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殺人事件編-2
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ナオコと会う事になった。
ナオコは品川で美味しいカフェを見つけたと言い、文花を誘ってきたのだった。
夫がミイの元に行ってしまい気が塞ぎ、ナオコの誘いは嬉しかった。二つ返事でOKした。またミイの悪口でも言えば気が晴れると思った。
午後、品川駅で待ち合わせをして、ナオコと一緒にカフェに向かう。
ナオコは今日はメガネをしていなかった。化粧しているようだ。オフ会であった時と雰囲気が少し違った。
聞くと午前中は婚活に行っていたと言う。こうしてオシャレをしているとナオコは美人に見えた。
「えー、婚活中だったの?疲れてない?カフェ行って大丈夫?」
「全然。むしろ婚活ストレスたまるから気晴らししたいのよ」
たどり着いたカフェは女性客で賑わっていた。
パンケーキと紅茶、パフェなどがオススメらしく、店の前のオシャレな黒板の看板に書いてあった。
昼時で少し混んでるらしく、店に入るまで並んだが、しばらくして席に通された。
「わー、美味しそう!」
「悩むね。ナオコさんはどれ食べる?」
「どうしよう、悩む」
文花は季節のフルーツパフェと紅茶のセットにささっと決めたが、ナオコはしばらく悩んでいた。 少々優柔不断の性格なのかもしれない。結局パンケーキとコーヒーのセット、サンドイッチプレートを頼み、二人でシェアしようという事になった。
話題は自然とミイの事になる。
「呪いで人を殺せるってあると思う?」
「ないでしょう」
「文花さん、結構ドライですね。私はそんな事があるような気がする」
ナオコは少し沈んだ声を出す。
サンドイッチプレートがテーブルに届き、食べはじねた。
「美味しい。太っちゃう」
ナオコは笑顔を見せつつも、困ったように眉を下げた。
ナオコはどちらといえば背も高い方だ。あまり太っている様には見えなかった。
「ストレス溜まると食べちゃうんだよね。婚活もものすごくストレス溜まるし」
「やめちゃえばいいじゃない。うっかり変な男と結婚すると苦労するわ」
文花はふふふと笑って見せたが、笑えない話題である。
「文花さんの旦那さんって……」
「不倫の常習犯。今までの愛人は五十一人もいるの。浅山ミイも含めてね」
「それは…辛いですね…。でも結婚できたのはやっぱり羨ましいな……」
「婚活大変?」
ナオコは深く頷いた。
聞くと婚活パーティには既婚者や遊び目的の男も多く、中には投資を持ちかけたり、壺を売りつける業者も混じって入りという。マッチングアプリだともっと相手を探しにくく、身元がわからない相手と会うのも怖いと言う。
だからといってミイに婚活の相談をしても余計に上手くいかなかった。容姿や仕事内容を罵られ、すっかり心が疲れてしまったと言う。もちろん正しい指摘もあったかもしれないが、あまりにもキツいものの言い様に自信も全く無くなってしまったとナオコはつぶやいた。
「働きたくないから専業主婦になりたいとか言ってるわけじゃないのよ。ただ人並みに幸せになりたいだけなのに、どうしてうまくいかないんだろうね」
その気持ちは文花にはわかった。幸せになるはずだと、夫を幸せに出来るはずだと確信して結婚したのに、結果は不倫という現実が待っていた。芸の肥やしだと一般的ではない特殊な言い訳もされ、離婚さえも出来ない。
いつか夫の気持ちが帰ってくると薄い望を持ちながら、何回も裏切られる。文花の結婚生活は、目の見えない檻に囚われている様だった。それでも不幸だとは思えない。そう思った途端に見えない檻から一生出られない様な気がした。
「まあ、今日は食べてつまらない事忘れましょう」
「そうね」
ちょうどそこへパフェやパンケーキが運ばれてきて、文花とナオコは目を輝かせてスプーンやフォークを握った。
パフェもパンケーキも二人でシェアしたので楽しめた。
