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エピローグ それからの話
新米
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それはある日の地獄のこと。リコリスの後ろをついて回りながら、仕事のなんたるかを説かれている男がいた。
彼は、そんな己の状況に、少しばかり不満そうな顔をしていた。
「過去の罪人の書類などはあちらの棚に……本日も、絶賛不服そうですね、新米さん? 全て顔に出ております」
「そりゃ不服にもなるだろうよ……なんでよりにもよってあんたの下なんだよって話」
「あら、こう見えて教えるのは得意なのですよ? 私」
「そうはわかっても、俺の中のプライドがなかなか受け入れられないんだよなこれが」
「ちっぽけなプライドですねぇ……」
はぁ、とこれみよがしにため息をつくリコリス。誰に教わろうと、ちゃんと仕事さえできればいいでしょうに。とぼやく。
「そういえば、明日はいよいよ独り立ちの日になりますね。大丈夫ですか? 罪人への態度はそんなではいけませんよ? あくまで地獄では彼らは罪人であり、外からのお客様ですから」
「俺を誰だと思ってるんだよ? あんたと同じ元罪人だぞ」
まるで我が子を心配するかのようなリコリスの言葉に、呆れたような表情で男は返答する。リコリスは、そのさまに懐かしさを感じたように微笑み、言葉を返した。
「ふふ……それもそうでした。頑張ってくださいね、“コウホネ”さん」
「……まだ慣れないな、その名前」
複雑な表情を浮かべて、乱雑に己の頭をボリボリとかき乱すと、男は「明日に備えて早めに寝る」と定時で仕事を切り上げて言った。
「そうですね、それがいいでしょう。……にしても、覚えの速さが思った以上ですね。これには閻魔様もご満悦です。……一向に直らない言葉遣い以外は」
「これはもう染み付いてるからそう簡単に直らねえよ。……それじゃ、今日はここまでで。お疲れさん」
「先輩である私にすらその言葉遣いですからね……先が思いやられるというものです……」
やれやれ、とんでもない新人が入ってきてしまいました、とリコリスは“コウホネ”の態度に呆れつつも嬉しそうなため息をつく。彼は果たして罪人に対してどのように接していくのか。臨機応変に対応はできるのか。
多少なりとも不安はありながら、彼ならば上手くやるだろうという謎の確信めいたものもあった。リコリスはそんな生意気な新人の背中を見送ると、自分も早々と帰り支度をするのであった。
そうして、少しばかりの時が過ぎて、翌日。
「……は? 何だこの世界は。俺は夢でも見てるのか……?」
呆然と贖罪の世界を見渡す一人の男。この男こそが今回の罪人であり、罪は強盗致傷と放火である。無論、裁判では死刑となった男だ。
「俺は確かに死んだはずで……何だこの場所……?」
「残念ながら、この世界は夢ではございません」
「うわっ!? な、なんだてめぇ!」
“コウホネ”が背後から罪人に声をかけると、罪人は大袈裟に驚いた反応を見せた。懐かしいなこの反応、と“コウホネ”は微笑む。自分も同じように反応した覚えがある。得てして、悪ぶっている罪人などこんなものだ。
「私は……地獄の案内人を務めさせて頂いております、“コウホネ”と申します。以後、お見知りおきを」
「はあ? 地獄だぁ? んなもんおとぎ話の世界だろ!」
「残念ながら、ここは紛れもなく地獄にございます。貴方様はこれより、この“贖罪の世界”にて後ほど自分の罪をたっぷりと……その身で体験していただくこととなります」
「意味わかんねぇ……何なんだよお前! うだうだ言ってねえでここから出せよ!!」
“コウホネ”の説明も虚しく、意味不明、理解不能、といった様子で混乱しながら、男は“コウホネ”の胸倉に掴みかかった。瞬間、鈍い音と共に男がその場に跪いた。
「ぐっ……ぇ……」
鳩尾に一発、膝蹴りが上手い具合にめり込んだのだ。
