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運命は売り切れだった
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―――十二節一日。早朝。
太井炭の街は、うっすらと雪化粧をしていた。
空気は澄み、吐く息が白くほどける。
真葉音は、いつになく震える手で「天速渡線」の始発を待っていた。
今日。
この日の発表で、私の人生が決まる。
本宮へ行き、華やかな行事運営の最前線に立つのか。
それとも、あの夢で見たように――
霊魂残影のまま、埃っぽいシャッターの前で時間を積み重ねていくのか。
・・・それは、ない。
そう思いたかった。
ホームの端で、見慣れた背中を見つける。
「・・・本くん、早いね」
「あ、真葉音ちゃん」
本は少し間を置いて、照れたように笑った。
「今日は、さすがに寝付けなくてさ」
そう言って、本は天速渡線のワイヤーを見上げる。
その横顔は、ほんの少しだけ、寂しそうだった。
始発の到着を告げる音が、静かな朝に響く。
運命は、もう動き出していた。
―――太井炭巡府の掲示板前には、発表の魔導パネルをひと目見ようと、人だかりができていた。
「おいおいおいおいおい!」
叫び声を上げながら走り去っていく口くんの背中が、人波の向こうに一瞬だけ見える。何が書かれていたのか、聞かなくてもだいたい察しはついた。
「・・・真葉音、行くわよ」
和尚さまが静かに声をかけ、私の背中をぽん、と軽く叩く。その拍子に、胸の奥で固まっていた緊張が少しだけほどけた。
発表の魔導パネルが、低い唸り音とともに淡く光り始める。文字はすぐには現れず、もったいぶるように、ゆっくりと宙に浮かび上がった。
【行事運営局・正式配属先一覧】
視線を滑らせる間もなく、私は自分の名前を探していた。
普現寺 和尚 ・・・ 本宮・行事運営第一課
刀 真葉音 ・・・ 本宮・行事運営第一課
「・・・やった」
声が、思ったよりも小さく漏れた。
「・・・本宮、本宮だ・・・!」
隣で和尚さまが「よしっ」と小さく拳を握る。その仕草を見て、ようやく実感が追いついてきた。喜びが胸の奥で膨らみすぎて、今にも弾けそうになる。
私は思わず、視線を巡らせた。少し離れた場所に立つ、本くんの姿を探して。
本くんは、パネルの前で静かに立ち尽くしていた。感情の読めない横顔で、自分の名前の行をじっと見つめている。
【行事運営局・正式配属先一覧】
井 本 ・・・ 太井炭巡府
希望通りだ。彼は太井炭に残った。倉庫ではなく、巡府の本部。間違いなく、望んでいた場所。
――太井炭という街が好きだから。
あの日、彼がそう言った声が、ふいに耳の奥で蘇る。喜ばしいはずの結果なのに、胸の奥に、理由のわからない違和感が生まれた。小さくて、冷たい隙間風が、心のどこかをすうっと吹き抜ける。
「・・・真葉音、行こう」
和尚さまが、少しだけ声を落として言う。
「本宮への引越し準備、今日から始めなきゃなんだから」
私は、もう一度だけ本くんの背中を見てから、うなずいた。
「・・・うん」
足を踏み出すと、掲示板の光は、もう背後に遠ざかっていた。
私は、振り返りそうになる首を必死で押さえつけ、そのまま倉庫のシャッターへと向かった。あの掲示板を、あの背中を、これ以上見てしまったら、何かが崩れてしまいそうだったから。
―――その日の夕暮れ。
本宮への異動が決まった職員には、すでに「天速渡線」の定期券が配られていた。
控えの間はひっそりと静まり返り、外の喧騒が嘘のようだった。
真葉音は、ひとり椅子に腰かけ、掌の上に載せた銀色のカードをじっと見つめていた。冷たいはずの金属が、なぜか体温を帯びているように感じられる。
「・・・おめでとう。真葉音ちゃん」
不意に背後から声をかけられ、真葉音は思わず飛び上がった。振り返ると、そこにいたのは本くんだった。いつも通り、少し眠たげな目をして立っている。
