93℃の執着

UTAFUJI

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第三章

37話

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「んん……」

 重い瞼を持ち上げると、どこか見覚えのある天井が視界に広がった。

「……デジャヴだ」

 思わず、腕を額の上に乗せて、ため息を吐いてしまう。数週間前と、ほとんど同じ景色。

 どうやら俺は、寝てしまっていたようだ。気持ち悪さはないから、飲みすぎた訳ではない、と思う。でも、お酒飲んで寝てしまうなんて、気を抜きすぎていたのか、はたまた疲れていたか。

 ゆっくりとベッドから起き上がって、部屋を見渡す。部屋の主人は、ここにはいないみたいだが、ここは依織の家で間違いないだろう。

 嫌というほど、この天井とこのベッドには見覚えがある。服は脱がされた形跡はない、カバンも床に置いてある。

 ベッド脇で充電されているスマホを拾い上げ、画面の光に目を細める。時刻は一時を回ったところだった。

「もう、こんな時間か」

 冷静になると、脳裏に断片的な記憶が蘇ってくる。あの後、起こされてバーを出て……気づいたらタクシーに乗ってて、目が覚めたら依織のベッドだった?

 とりあえず、部屋の主人を探して謝らなければと、ベッドから足を下ろす。寝室の扉を開けると、リビングに明かりがついているのが見えた。

 リビングに向かうと、依織はソファで丸まって眠っていた。そういえば、こいつ、この前もここで寝てた気がするが、いつもここで寝てるのか?あんないいベッドがあるのに。

 いや、今回は俺に譲ってくれてただけだろう。たぶん。

 どうしよう。起こした方がいいか?それとも、そのままの方がいいか。悩んだ挙句、風呂にも入りたかったので起こすことにした。

 人の家の風呂を借りるのに強気に出られるのは、相手がこいつだからだろう。依織なら許してくれるだろうという謎の確信があった。

「依織、い~お~り~!」

 肩を揺さぶると、依織は眉間に皺を寄せながら、うっすらと目を開ける。

「……んん……、うるさい……」

 低い、地を這うような声を発したかと思うと、依織は開いたばかりの目を細め、ソファのクッションに顔を埋めた。

「依織、なぁ……起きろって、風呂借りたいんだけど」

 ソファの横にしゃがみこんで、もう一度その肩を強く揺すった。

「……チッ、あーもう何」

 舌打ちしながら、依織はのろのろと上体を起こす。その目はまだ据わっている。乱れた前髪の間から、射抜くように俺に不機嫌そうな視線を向けてくる。

「風呂、借りていいか?」

「勝手にしてよ……そんなんで、いちいち起こさないで……」

 まだ眠たそうにソファに倒れ込んでいく依織。本当に、寝起きが悪いなこいつ……今話してるのが俺ってこともわかってなさそうだ。それなら、

「じゃあ、タオルとか着替えとかも借りていいか?」

「勝手にどうぞ……タオルは洗面所ね」

 ひらひらと振られる手は、俺を追い払う為のものにも感じたが、まぁ使っていいっていう言質は取れたし。

 寝室に戻って、クローゼットらしきところを勝手に開ける。この前借りた服……もとい、スウェットが目に入ったので、それを借りることにした。

「タオルは洗面所……」

 風呂借りてからさっさと寝よ。そう決めて、俺は風呂場へと向かった。
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感想 11

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みんなの感想(11件)

ひなた
2026.01.10 ひなた
ネタバレ含む
2026.01.14 UTAFUJI

こちらこそ、いつもお読みいただいてありがとうございます!
三角関係のはずが、最近は栞季くんと玲央くんしか書けてないので、これからちゃんと依織くんも出していきます😭😭

解除
静葉
2025.11.29 静葉

手を伸ばして   から
なんでこんなに、意識してしまうのか  

まで2回同じ文章書かれてますよ

2025.11.29 UTAFUJI

コピペミスってましたね、修正しました!
ご指摘ありがとうございます!

解除
静葉
2025.11.20 静葉

玲央濡れた頬

になってましたが

玲央の濡れた頬  では?

2025.11.21 UTAFUJI

ご指摘ありがとうございます!
修正完了しております!

解除

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