異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様

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第2章 チートになれたので自重しません

053 帰ろ帰ろ

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ラノベの定番だと、こういう場合、皇帝が素直に負けを認めるんだが。
そして有効活用する方向に舵を切り、もちつもたれつの関係になる。
最後には友人関係になったりして「自分のような身分の者だと友人も居なくてな」みたいな話をしたりする。
ここまで反抗的じゃないはずだ!

まぁ、結局の所、主人公の為に周囲があるから、主人公有利になるようになってるんだろうけど。
俺も異世界転移とかしてるんだから、主人公じゃん?!
有利になれよ!!

って事で、作戦変更します。

「そうか。ここまで言っても分からないなら、こちらもやり返す事にしよう。
 そっちが俺に1つ迷惑をかけたら、そっちが大事にしているモノを1つ奪おう。
 2回迷惑をかけたら2つ奪おう。対等な取引だろ?」
「個人と国でやりあえると思っているとはな」

思ってないよ!
それに、あんたの子供とか殺すとか出来ないし。
せいぜい連れ出して、うちで養うくらいしか方法が無いよ!
いい加減諦めてくれないかな……。

そこでふと気付いた。
横に居る宰相さんが、俺に見えないように頷いている事に。

どうやら、俺のこの策が有効だと教えてくれているっぽい。
よし、このまま押すぞ!

「お前が大事にしているモノと言っただろ?
 それは人だけじゃない。土地・建物・水・魔法、色々あるだろ?
 使えなくするって意味でもある」
「ふん。やれるならやってみろ。お前への恨みは我だけでなく、国民からも向けられるだろう」

言われて思った。
本当だ! 国が弱体化すれば戦争が起きても不思議じゃない。
そうなったら、徴兵されるのは国民。
原因を作ったのは俺。恨む先は……俺!

だが、宰相さんは大丈夫と言わんばかりの顔をしている。
信用するかんな! 後で絶対、個別面談するからな!

「では契約成立だ。じゃあ帰るわ」
「ふははははは! 楽しみにしているぞ!」

最後に高笑いとか、どこの悪役だよ。
付き合いきれん。帰ろ帰ろ。



夜。街の外で檻の中にテントを張ってると、宰相さんが1人でやってきた。

「入れてもらっても良いですか?」
「テントの中は無理ですけど、檻の中になら」
「……ありがとうございます。失礼します」

宰相さんの頭の上には疑問符が沢山見える。
外に住んでる? 檻? 檻の中にテント?
判ります。不審者ですよね?
でも、そこは飲み込んでください。話が進まないんで。

「陛下が申し訳ありませんでした」
「いえいえ」
「あの後、かなりお怒りになって暴れられました」
「そうですか。大変でしたね」
「……他人事ですか」
「他人事なので」

それを言われても俺は知らん。
俺のせいじゃない。そうだとも。

「……とにかく。陛下には手出しをさせないようにするので」
「お願いします」
「土地を所望という事でしたが、本当に街の外でよろしいので?」
「ええ。中だと問題になる可能性もあるでしょうから」
「陛下が暗殺者を送り込むと?」
「おたくの皇帝だけじゃなくて、他国の可能性もあると思うんで」
「……なるほど。確かに。では東門の付近はどうでしょうか?」
「ここは?」
「ここは南門です。ここでは城から見えますので」

皇帝から見えない所なら良いのね。

「明日の内に杭を打って区分しておきます。その中なら自由になさってください」
「ありがとうございます」
「その代わりに、もう暴れないでくださいね?」
「迷惑をかけられなければ暴れませんよ」
「各貴族には裏で通達しておきます。それでも来るような貴族は教えて下さい。
 こちらで処分しますので」
「怖~い」
「貴方の方が怖いですよ」

貴族を処分とか恐ろしいわ。
俺は人を殺したりしてないし?
貴方の言う処分って、殺したりしそうだし?

「後はですね、モンスターが攻めて来た時は戦ってもらえますか?」
「冒険者として依頼が出れば」
「モンスターが街を攻めて来た場合は、冒険者の仕事ではありません。国の仕事になります。
 冒険者にも依頼は出ますが、主に討ち漏らしへの対処ですね」
「じゃあそれとは別に、国側でって事ですか?」
「そうなりますけど、表立っての契約ではありません。
 なので、金銭は発生しますが、戦った名誉や栄光は手にする事は無いでしょう」

陰で活躍するヒーロー的な立場ですか。
……中二病心が騒ぐな。

「了解です」
「助かります。では次に……」

俺達の打ち合わせは深夜にまで及んだ。
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