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第1章
第2話:友達と……?
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「ほ、本当にやるんですか……?」
「うん? やるよー、仕事だからねー」
俺とリリーは今低い位置の空を飛んでいる、大都会の夜空を。
ここは俺が元々いた世界。
人間だった頃は知らなかったが、悪魔たちは魔力を求めて頻繁に人間界に舞い降りているらしい。
そう、今の俺たちのように。
そして普通の人には俺たち悪魔の姿は見えないのだ。
現に道行く人々は宙に浮いている俺たちを何食わぬ顔でスルーしていく。
「アリアは初めてだから精力の強そうな男がいいわねー。どこにしようかなー」
リリーは品定めをするように歩く男たちを見ながら言った。
「うぅ……」
嫌すぎる。
身体は確かに超美少女のサキュバスだ、身体は!
ただ中身は男だ。
一七歳の思春期で、エロイことが好きで、女の子が好きな男なのだ。
そんな俺が今から男と……?
いやだいやだ!
「あれ? あの男良さそうじゃない?」
そんなうきうきした顔で言われても俺には男の良さなんて分かりませんよ……。
「ほら、アリア! あそこの黒のリュック背負った男!」
リリーの指さす方向、大通りの向こう側に信号を待っている男がいた。
ここからでも分かるほど体格がガッシリしている。
そしてよく見ると彼は学ランを着ていた。
高校生なのだろうか。
「えっ、未成年も襲うんですか!?」
「えっ? うん、そうだけど」
これは何かしらの問題になったりしないのだろうか。
成人しているならまだしも、俺たちのせいで変な性癖に目覚めてしまわないだろうか。
「よし、あの男にするわよ。溜まってそうね! ほら行くわよ」
「わわっ、ちょっと引っ張らないでください!」
交差する車の上を我が物顔で飛んで行き少年に接近する。
と同時に近くなるのは少年の顔だ。
俺はその顔に見覚えがあった。
「いっ!?」
「どうしたの?」
下を向いてスマホをいじっているが間違いない。
あいつは俺の通っていた高校の友達の、
「く、工藤……」
そりゃ体格が良いはずだ。
工藤はラグビー部に所属していた。
以前ふざけて軽くタックルをしてもらったが俺の身体は軽々吹っ飛んでいったのだ。
俺の体重が軽いわけではない、奴の力がおかしいのだ。
「……」
「知ってるの?」
「……はい。俺のとも、だち、です……」
え、俺今から工藤と、する、の……?
俺の思考が完全に停止した。
「へー、友達なんだ! じゃあ話は早いね」
ナニガ、ハヤイノカ、ワカリマセン。
信号が青に切り替わる。
下の人々が流れるように横断歩道を渡っていく。
「ほら、なにボーっとしてんのよ」
グイっと袖をリリーに引っ張られる。
「ぅぅ、本当にあいつのところにいくんですか……?」
「当たり前よ」
俺の涙混ざりの抵抗なんて全く意味をなさなく一蹴されてしまう。
せめて、せめて、一億歩くらい譲って全く面識の無い人だったらまだ良かった。
なんでよりによってあいつなんだよ。
とことん運が無い。
「アリア、あの男の家知らない? 先回りするわよ」
もうなんか、色々と吹っ切れた方が良いのかもしれない。
それができたらの話だけど。
♂→♀
「おそいわね」
「……」
俺たちは今マンションのある部屋の前にいた。
二〇一号室、ここが工藤の住む部屋なのだが、奴は未だに帰ってきていなかった。
「り、リリーさん? 今回は運が悪かったってことでまた次回に――」
「――何言ってるの! あんなに精力強そうな男なかなかいないわよ!」
もうかれこれ三〇分くらいここに座っているが全くと言っていいほど帰ってくる気配がないのだ。
さっきの交差点からここまでそんなに時間はかからない。
まあおそらくどこかに寄り道でもしているのだろう。
俺はもう帰りたかった。
待つのも疲れたし、なにより色々と嫌なのだ。
「……ほんと、早く来てくれないかしら」
おそらくリリーはこのまま何時間も待ち続けるのだろう。
そして俺はここから逃げ出すことができない。。
こっちに来る前にリリーを質問攻めにしてしまって、『その答えを聞きたくば、まずは一仕事よ』と言われてしまったからだ。
正直、謎を謎のままにしておくのは気持ちが悪いのだ。
そしてどうやら魔族は魔力を補給しないと死んでしまうらしいし、それは俺も補給しなければならないということなのだ。
そしてサキュバスの魔力の補給方法はただ一つで、それが男との行為。
他の悪魔はこんなやり方はしなくて済むらしいが、もう本当に自分の悪運を呪う。
「はぁあ……」
そろそろ本当に心を決めないといけないのかもしれない。
まだ死ぬのはごめんだし、うん。
「あっ、来たわ!」
カツカツと階段を登る足音が聞こえた。
階段を覗くと工藤がいた。
「うーん! やっとだわ!」
リリーはぴょんぴょんと身体で喜びを表している。
そんな彼女とは真逆なのが俺。
とりあえず大きく深呼吸をする。
俺はやってしまうのか、もう、分からない、本当に。
胸に手を当てて心を落ち着かせる。
悲しいほどに、自分の胸は大きくて柔らかかった。
ため息が出そうなほど、女性の胸だった……。
「うん? やるよー、仕事だからねー」
俺とリリーは今低い位置の空を飛んでいる、大都会の夜空を。
ここは俺が元々いた世界。
人間だった頃は知らなかったが、悪魔たちは魔力を求めて頻繁に人間界に舞い降りているらしい。
そう、今の俺たちのように。
そして普通の人には俺たち悪魔の姿は見えないのだ。
現に道行く人々は宙に浮いている俺たちを何食わぬ顔でスルーしていく。
「アリアは初めてだから精力の強そうな男がいいわねー。どこにしようかなー」
リリーは品定めをするように歩く男たちを見ながら言った。
「うぅ……」
嫌すぎる。
身体は確かに超美少女のサキュバスだ、身体は!