「あ、ありがとう・・・。本くんも、希望通りで、よかったね」
そう言うと、本くんは小さくうなずいた。
「うん。・・・でもさ」
彼は真葉音の隣に腰を下ろし、魔導通信鏡を取り出して操作しはじめる。
画面に映し出されたのは、あの日ふたりで見た【刀削麺名店堪能の巡行】のページだった。
「太井炭から本宮まで、天速渡線で十五分なんだよね」
「・・・え?」
「だからさ。本宮の社食の刀削麺に飽きたら、いつでも太井炭に来なよ。案内するから。・・・いや、案内させろっていうか」
言い終わるころには、本くんの耳が、ほんのりと赤くなっていた。
「・・・十五分。そう、だよね。巡行(たび)ってほど、遠くないもんね」
「そう。・・・だから、これは『さよなら』じゃないよ」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に吹いていた冷たい隙間風が、ふっと消えた気がした。代わりに、湯気の立つ熱いスープのような温もりが、ゆっくりと満ちていく。
本宮配属、十二節一日。
運命の出会いは、まだずっと先にあるものだと、そう信じていた。
けれどあのとき、同じ小麦の香りがすぐ隣にあったことだけは、確かだった。
社員食堂へ向かう廊下で、和尚さまは妙に弾んだ足取りをしていた。
「昼食! 昼食!」
その声に釣られるように、真葉音も少しだけ声を張る。
「刀削麺! 刀削麺!」
「運命! 運命!」
「・・・やっぱり配属されたばかりは、疲れが溜まりやすいですね」
そう言いながらも、真葉音の足は自然と速くなっていた。空腹というより、期待が腹の底で音を立てている。
「お腹空きすぎて、いつもの真葉音ちゃんくらい食べられそう!」
「ちょっと、和尚さま!」
軽口を叩き合ううち、視界が一気に開けた。
壮築楼――宮廷社員食堂。
高い天井。年月を重ねた太い梁には、換気と保温の魔力を帯びた魔導紋様が刻まれている。 食堂全体に、うっすらと温度を保つ魔法のヴェールが張られているようだ。
昼どきになると、官吏、職人、文官が一斉に流れ込み、衣擦れと食器の音が渦を巻く。それでも騒がしさ一色にならないのは、この建物が持つ古い格式のせいだろう。静謐と喧騒が、不思議な均衡を保って同居している。
「ここが壮築楼」
和尚さまは、ちょっと誇らしげに言った。
「真葉音、入庁準備本は読んだ?」
「最初の三頁で脱落しました。和尚さま、説明お願いします」
「正直でよろしい」
肩をすくめてから、和尚さまは声を潜める。
「壮築楼は、ただの社員食堂じゃないの。宮廷の華やかさをぎゅっと圧縮した、隠れ家みたいな場所。宮女や宦官、下級官吏が息抜きに集まるけど、食材は食膳局から直送の特級品ばかりよ」
真葉音は、行き交う盆の上を目で追った。湯気、油の照り、香辛料の匂い。どれもが遠慮なく鼻腔を刺激する。
「豪華な点心ももちろんだけど・・・麺類の充実ぶりが、半端ないわ」
和尚さまの声が、少しだけ低くなる。
「特に――あれ。『烈火刀削麺』。壮築楼の名物よ」
真葉音の喉が、ごくりと鳴った。
配属初日の昼食にしては、少し出来すぎている気もする。でも、この場所ではそれすら「普通」に見えてしまう。小麦の香りが、運命という言葉を、冗談みたいに現実へ引き寄せていた。
「烈火刀削麺!?」
思わず声が裏返る。
「見て、真葉音」
和尚さまは、麺コーナーを指差した。
「本宮の行事運営局が胃袋を掴まれてるっていう、壮築楼名物・烈火刀削麺よ。ただの麺じゃないわ。
宮廷魔導師が呪文と共に炎を操り、極限の火力を維持する。 その熱気の中を、熟練の職人が“盤流式”で飛ばす麺。まるで熱を喰らうように茹で上がるその弾力は芸術よ。
その弾力は芸術よ。烈火のような辛みの奥に、極上の小麦の甘みが隠れてるの」
説明は止まらない。