束の間悪い事を忘れた時、耳にとんでもない言葉が降ってきた。
「このブス!」
ナオコは品川で美味しいカフェを見つけたと言い、文花を誘ってきたのだった。
夫がミイの元に行ってしまい気が塞ぎ、ナオコの誘いは嬉しかった。二つ返事でOKした。またミイの悪口でも言えば気が晴れると思った。
午後、品川駅で待ち合わせをして、ナオコと一緒にカフェに向かう。
ナオコは今日はメガネをしていなかった。化粧しているようだ。オフ会であった時と雰囲気が少し違った。
聞くと午前中は婚活に行っていたと言う。こうしてオシャレをしているとナオコは美人に見えた。
「えー、婚活中だったの?疲れてない?カフェ行って大丈夫?」
「全然。むしろ婚活ストレスたまるから気晴らししたいのよ」
たどり着いたカフェは女性客で賑わっていた。
パンケーキと紅茶、パフェなどがオススメらしく、店の前のオシャレな黒板の看板に書いてあった。
昼時で少し混んでるらしく、店に入るまで並んだが、しばらくして席に通された。
「わー、美味しそう!」
「悩むね。ナオコさんはどれ食べる?」
「どうしよう、悩む」
文花は季節のフルーツパフェと紅茶のセットにささっと決めたが、ナオコはしばらく悩んでいた。 少々優柔不断の性格なのかもしれない。結局パンケーキとコーヒーのセット、サンドイッチプレートを頼み、二人でシェアしようという事になった。
話題は自然とミイの事になる。
「呪いで人を殺せるってあると思う?」
「ないでしょう」
「文花さん、結構ドライですね。私はそんな事があるような気がする」
ナオコは少し沈んだ声を出す。
サンドイッチプレートがテーブルに届き、食べはじねた。
「美味しい。太っちゃう」
ナオコは笑顔を見せつつも、困ったように眉を下げた。
ナオコはどちらといえば背も高い方だ。あまり太っている様には見えなかった。
「ストレス溜まると食べちゃうんだよね。婚活もものすごくストレス溜まるし」
「やめちゃえばいいじゃない。うっかり変な男と結婚すると苦労するわ」
文花はふふふと笑って見せたが、笑えない話題である。
「文花さんの旦那さんって……」
「不倫の常習犯。今までの愛人は五十一人もいるの。浅山ミイも含めてね」
「それは…辛いですね…。でも結婚できたのはやっぱり羨ましいな……」
「婚活大変?」
ナオコは深く頷いた。
聞くと婚活パーティには既婚者や遊び目的の男も多く、中には投資を持ちかけたり、壺を売りつける業者も混じって入りという。マッチングアプリだともっと相手を探しにくく、身元がわからない相手と会うのも怖いと言う。
だからといってミイに婚活の相談をしても余計に上手くいかなかった。容姿や仕事内容を罵られ、すっかり心が疲れてしまったと言う。もちろん正しい指摘もあったかもしれないが、あまりにもキツいものの言い様に自信も全く無くなってしまったとナオコはつぶやいた。
「働きたくないから専業主婦になりたいとか言ってるわけじゃないのよ。ただ人並みに幸せになりたいだけなのに、どうしてうまくいかないんだろうね」
その気持ちは文花にはわかった。幸せになるはずだと、夫を幸せに出来るはずだと確信して結婚したのに、結果は不倫という現実が待っていた。芸の肥やしだと一般的ではない特殊な言い訳もされ、離婚さえも出来ない。
いつか夫の気持ちが帰ってくると薄い望を持ちながら、何回も裏切られる。文花の結婚生活は、目の見えない檻に囚われている様だった。それでも不幸だとは思えない。そう思った途端に見えない檻から一生出られない様な気がした。
「まあ、今日は食べてつまらない事忘れましょう」
「そうね」
ちょうどそこへパフェやパンケーキが運ばれてきて、文花とナオコは目を輝かせてスプーンやフォークを握った。
パフェもパンケーキも二人でシェアしたので楽しめた。
束の間悪い事を忘れた時、耳にとんでもない言葉が降ってきた。
「このブス!」
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