不幸体質ですが、神様に溺愛されているので大丈夫です

紅茶緑茶ほうじ茶

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「男の騒ぐ声が聞こえる」という隣家の通報を受けた警察とその隣家から拓斗の家に連絡を入れたらしく、突入してきた警察官たちに俺は救出された。家の前には無数のパトカーと救急車が停まっていて大騒ぎだ。

家から連れ出された俺を見て母さんと拓斗が駆け寄ってきたが、普段血色の良い両者の肌からは想像も出来ない位真っ青な顔でこちらが驚いた。俺は意識もはっきりしていて二人に心配ないと伝えるが拓斗はまだしも母さんは今にも倒れてしまいそうだ。

そういえば犯人は白目向いて倒れたけど死んでないよな?頼むからうちを事故物件にして価値を下げないでくれ。
俺はストレッチャーに乗せられながら祖母宅を後にした。


心配は杞憂に終わり、犯人は無事目覚めた。自分で切った指先の傷しか外傷はない。あいかわらず言ってる事は意味不明らしいが意識もしっかりしているそうだ。そりゃ自分の儀式で神様出てきちゃったらそうなるか。分かってはいたが俺の前住居焼失も供述している事も含め余罪たっぷりの気配しかしていない。とりあえず今後一切俺の人生に関わらなければどうでも良いな。と願いながら布団の上で寝がえりをうつと白と黒の毛玉が腹を抉った。

「もーー。腹に飛び込むの禁止!!俺の内臓飛び出ちゃうだろ!!」

大福と茶々丸はベッドの周囲を走り周っている。続いて拓斗が入ってくる。ノック位できないのか。

「なんでこんなにテンション高いんだ、こいつら」

勉強机に備えられた椅子を引き寄せ可愛い毛玉達を踏まない様に慎重に腰かけた。

「身体大丈夫か?」
「大丈夫な訳ないだろ、おかげ様でボロボロだよ」

服を捲って見せると、打ち身だらけの身体に痛そうな顔をする。かなりボコボコ蹴られていた気がしたが、最初の二撃以外はそこまで大した怪我はなく、病院で一日だけお世話になり帰宅できた。とは言えゴロゴロとすぐ布団の上にいる訳だ。

「まぁでも、そうやって文句言えるだけマシって訳か」

憑き物が落ちるってこういう事を言うのかも。あの時の俺は周囲を巻き込みたくない一心で、自分一人でどうにかしてやる!って前のめりになっておじさんに惨敗した。拓斗や家族に心配かけまくって、近所の人には警察呼んでもらって何より千雪に助けてもらった。感謝しかない。


「そういえばさぁ・・・」
「?」
「見たよ、銀髪の人」
「えっ?千雪?」
「挨拶したとかじゃなくて、昨日茶々丸の散歩がてら行った。神社の中に戻っていく所だったけどなんか横目で見られた感じ。お前の言う通りモデルみたいな人って言うか、初め、なんか別の次元のものでも見たんじゃないかと思って焦ったんだけど・・・あれお化けじゃないよな」
珍しいな拓斗がかなり動揺してる。いや、最近こいつ面白い顔ばっかしてるけど。

「拓斗お化けとか信じないって言ってなかった?神様だから違うと思うけど」

でも流石拓斗、感が鋭い。それにしても、へー、ほー、俺だけにしか見えなかった神様は、他の人にも見えるようになっちゃったのか。

「いやもうなんか怖いから今度ちゃんと紹介してくれ」
「めちゃくちゃ人見知りだから聞いてみないとわからない」
「あの顔で人見知り?どこ行ってもちやほやされるに決まってるぞ」

俺もそう思う。

「それより・・・お前に花持って見舞いに来る相手が居たとは・・・」

拓斗の驚きも最もだ。俺だって花なんて貰ったこと無くてどうした良いかわからなかった。なんとなく花瓶を借りるのも恥ずかしくて手近にあったペットボトルに挿したが母に速攻見つかって花瓶に生け直された。
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