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■第4章 レイル・フェンダー、世界を釣る(北の国から)
第4-7話 釣りスキル、超進化(前編)
しおりを挟む人里近くに住んでいると噂の”エルフ”……実際に会いに行ってみると、それは小さな女の子で。
フィルの祖母だった。
「って、ええええええええっ!?」
フィルから聞いていた話と、ドヤ顔ポーズで立つ少女の余りのギャップに、もう一度叫び声を上げるオレ。
「もう……驚き過ぎですレイル」
「海底洞窟での夜、お話ししたでしょう?」
「わたくしには魔術の師匠であったお祖母様がいて……5年前に異世界リンク魔術の暴走で行方不明になったと」
「いや、もちろん覚えてるけど……あまりにイメージと違ったもんで……」
”見た目だけは”完璧なフィルが尊敬するというほどだから、美しくも厳しい老年の女性を想像していたのだ。
目の前に立つのはフィルに似ていて美人だが、不敵な表情をした少女。
寒さに赤くなったほっぺはすべすべもちもちで……レンディルで友人となったエレンよりさらに幼く、10歳前後に見える。
フィルの祖母と言うからには50歳を超えていると思ったのだが。
「ああ、そういうことですか……お祖母様はわたくしよりエルフの血が濃いですので、これでも御年58歳ですわ」
オレが抱いている違和感に気づいたのか、あっさりと若さの秘密を教えてくれるフィル。
純粋なエルフは長寿と聞いているけど、ここまでなのか……。
「それにしてもイヴァお祖母様、相変わらず立ち振る舞いは完ぺきでいらっしゃいますが、5年前と同じくちんちくりんのままですね」
「わたくしは大きく成長しましたわ……見違えたでしょう?」
大好きだった祖母と師匠に自分の成長を見せられるのが嬉しいのだろう。
からかうような口調の中に、隠しきれない嬉しさがにじみ出る。
イヴァと呼ばれた少女……女性も嬉しそうな表情を浮かべるが、すぐににやりと意地の悪い顔になる。
「ふふ、成長したといっても……男も知らないつるつるのままじゃないか、まだまだだね」
ふわり、外套を着た上からでも分かる優雅な所作……だが、その可憐な唇から撃ち出されたセリフはなかなかに強烈な物だった。
「なっ、ななななっ!?」
「ノータイムで思春期孫娘の秘密を暴くのはやめて頂けますかっ!?」
一瞬で余裕をなくし、イヴァさんに突っかかるフィル。
どうやらイヴァさんの方が一枚も二枚も上手のようだ……ふむ、フィルは”つるつる”なのか……レイル覚えた。
オレはその重要な情報を脳内に刻み付けると、うんうんと頷く。
と、イヴァさんのフィルと同じルビーのような瞳がオレを捉える。
「なんでフィルがここにいるのかと思ったら……なるほどね、フィルが異世界リンク魔術をミスしたところにキミのスキルが世界の壁に穴を空け……この孫娘はまんまと釣り上げられたというわけだね」
「あいかわらずちょろいオンナだね、お前は……お菓子をくれる他人にホイホイと付いていっちゃダメだといっただろう?」
オレがフィルを釣り上げたことを一発で見抜いた……さすがフィルの師匠だと息を飲むオレ。
そしてフィルは昔からちょろかったのか……。
「わたくしはもう16ですので、そんなことは致しません!」
いやどうかな……フィルなら美味しいケーキで釣れそう……初めて会った時みたいに。
「くくっ、そういうことにしといてあげようか」
「それにしてもレイルくん、ウチの孫娘が世話になったようで、ありがとう……正直、孫の成長はもう見れないと思っていたので嬉しいよ」
「お祖母様……」
孫娘をからかって満足したのか、少し真面目な顔になると、オレに向かって頭を下げてくれるイヴァさん。
そうだ、なんやかんや言っても5年ぶりの再会だもんな……オレまで嬉しくなる。
「ところでレイルくん、少し耳を貸してくれないか」
ひと通りお礼を言った後、オレに向かって手招きをするイヴァさん。
何だろうと思って近寄って耳をよせると。
「フィルは耳より首筋が弱いからね……いざという時は優しくリードしてやってくれ」
!! ななななっ!?
自分の孫娘に対してなんてことを!
だ、だがとても大事な情報である。
オレはまたもやその重要な情報を脳内に刻み付ける。
「??」
「さて、こんな所で立ち話もなんだ……私のラボへきたまえ」
「そろそろ夕食の時間だしな」
言いたいことを言い終えると、イヴァさんはトラウトサーモンの丸焼きを担ぐと悠々と歩きだした。
オレとフィルは顔を見合わせて苦笑し、イヴァさんの後を追うのだった。
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