その声で囁いて

UTAFUJI

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第二章

24話

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 玲央はゆっくりと顔を上げ、濡れた唇を舌で舐めながら、上目遣いで俺を見上げてくる。

「……いっぱい出たね」

 玲央の指先が、俺の少し汗ばんだ頬をそっと撫でる。熱の残る肌に彼の指先が触れるたび、ぞくりと甘い痺れが走る。

「気持ちよかった?」

「ん……」

 俺は力なく頷いて、玲央の手に頬をすり寄せた。玲央の瞳が細まり、彼は俺に優しげな視線を向けながら、くすくすと笑った。

「ふふ、すりすりするの、猫ちゃんみたいでかわいいねぇ」

 玲央の瞳が、優しく、でもどこか欲情を秘めて俺を見つめている。

 職場でも時折見せてくる、まるで愛おしいものを見るような目。この視線に捕われてしまうと、もっと彼に甘えたくなる。このまま触れ合っていたいな、なんて思ってしまう。

 俺は震える手で玲央の顔を抱き寄せるようにして、彼の耳元で吐息混じりに囁いた。

「……ちゅう、しよ」

 すっと体を離すと、玲央の瞳は大きく見開かれ、すぐに艶やかな笑みを浮かべる。

「もちろん」

 玲央の唇が俺の唇に重なった。最初は柔らかく、甘く。けれどすぐに舌が絡みつき、徐々に激しくなる。

「んっ……」

 玲央の舌が俺の口内を蹂躙し、唾液が混じり合う。ちゅっ、ちゅるっと音を立てて吸い上げられる。

 俺は玲央の首に腕を回して、もっと深く求めながら、ソファに体を倒した。彼もそれに合わせて覆いかぶさり、俺の体を押し付けるように倒れ込む。

「ん……はぁ……」

 ソファに沈み込む背中。玲央の熱い体が俺を包み、唇が離れることなく深く繋がる。舌が絡み合い、息が混じり、熱い吐息が耳元で響く。

 唇が離れる瞬間、糸を引く唾液がぽたりと俺の顎に落ちた。息が乱れて、玲央の瞳がすぐ近くで揺れている。

 玲央の吐息が俺の唇をくすぐり、熱い。瞳の奥に揺れる欲望が、俺の理性をじんわり溶かしていく。

 そのとき、太ももに硬いものが触れた。視線を下に滑らせると、玲央のスウェットが、ぴんと張り詰めているのが目に入った。

 思わず、俺は手を伸ばし、布越しにその熱を確かめるように、張り詰めたものをゆっくりと撫でた。

「っ、栞季くん……我慢できなくなるから、やめて」

 玲央の声が荒い息と共に漏れ、俺の耳をくすぐる。顔を上げると、玲央の瞳が潤んでいて、普段の余裕たっぷりな表情が崩れかけているのがわかる。

 でも俺は止めずそこに指を這わせ、撫で続ける。布越しでも、玲央のものが俺の手の中でビクビクと跳ねるのがわかった。

 玲央の息がますます乱れ、目は獣のように細める。目が合うと、彼は俺の手首をがしっと掴んだ。

「ほんとに、ひどいことしちゃいそうになるから。これ以上は、だめ」

「ひどい、こと?」

 俺の問いに、玲央はふっと目を伏せ、それからじっと俺の目を見つめ返す。

「そう、ひどいこと。 俺、これでも我慢してるんだから、あんまり煽らないで」

 玲央は諭すように俺の瞳をまっすぐ見つめてくる。この状況で、彼の言う“ひどいこと”が何なのかなんて、考えるまでもない。別にこいつになら、

 そんなことを思って、俺は伸ばしている手の力を緩めた。それに合わせるように、玲央も俺の手首を解放する。

 でも、彼の手がまだ近くにあるうちに、俺はその手に指を絡ませた。俗にいう恋人繋ぎだ。重ねた手のひらには、まだ少し熱が残っている。

 その手を、彼の視界に映るところへと移動させて、見せつけるようにしてから、言った。

「……痛くしないなら、いいよ」

 俺の言葉に、玲央の喉がごくりと鳴る。指が絡まったまま手を、玲央がぎゅっと握り返す。

「俺を、試してるの? ほんとにずるいよ、栞季くん……そんなのどこで覚えてきたの?」

 数秒、俺たちはただ見つめあった。

 やがて玲央は小さくため息をつき、ゆっくりと上体を起こした。
 絡まった指はそのままに、空いた手が俺の太ももにそっと掌を這わせる。

「わかった」
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