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第1章
第1話:サキュバスの仕事って……?
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「はい、出来た!」
目の前の鏡の中には金髪ツインテールの美少女がいた。
そいつは俺が右手を挙げると左手を同じように挙げ、首を傾げるとちょこんと首を傾げる。
「うーん、慣れないなぁ……」
慣れるわけがなかった。
この顔も、この身体も、声も、そして大きな胸も。
でも何故だろうか、自分の身体だからか全く興奮はしていなかった。
むしろ女の子に髪を結ばれるという行為にドキドキしていた。
俺の髪を結んでくれた赤髪の美しい彼女の名前はリリー・ウィルム、リリーと呼ばれているらしい。
そして俺が得たのは彼女の名前の情報だけではない。
俺のこの身体での名前というのがある。
「ふふ、すぐに慣れるわよ。アリアちゃん♪」
アリア・コックスというのが俺の名前らしい。
誰がいつ決めたのかは知らないがそうなっているらしい。
この世界では俺は神崎瑞樹ではなく、アリア・コックスなのだ。
これが俺の知らされた全てだ、分からないことが多すぎる!
ただ一つ言えるのはこれは良く出来た夢ではないという事。
「あ、あの、そろそろ教えてくれませんか……?」
初めてのスカートに凄い違和感を覚えつつ俺はリリーに言う。
しかし股下がスースーして落ち着かない!
「んー、可愛くなったし教えてあげるわ」
聞きたい事はたくさんあった。
何故俺の身体が変わったのか。
何故現実にサキュバスがいるのか。
元々の俺はどうなったのか。
ここに来てからまだ数十分しか経っていないが頭に浮かんだ疑問は腐る程にあった。
「えーと、まず最初に言うと。君はこの世界に強制的に転生して来たの。いや、転生させられたと言ったほうが正しいわね」
「転生……?」
漫画やラノベなどの創作物の中でしか聞いたことのない単語だ。
「だからここは元の君、神崎瑞樹くんのいた世界ではないということね」
うんと俺は頷く。
「そして知らないと思うけど、この世界は最近人手不足なのよ。あー、悪魔不足と言った方が正しいわね。そして悪魔の中にも人間みたいに上下関係があって上の悪魔がこう命令したの。人間界から人手を補充しろ、ってね」
それで俺が選ばれてしまった訳か。
「だけど連れてくることの出来る人間にはある一つの条件があったの。それはね」
リリーは一息置き、若干申し訳なさそうに告げた。
「異性との性的接触をした事がない人なの」
「……」
俺は別世界の違う人種(?)の人にも馬鹿にされてしまうのか……。
「ま、まあ落ち込まないでよ。なんか性的接触の経験があると上手く魔力回路が作られないみたいでさ。そしてその接触した事がない人の中でも特に――」
リリーがびしっと俺の胸に向かって指を指す。
「――思春期の少年少女が一番適しているの! つまり君はとても適任だったってわけなの。これが君がこの世界に来てしまった理由よ」
「な、なるほど……」
そんなに世間の少年少女は卒業しているものなのだろうか?
俺はもしかして相当遅れていた……?
「ただ安心して欲しいのは、性的接触のない少年少女を片っ端からここに連れてくるわけじゃないってこと。そうなっちゃうと人間がいなくなっちゃうからね。つまり君は選ばれた人間、もとい選ばれし悪魔なのよ」
「は、はぁ……」
実感はしているが、いかんせん実感が全く沸かない。
つまり話を要約すると、悪魔の人手不足で童貞の俺が強制的にここに転生させられてこれからは悪魔として、サキュバスとして生きろと、うん、全く実感が沸かない。
「なんで、元々は男なのにこんな身体になったんですか……?」
はっきり今の身体は元の身体と全くの別物だ。
肌は白いし、手は細いし、胸は大きいし、尻尾もツノも羽もあるし、息子は……いない。
なんで男の俺がこんなに男受けの良さそうな見た目になってしまったのだろうか。
「それは本当に偶然よ。特に私がなにかしら指定した訳でもないし、上の悪魔が決めたってこともないわ。つまり男だからってサキュバスになる可能性は十分にあるわ」
「そうなんですか」
ということは俺が読んだ漫画とは一切関係ないと。
偶然に偶然が重なっただけということか。
「ッ!?」
ここで俺は重大な事を思い出してしまった。
昨日の漫画でサキュバスはなにをしていた?
