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第三章
4話
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「実はさ、来月、引っ越す……かもしれなくて」
玲央の顔から、ゆっくりと笑みが消えていくのがわかった。さっきまで無邪気にトースト頬張ってた顔が、まるで嘘みたいに静かになる。
「は?なんで?仕事も辞めんの?」
「姉ちゃんに一緒に住むの提案されてて、まぁ、ほぼ決まってるようなもんなんだけど。仕事はやめない。むしろ通勤はしやすくなると思う」
「そっか、辞めないならいいや」
玲央はそう言って、少し気を抜いたように笑った。
「オーナーの提案なら、仕方ないかぁ~」
どこか納得したような、でもほんの少しだけ寂しそうな声音に、俺はカップの中のティーバッグを取り出しながら、玲央の方を見た。
「姉ちゃんに言ってみるから。その……遊びに来い、よ」
そう言うと、玲央は目を見開いて、すぐにパッと笑顔を咲かせた。
「ほんとに? 約束ね!」
玲央は嬉しそうに身を乗り出して、まるで子どもみたいに瞳をきらきらさせてくる。そのテンションに押されて、俺は少しだけ口元を緩めた。
そのとき、テーブルの上に置いていたスマホが震えた。画面をのぞくと、ディスプレイには見慣れた名前が表示されている。
『依織』
一瞬、心臓がトクンと鳴った。画面を見つめたまま、俺は指を止める。
出るか、出ないか。少しだけ迷って、今じゃなくてもいい。どうせ折り返せば済むことだろ。そう思って、そっとスマホを裏返すように伏せた。
すると、玲央がちらっとこっちを見て、首を傾げてくる。
「電話、出ないの?俺のことは気にしないで出なよ」
「……ありがと」
俺は短くそう答えると、もう一度スマホを手に取り、通話ボタンを押した。スマホを耳に当てると、すぐに柔らかい声が響いた。
『あっ、シキ様、おはようございます。もしかして寝てました?』
『いや、起きてる。朝ごはん食べてた』
ちらりと視線をテーブルに戻すと、玲央がこちらを気にしつつ、ベーコンエッグをもぐもぐ食べている。
『あ、それならよかったです。今日の待ち合わせのことなんですけど』
『それ、俺も連絡しなきゃなって思ってた。何時にどこに行けばいい?』
そう返すと、依織の声が少し弾んだように聞こえた。
『予約したのが七時なので、六時半に駅前に待ち合わせとかどうですか?後でお店の最寄りの駅送っておきますね』
『ありがと、楽しみにしてっ……』
そう言いかけたところで、不意に腰に冷たい感触が走った。
ばっと視線を落とすとスウェットの裾から、すっと手が差し込まれているのが見えた。指先が素肌をなぞってきて、思わず背筋が伸びる。
『……?シキ様?』
『んっ……、なんでもない』
平静を装って答えながらも、内心は騒がしかった。
背中を這う玲央の指が、わざとゆっくり、俺の腰のくびれをなぞってくる。
くすぐったさと、妙な熱さが入り混じるその感触に、喉が勝手に鳴った。
玲央の顔から、ゆっくりと笑みが消えていくのがわかった。さっきまで無邪気にトースト頬張ってた顔が、まるで嘘みたいに静かになる。
「は?なんで?仕事も辞めんの?」
「姉ちゃんに一緒に住むの提案されてて、まぁ、ほぼ決まってるようなもんなんだけど。仕事はやめない。むしろ通勤はしやすくなると思う」
「そっか、辞めないならいいや」
玲央はそう言って、少し気を抜いたように笑った。
「オーナーの提案なら、仕方ないかぁ~」
どこか納得したような、でもほんの少しだけ寂しそうな声音に、俺はカップの中のティーバッグを取り出しながら、玲央の方を見た。
「姉ちゃんに言ってみるから。その……遊びに来い、よ」
そう言うと、玲央は目を見開いて、すぐにパッと笑顔を咲かせた。
「ほんとに? 約束ね!」
玲央は嬉しそうに身を乗り出して、まるで子どもみたいに瞳をきらきらさせてくる。そのテンションに押されて、俺は少しだけ口元を緩めた。
そのとき、テーブルの上に置いていたスマホが震えた。画面をのぞくと、ディスプレイには見慣れた名前が表示されている。
『依織』
一瞬、心臓がトクンと鳴った。画面を見つめたまま、俺は指を止める。
出るか、出ないか。少しだけ迷って、今じゃなくてもいい。どうせ折り返せば済むことだろ。そう思って、そっとスマホを裏返すように伏せた。
すると、玲央がちらっとこっちを見て、首を傾げてくる。
「電話、出ないの?俺のことは気にしないで出なよ」
「……ありがと」
俺は短くそう答えると、もう一度スマホを手に取り、通話ボタンを押した。スマホを耳に当てると、すぐに柔らかい声が響いた。
『あっ、シキ様、おはようございます。もしかして寝てました?』
『いや、起きてる。朝ごはん食べてた』
ちらりと視線をテーブルに戻すと、玲央がこちらを気にしつつ、ベーコンエッグをもぐもぐ食べている。
『あ、それならよかったです。今日の待ち合わせのことなんですけど』
『それ、俺も連絡しなきゃなって思ってた。何時にどこに行けばいい?』
そう返すと、依織の声が少し弾んだように聞こえた。
『予約したのが七時なので、六時半に駅前に待ち合わせとかどうですか?後でお店の最寄りの駅送っておきますね』
『ありがと、楽しみにしてっ……』
そう言いかけたところで、不意に腰に冷たい感触が走った。
ばっと視線を落とすとスウェットの裾から、すっと手が差し込まれているのが見えた。指先が素肌をなぞってきて、思わず背筋が伸びる。
『……?シキ様?』
『んっ……、なんでもない』
平静を装って答えながらも、内心は騒がしかった。
背中を這う玲央の指が、わざとゆっくり、俺の腰のくびれをなぞってくる。
くすぐったさと、妙な熱さが入り混じるその感触に、喉が勝手に鳴った。
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