マッサージのモニターを頼まれた件

ぽいぽい

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三日月の休日・2

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神楽の名前を見た時、来週の週末に関する連絡ではないかと思ったが、その下のメッセージは全く異なるものだった。
『三日月さん、今、どちらですか?』
突然、居場所を尋ねられる。
『○○のカフェですが』
『○○なら丁度良かったです。おつかいを頼まれてくれませんか?』
おつかいと言われ、なんで俺が?と思ったのが正直なところだ。でも、このカフェを出た後に行く場所もない。後は家に帰るだけだし、その後も特にすることがない。それなら、人の役に立つことをするのも悪くないか。
そう思って俺は何をして欲しいのか尋ねると、カフェの近くにある大手ディスカウントストアに行くように指示された。詳細は聞かされていない。
到着したことを伝えると、行くように言われたのは店の隅にあるアダルトコーナーだった。興味本位で入ったことはあるけれど、じっくりと見たことはない。使う予定がないコンドームを購入してそのまま出たっきりだ。
着いたことを伝えると、着信が入った。
「三日月さん?すみません。おつかい頼んじゃって」
「何を買って来ればいいんですか?」
「まずはローションを」
言われて、ローションがある棚を探す。簡単に見つかり、指定された物をいくつかカゴに入れていく。そういえば、マッサージでもローションを使っていたことを思い出す。あれは、こういうところで買っていたのか。そんなことを考えていると
「このローションは、昨日渡したアレを使う時に使ってくださいね。昨日渡しそびれて」
そう囁くように耳元から声がして、ゾクリとした。それと同時に、昨日渡されたバイブの形状を思い出し顔が赤くなる。
「え?先生が使うためじゃなくて?」
「そうですよ?あ、領収書は残しておいてくださいね。次に来られた時に代金清算しますから」
言われて、俺はカゴに目線を落とす。
アダルトコーナーにいるのは、カップルが多かった。みんな楽しそうに商品を選んでいる。そんな中で、俺は自分に使うためのローションを購入しているとか、どんな状況だ?女ならまだしも、男の俺が。
ただ、別にローションをレジに出しても、自分で使うのだろうと思われることはないだろう。普通に彼女とイチャイチャする時に使うのだろうと思われて終わりだ。それどころか、店員はそんなこと気にすることもないだろう。
「ああ、それとバイブやディルドをいくつか見繕って欲しいのですが」
「…は?」
「ほら、この前、三日月さんのお尻に挿れたようなやつです」
言われて、顔が余計に赤くなるのを感じた。
「三日月さん好みのものが知りたいので、いくつか選んで貰えたらと思います。勿論、代金は私が持つので」
「こ、断る…」
なんだか、とても恥ずかしいことをされているような気分がして、俺は神楽の申し出を拒む。ただ、きっと神楽は強引に購入を迫ってくると思っていた。心のどこかでそんなことを期待していた。
「じゃあ、ローションだけでいいです」
それなのに、返ってきた返事はとてもあっさりとしたものだった。俺は思わず拍子抜けした形となるが、心のどこかで残念な気がしていた。
そんな俺に追い打ちをかけるように神楽は「ではまた」とだけ言って、一方的に通話を切ってしまった。
「あいつは一体何なんだ…」
そう思いながらも、一度カゴに入れたローションを棚に戻す気にはならなかった。いずれ何かで使う機会があるかもしれない。そう考え、改めて店内を見渡す。そこには、小型のローターヤバイブなどから、オナホやSMグッズなど様々な物が並んでいる。
セクシー女優や可愛い女の子のイラストがプリントされたパッケージに包まれた商品も多い。24歳の健全な男子なら、こうしたアイテムに興味を持って当然だろう。神楽に出会う前の俺なら、オナホなどに手を伸ばしていたと思う。でも、今気になるのはアナルビーズやバイブなど、お尻に挿れて使うものだ。
(アイツが変なこと言うから…)
そう自分に言い訳をして、バイブなどが並ぶ棚を見に行く。
すんなり挿入できそうな小さな物もあれば、リモコン式と書かれた物もある。AVなどで見たことはあるけれど、実際に実物をまじまじ見るのは初めてかもしれない。
普通の男なら、彼女に使うことを想像しながら選ぶのだろうか。でも、今の俺は自分に対して使う物として見てしまう。
(これとか、凄い奥まで届きそう…)
気になる物をつい手に取ってしまう。価格もそれほど高くないし、購入してみるのも悪くないかもしれない。そんな考えが頭を過る。
(神楽のはこれ位か…)
前に舐めた時のことを思い出し、近いサイズの物に手を伸ばした。その時
「それ位のサイズが好きなんですか?」
耳元で神楽の声が聞こえた。慌てて振り返ると、いつもの白衣ではなくラフな格好をした神楽が後ろに立っていた。
「…な、なんで…?」
「どこにいるか教えてくれたのは、三日月さんじゃないですか。たまたま近くにいたので来てみたまでです」
言いながら、神楽は俺が手にしていたバイブを取り上げると、カゴに入れる。それ以外にも、いくつかのアダルトグッズをカゴに入れると「じゃあ」と手を上げた。
「…な!どうせ先生持ちなら、先生がこのままレジに持って行けば…」
「私は用事があるのでこれで」
そう言うと、神楽はそそくさとその場を立ち去って行った。
かごには、俺が淹れたローションと、神楽のサイズを思い出させるバイブや細身のおもちゃ、小さいローターなどが入っていた。場所を考えると、別におかしくもなんともない買い物だ。ただ、用途を想像すると恥ずかしさを感じる。
それでも、いつまでもここに突っ立っている方が怪しいと考え、俺はレジに向かった。レジは店員の姿が見えない形となっているけれど、それでも視線が気になる。店員の視線もそうだが、周りからの視線も気になって仕方ない。
折角の休日に、俺は一体何をしているんだ。
清算が終わって気付いたことは、意外と安いということだ。俺がレジで困らないように、安めのものを選んでくれたのかもしれない。それでもとりあえず、領収書だけは大切に財布の中に入れておいた。

外に出たのは、用事があったからではない。何となくブラついていただけで、これから先の予定がある訳でもない。
どこかで軽く食事をして帰ろうかとも思っていたけれど、鞄の中に入れたローションやバイブ類が気になって仕方ない。どこかで誰かに鞄の中身を見られたら、そう考えると落ち着かず、牛丼屋のテイクアウトを選んだ。

家に帰って、牛丼を平らげシャワーを浴びる。
特に有意義なことをした訳じゃないけれど、ただ死んだように寝ているよりはいい休日だったんじゃないかと思う。途中、恥ずかしい思いをすることにはなったけれど。
そんな一日のことを振り返ると、ふとお尻の状態が気になった。今は風呂だし、清潔な状態だしと指を伸ばしてみる。触ってみると意外と柔らかく、指1本位なら入りそうでも、潤滑油になるものがある状態じゃない。このままではお尻を傷つけそうで、軽く触れてみるだけで終わった。
「別に、そんな趣味がある訳じゃないし…」
そう言いながら、風呂場から出た時、スマホにメッセージが届いているのに気付いた。
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