「おっと、これは失敬……地獄の案内人、ないし使者への暴力、誹謗中傷等は一切許可されておりませんので、該当行為に対する制裁等、どうかご容赦くださいませ」
「ぐっ……な、なんなんだよ! 口調とやってることの荒さが合ってねぇぞてめぇ!」
蹲りながらも男は喚く。丁寧な口調、丁寧な仕草で飛び出してくるのがまさかの膝蹴りだとは男も思っていなかったのだろう。鳩尾を押さえて痛そうに体をよじる。
そんな男の様子に、“コウホネ”は一切心配する素振りすらなく、ニッコリとした笑顔を浮かべて返答する。
「……恐れ入ります。それでは改めて、この世界のルールをお教えしても?」
顔はたしかにニッコリと笑んでいる。それでも、“コウホネ”のその瞳には、いつかの罪人と同じような爛々とした光が煌めいていた。その迫力に押し負けたのか、罪人は大人しく話に耳を傾け始める。
「……殺し、返し……? なんだよそれ、ただの私刑じゃねぇか!」
「いやあ地獄も人手不足に悩まされる昨今、恨みつらみとともに当の本人様に裁いていただくのが、我々としても何より楽でして……私共にできるのは、文字通り“地獄の案内”程度なのです」
これこのように、と“コウホネ”が指を鳴らすと、何もない空間に扉が浮かび上がった。その扉をくぐると、その先に見えたのはメラメラと揺れる陽炎。燃え滾る炎が上からも下からも吹き出している、まさに地獄といえば万人が想像するような様相の部屋だった。その熱と言ったら、少し離れた出入り口からでも痛いくらいの熱を感じるほど。
「な、なんだよここ……」
怯えたような罪人の声が響く。それも、炎が弾ける音にかき消された。
「貴方様はたしか……強盗殺人の際、夫婦二名を刺殺した後、“証拠隠滅のため”とまだ幼かった兄弟二名を残したまま家に火を放ち、全焼させ殺害しておりますよね? と、言うことで、まずはこちら! “獄炎の間”にて人間二人分の焼死体験をしていただこうかと! 最初の地獄探訪としてはインパクトがあって、なかなかいいものでしょう?」
「は……え……じょ、冗談だよな?」
「いえいえ! 大真面目ですよ!」
にこり。“コウホネ”は笑顔を崩さずに炎の勢いに尻込みする罪人ににじり寄っていく。
「……こ、ここに入れってのかよ!?」
「ええ、それはもうドーンと! 躊躇うと余計苦しいですからね……勢いですよ勢い!」
ぐいぐいと罪人の肩を押していく“コウホネ”。じりじりと肌を焼く火の粉が近付いていく。
「む……無理だ! こんなの! な、なあ、他のやり方はないのか? なあ!?」
すっかり恐怖に戦いた表情の罪人に、“コウホネ”は一転して悲しそうな目を向ける。口許だけは笑みをたたえたまま、心底悲しそうに語りだした。
「あの日、逃げる間もなく貴方様の放った炎に巻かれた兄弟……苦しかったでしょうねぇ……怖かったでしょうねぇ……ええ、今の貴方様の心情のように」
「ハハ……わ、悪かったよ……でもあのときはああするしか……」
「まぁまぁ、そんな無念もこの浄化の炎で一発ですよ! そうれ、ドーンと!」
「っ!! ぎゃああああああ!!」
無邪気ささえ覚えるような笑顔で、“コウホネ”は罪人の一瞬の気の緩みをついて背中を勢い良く押し出した。もちろん、言い訳を並べていて無防備だった罪人はなすすべもなく前に押し出され、噴出する炎に焼かれることとなった。
あたりには人が焼ける嫌な匂いが立ち込め、ばちばちと弾けるような音がする。
「おっとと……たしかに独特の匂いが……先に忠告されたマスク必須とはこのことですね」
「ああああああ!!」
「いやはや……子供二人分焼き上がるのにどの程度でしょうか。時間を計算してから行うべきでしたかね……これは失策。私が暇じゃないですか……」
冷静にマスクをしたと思えば、罪人の悲鳴を背景にこれまでの自分の仕事を振り返り始める。このナチュラルな鬼畜さとマイペースさは教育係のリコリス譲りであった。
「……しっかし、なんの罪もないガキ巻き込んで罪の意識もなしか。救いようもないな」