ただ中身は男だ。
一七歳の思春期で、エロイことが好きで、女の子が好きな男なのだ。
そんな俺が今から男と……?
いやだいやだ!
「あれ? あの男良さそうじゃない?」
そんなうきうきした顔で言われても俺には男の良さなんて分かりませんよ……。
「ほら、アリア! あそこの黒のリュック背負った男!」
リリーの指さす方向、大通りの向こう側に信号を待っている男がいた。
ここからでも分かるほど体格がガッシリしている。
そしてよく見ると彼は学ランを着ていた。
高校生なのだろうか。
「えっ、未成年も襲うんですか!?」
「えっ? うん、そうだけど」
これは何かしらの問題になったりしないのだろうか。
成人しているならまだしも、俺たちのせいで変な性癖に目覚めてしまわないだろうか。
「よし、あの男にするわよ。溜まってそうね! ほら行くわよ」
「わわっ、ちょっと引っ張らないでください!」
交差する車の上を我が物顔で飛んで行き少年に接近する。
と同時に近くなるのは少年の顔だ。
俺はその顔に見覚えがあった。
「いっ!?」
「どうしたの?」
下を向いてスマホをいじっているが間違いない。
あいつは俺の通っていた高校の友達の、
「く、工藤……」
そりゃ体格が良いはずだ。
工藤はラグビー部に所属していた。
以前ふざけて軽くタックルをしてもらったが俺の身体は軽々吹っ飛んでいったのだ。
俺の体重が軽いわけではない、奴の力がおかしいのだ。
「……」
「知ってるの?」
「……はい。俺のとも、だち、です……」
え、俺今から工藤と、する、の……?
俺の思考が完全に停止した。
「へー、友達なんだ! じゃあ話は早いね」
ナニガ、ハヤイノカ、ワカリマセン。
信号が青に切り替わる。
下の人々が流れるように横断歩道を渡っていく。
「ほら、なにボーっとしてんのよ」
グイっと袖をリリーに引っ張られる。
「ぅぅ、本当にあいつのところにいくんですか……?」
「当たり前よ」
俺の涙混ざりの抵抗なんて全く意味をなさなく一蹴されてしまう。
せめて、せめて、一億歩くらい譲って全く面識の無い人だったらまだ良かった。
なんでよりによってあいつなんだよ。
とことん運が無い。
「アリア、あの男の家知らない? 先回りするわよ」
もうなんか、色々と吹っ切れた方が良いのかもしれない。
それができたらの話だけど。
♂→♀
「おそいわね」
「……」
俺たちは今マンションのある部屋の前にいた。
二〇一号室、ここが工藤の住む部屋なのだが、奴は未だに帰ってきていなかった。
「り、リリーさん? 今回は運が悪かったってことでまた次回に――」
「――何言ってるの! あんなに精力強そうな男なかなかいないわよ!」
もうかれこれ三〇分くらいここに座っているが全くと言っていいほど帰ってくる気配がないのだ。
さっきの交差点からここまでそんなに時間はかからない。
まあおそらくどこかに寄り道でもしているのだろう。
俺はもう帰りたかった。
待つのも疲れたし、なにより色々と嫌なのだ。
「……ほんと、早く来てくれないかしら」
おそらくリリーはこのまま何時間も待ち続けるのだろう。
そして俺はここから逃げ出すことができない。。
こっちに来る前にリリーを質問攻めにしてしまって、『その答えを聞きたくば、まずは一仕事よ』と言われてしまったからだ。
正直、謎を謎のままにしておくのは気持ちが悪いのだ。
そしてどうやら魔族は魔力を補給しないと死んでしまうらしいし、それは俺も補給しなければならないということなのだ。
そしてサキュバスの魔力の補給方法はただ一つで、それが男との行為。
他の悪魔はこんなやり方はしなくて済むらしいが、もう本当に自分の悪運を呪う。
「はぁあ……」
そろそろ本当に心を決めないといけないのかもしれない。
まだ死ぬのはごめんだし、うん。
「あっ、来たわ!」
カツカツと階段を登る足音が聞こえた。
階段を覗くと工藤がいた。
「うーん! やっとだわ!」
リリーはぴょんぴょんと身体で喜びを表している。
そんな彼女とは真逆なのが俺。
とりあえず大きく深呼吸をする。
俺はやってしまうのか、もう、分からない、本当に。
胸に手を当てて心を落ち着かせる。
悲しいほどに、自分の胸は大きくて柔らかかった。
ため息が出そうなほど、女性の胸だった……。
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