「スープは黒炭の遠赤外線でじっくり煮出した牛骨ベース。一口啜れば、配属初日の緊張なんて熱気で吹き飛んで、午後の宮廷業務に立ち向かう活力が湧く・・・戦う官吏たちのための“燃料”ね」
「・・・和尚さま、食膳局に配属された方がよかったんじゃないですか」
「ふふ」
和尚さまは、さらに声を落とした。
「それからね。これは準備本に載ってない話。この壮築楼には、たまに“とんでもない御方”が紛れ込むらしいわ」
「とんでもない御方?」
「次期王――皇雅 一殿下」
真葉音は、思わず周囲を見回した。
「毎日、金銀財宝みたいな宮廷料理ばかりで、心底うんざりしてるらしくてね。だからお忍びで、ここにふらっと現れるんですって」
「・・・嘘。そんなことがあったら、それこそ運命じゃないですか!」
「真葉音はあっち、麺コーナーでしょ。わたしは別のところ。この辺で食べましょ」
「わかりました。じゃ、後で!」
「出会い! 出会い!」
真葉音は思わず頬に手を当て、照れたような仕草をしながら麺コーナーへ向かった。
昼膳の刻の壮築楼は混雑していたが、麺コーナーは一段と人が多い。
(悪くない・・・)
順番が近づき、注文を終えた人と、これから頼む人が入り混じる曖昧な列。その中で、真葉音の番が来た。
「烈火刀削麺」
声が、二重に響いた。
だが、それは何度も想像してきた理想とは、まったく違う形で現れた。
「ふたりとも、烈火刀削麺です」
そう店員に告げたのは――古根。
今や絶滅危惧種と噂される、宮廷唯一の生き残り。指導かパワハラか、その境界線を日々またぐお局。地方の倉庫勤務者でも名前を知っている、本宮の“上位五人”のひとりだった。
「あ、すみません。ありがとうございます」
真葉音が反射的に頭を下げた、その直後。
「すみませーん。烈火刀削麺、最後の一杯なんです。最終杯限定で、半分ずつになりますが・・・」
「いえ、ひとつで結構です。作ってください」
古根は、被せるように言った。
「どちらが食べます?」
はっきりした口調。
「え・・・あの・・・どうぞ、食べてください」
「そう? ありがとう!」
一切の躊躇もなかった。
「拉麺なら、すぐ出来ますよ」
「・・・じゃあ、それで」
拉麺を受け取った瞬間、真葉音の肩がわずかに落ちた。どう見ても、落ち込んでいる。
「美味しそうじゃん」
聞き覚えのある声。
顔を上げると、本くんが立っていた。
「え? どうしたの?」
「黒炭祭の報告書を出しに来た」
「びっくりした・・・」
「絶対そっちの方が美味しそう。変えてくんない?」
真葉音は、これは烈火刀削麺売り切れ特別仕様で、メニューにない付盛の希少な拉麺だと説明するが、本くんはどこか上の空だった。
「じゃ、交換な」
そう言って、本くんは自然に丼を差し出した。
運命は、烈火のように派手じゃない顔で、こういう場所に平然と座っているらしい。
本は、自分の盆を左手に、真葉音の特製拉麺が乗った膳を右手に持ち、器用に人波を避けながら歩き始めた。
「あっちで、和尚さまと合流することになってるから」
真葉音がそう言うと、本は軽く頷いた。
二人が待ち合わせのテーブルに着き、盆を置いたものの、まだ腰を下ろす前だった。その瞬間、ちょうど向かい側から和尚さまが戻ってくる。
「お邪魔しまーす!」
本が、場違いなくらい明るく言う。
「本くーん! どうしたの?」
和尚さまの声が弾む。
「わたしもびっくりした」
真葉音が苦笑すると、和尚さまは盆の上を覗き込み、目を見開いた。
「本くんの拉麺、めっちゃ美味しそう!」
「特製付盛です。たぶん今日、わたしだけです」
真葉音が少し誇らしげに言った、その瞬間。
「は? これ、本くんの拉麺でしょ!?」
和尚さまの声が裏返った。
真葉音は、麺類注文列で起きた一部始終を説明した。烈火刀削麺が最後の一杯だったこと。半分案が即却下されたこと。そして、古根という名前を口に出したところで――
「ぷっ」
和尚さまが吹き出した。
