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第三章
11話
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車内は、平日の昼間ということもあり幸いそこまで混んではいなくて、俺たちは並んで座ることができた。窓際の二人席で、玲央が通路側、俺が窓側。座った瞬間、背もたれに体を預けて、ほっと息が漏れる。
「座れてよかったね~」
「だな、まぁ……この時間帯だし、人が少ないのは当たり前か」
そう返しながら、俺は窓の外へ目をやった。ビルの隙間から、冬の陽射しが車内に差し込んで暖かい。
隣の玲央は、窓の外を眺めたり、こちらを見ては小さく笑ったり、膝の上で指を絡めたり解いたり、と落ち着きがない。
その様子が気になって、俺は小さく息を吐いて声をかけた。
「……今から行く店って、何がうまいんだ?」
「……!!」
そう聞いた瞬間、玲央は待ってましたと言わんばかりに目を輝かせた。
「えっとね~!……っと、これ!この店なんだけど、このレアチーズケーキがやばいの。あと、この店舗のオリジナルブレンドティーもめちゃくちゃ評判よくて~」
玲央は、ポケットからスマホを取り出し、素早く画面を操作して、俺の方へぐいっと差し出してくる。スクロールされる画面には、丁寧に盛り付けられたケーキと、湯気の立つカップの写真。確かに、見ているだけで匂いが漂ってきそうだ。
「確かに、うまそう……」
俺が素直に呟くと、玲央はにっこりと笑ってスマホを手元に戻す。
「でしょ?いつか栞季くん連れて行きたいなって思ってたんだ~!」
そう言って、スマホをいじる玲央の横顔は、さっきまでの落ち着きのなさが嘘みたいに穏やかで、純粋に楽しそうだった。
電車が次の駅に滑り込む頃、玲央はまだスマホを握りしめたまま、画面を指でなぞっていた。一生懸命、俺に見せたいケーキの写真を探しているようだった。
また電車のドアが閉まり動き出す。次の駅は職場の最寄りで、もうここまで来たのかと窓の外に視線を移す。
通勤の時に見てるはずの景色なのに、時間帯が違うと見慣れてない街並みのようにも見える。まぁ、いちいち外をじっくり見ることもないもんな。
「で、どこで降りるんだ?」
そう尋ねると、玲央はスマホの画面を閉じながら口元を緩めた。
「もうちょい向こう~、あと二駅かな?」
「二駅か」
俺が軽く相槌を打つと、玲央はいたずらっぽく片眉を上げて、ニッと笑う。
「うん。俺の最寄り駅だよ」
「ん?お前の最寄り?」
思わず聞き返すと、玲央は悪びれもせず「えへへ~」と笑って、自分のスマホを揺らしてみせた。
「たまたまだよ?たまたま俺が見つけた喫茶店が栞季くんも好きそうで~」
声の端に、明らかに隠しきれない企みが混じっているような気がした。
「ふ~ん……その心は?」
俺が少し目を細めて聞き返すと、玲央は一瞬だけ視線を逸らして、それからまた俺をまっすぐ見て、にやりと笑った。
「座れてよかったね~」
「だな、まぁ……この時間帯だし、人が少ないのは当たり前か」
そう返しながら、俺は窓の外へ目をやった。ビルの隙間から、冬の陽射しが車内に差し込んで暖かい。
隣の玲央は、窓の外を眺めたり、こちらを見ては小さく笑ったり、膝の上で指を絡めたり解いたり、と落ち着きがない。
その様子が気になって、俺は小さく息を吐いて声をかけた。
「……今から行く店って、何がうまいんだ?」
「……!!」
そう聞いた瞬間、玲央は待ってましたと言わんばかりに目を輝かせた。
「えっとね~!……っと、これ!この店なんだけど、このレアチーズケーキがやばいの。あと、この店舗のオリジナルブレンドティーもめちゃくちゃ評判よくて~」
玲央は、ポケットからスマホを取り出し、素早く画面を操作して、俺の方へぐいっと差し出してくる。スクロールされる画面には、丁寧に盛り付けられたケーキと、湯気の立つカップの写真。確かに、見ているだけで匂いが漂ってきそうだ。
「確かに、うまそう……」
俺が素直に呟くと、玲央はにっこりと笑ってスマホを手元に戻す。
「でしょ?いつか栞季くん連れて行きたいなって思ってたんだ~!」
そう言って、スマホをいじる玲央の横顔は、さっきまでの落ち着きのなさが嘘みたいに穏やかで、純粋に楽しそうだった。
電車が次の駅に滑り込む頃、玲央はまだスマホを握りしめたまま、画面を指でなぞっていた。一生懸命、俺に見せたいケーキの写真を探しているようだった。
また電車のドアが閉まり動き出す。次の駅は職場の最寄りで、もうここまで来たのかと窓の外に視線を移す。
通勤の時に見てるはずの景色なのに、時間帯が違うと見慣れてない街並みのようにも見える。まぁ、いちいち外をじっくり見ることもないもんな。
「で、どこで降りるんだ?」
そう尋ねると、玲央はスマホの画面を閉じながら口元を緩めた。
「もうちょい向こう~、あと二駅かな?」
「二駅か」
俺が軽く相槌を打つと、玲央はいたずらっぽく片眉を上げて、ニッと笑う。
「うん。俺の最寄り駅だよ」
「ん?お前の最寄り?」
思わず聞き返すと、玲央は悪びれもせず「えへへ~」と笑って、自分のスマホを揺らしてみせた。
「たまたまだよ?たまたま俺が見つけた喫茶店が栞季くんも好きそうで~」
声の端に、明らかに隠しきれない企みが混じっているような気がした。
「ふ~ん……その心は?」
俺が少し目を細めて聞き返すと、玲央は一瞬だけ視線を逸らして、それからまた俺をまっすぐ見て、にやりと笑った。
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