられた先は先日の…あの部屋。思わず藤本の足が止まる。坂城に腕を引かれても、足が動かない。恐怖が甦り、。身体が強張る。
「どうしますか?このままお帰りになりますか?」
坂城は判断を藤本に任せる。
藤本は唇をかみしめると、意を決して中に足を踏み入れた。
「服を脱いで下さい。自分で脱ぎますか?それとも脱がせてあげましょうか?」
言われて藤本は、震える指先でワイシャツのボタンを外し始めた。だが、藤本の手はボタンを全て外したところで止まった。羞恥のためではなかった。それ以上に腹の中が、痛み出した。
「ぐっ。痛っうう。いたたたた…」
あまりの痛さに床に座り込んでしまった。
「まるで陣痛ですね」
坂城は苦笑すると、坂城の腕をとり無理矢理引き起こた。
「さあ乗って」
部屋のど真ん中に配置された分娩台に座らせて、ワイシャツをはぎ取り、ズボンを脱がせ、裸にさせると身体を台に固定する。
痛みに耐える藤本の腹はいつもより膨らんでいるようだ。坂城はびんから薬を掬うと、藤本の穴へとのばした。そしてそれを塗る。
「なんで!」
ひんやりとしたその感触に藤本はそのひくっと穴を窄めた。
「少しでも出やすいようにですよ」
坂城は笑う。そして、入れた指を回しはじめた。
「うあぁっ」
はっきり藤本のからだに快感が表れる。痛みと快感の同時進行に藤本は、気が狂いそうになった。
「つらいだけじゃヤでしょ?もっとも、吐き出すと余計つらいので我慢してもらいますがね」
その指が増え、快感のツボを叩いていく。だが、坂城は藤本の根元をぎゅっと圧迫したままだ。
「坂城!や…やめろっ。動かす…なっ!」
「ふふふっ」
坂城は笑うと、胸元から小さなビンを取り出した。口でそれを開けると、藤本の穴の中へと垂らし、さらに指を深くかき混ぜた。
「ぐわぁぁ」
その叫びは快感のためではなかった。腹の中のモノが活発にうごめきだした。今までの比にならない。藤本は発狂したように叫びだした。
「これは蟲を強制的に出口へと誘う液体なんです。さらに蟲が奥へ行ったら、あなたの身体の保証は出来ませんからね。ふふふ…」
「うがぁっ、ぐひぃぃ……っっ!」
藤本の裸身が内腿のあたりを中心にひくんひくんと波打つ。藤本の頭が真っ白になる。ギリギリまで見開かれた双眸が宙にさまよう。激痛に耐えられなくなった藤本が苦痛から逃れようと身体をよじろうとするのだが、固定された身体は身動きひとつさせてくれない。異常な痛みとそれに続く激しい衝撃に藤本は奇声を上げて、唯一動く頭をぐらぐらと揺する。
「あがあ……ッッ!ひぐうッッ!」
藤本は自分の肉が切れていく、ぶちぶちという音が聞こえるような気がしていた。それほどまでに衝撃がすごかった。
「はがぁぁ…っ」
藤本が大きく叫んだその時、大量の液体とともに蟲が…吐き出された。そして、藤本のペニスからは白濁した液体をまき散らし、藤本の記憶は途切れた。
残ったのは、気を失った藤本と、堪えきれない喜びに震える坂城。そして藤本から誕生した十数匹の蟲たちであった。
2002/10/10
フラッシュバックする強烈な記憶。
「アレは…夢か?」
しかし、藤本の身体は訴える。嫌でも現実を知らせる。身体が軋む。痛む。
どうやって抜け出してきたのだろう。あいつ…坂城の手から…。
はっと藤本は時計に目をやった。会社に行かなくては…どんなことがあろうとも、いつも通りの日常が始まる。それがサラリーマンの悲しいサガ。
思うように動かない身体でなんとかバス、満員電車とやりすごし、藤本は自分の机で息をつき、倒れ込むように机に身体を投げ出した。
同じ会社ではあるが坂城とは顔を合わせなくとも過ごせる。ふたりは同じ部署ではない。ただ、同期で年配が多い社内なだけに、酒の席とかでよく話すそんな関係だった。このところ二つの部署での合同プロジェクトがあり、藤本は坂城のところへ行き来することが多かった。
だが、それも他の人間に頼めば済むことだ。
坂城と会うことがなく平和に3日が経ち木曜の日。
「うっ…」
その日の午後ナゼか藤本の腹が急に痛み出した。
「どうした?藤本?顔色悪いぜ」
藤本の隣で先輩にあたる橘裕司が声をかけた。隣で青い顔をしているのに気づいたのだ。
「だ、だいじょうぶです…」
藤本は言いながらも顔を上げることが出来なかった。
「医務室行った方がいいんじゃないか?」
藤本がまた声を出そうとしたその時、す~っと痛みがひいていった。さっきまでの急激な痛みはなくなり、うっすらと鈍痛が残るのみとなった。
「…あ、もう大丈夫です」
藤本は顔を上げると橘に安心させるように言った。
「そうか?でも一応医務室に行ってこい」
「はい」
藤本は橘に促されて医務室へと向かった。気のせいか腹が少し膨らんだかのようだ。
医務室に行く前に藤本の目に坂城の姿が映った。ぎくりと藤本の身体が強張る。恐怖という名の感情が甦る。藤本の怯えに気づいて坂城は苦笑する。
「どうかしましたか?医務室に何か?」
「…な…んでもない…ただ…腹の調子が悪いだけだ」
