エアプRPGのモブに転生した俺はゲームの法則を無視できるようです ~原作の鬱シナリオを良い方向にぶっ壊してみた~

なっくる

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第3話 始まりの村

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 結論から言うと、初めてのバトルはあっさりと終了した。

「ふう、なんとかなった……」

 俺はヒノキの棒に付いたモンスターの血をハンカチで拭う。

 ステータスの暴力なのか、俺がヒノキの棒でぶっ叩くだけで次々に倒れていく狼型モンスター。
 背後を取った数体に噛みつかれたけど、こそばゆいくらいでダメージは通らない。

「まあ、モンクエなら最初のモンスターはHP10、攻撃力5くらいかな多分」

 あっさりと倒せたのも道理かもしれない。
 だが、さっきの戦い方はケンカバトルみたいでカッコ悪かった。
 早急に物理攻撃の熟練度を上げる必要があるだろう。

 キラキラキラ

「お?」

 倒した狼型モンスターが光に包まれ、1センチくらいの小さな宝石に変わっていく。

「なんだこれ?」

 赤に青、緑……エメラルドのような輝きを放つそれを拾い上げる。

『はいっ! この世界のモンスターはマジックジュエルから生まれます。
 どの村にもある”交換屋”に持って行けば、3店方式でお金に変えてくれますよ?』

「……パ○ンコみたいで嫌だなそれ」

 俗なユーノの言い方はともかく俺は十数個の宝石を拾い上げると、ハジ・マリーノ村へと向かった。


 ***  ***

「ホントに3店方式だとは……」

 宝石を換金しようと村人に聞いたところ、
「良く存じませんが、皆さんあちらの方に行かれますね」
 というどこかで聞いたセリフと共に換金屋に行き、300センドばかりの銅貨を手に入れた俺。

「まあ、このサイズの宝石だと装飾品的価値は小さいだろうし、何か利権があるんだろう」

 出来上がっている世界の理には突っ込まないのが大人である。

「とりあえず武器だな」

 俺の腰には標準的なロングソード(150センド)がぶら下がっている。
 村周辺に出没するモンスターの攻撃が通らないことは確認済なので、まず武器を買うことにした。

 ヒノキの棒ではカッコ悪いし、剣技スキルは木の棒では使えない。

「まあそれはリバサガのルールだけど」

 ひとまずこの世界での冒険者っぽい恰好になっただろうか。
 俺はムービーで見た記憶を頼りに、アルフィノーラがいるであろう食堂に向かう。

 もともと木造の家が数十軒立ち並んでいるだけの小さな村だ。
 目的の食堂はすぐに見つかった。

「食事処兼焼き鳥居酒屋『煉瓦亭』?」
「どういう世界観なんだ?」

 モンクエの舞台はコテコテの中世ファンタジー世界。
 焼き鳥居酒屋とか、私鉄のガード下じゃないんだから。

「焼き鳥」と書かれた赤提灯が、ファンタジー世界っぽい周りの風景からやけに浮いている。

「まあいいか……」

 俺の記憶では、犬耳少女アルフィノーラは食堂の看板娘だ。
 転生して数時間、日も傾き腹も減ってきたことろだ。
 大魔王ログラースの襲撃は夜半過ぎ……腹ごしらえするのもいいだろう。

 カランカラン

 ドアに掛けられたカウベルが涼やかな音色を立てる。
「RENGA-TEI」と書かれた暖簾をくぐり、俺は店の中に足を踏み入れた。

「いらっしゃい!」

「……いらっしゃいませ」

 渋い中年男性の声と、涼やかな少女の声が同時に掛けられる。

「おっ」

 店の中はこじんまりとしていて、カウンターが5席、4人掛けのテーブルが2つ。
 まあ、人口50人ほどの村では適正サイズだろう。
 店の名前通り、壁の半ばまでレンガが積まれており、暖かそうな魔法(?)の間接照明が照らす店内はどこかホッとする空気が流れている。

「む……初めてのおきゃくさん。
 カウンターにどうぞ?」

 てててっと走り寄ってきた少女に上着の袖を引っ張られ、カウンターに案内される。

(おおお……ゲームの数倍可愛い!)

「??」

 興味深そうにこちらを見上げる双眸は吸い込まれそうなエメラルドグリーン。
 もふもふのピンク髪は少し長めのミドルヘアー。
 もみあげのあたりでピンっと外はねしているのがチャームポイントだ。

 少女らしい体躯を動きやすそうなシャツが包んでおり、胸元の紅いリボンがワンポイント。
 看板娘らしく、うさぎさんアップリケが縫い付けられたエプロンをしている。
 白いショートパンツからすらりと伸びた足先に履いているのは茶色の革靴。

(……あれ?)

 モンクエがうさぎがいる世界観だったかどうかは置いといて、少女……アルが身に着けているエプロンに縫い付けられたアップリケに見覚えがあった。

(満里奈(まりな)姉……?)

 仕事で家を空けがちな両親に変わり、俺の面倒を見てくれたマリナ姉……俺が天涯孤独になった事故で命を落とした従姉妹だ……が趣味でよく作っていたものに似ている。
 なんで転生先のファンタジー世界にこんなものが?

「……っっ!?」

 俺が首をかしげていると、なぜか目を見開いた犬耳少女が俺の手をぎゅっと握ってくる。

「……あたしの名前、アルフィノーラ。
 アルって呼んでね。
 ……お兄さん、煮卵サービス」

「おっ、アル?
 その冒険者くんの事気に入ったのか?」

(こくこく)

 おおっ?
 よく分からないが、この子……アルに気に入られたみたいだ。

「俺は駆け出し冒険者のモベ……ジュンヤっていうんだ。
 よろしくな、アル」

 なでなで

「えへへ」

 嬉しくなった俺は、思わずアルの頭を撫でる。
 恥ずかしそうに頬を染める様子がとてつもなくかわいい。

(何とか守ってやらないとな……魔王の魔の手から)

「!!」

「おっと」

 少し気やすく撫ですぎたかもしれない。
 はっとした表情を浮かべたアルは、メニューを俺に手渡すと、てててっとカウンターの向こうに逃げて行ってしまった。

「へぇ……警戒心の強いこの子が初対面でここまで気を許すとはねえ」
(こしょこしょ)
「なんだって!?」

 アルは店主らしきいかつい中年男性に何か耳打ちをしている。
 とたんに驚きの表情を浮かべる店主さん。

 や、ヤバい……この世界で頭を撫でる行為が重大なセクハラだったらどうしよう。
 焦る俺だが、ここで逃げてしまえばこの人たちを助けることはできない。

「じゃ、じゃあ……焼き鳥定食を」

 水を持ってきてくれたアルの様子に嫌われてはいないと判断し、とりあえず一番食べたかったメニューを注文する。

「すまんジュンヤ君。
 そのメニューは少々珍しい材料を使っていてね。
 現在妻が買い出しに出ているんだが……今日は出せそうにない」

「そ、そうですか」

「それより、私はハジ・マリーノ村の村長を任されているヒューバートだ。
 飯はおごるから……少し話を聞かせてくれないか?」

「へっ?」

 そう言うと店主……村長のヒューバートさんは表に「臨時休業」の札を出してしまった。

 この人が村長なのか……それなら魔王の事、相談してもいいかもしれない。
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