【完結】堅物司書と溺愛魔術師様

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遺跡調査いよいよ3

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 多数あった班を新たに二班に編成し、遺跡調査に向かう。
 私が率いる班は水魔法が得意な魔術師を中心に火山の火口へ。
 ノア率いる班はこの島唯一の湖へと振り分けられた。

「本当に危険な真似だけはしないでくれ」
「大丈夫だよ。無理は絶対にしないから」

 納得はしてくれたが離れることにいまだ難色を示すノアを横目に作業を進める。

 ディラン率いる海軍騎士団は本陣と船の守りがあるため残ることになっている。
 外部からの襲撃に備え何名か護衛にと言われたが、本陣にも重要な研究資料があるため断った。
 それに少人数での行動でもない為この時の私は油断していたのかもしれない。

 火口付近に転移魔法で移動し、水魔法と風魔法を駆使して捜索が始まった。
 自ら強化魔法でガスや外気の熱を遮断し進む。
 火口を覗けば、暗闇の奥にマグマが生き物のように蠢いているのが見て取れた。
 壁際を土魔法で少しずつ形成しながら降りていく。
 強化魔法を使っているとはいえ肺に入る空気は熱く、じりじりと肌が熱を持つ。
 長居は無理だなと考えた時、前方から声がかかった。

「ロゼッタ司書、こちらに道が」
「今行きます!!」

 先遣隊の見つけた道は綺麗に横に続いていて、人工的なつくりを思わせていた。
 そして何より文献で見た防御紋と酷似した術式が入口に施されていた。

「これは…」
「やりましたね!ロゼッタ司書!!」
「えぇ、すごい。本当に。まさかこんなに簡単に見つかるなんて。でもこれは術式が少し違いますね…私はこのまま先に進みますので、班を分けます。半分はこちらの術式の写しと解読をお願いできますか?あと師団長の班と本陣に今の状況を鳥を使って報告をお願いします。残りは私に付いてきてください」

 共に準備してきた仲間たちが新たな発見に浮き足立つのを感じながらも気を引き締めなおし暗闇の中を進む。
 道は徐々に岩肌から洗練された黒曜石に変わっていき奥には光源が見え辺りを光が帯びていく。

 開けた場所には赤々と蠢くマグマの中心に黒く艶やかな遺跡が鎮座していた。

「すごい…」

 突如現れた自然エネルギーの塊と真逆の人為的建造物が何とも言い難い異質さを醸し出していた。

「道がありますね…」

 大人三人が通れるほどの幅しかない心細いほどの道がマグマの間を繋ぎ遺跡に続く。

「度胸試しと行きますか」

 少し場を和ませるように冗談めかして言う。
 ここまで来たなら何が何でも行きたい。

「私が先陣を切ります。安全が確保され次第みなさんは続いてください。万が一トラップがあった際は助けてくださいね」

 場が和んだところで一歩を踏み出す。
 見る限りはトラップのような魔術を感じない為歩みを進める。
 一歩一歩、遺跡に近づくたびに黒曜石がマグマの光に当てられ輝く。
 その神秘的な光景に息をのむ。
 その間にマグマの道を渡り切り遺跡の前に降り立ち後方に合図を送る。

 遺跡に降り立ち初めに感じたことが遺跡を纏う空気が違う事。
 マグマの近くとは感じさせない程の静寂と空気。
 辺りを見渡すと遺跡の端々に術式が張り巡らされ、中央に伸びている。
 足元の術式を見ると僅かに赤い光が蠢いている。
 外から内へと流れているようにも見えた。
 そのまま導かれるように中心へと進む。

 遺跡というにはあまりにも小さく祭壇に近いのかもしれない。
 六つの支柱の中心に高さの違う半円柱が円を作る。
 一番低いところから中を覗くとマグマが蠢いていた。
 術式はここを中心に放射線状に伸びているようだ。

 後発の班が追いついたところで近場の術式の写しと別班への連絡を頼み辺りを見渡す。
 ふと気になっていた一番背の高い半円柱に手を翳すと僅かに文字が浮かび上がる。

 “汝 最愛を求む 我も又 最愛を求む”

 古語で書かれた言葉が浮かび刹那に消え、半円柱が扉のように開いた。

「え!?」
「ロゼッタ司書!!何したんですか!?」
「え、えぇ!何もしてない!!」

 他の司書たちも急に祭壇が開いたことに吃驚しながらも様子をうかがっている。
 開いてしまったのは仕方ないと思い中を覗くと、そこには古びた魔術書一冊と古びた冊子だけが置かれていた。

「これは…」

 罠のような魔術の気配がなく、慎重にその本たちを持ち上げてみる。
 劣化防止に似た魔術が施されているのか二つとも酷い損傷はない。
 魔術書よりもう一つの冊子が気になり頁をめくる。

 全て古語で記されていて、たまに独特な言語が出てくる。
 この島固有の言語であると予想され、また日記のように思えた。

 パラパラと頁をめくり気になる言葉が古語で記されていた。

 “愛し愛されるとはどういうものなのか。私にはこの先享受することはないだろう。それでも愛する者のために私は身を粉にすることを厭わない”

 魔術書を開くと同じ筆跡に予想通り陰の術式の詳細が記載されていた。
 またこの島特有の薬の製法や呪いなども記載があった。
 この魔術書を著した人物の内心の日記なのだと推測できた。
 故人とは言え他人の日記を覗き見るのに少し気後れするも、好奇心に負け読んでみる。

 そこには報われることのない男の切なる願いが記されていた。
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