マッサージのモニターを頼まれた件

ぽいぽい

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マッサージモニターを頼まれた件

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いわゆるブラック企業に勤める俺、三日月拓人は、今日もくたくただった。
必死で取り組んでも、残業になってしまう仕事量。それだけでもうんざりなのに、些細なミスに対する長い説教付き。夕飯代わりのおにぎり片手に何とか仕事を終わらせたのは午後9時を回った頃。唯一の救いは、今日が週末なこと。明日は死んだように眠ろう。そして日曜元気だったら溜まっていた洗濯とか掃除を頑張ろう。
そこまで考えて、ふと思う。俺の人生って一体何なんだろう?会社でくたくたになって、休日を満喫する気力もない。こんな生活がいつまで続くのだろう?
そんなむなしさを感じながら、駅までの道を歩いていたら、目の前に一枚のチラシが差し出された。チラシにはマッサージ店オープンと書かれている。
「お兄さん、お疲れですね」
俺より少し年上だろうか?人の好さそうな男性が、チラシを渡そうとしながら俺の顔を覗き込む。
「え?そんなに疲れて見えます?」
「お仕事頑張っているんですね。遅くまでご苦労様です」
「…え」
その言葉に、俺は驚いた。俺の会社では、頑張って当たり前、どれだけ頑張っても褒められたこともない。それなのに、この人は褒めてくれるのか。
「あ…ありがとうございます…」
「その疲れ、マッサージで癒していきませんか?」
笑顔と一緒に出たその言葉に、俺はガッカリした。俺を労ってくれたのも、営業のためか。そうだよな。そうじゃなきゃ、見ず知らずの男を褒めたりすることないよな。
「ああ、そういう話なら結構です」
俺は、チラシを押し返し駅へ向かおうとした。男性は、そんな俺の手首を掴む。
「あの、マッサージ無料なんで」
「無料?そんな都合のいい話がある訳ないじゃないですか」
きっとあれだ。無料という言葉で釣って、会員登録やオプションとか言葉巧みにお金を巻き上げていくやつだ。もし、マッサージが本当でも大金を巻きあげられたら気持ちが沈む。それなら、お金を払って美味しい物でも食べた方がいい。
「いえ、本格営業の前に施術を受けた人の感想を聞きたくて、無料でマッサージを受けてくれるモニターを探していて…。駄目ですか?」

15分後、男性と出会った場所からほど近くのビルの一室で、俺はマッサージを受けるための準備をしていた。
モニターを引き受けた理由は、無料になる理由がきちんとあったこと。そして「声を掛けても断られ続けて」と、男性が困った目で俺を見ていたこと、その目がやたら綺麗で澄んで見えたことだ。実際に、マッサージ店がある建物内に入って、明るい照明の下で男性の顔を見ると、モデルやアイドルでもおかしくないのではないかと思える程、綺麗な顔をしていた。叶うなら、俺もこんな顔に生まれたかったなと思う。
「着ている服を脱いだら、これを着てくださいね」
店に入ってから渡されたのは、Tシャツとパンツ。本格的なマッサージを受けたことがないため、疑うこともなく受け取ったが、実際に着るためにパンツを手にすると、俺は言葉を失った。渡されたのは、股間こそギリギリ隠せそうでも、お尻は丸出しになるようなパンツだった。
「…え?これ履くのか…?」
何かの間違いではないかと思い、パーテーションで仕切られた向こうにいる男性に「あの、このパンツ、間違えてませんか…?」と声をかけてみた。もし、施術用のパンツがないのなら、自前のパンツでの施術でも構わない。これよりはマシだろう。
「そのパンツ嫌ですか?腰回りの施術をするために最適なんですが」
「でも、これは…恥ずかし…い…」
「大丈夫、すぐに慣れますよ」
優しく微笑むその顔は、やはりイケメンだった。その笑顔に何も言えなくなり、俺は用意された服に着替えをした。
Tシャツの丈は意外と長く、ギリギリパンツを覆い隠すことができた。でも、その下は股間を覆う小さな布切れがある程度、お尻にいたっては丸出しともいえるような状態だ。動くたびに、股間やお尻がちらちら見えるのではないかと思うだけで、恥ずかしくなる。
同性相手なんだから、恥ずかしがる必要はないと思えば思うほど、羞恥心が沸くのか、微妙に股間が反応する。最悪だ。
「着替え、終わりました?」
パーテーションの向こうから、爽やかな声が聞こえた。その声で我に返る。そうだ、俺はマッサージを受けに来ただけだ。それなのに、なんで恥ずかしがっているんだ。
「はい」
俺は、煩悩を振り払うように、パーテーションの向こうに向かった。
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