いや、思い出すまでもない、サキュバスのやることは一つだった。
人間の男に忍び寄って……。
ぞわっと俺の背筋に悪寒が走る。
まさか、いや、まさかな……。
「あ、あの、サキュバスの主な仕事って……」
自分でも恐ろしいほどのか細くて弱い声が出た。
「ん? まあ色々あるけど一番は魔力集めかな」
当然だとでも言うようにリリーは言う。
「ぐ、具体的には……」
この質問の答えで俺の運命は決まってしまう、間違いなく。
「え? もちろん寝ている男を襲うのよ!」
わかりきっていた答えだった。
俺の足が身体を支えきれなくなってへなへなと床にぺたんと座り込んでしまう、自然に女の子座りで。
「まあまあ、一回やれば慣れるわ! 気にしない気にしない」
よりにもよって男の俺が男を襲うサキュバスになってしまったのか。
別の種類の悪魔でもよかったのに、なんと運命とは残酷なのだろうか。
俺は自分自身の運の悪さを呪った。
願わくば明日が来ないことを祈る。
目の前の鏡の中には金髪ツインテールの美少女がいた。
そいつは俺が右手を挙げると左手を同じように挙げ、首を傾げるとちょこんと首を傾げる。
「うーん、慣れないなぁ……」
慣れるわけがなかった。
この顔も、この身体も、声も、そして大きな胸も。
でも何故だろうか、自分の身体だからか全く興奮はしていなかった。
むしろ女の子に髪を結ばれるという行為にドキドキしていた。
俺の髪を結んでくれた赤髪の美しい彼女の名前はリリー・ウィルム、リリーと呼ばれているらしい。
そして俺が得たのは彼女の名前の情報だけではない。
俺のこの身体での名前というのがある。
「ふふ、すぐに慣れるわよ。アリアちゃん♪」
アリア・コックスというのが俺の名前らしい。
誰がいつ決めたのかは知らないがそうなっているらしい。
この世界では俺は神崎瑞樹ではなく、アリア・コックスなのだ。
これが俺の知らされた全てだ、分からないことが多すぎる!
ただ一つ言えるのはこれは良く出来た夢ではないという事。
「あ、あの、そろそろ教えてくれませんか……?」
初めてのスカートに凄い違和感を覚えつつ俺はリリーに言う。
しかし股下がスースーして落ち着かない!
「んー、可愛くなったし教えてあげるわ」
聞きたい事はたくさんあった。
何故俺の身体が変わったのか。
何故現実にサキュバスがいるのか。
元々の俺はどうなったのか。
ここに来てからまだ数十分しか経っていないが頭に浮かんだ疑問は腐る程にあった。
「えーと、まず最初に言うと。君はこの世界に強制的に転生して来たの。いや、転生させられたと言ったほうが正しいわね」
「転生……?」
漫画やラノベなどの創作物の中でしか聞いたことのない単語だ。
「だからここは元の君、神崎瑞樹くんのいた世界ではないということね」
うんと俺は頷く。
「そして知らないと思うけど、この世界は最近人手不足なのよ。あー、悪魔不足と言った方が正しいわね。そして悪魔の中にも人間みたいに上下関係があって上の悪魔がこう命令したの。人間界から人手を補充しろ、ってね」
それで俺が選ばれてしまった訳か。
「だけど連れてくることの出来る人間にはある一つの条件があったの。それはね」
リリーは一息置き、若干申し訳なさそうに告げた。
「異性との性的接触をした事がない人なの」
「……」
俺は別世界の違う人種(?)の人にも馬鹿にされてしまうのか……。
「ま、まあ落ち込まないでよ。なんか性的接触の経験があると上手く魔力回路が作られないみたいでさ。そしてその接触した事がない人の中でも特に――」
リリーがびしっと俺の胸に向かって指を指す。
「――思春期の少年少女が一番適しているの! つまり君はとても適任だったってわけなの。これが君がこの世界に来てしまった理由よ」
「な、なるほど……」
そんなに世間の少年少女は卒業しているものなのだろうか?
俺はもしかして相当遅れていた……?
「ただ安心して欲しいのは、性的接触のない少年少女を片っ端からここに連れてくるわけじゃないってこと。そうなっちゃうと人間がいなくなっちゃうからね。つまり君は選ばれた人間、もとい選ばれし悪魔なのよ」
「は、はぁ……」
実感はしているが、いかんせん実感が全く沸かない。
つまり話を要約すると、悪魔の人手不足で童貞の俺が強制的にここに転生させられてこれからは悪魔として、サキュバスとして生きろと、うん、全く実感が沸かない。
「なんで、元々は男なのにこんな身体になったんですか……?」
はっきり今の身体は元の身体と全くの別物だ。
肌は白いし、手は細いし、胸は大きいし、尻尾もツノも羽もあるし、息子は……いない。
なんで男の俺がこんなに男受けの良さそうな見た目になってしまったのだろうか。
「それは本当に偶然よ。特に私がなにかしら指定した訳でもないし、上の悪魔が決めたってこともないわ。つまり男だからってサキュバスになる可能性は十分にあるわ」
「そうなんですか」
ということは俺が読んだ漫画とは一切関係ないと。
偶然に偶然が重なっただけということか。
「ッ!?」
ここで俺は重大な事を思い出してしまった。
昨日の漫画でサキュバスはなにをしていた?
いや、思い出すまでもない、サキュバスのやることは一つだった。
人間の男に忍び寄って……。
ぞわっと俺の背筋に悪寒が走る。
まさか、いや、まさかな……。
「あ、あの、サキュバスの主な仕事って……」
自分でも恐ろしいほどのか細くて弱い声が出た。
「ん? まあ色々あるけど一番は魔力集めかな」
当然だとでも言うようにリリーは言う。
「ぐ、具体的には……」
この質問の答えで俺の運命は決まってしまう、間違いなく。
「え? もちろん寝ている男を襲うのよ!」
わかりきっていた答えだった。
俺の足が身体を支えきれなくなってへなへなと床にぺたんと座り込んでしまう、自然に女の子座りで。
「まあまあ、一回やれば慣れるわ! 気にしない気にしない」
よりにもよって男の俺が男を襲うサキュバスになってしまったのか。
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俺は自分自身の運の悪さを呪った。
願わくば明日が来ないことを祈る。
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