本妻探偵〜彼女の不幸な結婚〜

地野千塩

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殺人事件編-7

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 その次も次の日も朝になっても昼になっても夫は帰ってこなかった。

 変わった事といえば、常盤から昼間電話がかかってきた事ぐらいだろうか。どうせ良い知らせではないだろうと思って、ウンザリしながら電話に出たが、想像以上に嫌な知らせだった。

「は? そっちにも私宛の脅迫状が届いてるんですか?」
「そうなんですよ。うちの編集部あてに」

 昼出版にも届いてるのか。

 これは本格的に嫌がらせが始まったと考えて良いだろう。

「どうしましょうか? 警察には」
「そうねぇ。おそらく浅山ミイがやってるんでしょ。昔も似たような嫌がらせをやっていたらしいし、あの女ならやりかねないわね」

 文花の声は冷静というよりは、呑気そうで常盤は顔を顰める。もう少し怖がったり、動揺しても良いのに。

「そうね。証拠がないのよ。証拠もないのに、疑いうなって警察には言われて終わりよ」
「いえ、でも一応警察に言いましょうよ。実際こんな手紙送りつけているんですから」
「うん、そうねぇ……」

 文花は警察に知らせるのは渋った。

「昔似たようなことがあっても取り合ってくれなかったのよ。私が証拠見つけちゃおうかしら」

 クスクスと文花は笑った。電話越しではあるが、常盤はため息をついた。

「不法侵入は犯罪ですよ。わかりましたよ。警察には言いませんけど」
「けど?」
「何か嫌な予感がます。戸締りは気をつけて下さい」
「嫌な予感?」
「カンです、ただの」
「そう、わかった」

 文花はその後、電話を切った。

 ミイの家に侵入しても良いが、やはりそれはさすがに抵抗があった。

 ミイの家はその後判明した

 しかも近所だった。一キロも離れていない。

 逢瀬が都内や神奈川だという理由がわかった。近所で会ってたら、妻に発見されてしまうから小細工してたのだ。

 ミイのプライベートのSNSはもう一つあるのを発見した。それは文花が探したのではなく、匿名の掲示板で晒されていた。

 もう一つのブログでは家に周囲や近所の写真も上げてあり、自宅を簡単に特定できた。おそらく近所に住むものだったら簡単に特定のできる。

 脅迫状も郵送ではないから、ミイ自身がポストに入れているのだろう。監視カメラをつけるか、手紙を入れている瞬間を現行犯で捕まえるか、そんな事を考えているうちに、玄関の方から音がした。

 夫が帰ってきたのだろうか。

 すぐ行ってみると夫が帰っていた。

 しかし夫の様子がおかしい。

 息が上がり、顔を真っ赤にして、動揺していた。夫の手は何故か真っ赤な血がベットリとついていた。

「大変なんだよ、文花ちゃん!」
「は?」

 まるで悪戯がバレた子供もように、目に涙まで浮かべ、文花に縋りつきかかった。

 何となく気持ち悪く、文花を縋りつこうとする夫を避けた。

「ミイが殺されてたんだ!どうしよう文花ちゃん!」

 文花は縋り付く夫を避けきれず、泣きつかれた。

 文花が着ている白いシャツに血が染みた。

「は? どういう事?」
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