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第三章
5話
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『ぅぐっ……!』
『シキ様?本当に、大丈夫ですか?』
『……ッ、だいじょ……ぶ』
声が上擦るのを堪えて、震える息を押し殺しながら答える。けれど、玲央は止まらない。むしろ俺の反応を愉しむように、小さく笑った気配がする。
「ふ~ん、大丈夫なんだ?」
反対側の耳元に唇が近づき、吐息混じりにそんなことを囁かれる。その息が耳殻にかかるだけで、押さえ込んでいる感覚が過敏に反応してしまい、身体がびくりと跳ねる。
『……』
スマホ越しの依織が、一瞬だけ言葉を止める。
『それなら、よかったです。今日のこと、俺めっちゃ楽しみで……』
何事もなかったように会話を再開する依織の声を聞きながら、俺は堪えるので精一杯だった。
『うん、俺も……ッ。楽しみに、してた』
平静を装い、息を乱さないように必死で言葉を紡ぐ。玲央の指は執拗に腰をなぞり、くすぐりとも焦らしとも取れる力加減で、肌を撫で続けてくる。
「楽しみにしてたんだ~、俺との予定よりも?」
その言葉に、咄嗟にスマホを持っていない方の手で玲央を制そうとする。けれど、それが気に入らなかったらしい。玲央はその手をぱしりと掴み、自分の方に引き寄せてくる。
『あの、シキ様。好きな天ぷらとかってありますか?』
『あ、あぁ。れんこんとか、あと海老も好き……』
「栞季くん、俺のことは無視?」
低く囁かれた声のすぐあと。じゅっと湿った音が俺の耳を襲う。
『ッ——……!』
耳垂を吸われたかと思うと、生温かいものが耳殻を這った。全身にびりっとした電流が走る。ぴちゃ、くちゅと執拗に舐め回される。湿った音が鼓膜を刺激して、力が抜けそうになり、反射的にスマホを握る手に力がこもる。
『俺も、海老の天ぷら好きです!予約したお店、コースなんですけど、アラカルトも追加で注文できるんで』
『んっ……!そう、なんだ』
依織の声が、どこか遠くで響いているように感じる。焦点の合わない視界の中、玲央の指が俺の腰を這い、今度はゆっくりと腹のほうへと滑り込んできた。
『また一緒にご飯食べれるの嬉しいです、シキ様も同じだといいな』
「ねぇ、ちゃんと聞いてる?」
『うん……っ』
耳元でささやかれた声に、反射的にうなずいた。けれど、それは玲央に対してだったのか、依織に対してだったのか、自分でももう分からない。
『またお店着いたらメニュー見せますね。他のお店にはなさそうなものもあったので、楽しみにしててください』
『う、ん……ありがとう』
ようやく会話を終え、スマホの通話ボタンを震える指で切る。
『シキ様?本当に、大丈夫ですか?』
『……ッ、だいじょ……ぶ』
声が上擦るのを堪えて、震える息を押し殺しながら答える。けれど、玲央は止まらない。むしろ俺の反応を愉しむように、小さく笑った気配がする。
「ふ~ん、大丈夫なんだ?」
反対側の耳元に唇が近づき、吐息混じりにそんなことを囁かれる。その息が耳殻にかかるだけで、押さえ込んでいる感覚が過敏に反応してしまい、身体がびくりと跳ねる。
『……』
スマホ越しの依織が、一瞬だけ言葉を止める。
『それなら、よかったです。今日のこと、俺めっちゃ楽しみで……』
何事もなかったように会話を再開する依織の声を聞きながら、俺は堪えるので精一杯だった。
『うん、俺も……ッ。楽しみに、してた』
平静を装い、息を乱さないように必死で言葉を紡ぐ。玲央の指は執拗に腰をなぞり、くすぐりとも焦らしとも取れる力加減で、肌を撫で続けてくる。
「楽しみにしてたんだ~、俺との予定よりも?」
その言葉に、咄嗟にスマホを持っていない方の手で玲央を制そうとする。けれど、それが気に入らなかったらしい。玲央はその手をぱしりと掴み、自分の方に引き寄せてくる。
『あの、シキ様。好きな天ぷらとかってありますか?』
『あ、あぁ。れんこんとか、あと海老も好き……』
「栞季くん、俺のことは無視?」
低く囁かれた声のすぐあと。じゅっと湿った音が俺の耳を襲う。
『ッ——……!』
耳垂を吸われたかと思うと、生温かいものが耳殻を這った。全身にびりっとした電流が走る。ぴちゃ、くちゅと執拗に舐め回される。湿った音が鼓膜を刺激して、力が抜けそうになり、反射的にスマホを握る手に力がこもる。
『俺も、海老の天ぷら好きです!予約したお店、コースなんですけど、アラカルトも追加で注文できるんで』
『んっ……!そう、なんだ』
依織の声が、どこか遠くで響いているように感じる。焦点の合わない視界の中、玲央の指が俺の腰を這い、今度はゆっくりと腹のほうへと滑り込んできた。
『また一緒にご飯食べれるの嬉しいです、シキ様も同じだといいな』
「ねぇ、ちゃんと聞いてる?」
『うん……っ』
耳元でささやかれた声に、反射的にうなずいた。けれど、それは玲央に対してだったのか、依織に対してだったのか、自分でももう分からない。
『またお店着いたらメニュー見せますね。他のお店にはなさそうなものもあったので、楽しみにしててください』
『う、ん……ありがとう』
ようやく会話を終え、スマホの通話ボタンを震える指で切る。
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