エアプRPGのモブに転生した俺はゲームの法則を無視できるようです ~原作の鬱シナリオを良い方向にぶっ壊してみた~

なっくる

文字の大きさ
36 / 46

第36話(上司サイド)テンガ、婚約破棄される

しおりを挟む
「クソが!!」

 ガシャンッ!

 手に持っていたワインボトルを壁に叩きつける。
 そんな事をしても気持ちは全く晴れない。
 ただ自室が散らかっただけだ。

「おい! 片付けろ!!」

「………」

 壁を叩くと隣の部屋に待機していた”親衛隊”の女が部屋に入って来て、陶器の破片が散乱した床を掃除する。

(ちっ!)

 テンガの怒りを恐れているのだろう。
 目も合わせてこない。
 テンガ好みの巨乳女なのだが、オレ様の前でその態度とはどういうことだ!

(なにもかも、モブのせいだ!!)

 先日行われた決勝戦で、テンガはジュンヤになすすべもなく敗れた。
 しかも、ジュンヤが侍らせている犬ガキと中古エルフなんぞに蹴られて気絶させられるなど、耐えがたい屈辱だ。

 オレ様の宣伝部隊に手を尽くさせ、何とか一般住民どもの情報操作には成功したのだが……。

『おいエリス! モブのステータスがおかしいぞ! どうなっている!?』

 テンガは担当女神に怒鳴り込む。

『知らないわ、見間違いでしょ?
 世界の理は絶対……アナタがしくじったんじゃない?』

『クソが!!』

 なんの役にも立たなかった。
 身体の傷は宮廷付きの神官に治させたが、心の傷はそうはいかない。

「どんな裏技を使いやがったクソモブ野郎!」

 ロムハックによるステータス改変だろうか?
 それともセーブデータの書き換え?
 いや、あの馬鹿モブがそんな高度な技を使えるはずがない。

「ならただの”バグ”か!!」

 リメイク版のモンクエでは、いくつかの致命的なバグが報告されていた。
 それならば、”パッチ”という概念の無いこの世界ではバグがそのままなのかもしれない。

 全く忌々しい。
 そんなもののためにこのオレ様が耐えがたい屈辱を味わったのだ。

 トードナイトさえティムすれば。
 もっと種ドーピングを繰り返しカンストしたステータスで……今度こそぶっ潰す。
 そしてアイツの目の前で、ヤツの女どもを犯し尽くしてやるのだ。

「く、くくく……」

 そうだ、予行演習をしておくのもいい。

 そう考えたテンガは、床掃除を続ける女の尻に手を伸ばすのだが……。

 トントン

「……テンガ様、カミラ様がお話があると。
 第二応接室までお越しください」

 タイミングが悪いことに、カミラ嬢から呼び出しが入ってしまった。
 勇者を産ませるためにはちゃんと相手をしておく必要がある。

「……ちっ」

 テンガは舌打ち一つ、身だしなみを整えるとカミラ嬢の元に向かうのだった。


 ***  ***

「婚約を破棄させてほしい……ですとぉ!?」

 テンガの絶叫が、応接室に響き渡る。

 間違いなく成婚の申し出だろう。
 その証拠に、カミラ嬢の両親が同席している。

 身体を張って辺境の村を救うための戦士を見出した。
 決勝の敗北についてはそう説明してある。
 何も問題はない……そう確信していたテンガにとっては驚愕の申し出だった。

「何故です!? オレのどこに問題が!」

 カミラ嬢の両親は帝国の大貴族。
 一応の敬意を持って接しているテンガだが、自然に声が大きくなる。

「……いや、言いにくいのだがね」

 テンガから視線を逸らす父親。

「君がお付きの侍女を……その、無理やり手籠めにしていると聞いてね」

「それはっ……!」

 絶句するテンガ。

(誰が告げ口しやがった……アイツか!!)

 親衛隊に入る際に情報漏洩については厳しく禁じるとの説明をし、念書まで書かせていた。

 だが一人、美人で巨乳だがどう見てもおつむの足りない女が混じっていた。
 誰だこんな奴を採用したのは!!

 即座にクビにしたが、その前に美味しく頂いたのがまずかったのか。

「いやその……妾の相手をするのも王族のたしなみといいますか……」

「それでも、無理やりはいけないだろう」

「ぐっ……」

 正論を振りかざすとは、この狸貴族め!

 そうだ、カミラ嬢はオレ様の逞しさに惚れたと言っていた。
 彼女の意志があればまだ、逆転は可能だ。

「カミラさん? 父上は少々誤解されている。
 粗相をした侍女を躾けていただけで……」

 普段のテンガからは想像できない事だが、カミラに対し下手に出る。
 それはそうだろう。
 勇者が生まれない限り、魔王の元へはたどり着けないのだから。

「……ジュンヤ様」

「……は?」

 カミラはテンガの事など見ていなかった。
 ぽかんとアホ面を晒すテンガ。

「あの圧倒的な実力と女性に対する包容力……お父様、このカミラ恋慕いたしましたわ、ジュンヤ様に。
 ですが、ジュンヤ様には心に決めた方がおられる様子……しかたありません。
 母国に戻り、私を包み込んでくれるような殿方を探しますわ!」

「娘もこう言っておる。
 ああ、心配なさるな。
「帝国と王国の同盟についてはつつがなく締結される」

「テンガ王子、そなたにはよりふさわしい女性が見つかるであろう」

 それだけ言うと、カミラの両親は娘を連れて部屋を出て行ってしまった。

 テーブルの上に残されているのは、婚姻の契約を正式に解消するという通知書。
 ご丁寧に帝国皇帝のサインまで書かれている。

「ばっ…………馬鹿なあああああああああああっ!?」

 我に返り絶叫するテンガ。
 フェリシアを追放し、カミラ嬢にもフラれた。
 この事が意味する事は……テンガが勇者を手に入れることは、永遠に出来なくなったという事である。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

学生学園長の悪役貴族に転生したので破滅フラグ回避がてらに好き勝手に学校を魔改造にしまくったら生徒たちから好かれまくった

竜頭蛇
ファンタジー
俺はある日、何の予兆もなくゲームの悪役貴族──マウント・ボンボンに転生した。 やがて主人公に成敗されて死ぬ破滅エンドになることを思い出した俺は破滅を避けるために自分の学園長兼学生という立場をフル活用することを決意する。 それからやりたい放題しつつ、主人公のヘイトを避けているといつ間にかヒロインと学生たちからの好感度が上がり、グレートティーチャーと化していた。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

処理中です...