「ウケるー! 古根ゴン、噂どおりじゃん!」
「めっちゃ怖かったです・・・」
真葉音は肩をすくめる。
「自分が後ろに並んでたのに、だよ」
本が苦笑しながら付け足した。
「わたしの烈火刀削麺愛を舐めるな、って言った?」
「無理無理」
即答だった。
「運命の出会いが、女性だったとは・・・」
和尚さまが、しみじみ言う。
「しかも、お局」
本がぽつりと重ねた。
三人の間に、小さな笑いが落ちた。
烈火でも王族でもないけれど、こういう偶然が重なる昼食の時間こそ、配属初日の本宮らしさなのかもしれなかった。
「――あれ?」
和尚さまが、ふいに声を上げた。
「これ、本くんが正義のヒーローになってない?」
「正義のヒーロー?」
真葉音が首を傾ける。
「そう。だってさ、真葉音が無事に烈火刀削麺を食べられたの、本くんのおかげでしょ。・・・いや、待てよ」
和尚さまは顎に手を当て、少し考える。
「古根ゴンを倒したわけじゃないから、正義のヒーローっていうより――」
一拍。
「運命の人、だね!」
「ないないないないない・・・」
真葉音と本が、ほぼ同時に手を横に振った。
「え?」
和尚さまは、その反応に納得がいかない様子で、もう一度考え込む。
「・・・いやっ。やっぱり、運命の人だねー」
「・・・小休、終わるから戻るよ~」
真葉音は、わざとらしく冷めた声を出し、盆を持ち上げた。
―――真葉音(語り)
わたしは、昼に刀削麺を食べながら、今夜食べる刀削麺のことを考える女だ。
和尚さまは相変わらず、おかしなことを言っていたけれど、そんな言葉は、麺の湯気と一緒にすぐ流れていった。
そのとき、わたしの頭に浮かんでいたのは、
太井炭巡府に勤めていた頃、仕事帰りに必ず立ち寄っていた、あの刀削麺のこと。
あの店の、少し油が強くて、でも不思議と落ち着く味。
本宮の烈火刀削麺とは違う。
でも、疲れた夜には、あの味が恋しくなる。
運命より先に、
わたしは今日の夕食のことで、頭がいっぱいだった。
小麦の香りは、いつだって、未来より現実に強い。
―――常連の麺飯店に到着。
「こんばんは~」
「あら、真葉音ちゃん久しぶり~。おい、真葉音ちゃん来たよ」
店主が、いつも通り大げさに声を張り上げる。
「あらー、真葉音ちゃん、おかえりなさい」
店母の笑顔も、変わらず温かい。
ここはもう、実家みたいな場所だった。店主も店母も、私を迎えてくれるその温かさが、何より安心できる。
「いつものでいい?」
「はい、お願いします」
―――真葉音(語り)
わたしは夜に注文した刀削麺を待ちながら、昼に食べた刀削麺を思い返していた。
初めての壮築楼。初めての烈火刀削麺。あのときの味の余韻が、まだ舌の奥に残っている。
本くんが、流れるような所作で烈火刀削麺と拉麺を交換してくれたこと。膳を両手に運ぶ背中の姿。
そのとき見た景色が、ふっと頭に浮かぶ。
そして次に、和尚さまの声が耳の奥で響いた。
「運命の人だね」
「・・・いやあ、ないないないない・・・」
独り言で返すと、店母がちょうどそのタイミングで刀削麺を置いた。
「はい、刀削麺」
―――店のドアが開く音。
「あ、おかえり~(厨房に向かって)刀削麺1つ~」
「はーい」
店母さんが、注文を確認せずに厨房に声をかけるのは、常連である私だけの特権だった。
「ただいま」
聞き覚えのある声が、カウンターに届いた。
「え!」
目を向けると、本くんが立っている。
「本くんも常連だったの?」
「いや、ここ、俺の実家」
―――胸の奥に、昼の運命と夜の帰属感が、同時にじんわりと暖かく広がった。
「え!!!」
店母が目を細める。
「あら、知り合いだったの?」
「同門」
「まあ、すごい運命ね!」
真葉音・本:「ないないないない・・・」
―――真葉音(語り)
私は朝も昼も夜も刀削麺を食べながら、刀削麺な運命の出会いを妄想する女。
