カードゲームを持たされて異世界に送られた

お子様

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047 近しい人に病人や怪我人はいるのか?

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姫様がこっちにやってきた。
王太子はため息ついてる。あ~やっぱりな、って感じですか?

「兄様、聖人様! 私も同行する事になりました!」
「お前の事だ。必殺技でも使ったんだろ?」
「レベル2でギブアップでした!」

必殺技って。しかもレベルがあるのか。
疑問に思ってたら、姫様が解説してくれた。

「レベル1はですね『今晩、肩たたきしてあげるから』です。
 レベル2は『嫌いになっちゃうかも……』です。
 レベル3は『父様嫌い!!』です。
 ふふふ、レベル10までありますよ~」
「親馬鹿だ!」
「父の子供の中で女の子はこいつだけでな。それもあって妹には甘いんだよ……」
「そんなんで決めても良いんですかね?」
「多分、政治的には行っても良いって判断はしてる。
 ただ単に、自分が離れたくないから反対してたんだろう」
「王都周辺しか行ってないってのもそのせい?」
「それもあるかもしれないが、離れた場所に行く理由も無いってのが大きい。
 妹じゃなきゃダメって場面なんか、そうそう無いだろ?」

確かに。
女性じゃなきゃダメって場面は少なそうだ。
もしそんな場面があるなら王妃が行く気もする。

「ぶっちゃけて言えば、同行するメンバーの中で一番魔法が上手いのが妹だ。
 後は、行った先で女性と話さないといけない場合。
 女性じゃないと話せないような事があるかもしれない。そういう場合に必要。
 まぁ、バランスを考えたんだと思う」

例えが悪いかもしれないけど、レイプ被害者とかは男よりも女性の方が話しやすいと思う。
男には判らない問題もあるかもしれないしね。

ぶっちゃけ、姫様の面倒を見るのは俺じゃないし、同行しても問題無い!
多分、アイザックさんが一番大変だ。頑張って欲しい。

「こんなお転婆、いえ、活発な姫様で良いんですかね?」
「猫かぶってるから大丈夫だろ」
「聞きましたよ! 聖人様、不敬罪で捕まえますよー」
「リョーは事実を言っただけだ。不敬にはならん。
 言われて怒るのは図星だからだ。それにリョーは心配してるんだよ。自重しろ」
「公私共にちゃんとしてますー。家族に甘えてるだけですー」

ラノベ以外で初めて『自重しろ(する)』なんて聞いたよ。

「ところで私が一番魔法が得意って話でしたけど、聖人様はどうなんですか?」
「俺? 魔法は使えないなぁ」
「えーっ? そんな強力なカードが使えるのに?!」
「カードにある魔法なら使えるんだけどね」
「えっ?! カードって悪魔だけじゃないんですか?」
「そうだよ。魔法カードと罠カードがある」
「へ~、見せて見せて!!」
「あっ、まだ罠カードは持ってないんだ。魔法カードだけだね」

そう言いながら魔法カードを出現させる。
あっ、ポーション3枚あったわ。入手したのは3枚目だった。

バリア・上昇・下降・貫通・ポーション、俺自身で使うカード。
白羊宮・双児宮・人馬宮・磨羯宮、の補助カード。

戦闘に遭遇してないから、全然使わないな。冒険者ギルドで使っただけだ。

「ねえねえ、使って見せてくれないかな?」
「おい、ワガママ言うな。再使用するのに時間制限があるらしいぞ。
 必要な時に使えなかったらどうするんだ」
「時間制限が切れるまで、ここに滞在してもらえば良いじゃない。
 それから出発しても良いでしょ?」

俺としてはどっちでも良い。
ただ、城に滞在するのは勘弁。気疲れしそう。
出発は先でも良いから、城下町の宿屋に移動させてください。

「“聖人様”。私からも頼めるだろうか?」
「あ、はい。判りました」

王様からもリクエストをもらった。こっちの会話を聞いてたのね。
威力とか知りたいんだろうか?
自分の子供を守れるか、ってのが本命かも?

補助カードは、悪魔の能力の底上げだから使う必要は無いだろ。
使うとしたら、バリア・上昇・下降・貫通・ポーションのどれか。
一番良いのはポーションかなぁ。
3枚あるから、1枚使っても大丈夫だし。
問題は怪我人がいない事だけど。

「怪我人や病気の人が居るならポーションを使いますけど。
 そうじゃないなら……バリアを使いましょうか?」
「病気の者や怪我人は、今の所おりません」
「と宰相が言っているので、その『バリア』?でお願い出来るだろうか?」
「判りました」

ラノベのように、都合良く近しい人に病人や怪我人は居なかったか。
そういう人を治して信頼度を上げるのが、一連の流れなんだけどな。
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