8 / 55
2-3
しおりを挟む
大福は嬉しそうに主人の足元にじゃれついていた。
「大福が鳴いた?」
仕事から帰ってきた父の背中に投げかけると怪訝そうな面持ちで振り返った。
「まぁ・・・生きてるんだから鳴きたい時くらいあるんじゃないか?」
なぁ?と大福に話しかける。愛犬はあなたの靴下に夢中のようですが・・・確かに。
「聞きたい事があるんだけど・・・神社あるだろう」
「龍神様神社?」
「うん。あそこの神社の神主さんって若い?」
どうだったかな・・・と記憶を探っている。
「町内会の会合で見かけるけど。たしか母さんと同級生の息子さんが継いでるとは聞いたけど、あそこバツイチでお子さんはいないはずだったし、先代がまだ現役バリバリで掃除してる」
バリバリ。そして町内会の情報網怖いな。
「それじゃあ、ドラマとか映画の撮影ってある?」
「こんな辺鄙な所でやると思うか?」
残念だが思わない。もう回りくどいのにもそろそろ飽きてきたのだろう服を着替え終えると動きだしてしまった。その後ろに続く。
「神社に銀髪のすごいイケメンがいたけど誰か知ってる?俺と同い年かちょい上」
「知らん」
野球見たいからだろ。返事が単調だ。母さんに聞くと根掘り葉掘り聞かれそうで嫌だから父さんに聞いたのに。
「・・・千雪ちゃんじゃないか?」
「千雪ちゃん?」
誰の事だ?
「イケメンだったって事は千雪君の方が正しいのか」
独り言ちる父の横顔は昔を懐かしむようだった。
「覚えてないのか?お前神社でよく遊んでやったって言ってただろう。白髪の子がいるって。お前の話しか聞いた事なかったからてっきり女の子だって思い込んでいたけど。その子天みたいに体の細い子だっただろ?肌も髪も白いって聞いてたから、もしかしてアルビノなのかもって思っていたけど。元気に育ったなら良かったな」
アルビノってあの皮膚が弱くて日光に当たれないっていう?断片的だが以前テレビで見た記憶を思い返す。
それより、千雪って名前だった。
今のご時世髪色をピンクや緑にする人もいるんだから銀なんてさほど珍しくないと思って合致しなかったがあの子なのか?しかも俺は名前を忘れていたけど父さんは覚えていた。でも言われた途端呼びなれた、言い馴染む名前だと思った。それにしても、俺より小さい千雪ちゃんだったはずなのにあんなに大きく成長するだなんて想像できるか普通。俺だって成長してるけど体は未だに薄っぺらいし・・・。
「でも・・・もしあの子が千雪ちゃんなら可哀想な事したかも」
千雪は人見知りが激しい子で俺以外と話している記憶は全くなかった。それなのに俺から誰?なんて言われたら傷ついたのでは?しかも事故以来会えていない。目の前で友達が事故に遭った上にそれ以来会えなかったら俺だったら事故で亡くなったのかもと考える。まぁそれにしたって自称神様の自己紹介はヤバいだろう。そもそも千雪だって名乗り出て欲しかった。大人しくて冗談いうイメージないんだよな。自分の記憶と完全に一致しない事が気になる。
「・・・・・・明日会いに行ってみるか。」
そう決意し、俺は晩飯を食べる為リビングに向かった。
「大福が鳴いた?」
仕事から帰ってきた父の背中に投げかけると怪訝そうな面持ちで振り返った。
「まぁ・・・生きてるんだから鳴きたい時くらいあるんじゃないか?」
なぁ?と大福に話しかける。愛犬はあなたの靴下に夢中のようですが・・・確かに。
「聞きたい事があるんだけど・・・神社あるだろう」
「龍神様神社?」
「うん。あそこの神社の神主さんって若い?」
どうだったかな・・・と記憶を探っている。
「町内会の会合で見かけるけど。たしか母さんと同級生の息子さんが継いでるとは聞いたけど、あそこバツイチでお子さんはいないはずだったし、先代がまだ現役バリバリで掃除してる」
バリバリ。そして町内会の情報網怖いな。
「それじゃあ、ドラマとか映画の撮影ってある?」
「こんな辺鄙な所でやると思うか?」
残念だが思わない。もう回りくどいのにもそろそろ飽きてきたのだろう服を着替え終えると動きだしてしまった。その後ろに続く。
「神社に銀髪のすごいイケメンがいたけど誰か知ってる?俺と同い年かちょい上」
「知らん」
野球見たいからだろ。返事が単調だ。母さんに聞くと根掘り葉掘り聞かれそうで嫌だから父さんに聞いたのに。
「・・・千雪ちゃんじゃないか?」
「千雪ちゃん?」
誰の事だ?