「ほう」
坂城はそう言うとゆっくりと藤本の身体を眺めた。藤本はその視線に耐えられずぎゅっと目を瞑った。
クスリと笑って意外な言葉を藤本に投げかけた。
「ああ、それは蟲の子ですよ。まさか1回のことで上手くいくとは思えなかったんですけどね。 もうすぐですね。楽しみです」
「まさか?」
藤本は愕然として、わなわなとその場に崩れ落ちた。
「また週末にウチに来て下さい」
坂城は藤本の腕をとると立ち上がらせながら言った。
「何をっ」
藤本は坂城からばっと離れるとかみつくように叫んだ。藤本の身体が震え出す。嫌でも思い出される。恐怖と…そして…。
そんな藤本の様子を坂城はさらりと受け流すと言い放った。
「蟲達のことを一番よくわかっているのは私だけですよ?」
「誰がお前のところに行くものか!」
「待っていますよ」
坂城は藤本から背を向けた。
誰が…行くかよ…。
だが、藤本は坂城のところへ行くこととなった。痛みに襲われる回数は次第に多くなり…そしてついに恐れていたことが起こった。動き出したのだ。身体の中から…内臓が…揺すられる。吐き気がする。
耐え切れなくて、金曜の夜、坂城の家へとむかう。社内名簿の住所を頼りに坂城の家を探し出した。先週とは違って、今度は自分の意志…。
「どうしたらいい?」
どうしたらこれから解放されるのか。藤本は玄関の扉を開けた坂城に詰め寄った。
「簡単ですよ」
坂城は悪魔のような笑みを浮かべて見おろした。
「産むんですよ」
「……」
絶句。言葉がつなげなかった。何を言われたか藤本には理解できなかった。理解…したくなかった。
「行きましょうか?」
坂城は藤本の腕を取ると部屋の奥へと向かった。藤本は抵抗することもできず、ついて行くことしかできなかった。
連れられた先は先日の…あの部屋。思わず藤本の足が止まる。坂城に腕を引かれても、足が動かない。恐怖が甦り、。身体が強張る。
「どうしますか?このままお帰りになりますか?」
坂城は判断を藤本に任せる。
藤本は唇をかみしめると、意を決して中に足を踏み入れた。
「服を脱いで下さい。自分で脱ぎますか?それとも脱がせてあげましょうか?」
言われて藤本は、震える指先でワイシャツのボタンを外し始めた。だが、藤本の手はボタンを全て外したところで止まった。羞恥のためではなかった。それ以上に腹の中が、痛み出した。
「ぐっ。痛っうう。いたたたた…」
あまりの痛さに床に座り込んでしまった。
「まるで陣痛ですね」
坂城は苦笑すると、坂城の腕をとり無理矢理引き起こた。
「さあ乗って」
部屋のど真ん中に配置された分娩台に座らせて、ワイシャツをはぎ取り、ズボンを脱がせ、裸にさせると身体を台に固定する。
痛みに耐える藤本の腹はいつもより膨らんでいるようだ。坂城はびんから薬を掬うと、藤本の穴へとのばした。そしてそれを塗る。
「なんで!」
ひんやりとしたその感触に藤本はそのひくっと穴を窄めた。
「少しでも出やすいようにですよ」
坂城は笑う。そして、入れた指を回しはじめた。
「うあぁっ」
はっきり藤本のからだに快感が表れる。痛みと快感の同時進行に藤本は、気が狂いそうになった。
「つらいだけじゃヤでしょ?もっとも、吐き出すと余計つらいので我慢してもらいますがね」
その指が増え、快感のツボを叩いていく。だが、坂城は藤本の根元をぎゅっと圧迫したままだ。
「坂城!や…やめろっ。動かす…なっ!」
「ふふふっ」
坂城は笑うと、胸元から小さなビンを取り出した。口でそれを開けると、藤本の穴の中へと垂らし、さらに指を深くかき混ぜた。
「ぐわぁぁ」
その叫びは快感のためではなかった。腹の中のモノが活発にうごめきだした。今までの比にならない。藤本は発狂したように叫びだした。
「これは蟲を強制的に出口へと誘う液体なんです。さらに蟲が奥へ行ったら、あなたの身体の保証は出来ませんからね。ふふふ…」
「うがぁっ、ぐひぃぃ……っっ!」
藤本の裸身が内腿のあたりを中心にひくんひくんと波打つ。藤本の頭が真っ白になる。ギリギリまで見開かれた双眸が宙にさまよう。激痛に耐えられなくなった藤本が苦痛から逃れようと身体をよじろうとするのだが、固定された身体は身動きひとつさせてくれない。異常な痛みとそれに続く激しい衝撃に藤本は奇声を上げて、唯一動く頭をぐらぐらと揺する。
「あがあ……ッッ!ひぐうッッ!」
藤本は自分の肉が切れていく、ぶちぶちという音が聞こえるような気がしていた。それほどまでに衝撃がすごかった。
「はがぁぁ…っ」
藤本が大きく叫んだその時、大量の液体とともに蟲が…吐き出された。そして、藤本のペニスからは白濁した液体をまき散らし、藤本の記憶は途切れた。
残ったのは、気を失った藤本と、堪えきれない喜びに震える坂城。そして藤本から誕生した十数匹の蟲たちであった。
2002/10/10
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