運命って、偶然を待つものじゃなくて、そっと隣にいてくれるものなのかもしれない。
なんて、ないないないない・・・。
太井炭の街は、うっすらと雪化粧をしていた。
空気は澄み、吐く息が白くほどける。
真葉音は、いつになく震える手で「天速渡線」の始発を待っていた。
今日。
この日の発表で、私の人生が決まる。
本宮へ行き、華やかな行事運営の最前線に立つのか。
それとも、あの夢で見たように――
霊魂残影のまま、埃っぽいシャッターの前で時間を積み重ねていくのか。
・・・それは、ない。
そう思いたかった。
ホームの端で、見慣れた背中を見つける。
「・・・本くん、早いね」
「あ、真葉音ちゃん」
本は少し間を置いて、照れたように笑った。
「今日は、さすがに寝付けなくてさ」
そう言って、本は天速渡線のワイヤーを見上げる。
その横顔は、ほんの少しだけ、寂しそうだった。
始発の到着を告げる音が、静かな朝に響く。
運命は、もう動き出していた。
―――太井炭巡府の掲示板前には、発表の魔導パネルをひと目見ようと、人だかりができていた。
「おいおいおいおいおい!」
叫び声を上げながら走り去っていく口くんの背中が、人波の向こうに一瞬だけ見える。何が書かれていたのか、聞かなくてもだいたい察しはついた。
「・・・真葉音、行くわよ」
和尚さまが静かに声をかけ、私の背中をぽん、と軽く叩く。その拍子に、胸の奥で固まっていた緊張が少しだけほどけた。
発表の魔導パネルが、低い唸り音とともに淡く光り始める。文字はすぐには現れず、もったいぶるように、ゆっくりと宙に浮かび上がった。
【行事運営局・正式配属先一覧】
視線を滑らせる間もなく、私は自分の名前を探していた。
普現寺 和尚 ・・・ 本宮・行事運営第一課
刀 真葉音 ・・・ 本宮・行事運営第一課
「・・・やった」
声が、思ったよりも小さく漏れた。
「・・・本宮、本宮だ・・・!」
隣で和尚さまが「よしっ」と小さく拳を握る。その仕草を見て、ようやく実感が追いついてきた。喜びが胸の奥で膨らみすぎて、今にも弾けそうになる。
私は思わず、視線を巡らせた。少し離れた場所に立つ、本くんの姿を探して。
本くんは、パネルの前で静かに立ち尽くしていた。感情の読めない横顔で、自分の名前の行をじっと見つめている。
【行事運営局・正式配属先一覧】
井 本 ・・・ 太井炭巡府
希望通りだ。彼は太井炭に残った。倉庫ではなく、巡府の本部。間違いなく、望んでいた場所。
――太井炭という街が好きだから。
あの日、彼がそう言った声が、ふいに耳の奥で蘇る。喜ばしいはずの結果なのに、胸の奥に、理由のわからない違和感が生まれた。小さくて、冷たい隙間風が、心のどこかをすうっと吹き抜ける。
「・・・真葉音、行こう」
和尚さまが、少しだけ声を落として言う。
「本宮への引越し準備、今日から始めなきゃなんだから」
私は、もう一度だけ本くんの背中を見てから、うなずいた。
「・・・うん」
足を踏み出すと、掲示板の光は、もう背後に遠ざかっていた。
私は、振り返りそうになる首を必死で押さえつけ、そのまま倉庫のシャッターへと向かった。あの掲示板を、あの背中を、これ以上見てしまったら、何かが崩れてしまいそうだったから。
―――その日の夕暮れ。
本宮への異動が決まった職員には、すでに「天速渡線」の定期券が配られていた。
控えの間はひっそりと静まり返り、外の喧騒が嘘のようだった。
真葉音は、ひとり椅子に腰かけ、掌の上に載せた銀色のカードをじっと見つめていた。冷たいはずの金属が、なぜか体温を帯びているように感じられる。
「・・・おめでとう。真葉音ちゃん」
不意に背後から声をかけられ、真葉音は思わず飛び上がった。振り返ると、そこにいたのは本くんだった。いつも通り、少し眠たげな目をして立っている。
「あ、ありがとう・・・。本くんも、希望通りで、よかったね」
そう言うと、本くんは小さくうなずいた。
「うん。・・・でもさ」
