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魔力の補給は積極的に行いましょう・前編

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「あ、ステッキはそのままにしておいてね!生活に支障はきたさない仕組みになっているから」
そう言われた俺、遠山正義はお尻に異物が入ったまま、自分が出した精液を拭き取り服を着る。持ち手となっていた部分は引っ込み、今は体に綺麗に収まっている。動きも止まり、サイズも心持ち小さくなっているけれど、それでも異物感はある。
いつまでこんなものを入れておかなきゃいけないんだ。そんなことを考えていた時、玄関のドアが開く音がした。
「あ、兄貴かな」
俺は部屋のドアを開けて、階下を覗く。そこには、大学に通う兄、真斗がいた。
「正義ー。プリン買ってきたけど食べるー?」
兄が俺に向かって言う。兄、真斗はとにかく優しい。大学やバイトが大変だろうに、いつも俺のことを気遣ってくれる。
「プリン!食べる!」
俺は、急いで部屋を出て兄の元に向かおうとしたが、後ろから腕を引っ張られ、部屋に引き戻された。
「正義くん!魔力補給チャンスだよ!」
おっさんが楽しそうに言う。
「…え?魔力補給って……、え…、あ…兄貴と!?」
「そう!お兄さんいい体してたし、しっかり魔力補給してくれそうだよ!」
その言葉を聞きながら、俺は頭がくらくらするのを感じた。何がどうして、兄貴とどうしてセックスをしなきゃいけないんだ。それに、兄貴は弟に欲情するような人じゃない。
「大丈夫だよ。だって君のお兄さんは…」
何かを言いかけたおっさんの口に俺はクッションを投げつけた。
「それ以上言うな!」
「まぁいいよ。正義くんが恥ずかしいなら、僕がサポートしてあげるよ」
そういうと、おっさんは突然煙に包まれ、目の前から消えた。
「…え?」
驚いて部屋を見渡すと、おっさんがいた場所に小さな猫のぬいぐるみが落ちていた。
「僕を胸ポケットに入れて、お兄さんの元に行ったらいいよ」
「…やだ!絶対何か変なことするだろ!」
「でも、ほら、想像して。正義くんのお尻に、お兄さんのを挿れられるところ」
その言葉と同時に、お尻の中に入っているステッキが大きくなり、振動を与える。
「わ…」
「それがお兄さんのモノだったら、もっと気持ちいいと思わない?」
「…バカ、止めろぉ…」
「じゃあ、お兄さんところに行こう?」
不本意ながら、俺はぬいぐるみになったおっさんをシャツの胸ポケットに入れ、1階へと向かった。リビングに行くと、スマホを触っている兄がいた。
お尻の中のモノは、またサイズが小さくなり、振動も収まったけれど、さっきまでそれで感じていた背徳感が凄い。顔が赤くなっていないか、挙動がおかしくないか、不安を感じながら兄の近くに行く。
「プリン、食べるか?」
「うん」
兄は、俺のそんな様子に気付く様子もなく、冷蔵庫に向かってプリンを取り出す。そして、スプーンを添えて俺に渡してくれる。
手渡されたのは、有名店のプリンだった。だいぶ前に1回食べたことがある。インフルエンサーが作り出したブームじゃないのかと思いながら食べたら、あまりの美味しさに衝撃を受けたやつだ。
「前、美味しいって言ってただろ?」
そんなことも、兄は覚えていてくれる。

優しい兄と並んで、ソファーの前に座り、美味しいプリンを食べる。今日の出来事が嘘だったんじゃないかと思えるほど、穏やかで幸せな時間だった。
ただ、残念ながら今日は邪魔な存在がいた。
(あのコーヒーいいね!)
脳内におっさんの声が聞こえた。何を言っているんだと思ってローテーブルを見ると、兄が淹れたコーヒーがあった。湯気が出て、まだ熱そうだった。
「…なにを…」
おっさんが何かするのかと思ったら、突然家が揺れた。
「じ…地震!?」
それ程大きな揺れじゃないが、ローテーブルの上のコーヒーカップが転倒し、兄の下半身にコーヒーがかかった。
「…あっつ…!」
兄が慌てて、下半身を払う。その様子に慌てた俺の中にまた声が響く。
(今がチャンスだよ!)
何がチャンスだ!その声を振り払おうとしたのに、俺の手は自然と兄のズボンにかかってた。心とは裏腹に、俺の手は兄のズボンを脱がそうとする。
「……せ、正義?」
驚く兄になんて言っていいのか困ったが、何とか取り繕うと「ほ、ほら、早く着替えなきゃ」と言いながら、ズボンをずらすと兄のパンツが見えた。ぴっちりとしたボクサーパンツだ。
もし、勃起していたらどうしようと思ったが、その様子はなく安心した。良かった、兄は男相手に勃起するような人じゃないと心を撫でおろす。
ただ、勃起していなくても俺よりも立派だと感じるだけのふくらみがある。それを見ると、さっき兄貴のをお尻にいれたらと言われながら、お尻の中のを刺激されたことを思い出してしまう。これをお尻に挿れられたら…
「…どうした?正義?」
兄貴に声をかけられて、ハッとする。
「何でもない。タオル取ってくる」
立ち上がりかけた時、また家が揺れた。その揺れでバランスを崩した俺は、兄貴の上に倒れ込む。慌てて支えようとしてくれたが、兄貴の手が体の触れたことが引き金になった。
体が突然熱を持つ。股間も徐々に反応してくる。
「…はぁ…っ…」
(あ!魔力注入チャンスに入ったね!)
また脳内に、おっさんがかたりかけてくる。魔力注入チャンス?そう考えたら
(そう!魔力注入チャンスがきたら、体もそれに合わせて反応するんだ!今の正義くんは、いつでも魔力注入OK状態だよ!)
その言葉を証明するように、お尻の穴がやたらうずく。何だよそれ。兄貴相手に勝手に欲情とか、俺、最低じゃないか。最悪な状態だと思いつつも、さっきちらっと眼にした兄貴の股間が蘇る。あれが勃起して俺の中に入ったら…、そんな考えが頭を支配する。
「どうした?正義?息が上がってるし、何か熱っぽいし…」
そんな俺を兄貴は心配そうな目で見てくる。ああ、駄目だ。兄貴の口元すら俺を欲情させる。キスしたら気持ちいいんだろうな…。
(大丈夫だよ!正義くん!精液注入モードに入った君がおねだりすれば、相手は素直に応じてくれるよ!れっつおねだり!)
「…ば、バカ…そんなこと、できるか…」
「本当に、大丈夫か?正義?」
必死に抗おうとする俺におっさんはまた語りかける。

(大丈夫だよ!お兄さんとは血が繋がってないんでしょ!近親相姦にはならないよ!)
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