呟いた声は、絶えず響き渡る罪人の悲鳴と炎の爆ぜる音にかき消された。“コウホネ”は、燃え盛る炎に巻かれる罪人を睨みつけるように、静かに佇んでいた。
彼は、そんな己の状況に、少しばかり不満そうな顔をしていた。
「過去の罪人の書類などはあちらの棚に……本日も、絶賛不服そうですね、新米さん? 全て顔に出ております」
「そりゃ不服にもなるだろうよ……なんでよりにもよってあんたの下なんだよって話」
「あら、こう見えて教えるのは得意なのですよ? 私」
「そうはわかっても、俺の中のプライドがなかなか受け入れられないんだよなこれが」
「ちっぽけなプライドですねぇ……」
はぁ、とこれみよがしにため息をつくリコリス。誰に教わろうと、ちゃんと仕事さえできればいいでしょうに。とぼやく。
「そういえば、明日はいよいよ独り立ちの日になりますね。大丈夫ですか? 罪人への態度はそんなではいけませんよ? あくまで地獄では彼らは罪人であり、外からのお客様ですから」
「俺を誰だと思ってるんだよ? あんたと同じ元罪人だぞ」
まるで我が子を心配するかのようなリコリスの言葉に、呆れたような表情で男は返答する。リコリスは、そのさまに懐かしさを感じたように微笑み、言葉を返した。
「ふふ……それもそうでした。頑張ってくださいね、“コウホネ”さん」
「……まだ慣れないな、その名前」
複雑な表情を浮かべて、乱雑に己の頭をボリボリとかき乱すと、男は「明日に備えて早めに寝る」と定時で仕事を切り上げて言った。
「そうですね、それがいいでしょう。……にしても、覚えの速さが思った以上ですね。これには閻魔様もご満悦です。……一向に直らない言葉遣い以外は」
「これはもう染み付いてるからそう簡単に直らねえよ。……それじゃ、今日はここまでで。お疲れさん」
「先輩である私にすらその言葉遣いですからね……先が思いやられるというものです……」
やれやれ、とんでもない新人が入ってきてしまいました、とリコリスは“コウホネ”の態度に呆れつつも嬉しそうなため息をつく。彼は果たして罪人に対してどのように接していくのか。臨機応変に対応はできるのか。
多少なりとも不安はありながら、彼ならば上手くやるだろうという謎の確信めいたものもあった。リコリスはそんな生意気な新人の背中を見送ると、自分も早々と帰り支度をするのであった。
そうして、少しばかりの時が過ぎて、翌日。
「……は? 何だこの世界は。俺は夢でも見てるのか……?」
呆然と贖罪の世界を見渡す一人の男。この男こそが今回の罪人であり、罪は強盗致傷と放火である。無論、裁判では死刑となった男だ。
「俺は確かに死んだはずで……何だこの場所……?」
「残念ながら、この世界は夢ではございません」
「うわっ!? な、なんだてめぇ!」
“コウホネ”が背後から罪人に声をかけると、罪人は大袈裟に驚いた反応を見せた。懐かしいなこの反応、と“コウホネ”は微笑む。自分も同じように反応した覚えがある。得てして、悪ぶっている罪人などこんなものだ。
「私は……地獄の案内人を務めさせて頂いております、“コウホネ”と申します。以後、お見知りおきを」
「はあ? 地獄だぁ? んなもんおとぎ話の世界だろ!」
「残念ながら、ここは紛れもなく地獄にございます。貴方様はこれより、この“贖罪の世界”にて後ほど自分の罪をたっぷりと……その身で体験していただくこととなります」
「意味わかんねぇ……何なんだよお前! うだうだ言ってねえでここから出せよ!!」
“コウホネ”の説明も虚しく、意味不明、理解不能、といった様子で混乱しながら、男は“コウホネ”の胸倉に掴みかかった。瞬間、鈍い音と共に男がその場に跪いた。
「ぐっ……ぇ……」
鳩尾に一発、膝蹴りが上手い具合にめり込んだのだ。
「おっと、これは失敬……地獄の案内人、ないし使者への暴力、誹謗中傷等は一切許可されておりませんので、該当行為に対する制裁等、どうかご容赦くださいませ」
「ぐっ……な、なんなんだよ! 口調とやってることの荒さが合ってねぇぞてめぇ!」