「イケメンだったって事は千雪君の方が正しいのか」
独り言ちる父の横顔は昔を懐かしむようだった。
「覚えてないのか?お前神社でよく遊んでやったって言ってただろう。白髪の子がいるって。お前の話しか聞いた事なかったからてっきり女の子だって思い込んでいたけど。その子天みたいに体の細い子だっただろ?肌も髪も白いって聞いてたから、もしかしてアルビノなのかもって思っていたけど。元気に育ったなら良かったな」
アルビノってあの皮膚が弱くて日光に当たれないっていう?断片的だが以前テレビで見た記憶を思い返す。
それより、千雪って名前だった。
今のご時世髪色をピンクや緑にする人もいるんだから銀なんてさほど珍しくないと思って合致しなかったがあの子なのか?しかも俺は名前を忘れていたけど父さんは覚えていた。でも言われた途端呼びなれた、言い馴染む名前だと思った。それにしても、俺より小さい千雪ちゃんだったはずなのにあんなに大きく成長するだなんて想像できるか普通。俺だって成長してるけど体は未だに薄っぺらいし・・・。
「でも・・・もしあの子が千雪ちゃんなら可哀想な事したかも」
千雪は人見知りが激しい子で俺以外と話している記憶は全くなかった。それなのに俺から誰?なんて言われたら傷ついたのでは?しかも事故以来会えていない。目の前で友達が事故に遭った上にそれ以来会えなかったら俺だったら事故で亡くなったのかもと考える。まぁそれにしたって自称神様の自己紹介はヤバいだろう。そもそも千雪だって名乗り出て欲しかった。大人しくて冗談いうイメージないんだよな。自分の記憶と完全に一致しない事が気になる。
「・・・・・・明日会いに行ってみるか。」
そう決意し、俺は晩飯を食べる為リビングに向かった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
絶対に追放されたいオレと絶対に追放したくない男の攻防
藤掛ヒメノ@Pro-ZELO
BL
世は、追放ブームである。
追放の波がついに我がパーティーにもやって来た。
きっと追放されるのはオレだろう。
ついにパーティーのリーダーであるゼルドに呼び出された。
仲が良かったわけじゃないが、悪くないパーティーだった。残念だ……。
って、アレ?
なんか雲行きが怪しいんですけど……?
短編BLラブコメ。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
【完結】悪役令嬢モノのバカ王子に転生してしまったんだが、なぜかヒーローがイチャラブを求めてくる
路地裏乃猫
BL
ひょんなことから悪役令嬢モノと思しき異世界に転生した〝俺〟。それも、よりにもよって破滅が確定した〝バカ王子〟にだと?説明しよう。ここで言うバカ王子とは、いわゆる悪役令嬢モノで冒頭から理不尽な婚約破棄を主人公に告げ、最後はざまぁ要素によって何やかんやと破滅させられる例のアンポンタンのことであり――とにかく、俺はこの異世界でそのバカ王子として生き延びにゃならんのだ。つーわけで、脱☆バカ王子!を目指し、真っ当な王子としての道を歩き始めた俺だが、そんな俺になぜか、この世界ではヒロインとイチャコラをキメるはずのヒーローがぐいぐい迫ってくる!一方、俺の命を狙う謎の暗殺集団!果たして俺は、この破滅ルート満載の世界で生き延びることができるのか?
いや、その前に……何だって悪役令嬢モノの世界でバカ王子の俺がヒーローに惚れられてんだ?
2025年10月に全面改稿を行ないました。
2025年10月28日・BLランキング35位ありがとうございます。
2025年10月29日・BLランキング27位ありがとうございます。
2025年10月30日・BLランキング15位ありがとうございます。
2025年11月1日 ・BLランキング13位ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる