【魔法翻訳付与】の価値を理解しない脳筋ギルドから望んで追放された青年、魔法学院の教官になり最強クラスを作る ~僕は学院でチヤホヤ充実生活!~

なっくる

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第4章 特A科クラス、遠征します

第4-6話 【ギルド転落サイド】ギルド長アキム、勝負に出る

 
「ちっ……どうする……内部的にはどうにかもみ消したが、キリルさんには進捗報告を求められているぞ……」

 カント共和国終身大統領のキリルより”魔導革命”を主導するように命令され、良く分からないので秘書と外部講師に丸投げしていたアキム、裏切った秘書が外部講師に偽装した盗賊を招き入れ、ギルドの資金を(”魔導革命”用の資金として大統領から貰っていた分も含め)ごっそりと盗まれてしまった。


 ギルド内部はどうにでもなるが、キリルには月に一度の報告を求められており、”金を盗まれたので出来ていません”とはとても報告できない。

 キリルさんは俺と違って短気で単細胞の独裁者……機嫌を損ねれば消されてしまうだろう……。

 なんとか策を考えねば……自分の事は棚に上げてギルド長アキムは頭を絞るのだった。


 ***  ***

「結局怪しい”商社”に借金か……まぁ、”魔導革命”の外部講師まで派遣してくれて、こちらも助かっているが」

 1か月後、なんとか今回の窮地を乗り切ったアキムは自分の執務室で一息ついていた。

 表と裏のコネクションを総動員し、対策を探ったアキムのもとに、ブラックマーケットの情報網を通じて”とある商社”がアプローチしてきた。

 彼らが言うには、「帝国主導の魔導革命に対抗するため、我々に魔導革命を手伝わせてほしい。 会社として、戦略的に行うため、貸し付ける資金の返済期間は長期で良い」とのことだった。

 最初は、あまりに都合のいい話なので疑ったのだが、貸し付け資金が振り込まれ、魔導技術の指導員が実際に到着すると、アキムはすぐにそれに飛びついた。

 ギルド及び共和国への”魔導技術”の導入も順調で、キリル大統領のアキムに対する評価も上々だ。
 それは良いのだが。

 借り入れた資金の返済の一部免除を条件に、その”商社”が提示してきたのが……。

「ふん、”古代遺跡の盗掘”か……」

 アキムは彼らが送ってきた”契約書”の文面を見ながら面白くなさそうに鼻を鳴らす。

 世界各地には古代文明の遺跡が点在しており、その奥では希少なマジックアイテムが見つかることがある。

 魔導革命開始以前は、冒険者がそのマジックアイテムを魔獣退治に使うくらいだったので、そこまでマジックアイテムの価値は高くなかったのだが、魔導革命真っただ中の現在、マジックアイテムの魔導パターン?(アキムには良く分からない)を解析し、新たな魔導器具の研究に生かせるという事で、価値が高騰……際限のない発掘と遺跡の破壊を防ぐため、世界各国は古代遺跡の保護を行うようになっていた。

 ソイツを盗掘しようとは、なかなかに危険な提案ではあるが……。

 ギルドが商社に負った莫大な借金の一部帳消しと、余ったマジックアイテムの提供……これは十分に魅力的な条件だった。

 上手くすれば……最近無茶ばかり言ってくるのでいい加減ウザくなってきた大統領キリルを追い落として俺が大統領に就任する事だって……。

 こんな興奮はいつぶりだろうか……アキムは自分の”野心”がなぜか極端に肥大していくのを感じていた。


 ***  ***

「よしよし、イイ感じじゃねーか」

 ここはとある小国にある古代遺跡。

 ギルドの最精鋭を引き連れたアキムは、夜の闇にまぎれ遺跡に侵入、数多くのマジックアイテムを盗掘することに成功していた。

「ふん! ”商社”の奴らが渡してきた魔導武器も使えるな! こんなに探索が楽になるとは……」

 アキムは巨大な剣に魔導銃が組み合わさった獲物を高く掲げ豪快に笑う。

「ちげえねぇですぜ!」
「こんなすげぇ武器を用意してくれるなんて、さすがアキムさん!」

 部下も口々に彼の功績をたたえる。

 ようやく俺にも運が向いてきやがったぜ!

 アキムは盗掘したマジックアイテムを、回収役として彼らについてきた”商社の社員”に引き渡すと、部下を連れてさらに遺跡の奥へと向かった。

 陰気なモヤシ野郎である”社員”は、これ以上進むと危険ですよ、などと言っていたが、いまの俺たちに不可能はない!

 借金を棒引きにした後、むしろ余分に回収したマジックアイテムを高く売りつけてやる!
 鼻息も荒く遺跡の深層へ突入したアキムたちであったが……。


 ***  ***

「ぎゃあああああっっ! オレの腕がああああっっ!?」

「ひいっ、逃げられないっ……や、やめてくれえっ!!」
「ぐふうっ……」

 遺跡の最深部は地獄のようだった。

 たった今も、ギルドナンバー3の実力者がドラゴンに頭を食いちぎられた所だ。


 ウオオオオオンンッ!!


 その凶悪な顎から血を滴らせ、地獄の底から響くような咆哮を上げる。

「馬鹿な……”エルダードラゴン”だとっ!?」

 上位魔獣の中でも最強種の一角ではないか……なぜこんな古代遺跡に……!

「くそっ、お前達、奴を足止めしろっ!」
「俺は脱出して救援を呼んでくる!」

「あっ、待ってくださいよアキムさんっ!!」


 こんな地獄にいつまでも付き合いきれるか!

 早々に見切りをつけたアキムは、近くにいた部下に足止めを命じると、一目散に逃げだす。

 もちろん、救援のあてなどあるわけない。

 背後では部下の断末魔の悲鳴が聞こえるが、知った事か!

「くそおおおおおっっ! 俺は、俺だけは何としても生き残ってやるぞおおおおっっ!」

 こうしてアキムのギルドは、高レベル構成員のほとんどを失い、みじめな姿でカント共和国に逃げ帰ったのだった。

 この時点で、アキムの冒険者ギルドは壊滅したと言ってもよかった。
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