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第三章
17話
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そのままメッセージアプリを開く。
『朝ごはんは食べましたか?』
『スルーすんなよ』
『おい』
『今日休みだろ』
『早よなんか食え』
と無視してた姉ちゃんからのメッセージに、さっき撮ったケーキと紅茶、手入れの行き届いた庭の写真を送った。
『姉ちゃん好きそう』
なんて軽く添えようと、片手で文字を打ち、もう片方で紅茶のカップを手に取った。
「いい写真撮れた?」
紅茶に口をつけようとしたタイミングで、玲央の声が飛んできた。顔を上げると、さっきまでスマホを見てたはずの玲央が、俺の方をじっと見ている。
まさか、玲央を撮ったのがバレたのか?俺は一瞬だけ目をそらし、それから平静を装って答えた。
「ん、まぁ……それなりに?」
「なら、よかった!」
玲央がふっと笑って、スマホをテーブルに伏せた。
「じゃあ、食べよ~!」
気分を切り替えるように手を叩いて、嬉しそうにフォークを取る玲央。その無邪気さにつられて、俺もカップを置いてフォークを手にした。
「いただきます!」
「いただきます」
ひと口分を切り分けて、口に運ぶ。やわらかくて、甘すぎなくて、上品な味が広がった。
「……うま」
思わず零れる声に、玲央が満足気に笑う。
「でしょ?ここのチーズケーキ、俺のお気に入りなんだ~」
なんて言いながら、自分の分を嬉しそうに味わっている。このブレンドティーもおいしいし、確かにこれは人に勧めたくなるのも理解できる。
やっぱり、こいつは店を見つけるのが上手いな。こういうのが食べたいって言ったらすぐにオススメの店を紹介してくれそうだ。
俺は半分くらい食べ進めたケーキに、またフォークを差し込む。ゆっくり食べないとな、なんて思ってしまうほど、手が進んでしまう。
そんな時、テーブルの上に置いていたスマホが微かに震えた。ブルッという振動とともに、画面に新着メッセージの通知が浮かぶ。
ちらっと目を落とすと、姉ちゃんからだった。
『そこ知ってる!うちから近いよ~』
『気になってはいる!どう?いい感じ?』
カフェの雰囲気とチーズケーキの美味さに満足していた俺は、思わずふっと笑みをこぼした。
『近いっけ?姉ちゃんのマンション行くのに車だったから、場所どこら辺か覚えてないや』
『落ち着いてて王室の一部屋みたいな感じ』
送信して画面を閉じようとしたその時、すぐさま既読がつく。早いな、と思ってると、間を置かずに返事が飛んできた。
『ちょっと~?もうちょいで、あんたも住むことになるんだから!覚えといて!』
『へぇ~行ってみよかな』
というメッセージの後にご丁寧にマンションの地図のURLが送られてきた。地図アプリのリンクを開いてみると、たしかに現在地からマンションの位置はそう遠くない。むしろ近いくらいである。
『思ってたより近かったわ』
『ここレイのお気に入りの店らしい』
メッセージをとりあえず送って、スマホをそっと伏せる。これからこの辺りに住むかもしれない、という現実感が少しずつ、じわじわと染みてくる。
「何かあった?」
玲央が首をかしげながら尋ねてくる。
「姉ちゃんに写真送ったら、気になってる~って。しかも、姉ちゃんのマンションからこのカフェ、近いらしい」
「そっか、じゃあ、引っ越したらまた一緒に来られるね」
「そう……だな」
たしかに、また二人で来るのもいいかもしれないな。
『朝ごはんは食べましたか?』
『スルーすんなよ』
『おい』
『今日休みだろ』
『早よなんか食え』
と無視してた姉ちゃんからのメッセージに、さっき撮ったケーキと紅茶、手入れの行き届いた庭の写真を送った。
『姉ちゃん好きそう』
なんて軽く添えようと、片手で文字を打ち、もう片方で紅茶のカップを手に取った。
「いい写真撮れた?」
紅茶に口をつけようとしたタイミングで、玲央の声が飛んできた。顔を上げると、さっきまでスマホを見てたはずの玲央が、俺の方をじっと見ている。
まさか、玲央を撮ったのがバレたのか?俺は一瞬だけ目をそらし、それから平静を装って答えた。
「ん、まぁ……それなりに?」
「なら、よかった!」
玲央がふっと笑って、スマホをテーブルに伏せた。
「じゃあ、食べよ~!」
気分を切り替えるように手を叩いて、嬉しそうにフォークを取る玲央。その無邪気さにつられて、俺もカップを置いてフォークを手にした。
「いただきます!」
「いただきます」
ひと口分を切り分けて、口に運ぶ。やわらかくて、甘すぎなくて、上品な味が広がった。
「……うま」
思わず零れる声に、玲央が満足気に笑う。
「でしょ?ここのチーズケーキ、俺のお気に入りなんだ~」
なんて言いながら、自分の分を嬉しそうに味わっている。このブレンドティーもおいしいし、確かにこれは人に勧めたくなるのも理解できる。
やっぱり、こいつは店を見つけるのが上手いな。こういうのが食べたいって言ったらすぐにオススメの店を紹介してくれそうだ。
俺は半分くらい食べ進めたケーキに、またフォークを差し込む。ゆっくり食べないとな、なんて思ってしまうほど、手が進んでしまう。
そんな時、テーブルの上に置いていたスマホが微かに震えた。ブルッという振動とともに、画面に新着メッセージの通知が浮かぶ。
ちらっと目を落とすと、姉ちゃんからだった。
『そこ知ってる!うちから近いよ~』
『気になってはいる!どう?いい感じ?』
カフェの雰囲気とチーズケーキの美味さに満足していた俺は、思わずふっと笑みをこぼした。
『近いっけ?姉ちゃんのマンション行くのに車だったから、場所どこら辺か覚えてないや』
『落ち着いてて王室の一部屋みたいな感じ』
送信して画面を閉じようとしたその時、すぐさま既読がつく。早いな、と思ってると、間を置かずに返事が飛んできた。
『ちょっと~?もうちょいで、あんたも住むことになるんだから!覚えといて!』
『へぇ~行ってみよかな』
というメッセージの後にご丁寧にマンションの地図のURLが送られてきた。地図アプリのリンクを開いてみると、たしかに現在地からマンションの位置はそう遠くない。むしろ近いくらいである。
『思ってたより近かったわ』
『ここレイのお気に入りの店らしい』
メッセージをとりあえず送って、スマホをそっと伏せる。これからこの辺りに住むかもしれない、という現実感が少しずつ、じわじわと染みてくる。
「何かあった?」
玲央が首をかしげながら尋ねてくる。
「姉ちゃんに写真送ったら、気になってる~って。しかも、姉ちゃんのマンションからこのカフェ、近いらしい」
「そっか、じゃあ、引っ越したらまた一緒に来られるね」
「そう……だな」
たしかに、また二人で来るのもいいかもしれないな。
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