彼は真葉音の隣に腰を下ろし、魔導通信鏡を取り出して操作しはじめる。
画面に映し出されたのは、あの日ふたりで見た【刀削麺名店堪能の巡行】のページだった。
「太井炭から本宮まで、天速渡線で十五分なんだよね」
「・・・え?」
「だからさ。本宮の社食の刀削麺に飽きたら、いつでも太井炭に来なよ。案内するから。・・・いや、案内させろっていうか」
言い終わるころには、本くんの耳が、ほんのりと赤くなっていた。
「・・・十五分。そう、だよね。巡行(たび)ってほど、遠くないもんね」
「そう。・・・だから、これは『さよなら』じゃないよ」
その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に吹いていた冷たい隙間風が、ふっと消えた気がした。代わりに、湯気の立つ熱いスープのような温もりが、ゆっくりと満ちていく。
本宮配属、十二節一日。
運命の出会いは、まだずっと先にあるものだと、そう信じていた。
けれどあのとき、同じ小麦の香りがすぐ隣にあったことだけは、確かだった。
社員食堂へ向かう廊下で、和尚さまは妙に弾んだ足取りをしていた。
「昼食! 昼食!」
その声に釣られるように、真葉音も少しだけ声を張る。
「刀削麺! 刀削麺!」
「運命! 運命!」
「・・・やっぱり配属されたばかりは、疲れが溜まりやすいですね」
そう言いながらも、真葉音の足は自然と速くなっていた。空腹というより、期待が腹の底で音を立てている。
「お腹空きすぎて、いつもの真葉音ちゃんくらい食べられそう!」
「ちょっと、和尚さま!」
軽口を叩き合ううち、視界が一気に開けた。
壮築楼――宮廷社員食堂。
高い天井。年月を重ねた太い梁には、換気と保温の魔力を帯びた魔導紋様が刻まれている。 食堂全体に、うっすらと温度を保つ魔法のヴェールが張られているようだ。
昼どきになると、官吏、職人、文官が一斉に流れ込み、衣擦れと食器の音が渦を巻く。それでも騒がしさ一色にならないのは、この建物が持つ古い格式のせいだろう。静謐と喧騒が、不思議な均衡を保って同居している。
「ここが壮築楼」
和尚さまは、ちょっと誇らしげに言った。
「真葉音、入庁準備本は読んだ?」
「最初の三頁で脱落しました。和尚さま、説明お願いします」
「正直でよろしい」
肩をすくめてから、和尚さまは声を潜める。
「壮築楼は、ただの社員食堂じゃないの。宮廷の華やかさをぎゅっと圧縮した、隠れ家みたいな場所。宮女や宦官、下級官吏が息抜きに集まるけど、食材は食膳局から直送の特級品ばかりよ」
真葉音は、行き交う盆の上を目で追った。湯気、油の照り、香辛料の匂い。どれもが遠慮なく鼻腔を刺激する。
「豪華な点心ももちろんだけど・・・麺類の充実ぶりが、半端ないわ」
和尚さまの声が、少しだけ低くなる。
「特に――あれ。『烈火刀削麺』。壮築楼の名物よ」
真葉音の喉が、ごくりと鳴った。
配属初日の昼食にしては、少し出来すぎている気もする。でも、この場所ではそれすら「普通」に見えてしまう。小麦の香りが、運命という言葉を、冗談みたいに現実へ引き寄せていた。
「烈火刀削麺!?」
思わず声が裏返る。
「見て、真葉音」
和尚さまは、麺コーナーを指差した。
「本宮の行事運営局が胃袋を掴まれてるっていう、壮築楼名物・烈火刀削麺よ。ただの麺じゃないわ。
宮廷魔導師が呪文と共に炎を操り、極限の火力を維持する。 その熱気の中を、熟練の職人が“盤流式”で飛ばす麺。まるで熱を喰らうように茹で上がるその弾力は芸術よ。
その弾力は芸術よ。烈火のような辛みの奥に、極上の小麦の甘みが隠れてるの」
説明は止まらない。
「スープは黒炭の遠赤外線でじっくり煮出した牛骨ベース。一口啜れば、配属初日の緊張なんて熱気で吹き飛んで、午後の宮廷業務に立ち向かう活力が湧く・・・戦う官吏たちのための“燃料”ね」