蹲りながらも男は喚く。丁寧な口調、丁寧な仕草で飛び出してくるのがまさかの膝蹴りだとは男も思っていなかったのだろう。鳩尾を押さえて痛そうに体をよじる。
そんな男の様子に、“コウホネ”は一切心配する素振りすらなく、ニッコリとした笑顔を浮かべて返答する。
「……恐れ入ります。それでは改めて、この世界のルールをお教えしても?」
顔はたしかにニッコリと笑んでいる。それでも、“コウホネ”のその瞳には、いつかの罪人と同じような爛々とした光が煌めいていた。その迫力に押し負けたのか、罪人は大人しく話に耳を傾け始める。
「……殺し、返し……? なんだよそれ、ただの私刑じゃねぇか!」
「いやあ地獄も人手不足に悩まされる昨今、恨みつらみとともに当の本人様に裁いていただくのが、我々としても何より楽でして……私共にできるのは、文字通り“地獄の案内”程度なのです」
これこのように、と“コウホネ”が指を鳴らすと、何もない空間に扉が浮かび上がった。その扉をくぐると、その先に見えたのはメラメラと揺れる陽炎。燃え滾る炎が上からも下からも吹き出している、まさに地獄といえば万人が想像するような様相の部屋だった。その熱と言ったら、少し離れた出入り口からでも痛いくらいの熱を感じるほど。
「な、なんだよここ……」
怯えたような罪人の声が響く。それも、炎が弾ける音にかき消された。
「貴方様はたしか……強盗殺人の際、夫婦二名を刺殺した後、“証拠隠滅のため”とまだ幼かった兄弟二名を残したまま家に火を放ち、全焼させ殺害しておりますよね? と、言うことで、まずはこちら! “獄炎の間”にて人間二人分の焼死体験をしていただこうかと! 最初の地獄探訪としてはインパクトがあって、なかなかいいものでしょう?」
「は……え……じょ、冗談だよな?」
「いえいえ! 大真面目ですよ!」
にこり。“コウホネ”は笑顔を崩さずに炎の勢いに尻込みする罪人ににじり寄っていく。
「……こ、ここに入れってのかよ!?」
「ええ、それはもうドーンと! 躊躇うと余計苦しいですからね……勢いですよ勢い!」
ぐいぐいと罪人の肩を押していく“コウホネ”。じりじりと肌を焼く火の粉が近付いていく。
「む……無理だ! こんなの! な、なあ、他のやり方はないのか? なあ!?」
すっかり恐怖に戦いた表情の罪人に、“コウホネ”は一転して悲しそうな目を向ける。口許だけは笑みをたたえたまま、心底悲しそうに語りだした。
「あの日、逃げる間もなく貴方様の放った炎に巻かれた兄弟……苦しかったでしょうねぇ……怖かったでしょうねぇ……ええ、今の貴方様の心情のように」
「ハハ……わ、悪かったよ……でもあのときはああするしか……」
「まぁまぁ、そんな無念もこの浄化の炎で一発ですよ! そうれ、ドーンと!」
「っ!! ぎゃああああああ!!」
無邪気ささえ覚えるような笑顔で、“コウホネ”は罪人の一瞬の気の緩みをついて背中を勢い良く押し出した。もちろん、言い訳を並べていて無防備だった罪人はなすすべもなく前に押し出され、噴出する炎に焼かれることとなった。
あたりには人が焼ける嫌な匂いが立ち込め、ばちばちと弾けるような音がする。
「おっとと……たしかに独特の匂いが……先に忠告されたマスク必須とはこのことですね」
「ああああああ!!」
「いやはや……子供二人分焼き上がるのにどの程度でしょうか。時間を計算してから行うべきでしたかね……これは失策。私が暇じゃないですか……」
冷静にマスクをしたと思えば、罪人の悲鳴を背景にこれまでの自分の仕事を振り返り始める。このナチュラルな鬼畜さとマイペースさは教育係のリコリス譲りであった。
「……しっかし、なんの罪もないガキ巻き込んで罪の意識もなしか。救いようもないな」
呟いた声は、絶えず響き渡る罪人の悲鳴と炎の爆ぜる音にかき消された。“コウホネ”は、燃え盛る炎に巻かれる罪人を睨みつけるように、静かに佇んでいた。
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