好奇心は身を滅ぼす?

お子様

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059 秘密の理由

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ハリーが自身の使える魔法を説明している。
それで驚いてくれると思ってるのか、上機嫌だ。

でも実際は、全員が「へ~」くらいの顔になってる。
こっそり事情を聞いてみた所、なかなか納得の意見だった。

つまり、喋れる獣自体が珍しい。
なので、そういう獣特有の魔法だと思われているようだ。
ハリーはオリジナル魔法だと自慢したいんだろうけど、食い違いが発生している。笑える。

途中でハリーも気づいたらしく、声が小さくなっていった。
そして、いらん事を言いだした。

『ロキスルも俺と同じようにオリジナル魔法が使えるんだ! 俺と同じでね!』
「そうなのかい?」

くそっ、迷惑だぞ!

俺は別に「目立ちたくない」とかそんな理由で魔法を隠したい訳じゃない。
現に王族や一部の貴族には知られているし。

では何故言いたくないか。
それは明らかに便利だと分かるからだ。

だって、収納魔法があれば、ダンジョンでは超便利!
荷物不要! ドロップ品も全て回収可能! やる気があれば、稼ぎたい放題!

こんな人間を見つけた場合、どうする?
間違いなく勧誘するだろう? それも強烈に。

いや、入りたくないとかじゃないんだ。
一緒に活動する事が不便なんだよ。
行動が俺の自由にならないから。

俺はダンジョンで稼ぎたい訳じゃない。
踏破して名誉を!とかも考えてない。
ダンジョンを研究したいだけなんだ!

ある程度解明したら、ダンジョンに行かなくなるかもしれない。それを許してくれるか?
モンスターも出ない所で、ダンジョンを調べる為に長時間留まるかもしれない。許される?

そう、許されないのは判っている。
もしかしたら、収納魔法と天秤にかけて、許可するかもしれない。
それでも、長期間となれば、喧嘩の火種になりうるだろ?

……いや、ハリーを怒るのは筋違いか。
俺がそういう事を伝えてなかった。
ハリーの性格を考えれば、想定できたはずだ。

しょうがない。ここは無難なオリジナル魔法を披露するとしよう。
そしてハリーには釘を刺すのだ。

「ええ。一つだけ使えます。なぁ、ハリー?」

俺は拳を握りながらハリーに問いかけた。
さすがに気づいたらしく、言葉無くコクコクと頷いている。

「手の内をさらさせるようですが、許されるなら見せてもらえます?」
「良いですよ」

何で敬語になったのだろう?
まぁ、いいか。



披露するのは、火を吐く魔法だ。
これなら火の魔法の延長と思われる可能性もある。
まぁ、精霊のせいで、火の魔法が失われていたので、ある意味珍しいだろうけど。

「じゃあ、この壁に向けてやりますね。少し離れていてください」
「判りました。よろしくお願いします」

俺は壁から1mくらいの所に立ち、壁に向かって口から炎を出す。
見た目はガストーチの炎のような感じ。
出した時間は2秒くらい。

本当は指先からでも出せるのだが、それだと便利そうなので、口から吐くという演出にした。
火の当たった壁が少し焦げている程度。

「な、なるほど……。なかなかの魔法ですね。威力はそれが限界なのですか?」
「射程はもう少し遠くまで伸ばせますけどね。まぁ、不意を突く魔法ですよ」
「確かに! 特に対人戦闘では役に立ちそうですね」

武器も無く向かいあった時に、とっさに出せば牽制になるからね。
実際に本気でやったら、骨も残らないだろうけど。

「どうやってるか聞いても?」
「歯にちょっとした仕組みをしてまして。噛んでから……おっと、これ以上は秘密です」
「そうですよね。言えませんよね。失礼しました」
「いえいえ」

なんとか誤魔化せたようだ。


この後、少し話をして『マサケント』とは別れた。
俺達はダンジョンの奥に、『マサケント』は一旦出るらしい。

さあ! 待ち望んだダンジョン研究だ!
その前にハリーにデコピンの刑だけどな!
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