「・・・和尚さま、食膳局に配属された方がよかったんじゃないですか」
「ふふ」
和尚さまは、さらに声を落とした。
「それからね。これは準備本に載ってない話。この壮築楼には、たまに“とんでもない御方”が紛れ込むらしいわ」
「とんでもない御方?」
「次期王――皇雅 一殿下」
真葉音は、思わず周囲を見回した。
「毎日、金銀財宝みたいな宮廷料理ばかりで、心底うんざりしてるらしくてね。だからお忍びで、ここにふらっと現れるんですって」
「・・・嘘。そんなことがあったら、それこそ運命じゃないですか!」
「真葉音はあっち、麺コーナーでしょ。わたしは別のところ。この辺で食べましょ」
「わかりました。じゃ、後で!」
「出会い! 出会い!」
真葉音は思わず頬に手を当て、照れたような仕草をしながら麺コーナーへ向かった。
昼膳の刻の壮築楼は混雑していたが、麺コーナーは一段と人が多い。
(悪くない・・・)
順番が近づき、注文を終えた人と、これから頼む人が入り混じる曖昧な列。その中で、真葉音の番が来た。
「烈火刀削麺」
声が、二重に響いた。
だが、それは何度も想像してきた理想とは、まったく違う形で現れた。
「ふたりとも、烈火刀削麺です」
そう店員に告げたのは――古根。
今や絶滅危惧種と噂される、宮廷唯一の生き残り。指導かパワハラか、その境界線を日々またぐお局。地方の倉庫勤務者でも名前を知っている、本宮の“上位五人”のひとりだった。
「あ、すみません。ありがとうございます」
真葉音が反射的に頭を下げた、その直後。
「すみませーん。烈火刀削麺、最後の一杯なんです。最終杯限定で、半分ずつになりますが・・・」
「いえ、ひとつで結構です。作ってください」
古根は、被せるように言った。
「どちらが食べます?」
はっきりした口調。
「え・・・あの・・・どうぞ、食べてください」
「そう? ありがとう!」
一切の躊躇もなかった。
「拉麺なら、すぐ出来ますよ」
「・・・じゃあ、それで」
拉麺を受け取った瞬間、真葉音の肩がわずかに落ちた。どう見ても、落ち込んでいる。
「美味しそうじゃん」
聞き覚えのある声。
顔を上げると、本くんが立っていた。
「え? どうしたの?」
「黒炭祭の報告書を出しに来た」
「びっくりした・・・」
「絶対そっちの方が美味しそう。変えてくんない?」
真葉音は、これは烈火刀削麺売り切れ特別仕様で、メニューにない付盛の希少な拉麺だと説明するが、本くんはどこか上の空だった。
「じゃ、交換な」
そう言って、本くんは自然に丼を差し出した。
運命は、烈火のように派手じゃない顔で、こういう場所に平然と座っているらしい。
本は、自分の盆を左手に、真葉音の特製拉麺が乗った膳を右手に持ち、器用に人波を避けながら歩き始めた。
「あっちで、和尚さまと合流することになってるから」
真葉音がそう言うと、本は軽く頷いた。
二人が待ち合わせのテーブルに着き、盆を置いたものの、まだ腰を下ろす前だった。その瞬間、ちょうど向かい側から和尚さまが戻ってくる。
「お邪魔しまーす!」
本が、場違いなくらい明るく言う。
「本くーん! どうしたの?」
和尚さまの声が弾む。
「わたしもびっくりした」
真葉音が苦笑すると、和尚さまは盆の上を覗き込み、目を見開いた。
「本くんの拉麺、めっちゃ美味しそう!」
「特製付盛です。たぶん今日、わたしだけです」
真葉音が少し誇らしげに言った、その瞬間。
「は? これ、本くんの拉麺でしょ!?」
和尚さまの声が裏返った。
真葉音は、麺類注文列で起きた一部始終を説明した。烈火刀削麺が最後の一杯だったこと。半分案が即却下されたこと。そして、古根という名前を口に出したところで――
「ぷっ」
和尚さまが吹き出した。
「ウケるー! 古根ゴン、噂どおりじゃん!」
「めっちゃ怖かったです・・・」
真葉音は肩をすくめる。
「自分が後ろに並んでたのに、だよ」
本が苦笑しながら付け足した。
「わたしの烈火刀削麺愛を舐めるな、って言った?」
「無理無理」
即答だった。
「運命の出会いが、女性だったとは・・・」
和尚さまが、しみじみ言う。
「しかも、お局」
本がぽつりと重ねた。
三人の間に、小さな笑いが落ちた。
烈火でも王族でもないけれど、こういう偶然が重なる昼食の時間こそ、配属初日の本宮らしさなのかもしれなかった。
「――あれ?」
和尚さまが、ふいに声を上げた。
「これ、本くんが正義のヒーローになってない?」
「正義のヒーロー?」
真葉音が首を傾ける。
「そう。だってさ、真葉音が無事に烈火刀削麺を食べられたの、本くんのおかげでしょ。・・・いや、待てよ」
和尚さまは顎に手を当て、少し考える。
「古根ゴンを倒したわけじゃないから、正義のヒーローっていうより――」
一拍。
「運命の人、だね!」
「ないないないないない・・・」
真葉音と本が、ほぼ同時に手を横に振った。
「え?」
和尚さまは、その反応に納得がいかない様子で、もう一度考え込む。
「・・・いやっ。やっぱり、運命の人だねー」
「・・・小休、終わるから戻るよ~」
真葉音は、わざとらしく冷めた声を出し、盆を持ち上げた。
―――真葉音(語り)
わたしは、昼に刀削麺を食べながら、今夜食べる刀削麺のことを考える女だ。
和尚さまは相変わらず、おかしなことを言っていたけれど、そんな言葉は、麺の湯気と一緒にすぐ流れていった。
そのとき、わたしの頭に浮かんでいたのは、
太井炭巡府に勤めていた頃、仕事帰りに必ず立ち寄っていた、あの刀削麺のこと。
あの店の、少し油が強くて、でも不思議と落ち着く味。
本宮の烈火刀削麺とは違う。
でも、疲れた夜には、あの味が恋しくなる。
運命より先に、
わたしは今日の夕食のことで、頭がいっぱいだった。
小麦の香りは、いつだって、未来より現実に強い。
―――常連の麺飯店に到着。
「こんばんは~」
「あら、真葉音ちゃん久しぶり~。おい、真葉音ちゃん来たよ」
店主が、いつも通り大げさに声を張り上げる。
「あらー、真葉音ちゃん、おかえりなさい」
店母の笑顔も、変わらず温かい。
ここはもう、実家みたいな場所だった。店主も店母も、私を迎えてくれるその温かさが、何より安心できる。
「いつものでいい?」
「はい、お願いします」
―――真葉音(語り)
わたしは夜に注文した刀削麺を待ちながら、昼に食べた刀削麺を思い返していた。
初めての壮築楼。初めての烈火刀削麺。あのときの味の余韻が、まだ舌の奥に残っている。
本くんが、流れるような所作で烈火刀削麺と拉麺を交換してくれたこと。膳を両手に運ぶ背中の姿。
そのとき見た景色が、ふっと頭に浮かぶ。
そして次に、和尚さまの声が耳の奥で響いた。
「運命の人だね」
「・・・いやあ、ないないないない・・・」
独り言で返すと、店母がちょうどそのタイミングで刀削麺を置いた。
「はい、刀削麺」
―――店のドアが開く音。
「あ、おかえり~(厨房に向かって)刀削麺1つ~」
「はーい」
店母さんが、注文を確認せずに厨房に声をかけるのは、常連である私だけの特権だった。
「ただいま」
聞き覚えのある声が、カウンターに届いた。
「え!」
目を向けると、本くんが立っている。
「本くんも常連だったの?」
「いや、ここ、俺の実家」
―――胸の奥に、昼の運命と夜の帰属感が、同時にじんわりと暖かく広がった。
「え!!!」
店母が目を細める。
「あら、知り合いだったの?」
「同門」
「まあ、すごい運命ね!」
真葉音・本:「ないないないない・・・」
―――真葉音(語り)
私は朝も昼も夜も刀削麺を食べながら、刀削麺な運命の出会いを妄想する女。
運命って、偶然を待つものじゃなくて、そっと隣にいてくれるものなのかもしれない。
なんて、ないないないない・・・。
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